コンプライアンスの意味とは?法令遵守だけではない考え方をわかりやすく解説!

コンプライアンスとは、「法令遵守」と訳されるのが一般的です。ですが、コンプライアンスの意味には、法律を守ること以外にも社会的規範やモラル、ルールなどを守ることも含まれます。

本記事ではコンプライアンスについて詳しく解説していきます。

 

 

 

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「コンプライアンス」とは?

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粉飾決算偽装事件など、企業の不祥事が経営の危機に直結する事態が続いたこともあり、メディアではコンプライアンスがという単語を見かけることが多くなりました。

コンプライアンスには、法令順守以外にも社会的規範やルールなどを守ることも含まれます。法律さえ守っていれば、それでOK!というわけではありません。

コンプライアンスの本当の意味、コンプライアンスが叫ばれるようになった背景、コンプライアンスに必要な要素について解説していきます。

コンプライアンスの意味

コンプライアンスの意味

コンプライアンスの意味

コンプライアンスには、法令を遵守することに加え、法律として明文化されてはいないが、社会的ルールとして認識されているルールに従って企業活動を行うの意味があります。

コンプライアンスの日本語訳として法令遵守が用いられることが多いです。

「法令遵守」というと、「法令を守ればよい」と捉えられがちですが、コンプライアンスは単に「法令を守ればよい」ということではありません。法令を遵守するのは当たり前のことで、最低限のことにすぎません。

 

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コンプライアンスが重視されるようになった背景

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企業経営の中で、コンプライアンス重視が叫ばれるようになったのは2000年に入ってからです。

その背景には3つの要因がありました。ここでは、経営においてコンプライアンスが重要視されるようになった3つの要因について紹介します。

1:規制緩和と企業責任の関係

日本政府は、1970年代の日米貿易摩擦を契機に、1980年代に入ってから内需主導による経済成長を目指し、3公社(電電公社、専売公社、国鉄)の民営化、そして規制撤廃を行うことで民間企業の参入と競争の促進を行ってきました。

それ以降、自由な競争のもと、企業活動が可能となった一方で、企業は自らの活動に責任も問われるようになったのです。このため、2000年に入り、政府は行政改革大綱で以下のように企業の自己責任体制を明確に打ち出しました。

「規制改革の推進に当たっては、例えば、原子力、自動車、乳製品、院内感染、遺伝子組み換え食品等に対する国民の不安、疑念の蔓延状況にかんがみ、特に国民の安全を確保する見地から、企業における自己責任体制を確立し、情報公開等の徹底を図るものとする。」[1]

これにより、各企業は自己責任体制の確立と、徹底的な情報の公開が要求されるようになったのです。

[1]参照:平成12月1日閣議決定「行政改革大綱」より引用

2:企業不祥事の増加

企業のコンプライアンス精神が重視されるようになったのは、1990年代から2000年代初頭にかけて不祥事が相次いだためです。

▼代表的な例

  • 2000年および2004年の三菱自動車リコール隠し
  • 2002年の牛肉偽装事件
  • 2005年の構造計算書偽装事件
  • 2006年のライブドア事件など

加えて、粉飾決算による倒産の増加も、企業にコンプライアンス重視の姿勢を求める要因の一つとなっています。また、2001年12月のエンロン社の倒産、2002年7月のワールドコム社の倒産など、アメリカでは粉飾決算による大企業の倒産がありました

EUでは、2001年7月に企業の社会的責任(CSR)に関するグリーンペーパー(政策の提案)を発表するなど、CSRの推進を進めています。

これを契機に、コーポレートガバナンスを重視する姿勢が求められ、監査の独立性や情報開示の強化などを規定した企業改革法(SOX法)が2002年7月に制定されています。

3:行政の方針変更と法改正

2000年12月に閣議決定された「行政改革大綱」の方針のもと、関連法の改正も行われてきました。また、企業の不祥事や海外の動向を踏まえ、各企業にコンプライアンス体制の確立を求め、法改正を進めてきました。

2006年5月に行われた会社法の改正では、「資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の企業は、適正な業務の遂行を確保するための体制の構築」を義務付けています。

また、2006年4月に施行された公益通報者保護法は、企業内部からその不正を告発した者に対し、解雇をはじめとした不利益な扱いが為されないよう企業に求めています。

このようにして、企業による不祥事、粉飾決算を起因とした倒産、行政方針の変更、法改正などがあり、企業にコンプライアンス重視の姿勢を求める世論が形成されていきます。

 

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減らないコンプライアンス違反による倒産

現代では公害こそ減りましたが、それでもやはり別の形でコンプライアンス違反をする企業はあとを絶ちません。

2020年度、コンプライアンス違反により企業が倒産した件数は182件でした。2020年度は新型コロナウイルスの影響で、コロナ対策融資や給付金などにより倒産件数が抑えられたとされています。

