Facebook社が社名を「Meta」へ変更することを発表し話題になったメタバース。2022年2月18日には、米Google傘下のYouTubeがメタバースへの参入を検討していると日本版公式ブログで明かしました。
皆さんの中にも「メタバース」という言葉自体は聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
メタバースとは何か?それは『仮想空間のこと』。
本記事では、そんなメタバースについてわかりやすく解説します。
上記の方におすすめの記事となっていますのでぜひご一読ください。
\ \「メタバース」の時代!Z世代との関わり方わかっていますか?/ /
目次
メタバースとは?

経営者
メタバースとは「仮想世界」や「仮想現実」のことを意味しますが、その意味は抽象的で、わかりにくいと思われることが多いです。
しかし、こう聞くとピンとくる方もいるかもしれません。
コロナ禍で世間を賑わせた「あつまれ どうぶつの森」略して「あつ森」。「あつ森」は個性豊かなどうぶつたちと、新たな住民として引っ越してきた「あなた」が生活するひとつのメタバースです。
つまりメタバースとは、現実世界に体がありながらも、仮想空間で「あなた」が自由に行動できる3次元の空間のことです。
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VRとの違い
仮想空間といえばVRという言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
VRとはバーチャルリアリティーのこと。VRゴーグルを使うと360度を見渡すことができます。
ただし、VRは基本的に1人での操作を前提にして作られています。
一方で、メタバースのなかでは相互にコミュニケーションが取れる「ヒト」が他にも存在しています。
メタバースが相互コミュニケ―ンの場であるのなら、VRは一人で楽しむ空間と理解しておくとわかりやすいでしょう。
メタバースの語源

メタバースという言葉は、1992年に発表されたニール・スティーヴンスンの著書『スノウ・クラッシュ』の舞台、人間がアバターを介してネット空間でやり取りをする世界からきているとされています。
超越を意味する「Meta(メタ)」と世界を意味する「Universe(ユニバース)」から形成された造語「Metaverse(メタバース)」は、その英語の意味通り、現在とは違う次元の世界を指します。
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メタバースの具体例
メタバースの意味は抽象的ですが、以下の例を考えてみるとわかりやすいのではないでしょうか。
- SAO(ソードアート・オンライン)
- サマーウォーズ
SAOことソードアート・オンラインは原作がライトノベルの作品です。
その人気ぶりからアニメ化、そして映画化までされた作品であり、ゲームをしている人ならコラボで見たことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
SAOは地球に住んでいる主人公たちが、ある日ソードアートオンラインというゲームをプレイするためにVRゴーグルを装着した結果、意識が別世界に飛ばされてしまいます。
体は現実世界にありながらも、意識は別世界に飛んでいる例として、わかりやすいメタバースです。
また、細田守監督の作品『サマーウォーズ』も同様にメタバースです。
インターネット上の仮想空間OZでは自分のアバターを作成し、仮想空間上で全てのインフラの支払いが済んでしまう世界で、現実世界をより快適にするものとして親しんで使われています。
つまり、メタバースはこのように、実体は現実にありながらも、仮想世界を楽しめる空間を指しています。
専門家
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メタバースとブロックチェーンの関連性

「ブロックチェーン」もまたわかりにくい言葉ですが、実はメタバースとブロックチェーンとは深い関わりがあります。
ブロックチェーンとは、各ネット上の取引を相互に監視しあうことでデータの改ざんをしづらくする仕組みのことです。
こうしたデータの改ざんを防ぐブロックチェーンを活用することで、唯一無二のコピーされないデータ(NFT)を作成することができます。
NFTとは作者や所有者の情報をデジタルデータに付与できる技術のことです。
例えば、本来であればデータは複製できるもので、どれがオリジナルのデータなのかを証明することは現在難しいとされています。
ただし、NFT技術を用いてデジタルデータにオリジナルの情報を追加すれば、デジタルデータを代替性のない資産として扱えるようになります。
もちろん絵画のように、偽物は出回ることはあるかもしれませんが、作成者の元データが付与されているのはオリジナルの作品だけです。
そしてメタバース空間の土地や建物も同様に、NFTの技術を用いることで資産化することができます。こうした技術が発展したおかげで、近年NFTによるビジネスが日本のみならず海外でも活発化しています。
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メタバースの利用例

