人手不足が深刻化する昨今において、業務効率の改善は喫緊の課題です。
働き方改革や新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの推進、また生産年齢人口の減少によって、将来的には現在よりもさらなる業務効率の改善が必要になるでしょう。
しかし、
- 「業務効率改善が必要なのはわかるけど、実際に何をすればいいのかわからない」
- 「どうすれば業務効率が改善できるのかわからない」
- 「業務効率改善に取り組んだがうまくいかなかった」
という企業も少なくありません。
そこで本記事では、業務効率を改善する際に知っておくべきことや、業務効率を改善する具体的な方法、また失敗しないためのポイントなどを解説していきます。
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目次
業務効率の改善とは?
業務効率の改善とは、業務上のムダやムラ、ムリを可能な限り無くして業務時間を短くしつつ、生産性を高めて利益を最大化する取り組みのことです。
ムダ・ムラ・ムリとは、それぞれ「ヒト・モノ・カネを必要以上に使っていること(ムダ)」、「担当者や時期によって製品やサービスの品質に変化が生じていること(ムラ)」、「従業員に大きな負担がかかりすぎていること(ムリ)」を指しています。
業務効率の改善が求められる背景
近年になって業務効率の改善が求められるようになった背景には、日本の人口減少が関係しています。
日本社会は少子高齢化の真っ只中にあり、今後も15歳から65歳未満の人口である「生産年齢人口」が減り続けていくことがほぼ確定しています。
現在すでに人手不足が深刻な状態にある業種や企業があるなかで、今後はさらに人手不足が深刻化していくでしょう。
さらに、厚生労働省による働き方改革の推進や、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリモートワークが普及するようになり、働き方が大きく変わりつつあります。
こうした状況のなか、生産性を向上させるためにも業務効率の改善が日本企業の大きな課題となっているのです。
「生産性向上」とはどのように異なるのか
「業務効率改善」と混同されがちな言葉として「生産性向上」が挙げられます。
この2つは似ていますが厳密には異なるため、その違いを正しく理解しておきましょう。
業務効率の改善は先程見たように「ムダ・ムラ・ムリを無くしてより少ない時間や費用で最大の成果を得ること」を指しています。
一方で生産性向上とは、製造・生産できる総量を増やすことや、より高い付加価値を目指した施策などを指しています。
また、より少ないリソースでより高いパフォーマンスを得ることです。
したがって、「業務効率の改善」は「生産性向上」のための一つの施策であると言えるでしょう。
関連記事:生産性向上につながるオフィス環境とは?オフィスの重要性や生産性が低いオフィスの共通点を解説
業務効率の改善によって期待できるメリット
業務効率を改善することによって期待できるメリットが下記の3つです。
- 時短につながる
- 従業員のモチベーションが上がる
- 新たなビジネスへの挑戦がしやすくなる
それでは1つずつ解説していきます。
時短につながる
業務効率を改善することによって、ムダな時間を省き、時短につなげられます。
時短によって従業員の残業代などのコストカットが可能になり、企業としても経費削減になります。
また、長時間労働の回避やワークライフバランスの充実が実現できるため、従業員としても働きやすい環境になるでしょう。
従業員のモチベーションが上がる
業務効率を改善することのメリット2つ目は、従業員のモチベーションが上がることです。
先述したように従業員にとっても働きやすい環境となるため、仕事へのモチベーションが上がります。
従業員のモチベーションが上がればアウトプットの品質も高く維持することができ、従業員エンゲージメントも高まるというメリットも期待できます。
関連記事:「モチベーション神話」はあてにならない 人材マネジメント”そのもの”に目を向けよう
新たなビジネスへの挑戦がしやすくなる
業務効率を改善することで得られるメリット3つ目は、新たなビジネスへの挑戦がしやすくなることです。
「ムダ・ムラ・ムリ」を無くすことで業務効率を改善すると、ヒト・モノ・カネなどの経営資源が新たに生み出されます。
こうしたリソースを用いて新たなビジネスに挑戦することで、時代に合わせた最適な事業を展開できるでしょう。
もちろん、これまで経営資源の不足が原因で取り組めなかった課題を解決することも可能です。
関連記事:リソースとは?使用方法から無形財産や有形財産など経営資源を解説
業務効率の改善を適切に行うためのステップ
業務効率の改善によって得られるメリットを理解していても、なかなか実践できないという企業も少なくありません。
「とりあえず業務改善に挑戦してみたものの、うまくいかずに状況が悪化した」というケースもあります。
業務効率の改善において重要なことは、下記のように適切な工程を経て行うことです。