そのおかげで倒産件数は2019年度の225件よりは減ってはいますが、それでも2019年度までは8年連続で200件を超えていました。

(参考:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2020年度)┃帝国データバンク

(参考:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2019年度)┃帝国データバンク

このように、コンプライアンス違反をした企業は社会的信用が失墜し、株価や売上が大幅に下がった結果、それに耐えきれずに倒産してしまうケースも珍しくありませんつまり、企業が倒産せずに今後も成長していくためにも、コンプライアンスについて学び、法令や社会規範を遵守する企業体質や倫理観を育んでいくことは非常に重要だといえます。

 

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コンプライアンス違反に対して厳しい目が向けられていますが、近年はその傾向が顕著になってきています。

つまり、多少のモラル違反やマナー違反のような事例に対しても消費者やマスコミから過剰に批判されて炎上してしまうのです。

その最も大きな原因は下記の2点が考えられます。

  • インターネットやスマホの普及による情報発信社会の到来
  • 不安定な社会情勢や経済格差

それでは詳しく解説していきます。

インターネットやスマホの普及による情報発信社会の到来

現代は誰でも情報を発信できる情報発信社会になりました。つまり、些細なことでも利用者が不審に感じたらすぐに公の場で発言することができるようになったのです。

その多くの発言は埋もれていきますが、なかには大きなコンプライアンス違反につながるものもあります。企業の公式SNSのいわゆる「中の人」による発言で、大きな炎上につながることもあるため軽視することはできません。

また、不祥事が起こったとしても、以前であればその周囲の人間だけが秘密を守っていれば世間に漏れることはありませんでした。しかし、現代ではインターネットで匿名のまま内部告発のようなリークも可能になったため、すぐに秘密が漏れてしまいます。

それが重度のコンプライアンス違反であれば世間やマスコミはすぐに注目し、周知の事実となるでしょう。

不安定な社会情勢や経済格差

今日、経済格差や新型コロナウイルスによる不安定な社会情勢などにより、人びとに不満やストレスが溜まっています。これにより、通常なら注目されないような小さな問題でも、コンプライアンス違反と認定され大きく炎上してしまいかねません。

つまり、社会に不満が貯まるなか有名企業が不祥事を起こしたとあれば、その企業は利用者のガス抜きに利用されてしまうのです。

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コンプライアンス違反を防止するための5つの対策

 

コンプライアンス違反を防止するための5つの対策

 

たった一度のコンプライアンス違反で企業は大きなダメージを受け、場合によっては倒産する可能性もあります。したがって、コンプライアンス違反を起こさない組織文化や制度を構築していくことが企業にとって大切になります。

コンプライアンス違反を起こさないための対策や方法は下記の5つです。

  • 社内リスクを洗い出して対処する
  • 社員のコンプライアンス教育の徹底
  • 定期的なコンプライアンス研修
  • コンプライアンスプログラムの策定と周知
  •  内部通報者の保護を徹底する

それでは1つずつ解説していきます。

社内リスクを洗い出して対処する

まずコンプライアンス対策で最優先すべきことは、自社のリスクを洗い出して対処することです。

コンプライアンス違反は、社員が普段から行っている当たり前の習慣に深く関わっています。社内にあるリスクを放置せず、早急に対処することがコンプライアンス違反の防止にとっては重要です。

具体的には、下記の3つの方法で行います。

  • 社員に聞き取りを行って長時間労働や残業代の未払いがないか確認する
  • 重要性の高い仕事で判断基準がハッキリしていない業務がないか確認する
  • 時代錯誤になっている社内ルールがないか確認する

このように社内にはいくつもコンプライアンス違反の潜在的なリスクが眠っているかもしれません。したがって、リスクを洗い出した後にやるべきことは、リスクの高いものから対策を講じることです。

また、一度コンプライアンス違反を起こしている場合は、その事例を見直して再び起こらないように徹底的にリスクを再検証しましょう。

社員のコンプライアンス教育の徹底

まず今すぐ始められるコンプライアンス対策は、社員に対する教育です。今回紹介したようなコンプライアンス違反の事例を社員と共有して、自社でも起きるかもしれないと一緒に考えることでコンプライアンスに対する意識を高められます。

また、コンプライアンス教育は社員全員に対して行われるべきですが、役職によってどのようなコンプライアンス違反の可能性があるかは異なるため、役職ごとに教育していけばより効果は高まるでしょう。

定期的なコンプライアンス研修

コンプライアンスの教育を自社で行うことは効果的ですが、役職ごとに必要な専門的な知識が異なるため、自社だけでコンプライアンス教育を行うのは限界があります。そこで、専門のサービスを用いたコンプライアンス研修の実施を検討してみましょう。

また、昨今のコンプライアンスは適用される範囲が日に日に拡大しているため、知識をアップデートしていかなければなりません。そのためにも法人向けサービスのコンプライアンス研修を定期的に社員に受けさせることで、より高い効果が期待できます。