漫画やアニメ、小説などでは馴染みのあるメタバースですが、実際に私たちの周りでメタバースはどのように利用されているのでしょうか。
ここからはメタバースの利用例をわかりやすく解説します。
- オンライン会議
- ゲームでの利用
- バーチャルライブ
- バーチャルオフィス
- バーチャルEC事業
それぞれについて詳しく解説します。
オンライン会議
新型コロナウイルスによってテレワークが急増した現在、ビジネスシーンの使用も急増中です。
メタバースの技術はオンライン会議で使われています。
今までのZOOMなどと異なり、メタバースでは自身が仮想空間(オンライン上)にアバターなどの姿で赴き、分身を用いてそこで話し合いをするようになります。
VRなどのツールを装着すれば、仮想空間にいるはずなのに目の前にはパソコンが置いてあり、そのパソコンの操作も可能です。
VR空間を利用することで、外出をせずともいつものオフィスに出勤し同僚と隣で仕事をしているような気分になれるでしょう。
経営者
ゲームでの利用
ゲームにおいてもメタバースは活用されています。
いわゆるオープンフィールドと言われるゲーム世界においては、ロード時間が削減され、自身が操作するキャラクターがゲーム世界を歩き回ります。
かつてはゲームの活動範囲の狭かったフィールドがメタバースによって進化し、現在ではとても広くなっているのが特徴です。
バーチャルライブ
ゲームでの利用と似ていますが、バーチャルライブでもメタバースが活用されることがあります。
今までの3Dでのライブの場合には、あくまでもそのライブ空間をまるで現実世界のように見れるというメリットがありましたが、同じ空間・時間を共有している「共感覚」はありませんでした。
しかし、メタバースを活用すると「共感覚」を楽しむことができます。
例えば「フォートナイト」というゲームではメタバースを活用し、同ゲーム内でEDMのコンサートを実施しています。
※EDMとは、Electronic Dance Musicの略で、電子音楽のことです。シンセサイザーやシーケンサー等を用いて演奏されます。
コンサートでは過去にEDMアーティスト「marshmello」なども参加しており、多くの人々がメタバース上でライブを楽しみました。
このように、メタバースを活用することで臨場感のあるリアルタイムの「ライブ」を簡単に楽しむことができるようになります。
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バーチャルオフィス
オンライン会議のみならず、オフィス毎バーチャルにしてしまうというサービスも登場しています。
在宅勤務ではクリエイティビティが減少する、といった意見もある中で、自宅にいながらまるで隣に同僚がいるかのように使えるバーチャル空間の登場。
自宅でオフィスに出社する、という日ももう目の前まできているのかもしれません。
バーチャルEC事業
バーチャルオフィスだけではなく、バーチャルの店舗もできています。
今までamazonを筆頭とするEC事業が利益を上げてきましたが、「店舗スタッフとコミュニケーションが取れないこと」が課題になっていました。
メタバース上に展開されるバーチャル店舗であれば、ECでは難しかった、スタッフと顧客とのコミュニケーションが実現します。
ゲーム上に展開されるメタバースの世界が顧客の流入の入り口になるため、今までは異なるZ世代、それ以降の世代の顧客獲得にもつながる可能性があります。
企業側にとっても各店舗にスタッフを用意する必要がないため、実店舗に比べて人件費を削減できるのがメリットとなります。
メタバースのメリット

経営者
私たちの身の回りには、既に便利なものが溢れているため、これ以上の新技術などは不要と思われている方もいるかもしれません。
そんな中、メタバースが注目を集めている理由は以下の2点です。
- オンラインでの接触
- メタバースによる新しいビジネスの実現
それぞれわかりやすく解説します。
オンラインでの接触
今まで難しいと言われていた、オンラインでの接触がメタバースで可能になります。
例えば、ZOOMなどのウェブ会議システムでは、若干の間や身振り手振りが見えないという障害がありました。
また、若干の間による気まずさや、誰が話していいのかわからないといった問題で、オフラインでの会議と比べると生産性が落ちることが多々ありました。
こうした問題をメタバースでは解決できます。
例えばVR技術と掛け合わせれば、まるで相手が目の前にいて話している空間が構築されますので、接触空間内で会議をしている感覚を味わえます。
メタバースによる新しいビジネスの実現
メタバースにより、新しいビジネスが実現します。
NFT作品などは、OpenSeaなどのNFTプラットフォームを活用して販売をするのが一般的ですが、自身で作成したメタバース上の店舗で販売ができるようになれば、顧客との会話による値段交渉などが可能になります。
特徴を最大限に活かすことで、目的によっては作品の表現の幅を広げられます。
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メタバースのデメリット、注意点

