2020/06/18

不況を乗り越えるたったひとつの処方箋

「成果に直結する」動きをせよ

 

世界に不透明感が増しています。

私はふだん組織のコンサルティングで多くの経営者にお会いしますが、そのときによくアドバイスさせていただくのが「不景気のときほど成果に直結する動きをしましょう」ということです。

あたりまえですが、景気が悪いときほど「成果に直結する」動きをしないといけません。では、成果に直結する動きをするにはどうすればいいのか?

それはただひとつ。組織のスピードを上げることです。

組織の速度が上がれば、成長の速度が上がります。もし経営判断を間違ったとしてもすぐに修正ができます。どんどん実行し、失敗をし、軌道修正し、さらに実行を重ねるーー。

「不景気だから」「先が見えないから」といって、動きを鈍化させても状況が良くなるわけではありません。こういうときこそ、速度を上げないといけない。

不況を乗り越えるたったひとつの処方箋とは「組織のスピードを上げる」。これしかないのです。

ではいかにしてスピードを上げればいいのか? 今回はそのお話をしたいと思います。

 

スピードを邪魔しているものとはなにか?

 

スピードを上げるためにはどうすればいいか?

それを考えるうえで、逆に「速度を下げているもの」は何か考えてみましょう。スピードを阻害するものを取り除けば、スピードは自ずと上がるはずです。

まずひとつは「ルールがないことによる迷い」です。

これは前回の記事「なぜ「自由な会社」ほど息苦しいのか?」[1]、でもお伝えしました。組織は適切なルールにもとづいて運営するもの。もしルールがなければ、毎回「ケースバイケース」で考えることになり、組織の動きは鈍化します。

社員も「何をして良くて、何をしてはいけないのか」がわからないので、消極的になります。

まずは経営者が方針を決定し、ルールを定めること。それが組織マネジメントの一丁目一番地です。

 

「部下のモチベーションを上げる」という無駄

 

もうひとつは「モチベーションを上げる」という行為です。

巷では「社員のモチベーションを上げる」「会社がモチベーションを上げてくれない」「モチベーションをアップさせるために決起会を開こう」といった言葉をよく耳にします。

ただ、実はこの「モチベーションを上げる」ということは組織に必要のない無駄な行為です。

そもそも社員は「その会社で働くかどうか」を選択する権利があります。そして入社したら、経営者と同じように成果を出し、会社に対して貢献しなければ、給料を獲得することはできません。それが「事実」です。

それなのに「会社がモチベーションを与えてくれないから……」と言うのはおかしな話です。会社に所属している以上、組織のルールにもとづいて働くことは当然のことであり、そこに「モチベーションの有無」といった議論が入ってくること自体がおかしいのです。

 

モチベーションは結果的に芽生えるもの

 

「じゃあ、モチベーションもなく、機械のように動けということ?」と反論したくなるかもしれません。

社員は会社にいる以上は、上司の指示に従って動くことはあたりまえのことです。「モチベーションがあるから動く」のではなく「組織だから動く」わけです。それはそういうものです。

ただし「モチベーションなしで働け」と言っているわけではありません。モチベーションは結果的に生まれるものです。動いてみると成果が出ます。その成果を評価してもらう。評価されるとモチベーションは上がります。「もっとがんばって、成果を出そう!」と思えるはずです。

つまりモチベーションは「先に与えられるもの」ではなく「結果的に芽生えているもの」なのです。

よって、社員側がモチベーションを言い訳にして動かないことも無駄な時間ですし、会社側が「社員のモチベーションをアップさせる時間」も無駄です。モチベーションが上がるのを待つのも、モチベーションを上げようとがんばるのも、ただのロスなのです。

 

1on1ミーティングも無駄

 

私は「1on1ミーティング」も怪しいと思っています。

もちろん、部下の目標設定と進捗の管理のための1on1であれば別に否定はしません。しかし、部下の悩みを引き出したり、モチベートするための1on1であれば必要ありません。完全に無駄な時間です。

しかも、これからさらに不透明な時代がやってくるのです。そんなことをやっている暇はありません。当然ながら、社員のやる気を上げるための社内行事や、決起会も必要ありません。