コンプライアンスプログラムの策定と周知

コンプライアンスプログラムを策定しておくことも防止策として高い効果を発揮します。コンプライアンスプログラムとは、法令を遵守して倫理に則った企業活動をするために企業が作る枠組みや計画のことを指します。

大切なのはプログラムを策定することだけではなく、それを社内に周知して社員全員に浸透させていくことです。社内ルールや社内規定などを明確にして、ルール違反がされていないかを日常的にチェックする活動が重要になります。

プログラムを策定する際のポイントは、下記の5つです。

  • コンプライアンスを担当する役員の設置
  • コンプライアンスを推進する委員会の設置
  • コンプライアンスを運営するための計画や事案の審議
  • 社員のコンプライアンス誓約書への合意
  • 各部署のコンプライアンス責任者、リーダーの設置

具体例として、KING JIMのコンプライアンスプログラムをみてみましょう。

私たちキングジムグループのすべての企業行動は、コンプライアンスに根付いたものでなければならない。

  • 私たちキングジムグループの一員は、企業倫理や法律に反した行動をとりません。万一、企業倫理や法律に反する行為、または疑わしい行動を知った場合は、コンプライアンスの体制に則って、適切な対応をとります。
  • 私たちキングジムグループの一員は、合法的でかつ清廉な行動をとります。
  • 私たちキングジムグループの一員は、コンプライアンスの精神に反する不当な利益追求を行いません。

(引用元:コンプライアンスプログラム┃KING JIM公式サイト

内部通報者の保護を徹底する

企業がコンプライアンス違反をした際に、それを内部通報をした社員に不利益な扱いがなされないように守るための「公益通報者保護法」という法律があります。コンプライアンスを強化する経営をしていくうえで、内部通報者の存在は企業にとって欠かせません。

しかし実際は、内部通報をした社員は「面倒なやつ」と見られて、不利益を被ることもあります。そのせいで不祥事を知ったとしても、内部通報をせずに黙っている方が得だと判断され、結果的に見て見ぬ振りが横行してしまいます。

そこで重要なのは、内部通報者への不利益扱いをなくし徹底的に保護する仕組みを構築し、その姿勢を社内に周知することです。

 

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CSR とコンプライアンス経営

 

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CSR とは何か?

コンプライアンスを経営の根幹と捉え、推進するにあたり、必要となるのがCSR(corporate social responsibility、企業の社会的責任)の考え方です。

社会的責任の対象には、株主、取引先、従業員はもちろんのこと、地域住民など、企業が関係する利害関係者全てとなっています。これらに対して責任を果たす必要があります。

そして、社会的責任を果たす上で捉えるべき項目として、以下の3つの項目があります。

1:企業倫理

企業倫理は、「企業が活動を行う上で、守るべき重要な考え方」です。
それは、法令にとどまらず、労働環境や道徳的な考え方など、法令以外の範囲も含まれます。

2:コーポレートガバナンス・内部統制

コーポレートガバナンスは、「コンプライアンス遵守の上で、モニタリングやチェックを行う仕組み」です。そして、内部統制は、企業が自発的に内部で組織を統制する仕組みを指します。コンプライアンスを遵守するためには、コーポレートガバナンスや内部統制といったモニタリングやチェックを行う仕組みが必要です。

3:SDGs(持続可能な開発目標)

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連サミットで採択され、2015年から2030年の間に達成するために掲げられた17の目標です。SGDsは、CSR達成のための基準の一つとして捉えている企業が増えています。

CSRの意味を理解し、責任を果たすべき対象と項目を捉えることで、コンプライアンス遵守につながるのです。

コンプライアンスはCSR 経営の根幹をなす

企業の社会的責任(CSR)を遂行する上で、コンプライアンスがその根幹をなすことが分かります。
そのためには、企業は、自社がコンプライアンスに取り組む方針を具体的に決め、その姿勢を具体的に示す必要があります。

今回示したコンプライアンスの考え方や取り組むにあたってのキーワードを理解し、自社に必要なコンプライアンスの取り組みを実現していきましょう。

 

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まとめ コンプライアンスの意味は『法令順守』だけではない

 

まとめ コンプライアンスとは?

 

この記事では、コンプライアンスの本当の意味、コンプライアンスが叫ばれるようになった背景、コンプライアンスに必要な要素について解説しました。

コンプライアンスは「法令遵守」と訳されることが多いのですが、
単に法令遵守だけではなく、「社会的ルールに従って企業活動を行うこと」の意味も含まれています。

コンプライアンスを遵守するためには、行動規範や管理体制を整備し、従業員に定期的にコンプライアンス教育を行うことが大切です。
また、企業の社会的責任(CSR)を果たす上で、根幹をなすのが「コンプライアンス」と言えます。

CSRの意味を理解し、企業の社会的責任を果たす上で必要な項目は何かを捉え、考えることが、コンプライアンス遵守を遂行する上では必要です。

 

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参照
[1] 平成12月1日閣議決定「行政改革大綱」より引用
http://www.gyoukaku.go.jp/about/taiko.html