メタバースの革新性は高く、今後ますますメタバースは広がっていく可能性があります。
一方で、解消する必要があるデメリットや注意点はまだ残されています。そこでここからは、メタバースのデメリットと注意点を以下3つ解説します。
- VRの準備が面倒
- メタバース空間への依存
- ウォレットの脆弱性
それぞれわかりやすく解説します。
VRの準備が面倒
VRを活用するメタバースの場合、VRの準備が面倒という声が上がっています。
特にZ世代からは、わざわざメタバース上で交流をする必要性が不明だという声も上がっており、普段のオンライン会議とメタバース会議の棲み分けを明確にする必要がありそうです。
メタバース空間への依存
メタバース空間に依存する可能性があるのもデメリットです。メタバースは没入感が高いため、「一度その空間にハマってしまうとなかなか抜け出せない」という指摘もされています。
常にメタバースに入り込み、どちらが現実かわからなくなってしまわないよう注意が必要です。
ウォレットの脆弱性
ウォレットの脆弱性についても注意する必要があります。OpenSeaを通してNFTを購入する際や、ゲーム内での仮想通貨を使用する際は、現在「ウォレット」と呼ばれる仮想の財布を使う必要があります。
ただし、今までにウォレットはハッキングの対象となったことがあり、事実仮想通貨を盗まれてしまった事件も過去発生しています。
利用者の注意不足が問題のケースもありますが、中には適切に使用していたのにもかかわらずウォレットの中身が盗まれてしまったこともあるため、よりセキュリティに留意したウォレットのバージョンアップが必要になるかもしれません。
身近にあるメタバース

メタバースはもう少し先のものかと思う方がいるかもしれませんが、事実私たちの周りには既にメタバースを活用したテクノロジーが溢れています。
2020年からは「バーチャル渋谷」と称し、実際の渋谷をメタバース上で再現し、イベントを行う試みも行われています。
先ほど説明したメタバースの具体例を以下解説します。
FORTNITE(フォートナイト)
フォートナイトのプレイ動画をTouTubeで見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。フォートナイトはアメリカのエピック社によって構築されたゲームで、ユーザー同士のオンライン対戦、自分だけの島づくり、ライブのコンサートなどを楽しむことができます。
フォートナイトの世界はまさにメタバース空間だと言われており、今後もさらなるアップデートが期待されます。
Decentraland
2020年に公開されたDecentraland(ディセントラランド)もメタバースを構築しています。
Decentralanのゲームの世界には広大な土地が広がっており、その土地自体を購入、あるいは既に購入されている土地を賃貸で借りることで、土地上でサービスの提供が可能です。
実際、以下のサービスが提供されています。
- アバターのコスチュームの販売
- NFTアートの販売
- ゲームができるスペースを設置し、利用料を徴求
こうした技術を支えているのはLAND、ESTATEなどのNFTトークンです。
Decentralandの運営はMAMA(Decentralandのネイティブトークン)の所有者によってなされており、MAMAの所有率が高いほど、Decentralandにおける運営の意思決定に深く関われる特徴があります。
Horizon Workrooms
Meta社(Facebook)の傘下であるOculusが開発したのがメタバースの会議システムがHorizon Workroomsです。
VR空間で最大16人が参加できる本システムでは、VR空間上に自身がアバターとなって入り込み、そこでディスカッションができます。
今までのオンライン会議システムは、奥行きや幅がありませんでした。
あくまでも、画面上に存在している人がコミュニケーションをするシステムでしかないため、画面で繋がっていたとしても、どこか遠くにいる感が否めなかったのです。
上記の問題を解決するのがHorizon Workroomsです。本サービスの利用にはVRマスクなどの付帯品が必要になりますが、装備を揃えてHorizon Workroomsに入れば目の前に広がるのは会議室。
横を見れば同僚がいて、目の前には操作ができるパソコンがあり、司会役はホワイトボードに文字を書くことができます。
あたかも自身がそこにいるかのように感じることができるリアリティのある空間は、よりクリエイティブな対話をするのに向いており、今までの雑談と同じように相手の動作がリアルタイムでアバターに反映されます。
専門家
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メタバースの投資事情

