2020/06/17

テレワーク社員の勤怠管理はどうすべきか withコロナの時代に求められる労働法の観点

新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を採用する企業が増加しています。
在宅勤務の社員をどのようにマネジメントするかということは、経営者や管理職にとっては重要な課題の一つです。

オフィス勤務の場合と異なり、社員がどのような働き方をしているかが見えにくいため、勤怠管理にはマネジメント側の工夫が必要とされます。

また、在宅勤務の社員をきちんとマネジメントするということは、労働法の観点からも大切です。
労働法に関する多くのルールは、オフィス勤務の場合と同様に、在宅勤務の社員に対しても適用されます。
労働法を遵守した安定的なオペレーションを確立するためにも、在宅勤務の社員をマネジメントする方法について、会社全体として検討しておきましょう。

 

時間外労働などに関するルールは在宅勤務にも適用あり

 

在宅勤務の場合、いつでもメールやファイルなどを確認できるため、労働時間が長時間に及んでしまう場合があります。

しかし、在宅勤務の場合であっても、労働基準法上の労働時間に関するルールは、オフィス勤務の社員と同様に適用されます。

特に、割増賃金に関するルールも通常どおり適用される点には注意が必要です。

労働の種類ごとの割増率の一覧は以下のとおりです。

労働の種類 割増率
時間外労働 25%以上
時間外労働(月60時間を超える部分、大企業のみ) 50%以上
深夜労働 25%以上
休日労働 35%以上
時間外労働かつ深夜労働 50%以上
深夜労働かつ休日労働 60%以上

(表:筆者作成)

もし会社が把握できないままに時間外労働が行われ、その労働に対して割増賃金が支払われていない場合には、労働基準法違反となってしまいます。

また、万が一後から従業員との間で揉め事が発生し、その際に未払い残業代の請求を受けてしまうと、会社としても想定外の出費を強いられることになります。


そのため、会社としては社員の勤務時間やタスクをしっかりと把握し、不要不急または過度な時間外労働を防ぐための対応をすることが必要です。

以下では、社員の時間外労働の管理を行うにあたって、会社としての考えられる対応を紹介します。

 

客観的なデータで社員の勤務状況を把握する

まずは会社の側で手に入れることができる客観的なデータから、個々の社員の勤務状況を把握しましょう。

社員の勤務状況を把握するために利用可能なデータとしては、以下のようなものが考えられます。

・タイムカード

・PCのログイン履歴

・メールの送信日時

・ファイルの作成日時

これらのデータから、社員が会社の把握していない時間外労働をしているのではないかという疑いを生じた場合には、個別に社員に対して報告を求めましょう。

 

システムへのアクセス時間を制限する

在宅勤務を行う際には、自宅から会社のシステムにアクセスする必要があります。
会社が把握できない時間外労働を機械的に排除するためには、会社のシステムへアクセス可能な時間帯を制限してしまうことが考えられます。

たとえば、「夜8時以降はアクセス禁止」「1日10時間以上のアクセスは禁止」などと定めておけば、時間外労働が違法な水準に達してしまう可能性を、かなりの部分自動的に排除することができるでしょう。

ただし、このような対応を取る場合には、会社としての業務対応の柔軟性が失われてしまうおそれがあります。
そのため、部署や社員ごとにどのような形が最適なのか、十分に検討をする必要があるでしょう。

 

定期ミーティングで時間外労働についての報告を求める

会社がどんなに社員の時間外労働を把握・管理しようとしても、社員が抱えているタスクがすべて見えるわけではありません。
そのため、社員の判断で行われる時間外労働について、会社が完全に排除することは難しい面があります。

そこで、上司と社員の間で1対1の定期ミーティングを持ち、時間外労働についての定期報告を求めることが有効です。

このような報告を求めることで、上司としても部下が抱えているタスクの量やキャパシティの余裕を確認することができます。
また、過度な時間外労働を避けること、やむを得ず時間外労働を行う場合には上司に報告すべきことなどを念押しすることによって、社員側の規範意識にも訴えることが可能です。

 

過度の管理はパワハラの可能性も

 

会社として在宅勤務の社員の勤務状況を管理することはたしかに重要ですが、逆に管理が行き過ぎてしまうとすれば、それもまた問題です。

社員が管理されているという意識を過度に持ってしまうと、萎縮効果や無駄な作業の発生によって生産性が下がってしまう可能性が高いでしょう。
また、社員が上司の管理行動についてプレッシャーを感じすぎてしまうような場合には、上司の行為がパワハラに該当すると判断されるおそれもあります。

このように、在宅勤務の社員をマネジメントする際には、管理と放任のバランスが大きな悩みどころになります。

 

上司からの進捗報告等の要求はほどほどに

社員にとってもっとも「管理されている」という意識を持ちやすいのは、上司から直接進捗報告や勤務状況の報告を求められた場合でしょう。

もちろん、社員の労働時間を把握するために、最低限の報告を求めることは必要です。

しかし、単に上司の「管理したい」という気持ちを満たすためだけに行き過ぎた管理を行うことは避けるべきでしょう。

たとえば、以下のような管理行動は行き過ぎ・パワハラと判断される可能性があります。

・一日に何度も進捗報告を求める

・一日の作業内容をメールで過度に詳細に(分単位など)報告させる

・社員のログイン状況を常時監視し、少々の離席のたびに状況確認の連絡をする

上司としてはこのような行動は控えて、

・緊急性がない限りは客観的なデータによる勤務状況の把握にとどめる

・定期ミーティングの際にまとめて勤務状況の確認をする

などの対応をとるべきでしょう。

 

社員からの自発的な報告が可能になる環境作りを

社員の側に過度の管理意識を植え付けずに、適切に社員の勤務状況を把握するためには、社員からの自発的な報告を促すことがポイントです。
そのためには、会社や部署全体の空気作りも含めて、社員が進んで報告をしやすい環境づくりを進めることが必要です。

在宅勤務の状況では、社員間のコミュニケーションの取りづらさの問題が指摘されています。
経営層や上司の側としては、定期的にチームミーティングの機会を持ち、そこでフランクなディスカッションを行うなどして、社員間の壁を低くする工夫をすることが求められます。

 

”withコロナ”時代の在宅勤務-体系化された勤怠管理を-

 

新型コロナウイルスの影響が完全に収まるまでには、まだまだ時間がかかると見られています。
これからはコロナの存在を前提として生きる、いわゆる”withコロナ”の時代になるということもしばしば指摘されています。

こうした”withコロナ”の時代においては、在宅勤務は働き方のスタンダードとして定着していく可能性が高いでしょう。
そのため会社としても、在宅勤務の社員のマネジメントを恒常的なオペレーションとして確立・体系化する必要があります。

労働法に対する正しい理解の下、会社組織をもっとも効果的に機能させるための方法は何かを考えながら、体系化された勤怠管理を実現していきましょう。

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