- 現状の把握と見える化
- 問題点やボトルネックを分析する
- 業務効率を改善する対象業務を決める
- 業務効率を改善する方法を考える
ここでは業務効率の改善を進めるために必要な工程を解説していきます。
1.現状の把握と見える化
いきなり業務効率改善のための施策に取り掛かるのではなく、まずは現状がどのようになっているのかを把握することが必要です。
どの業務で「ムダ・ムラ・ムリ」が潜んでいるのか把握しなければ、効果的な施策が打てません。
したがってまずは現状を把握し、業務の見える化を行いましょう。
そのためにも業務の棚卸しが必要になりますが、その際には下記の項目をまとめておくと効果的です。
- 担当部署や担当者の名前
- 作業に必要な工数や時間、発生頻度
- 必要なスキルや使うツール、作業の工程
2.問題点やボトルネックを分析する
業務内容を把握したら、続いては問題点やボトルネックを分析します。
よく挙げられる例としては、「従業員間で重複している業務がある」、「一つにまとめられそうな業務がいくつかある」などがあります。
こうした「業務上のムダ」を一つずつ洗い出していくことで初めて業務効率の改善が可能になるのです。
また、担当者以外の従業員だとできない業務であれば、その従業員個人に依存している業務となるため、これも課題として把握しておきましょう。
3.業務効率を改善する対象業務を決める
業務内容の把握とその問題点を分析したら、続いては業務効率を改善する対象となる業務を決めます。
優先的に進めるべきなのは、
- 定型化がしやすい業務
- シンプルな業務
- 発生頻度が高い業務
などが挙げられます。
上記の業務を優先的に効率化することで、その効果がすぐに表れるでしょう。
また、業務効率を改善する際は「自社で進めるもの」と「外注するべきもの」を分けて考える必要があります。
自社の従業員は、競合他社が真似できない中核となる強み(コア・コンピタンス)を磨くためにリソースを用いるべきです。
したがって、コア・コンピタンスではない業務については、できる限り外注することも視野に入れておきましょう。
関連記事:【3分で理解】コアコンピタンスとは?コアコンピタンスの意味、成功事例を徹底解説!
4.業務効率を改善する方法を考える
どの業務において効率を改善させるかが決まったら、その方法を考えます。
業務効率を改善する方法は業務によって異なるため一概には言えませんが、ここでは「ECRSの4原則」を紹介します。
ECRSの4原則とは、下記の4つの頭文字をとり、業務効率を改善する施策の順番と考え方をまとめたものです。
- Eliminate(排除)
- Combine(結合)
- Rearrange(交換)
- Simplify(簡素化)
それでは1つずつ解説していきます。
E:Eliminate(排除)
不必要な業務や無くても問題ない業務を「排除」することです。
業務において「なぜそれを行っているのか?」という目的や理由を確認してみましょう。
そこに正当な理由や適切な目的がない場合は、その業務は慣例化しているだけの可能性があります。
例えば、誰も見ない報告書を作ってはいませんか? こうしたムダな業務を無くしていくことは新たなコストがかからないため、効率を上げるのに適した方法です。
C:Combine(結合)
同じような業務なのに別々に行っている業務を一つに「結合」することで、業務効率が改善する場合があります。
必要なツールやコストを減らせるメリットがありますが、場合によっては結合せずに分離したほうが効率が上がる場合もあるため、柔軟に対応していきましょう。
R:Rearrange(交換)
業務の場所や順序を「交換」することで、業務効率を改善できないか考えます。
例えば、左から右に流れる工程を、人の利き手に合わせて右から左に流れるように変えるだけでも業務効率を改善できます。また、使う頻度が高いツールや道具を最も取り出しやすい位置に変えることなども効果的です。
一回の作業内で短縮できる時間は短くても、長期的に見ると大きな業務効率の改善につながります。
S:Simplify(簡素化)
業務の一部を省いたり自動化をしたり、可能な限り「簡素化」することで、業務効率を改善できないか考えます。
簡素化することで誰でも同じアウトプットが可能になるので、属人化の防止につながります。
業務効率の達成度合いを評価・確認する
ECRSの4原則などを用いて業務効率を改善していきますが、実際にうまくいくかどうかは実践してみるまでわかりません。
したがって、大切なことは業務効率化の施策を行ったあとに、どれだけ効果があったのかの測定や評価をすることです。
この時、下記のように「PDCAサイクル」を回すことでさらなる業務効率の改善が可能になります。
- 計画(Plan):業務効率を改善するための計画を考える
- 実行(Do):計画を実践する
- 評価(Check):実践した結果を評価する
- 改善(Action):評価結果からより良いアイデアを検討し、実行する
関連記事:【PDCAサイクルとは?】意味やメリットから、運用のコツまでわかりやすく解説!