世界からメタバースへの注目が集まる中で、世界の投資家たちはこの状況をどのように見ているのでしょうか。
ここからは、メタバースの投資事情をわかりやすく解説します。
メタバース関連銘柄に期待が集まる
メタバースの関連銘柄には現在注目が集まっています。
その理由として挙げられるのがメタバースの年平均成長率です。
カナダの調査会社エマージェン・リサーチによると、今後メタバース市場の規模は2028年までの年平均成長率43%ほどで推移していくと見ています。
注目が集まっている企業例としては以下が挙げられます。
- メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms,Inc)
- エピック・ゲームズ(Epic Games,Inc)
- エヌビディア(NVIDIA Corporation)
今のところは日本国内の企業というよりかは、世界のメタバース事業に焦点が当てられていますが、今後は日本企業に対しても注目が集まる可能性があります。
例えば、ソーシャルゲームで有名なGREEは、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」を運営していますが、今後同事業をメタバース事業として取り扱うとの表明をしています。
この他にもNTTやKDDIなどのキャリア会社でもメタバースへの参入が進んでおり、国内のメタバース事業にも今後期待できそうです。
Sandを筆頭とする仮想通貨の価格の上昇
Sandとはdecentralandと同様、メタバースのゲーム「The Sandbox」で利用される仮想通貨のことです。
ゲーム内で購入した土地や装備、作成したアイテムをNFTマーケットプレイスに出品することができます。
Sandの価格は2021年1月時点では3〜5円のレンジを行き来していましたが、2021年3月には90円代までその価格を上昇させ、2021年11月時点では500円にタッチ、NFTトークンとしてSandが誕生してから最大値を達成しました。
今後の値動きはまだ見えませんが、今後Sandの利用者が増加すると、さらにSandの価格が上昇する可能性があります。
Sandなどのメタバース関連仮想通貨は「メタバース」が注目されるとわかりやすく値が動くため、仮想通貨への参入を検討しているのであれば、他の関連銘柄であるMANA、イーサリアムなどもチェックしておくとよいでしょう。
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注意:メタバースは法律が未整備

現在メタバースは少しずつ認知を集めていますが、まだまだ課題が多く残っています。
その際たる例が「法律の問題」です。
例えば、メタバース上で私たちは建築物を建てることができますが、そこに建築基準法は適応されません。
また、日本の民法は原則、物理的な「もの」にしかその対象範囲を定めていないため「所有権」がメタバース上では認められません。
そのため、仮にメタバース上で唯一無二の「デジタルデータ」、NFTが盗まれてしまった場合にはその返還を求めるのが難しいのです。
経済産業省は2021年7月に、企業が「メタバース」に参入する際の法的な問題を「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」にまとめましたが、法的リスクがまとめられているだけで、具体的な解決策は明示されていません。
このため、メタバースを運営する企業に「ユーザーが安心して使える仕組みづくり」が求められていますが、メタバース運営企業の中にはスタートアップ企業も多く、上記の問題を全て解決することは難しいのが実情です。
参考:令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業) | 経済産業省
まとめ メタバースについて

本記事ではメタバースをわかりやすく解説しました。今後メタバース市場は多くの業界に普及される見込みですが、必ずしも成長するとは限りません。
ただし、各社がメタバースに力を入れ始めたフェーズにあり、今後市場が拡大する蓋然性は高いでしょう。
メタバースはただのゲームなどの娯楽ではなく、ビジネス利用の機会もあり活用の幅が広いため、ビジネスパーソンはメタバースの動向を追うことをおすすめします。
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