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会社のプライベート干渉はどこまでできる?企業のコンプライアンスについて

サッカーワールドカップの試合結果が出たり、プロ野球阪神タイガースが優勝したりすると、大阪の歓喜したファンたちは道頓堀ダイブをします。
この祭り騒ぎは、法律違反でも迷惑防止条例違反でもありません。しかし行政は懸命に制止しますし、子供でも直感的に「よくないこと」とわかります。

では、もし自社の社員が、プライベートの時間に道頓堀ダイブをしたら、その企業はコンプライアンスを問われるでしょうか。

社員に「飛び込むな」と命令したいところですが、企業は社員のプライベートの行動をどこまで規制できるのでしょうか。

道頓堀ダイブをひとつの例に取りながら、企業のコンプライアンスと社員規制について考えてみましょう。

 

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道頓堀ダイブは違法ではないが「よくないこと」

川に飛び込むことは、なんの問題もありません。それが大都市の橋の上からのダイブであっても同様です。しかし2015年には、年明けカウントダウンの道頓堀ダイブで死者が出ています。

参照:道頓堀川ダイブの重体男性が死亡 18歳の韓国人旅行客か(産経WEST)

大阪市も「川への飛び込み行為は、道頓堀川も含めて法律上禁止していない。また禁止する条例もない」と話しています。ただ大きなイベントがあるときは、警察署はダイブが行われる戎橋(えびすばし)に警官を配置し、立ち止まらないよう指導しています。

参照:歓喜した阪神ファンの「道頓堀ダイブ」 川への飛び込みは「禁止」されていないの?(弁護士ドットコムNEWS)

さらに、全裸で飛び込めば、軽犯罪法に抵触し逮捕されることもあります。

参照:公然わいせつ罪と身体露出の罪の違いとは?(弁護士谷原誠のブログ)

やはり道頓堀ダイブは「よくないこと」といえそうです。

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コンプライアンスの本質は法令遵守だけではない

それでは次に、社員が行った道頓堀ダイブは、その社員を雇用している企業のコンプライアンスの問題に発展するのか考えてみたいと思います。

コンプライアンスの基礎

コンプライアンスは法令遵守と訳されます。道頓堀ダイブは法令には違反していないので、これだけならコンプライアンスの問題になりません。
しかしコンプライアンスには、社会規範の遵守も含まれます。会社には、社会や環境に対してよい影響をもたらすことが求められているのです。

企業はさらに行政機関と良好な関係を保っていかなければなりません。
コンプライアンスの考え方からすると、社会規範に逆行し行政機関に迷惑をかける道頓堀ダイブは、社員に禁じたほうがよさそうです。

参照:企業コンプライアンス(BizHINT)

【事例】コンプライアンス違反倒産も起きている

コンプライアンスに違反したことをきっかけに、企業が倒産する事例もあります。自動車部品メーカーのT社は、欠陥エアバッグを大量に販売したことでリコール対応に追われ、経営危機に陥って1兆円以上の負債を抱えて倒産しました。

また磁気治療器の預託商法を手がけていたJ社は、消費者庁から1年に4度も業務停止命令を受けたことなどで約2,400億円の負債を抱えて倒産しました。

2017年度のコンプライアンス違反倒産は195件で、3年ぶりに前年度(179件)を上回りました。
東京商工リサーチはコンプライアンス違反倒産が増えている背景について、「悪しき習慣」を乗り越える企業体力がない中小企業が増えていることなどを挙げています。

参照:2017年度「コンプライアンス違反」倒産(東京商工リサーチ)

企業は「原則」社員のプライベートの行動を規制できない

企業は原則、社員のプライベートの行動を規制できません。企業が、労務の遂行に関わらない社員の私的な行動や私生活に干渉することは、違法行為とみなされます。

企業によるプライバシーの侵害行為は、民法上の不法行為に抵触します。また労働契約上の義務としても、企業は社員のプライバシーを保護しなければなりません。

あるスーパーマーケットで、社員が賃貸住宅を借りていたのですが、その家主は、勤務先企業の取引先でした。社員が家主とトラブルになったとき、上司が社員に対し和解するよう強要しました。裁判所は上司の行為は、労働者の行動を不当に制約・介入しているとして違法と認定しました。

参照:Q5 企業が労働者のプライバシーを侵害した場合の法律問題について教えて下さい(労働政策研究・研修機構)

社員のプライベートを企業が規制できる「例外」とは

しかし原則があれば例外があります。
システムやソフトウェア開発のSCSK社は2016年に、社員同士の懇親会の席では、それが就業時間外に開催されたものでも喫煙を禁止するルールを就業規則に定めました。職場内での禁煙を定める会社はありますが、社外かつプライベートな時間での規制は珍しいといえます。

SCSK社では以前から、健康増進の目的で社員に禁煙を呼び掛けてきましたが、なかなか徹底されませんでした。特に就業時間外の社員同士の飲み会で、部下が上司に「タバコを吸わないでください」と言えないことが問題になっていました。

そこで法律の専門家に相談し、社員同士の懇親会の場であれば就業時間外にタバコ規制を行っても法律に抵触しないとの回答を得たため、実施に踏み切りました。

参照:SCSK、懇親会も喫煙NG 就業規則に追加(日本経済新聞)

このケースでは、社員のプライバシーの侵害より、喫煙を野放しにして社員の健康を害するほうが社会正義に反する、と会社は判断したわけです。また就業時間外であっても、飲み会で部下が上司の喫煙を受忍しなければならないのは、パワハラにつながりかねません。
健康対策やパワハラ対策は、コンプライアンスの考えに合致します。

企業は社員のプライベートの「違法ではない暴走」を処分できるのか

企業は例外的にではありますが、従業員のプライベートの行動を規制できることがわかりました。また企業は、従業員がプライベートのときに違法行為を働き、逮捕、有罪になったら、罪の重さにもよりますが解雇することができます。

参照:従業員が逮捕されたら(銀座の弁護士による企業法律相談)

では道頓堀ダイブのように、違法ではないが明らかな暴走行為を働いた社員を、企業は処分することができるのでしょうか。

道頓堀ダイブした社員がテレビに放映されたら企業はどうすべきか

企業は就業規則に懲戒処分に関するルールを盛り込むことができます。一般的な懲戒処分は軽い方から「訓告→けん責→減給→出勤停止→降格→諭旨退職→懲戒解雇」となっています。
懲戒処分の内容と社員の無謀な行為が均衡していれば、解雇を実行しても違法(解雇権の乱用)とはなりません。

そのため就業規則に、プライベートのときであっても社会人として容認できない行為を働いた場合、それが違法行為でなくても懲戒処分の対象となる、といった内容を盛り込んでおけば、道頓堀ダイブをした社員に「罰」を与えることができそうです。

参照:事業主のための就業規則 懲戒編(社会保険労務士・行政書士 ふくした事務所)

例えば社員が道頓堀ダイブを行い、その様子がマスコミに報道され個人が特定されたら、会社が「社会人として容認できない行為」と認定することは問題にならないでしょう。

参照:道頓堀川に早朝からやけくそダイブ(スポーツ報知)

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まとめ 企業も社員もコンプライアンスを守ることが大切

社員の道頓堀ダイブが、企業のコンプライアンス体制を毀損することは明白です。コンプライアンスに厳しい企業に勤めている社員は、飛び込まないほうが賢明です。

また企業側も、普段から従業員のコンプライアンス意識を高めるような啓蒙活動を行い、飛び込ませないようにしたほうがいいでしょう。

 

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