業務効率を改善するための10のアイデア・方法
ここまで、業務効率を改善するメリットや、実際に業務効率化を進める際のステップを見てきました。
それでは、具体的にどのようにすれば業務効率を改善できるかを見ていきましょう。
インターネットで調べるとさまざまな方法やアイデアが紹介されていますが、それらを闇雲に実践していっても効果は出ません。
業務効率を改善する目的や、どのような業務に「ムダ・ムラ・ムリ」があるのかを把握した上で進める必要があります。
そのうえで下記のような業務効率を改善するアイデアや方法を実践していきましょう。
- ムダな業務を削る
- 業務マニュアルをつくる
- ITツールを活用する
- 業務に優先順位を設ける
- 業務を自動化する
- データベースの作成と活用
- アウトソーシングを活用する
- 業務を分割する
- タスクを管理する
- 業務の担当者を変更する
それでは1つずつ解説していきます。
ムダな業務を削る
業務効率を改善する上で、まず最も手軽にできることはムダな業務を削ることです。
例えば、規模が大きな会社や歴史が長い企業においては、ムダな会議が増えてしまいがちです。また、会議に不必要な人物まで呼び出しているケースも少なくありません。
一口に会議と言っても、会議のために場所を用意したり資料を作成したり、またスケジュールを調整する必要もあります。
ムダな会議が増えれば増えるほど、こうしたムダな労力も増えることになるのです。
したがって、会議に限らずどのような業務においても、
- 「これは本当に必要だろうか」
- 「これは何のために行っているのだろうか」
- 「リモートではできないだろうか」
と常に考えていくことで業務上のムダを見つけ、省くことができます。
業務マニュアルをつくる
業務効率を改善する方法の2つ目が、業務マニュアルをつくることです。
業務の進め方や取り組み方が人によって異なっていたり、業務が属人化していると業務効率が悪くなってしまいます。
そこで、業務に関するルールや進め方をマニュアル化しておくことで、業務が標準化されて効率が改善されます。
また、業務をマニュアル化することで業務が属人化するリスクを回避することも可能です。
業務のマニュアル化にはこれ以外にも、
- 業務品質の均一化
- 早期の人材育成が可能になる
といったメリットが期待できます。
関連記事:「マニュアル遵守」が第一のビジネスパーソンは、リーダーには不向きだ。
ITツールを活用する
業務効率を改善する3つ目の方法は、ITツールを活用することです。
業務効率化を目的に提供されているITツールは数多くあるので、自社の課題に最適なツールを用いることで飛躍的に業務効率を改善できる可能性があります。
例えば、スケジュール管理はどのような企業においても重要なものです。特に、顧客との打ち合わせなど社外の人間が関わるとなると、その日時は絶対に間違うわけにはいきません。
こういったシーンで適切なスケジュール管理ツールを用いることで、業務効率化を実現できます。
日々のスケジュールを見やすくてわかりやすいカレンダー方式で管理できるため、見間違いや記憶違いを防ぎ、スケジュール管理が容易になります。
業務に優先順位を設ける
業務効率を改善する4つ目の方法は、業務に優先順位を設けることです。
あなたは業務を進める上で作業に引っかかったり、わからないことが生じた際に悩んだり迷ったりすることで、時間を浪費してしまった経験はないでしょうか?