日本の企業は、少しでも業績が停滞すると「よっしゃ、とりあえず現場盛り上げるために飲み会を開こう」とか「最近ちょっと士気が上がってないから、全員の話を聞こう」となりがちです。

でも、そんなことは無意味なのです。

 

経営側が本来やるべきこと

 

経営者や上司側がやるべきことは、部下を迷わせないことです。

仮にどれだけモチベートしても、どれだけ気持ちを奮い立たせても、迷わせてしまったら、一過性で終わってしまいます。

社員が迷わないように明確な目標を設定することです。その目標が遠すぎて社員が迷うようであれば、もう少し手前に設定してあげる。こうした「適切な目標管理」をするのが経営側、上司の仕事です。

今のうちに「モチベーションを与えることで動く」組織ではなく、「後でモチベーションが発生する」組織につくりかえる必要があります。前者のような組織では、これからくる不況は乗り切れません。

目標が適切に設定され、結果をきちっと評価できていれば、会社は伸びていきます。すると現場も盛り上がっていき、モチベーションは自然に上がっていきます。

逆に目標が適切に設定されていないのにモチベーションばかりあげようとする組織は一瞬は盛り上がりますが、業績は伸びないのでいずれ現場は再び停滞していきます。

景気が悪いときほどモチベーションを上げようとしてしまうかもしれません。でもそれは多くの場合、逆効果です。そうではなくて、組織の速度を上げる、成長の速度を上げることが重要なのです。

 

マンモスを狩るのが先。肉を与えるのは後

 

ここ20年間くらいはまだ余裕がありました。よって「社員に何かを先に与える」こともよしとされてきました。先にモチベーションを与える。先に報酬を与えてやる気にさせる。それでもなんとか成り立ってきたのです。

ただその結果、「先に何かをもらわないと動けない人」が育ってしまったのも事実です。まずは、この勘違いをなんとかしなければいけません。

太古の昔から「マンモスを狩ることができてから褒美の肉が与えられる」わけです。つまり成果が上がってから報酬が与えられる。この順番は変わらない。それが事実の仕組みなのです。

 

その経営で「社員を守る」ことはできるか?

 

本当にこれから景気が悪くなっていったときに、経営者は「このやり方で社員を本当に守っていけるのか?」を今一度考えなければいけません。

当然ながら会社自体が倒産してしまったら守っていけません。倒産しないまでも、会社が厳しくなって社員を辞めさせなればいけなくなったとき、「先に何かをもらえるから動く」という勘違いをさせたまま野に放つことは、その社員や次の会社にも迷惑をかけます。

社員を甘やかすことは、社員の生きる力を奪うことにもなるのです。

この時代に経営側が社員に対して提供しなければいけないものは「生きる力」です。ある社長がこう言っていました。

「昔は社員をめちゃくちゃ保護していた。それが社員を守ること、社員を愛することだと思っていた。でも今は、役割や役職に応じた、社会におけるそれなりのストレスを、いかにしっかり伝えられるかが、本当に社員を愛することだと思う」。

まったく同感です。

ずっと無菌室で育てていると、社員に抵抗力がなくなって、外に出した途端死んでしまいます。本来であればマンモスを狩る力が必要なのに、無菌室では先に肉を与えられるわけです。ぬくぬくと温室で栽培することが本当に「愛情」なのかということを今一度考えなければいけません。

【識学からのお知らせ】
リーダーシップが育つロジカルなマネジメント手法を学んでみませんか?
<ご訪問 or Web会議で体験できます>
1000以上の企業が受講した「識学マスタートレーニング」を無料で体験しませんか?
今申込むと『伸びる会社は「これ」をやらない!』書籍をプレゼント

識学マスタートレニングは「学びながら実践」します。
平均して3ヶ月ほどで「売上向上」「離職率の低減」など目に見える成果が上がっています。


お申込み・詳細は こちらお申し込みページをご覧ください

引用元:安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長note「組織にルールを。」
https://note.com/kodaiando

参照
[1]安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長note「組織にルールを。」/なぜ「自由な会社」ほど息苦しいのか?
https://note.com/kodaiando/n/n42bf57468e7c