業務効率化において「悩み」や「迷い」は時間のムダであり、それによって業務全体に遅れや乱れが生じるのはよくありません。
したがって、業務を進める際には「どれが重要な業務か」や「どのような順序で進めるべきか」を検討したうえで、業務の優先順位を決めておくことで業務効率の改善につながります。
業務上の重要ではない部分で仕事がストップしてしまうのであれば、それよりも重要度の高い業務を先に片付けましょう。
業務を自動化する
業務効率を改善する5つ目の方法は、業務を自動化することです。
業務は人間がしなくてはならないものと、そうではないものに分けられます。人間でなくともできることに関しては、自動化することを検討してみましょう。
例えば、日々の仕事の中には、毎日同じ作業の繰り返しなどの単調な業務もあるでしょう。
このような業務は「単純だが業務量が多い」や「担当者しか整理方法を把握していない」といった特徴があります。
これにより、担当者が変わった途端に業務ができなくなる危険性があるため、注意しなければなりません。
このような業務については自動化をしておくことが効果的です。例えば、Excelのマクロやプログラムを用いることで、容易に完了する作業もあります。
関連記事:生産性向上を実現する方法とは?必要性や向上しない企業の共通点を解説
データベースの作成と活用
業務効率を改善する6つ目の方法は、データベースの作成と活用です。
データベースとは、これまでに会社で使われてきたデータを集めたものです。これを従業員が自由に閲覧できる状態にしておくことが重要になります。
例えば顧客情報や商品の在庫情報など、その情報を必要とする人が自由にアクセスできれば、業務効率の改善に繋がります。
データを一箇所にまとめてデータベース化しておけば、ある従業員が知っている重要な情報を別の従業員が知らないせいで、ムダな時間や労力などのコストが生じるケースを回避することが可能です。
また、担当者が退職したり変わったりした場合でも、スムーズに引き継ぎができるというメリットもあります。
アウトソーシングを活用する
業務効率を改善する7つ目の方法は、アウトソーシングを活用することです。
アウトソーシングとは外部委託ともいい、マニュアル化できる単純作業などの業務を外注することを指します。
自社の従業員にはコア・コンピタンスに関わる重要な業務に専念してもらい、それ以外の業務についてはアウトソーシングを活用することで、業務効率化につながります。
また単純作業だけではなく、高度に専門的な知識や技術を要する業務についても外注することで、自社で育成する時間やコストをカットすることが可能です。
近年では副業が推進されていることや、クラウドソーシングサイトが普及していることもあり、さまざまな技能や知識を持つフリーランスとつながりやすくなっています。一度検討してみてはいかがでしょうか。
業務を分割する
業務効率を改善する8つ目の方法は、業務を分割することです。
業務量は従業員によって変わり、時期によっても異なります。したがって、局所的に業務の負担が増えた場合は、業務を処理する時間を分割することが効果的です。
こうすることで、従業員の負担を軽減でき、業務効率化につながります。
また、担当者が一人で対応していた業務を分業化することで、業務効率を改善することも可能です。分業化することでそれぞれの従業員が自身の業務だけに集中でき、作業効率が増すからです。
関連記事:人手不足の原因とは?人手不足による影響と人材確保の対策を解説
タスクを管理する
業務効率を改善する9つ目の方法は、タスクを管理することです。
タスクの管理とは、業務内容を必要なタスク(作業)に細かく分けて、優先順位を設定した上で進捗を管理することです。こうすることで、それぞれの担当者に与えられた役割や業務を的確にマネジメントすることができます。
ビジネスチャットなどのITツールを使うことで、グループごとに情報共有を行えるため、リモートワークを導入している会社にも活用できます。
業務の担当者を変更する
最後に紹介する業務効率を改善する方法は、業務の担当者を変更することです。
当然ですが人には得手不得手があり、組織は可能な限りそれぞれの従業員に得意な仕事をしてもらい、適材適所を心がける必要があります。
しかし、なかなかそれが実践できていない企業もあるため、思い切って業務の担当者を変えてみることが効果的です。
その際には、まず担当者と話し合って現状を把握します。そして新たにふさわしい業務や人材を探すことで業務効率の改善につながります。
例えば、英語が堪能な従業員を製造部門に置いておくよりも、海外部門に置いた方が業務効率化に貢献する上に、本人にとっても自分の力を発揮できるためモチベーションが上がるはずです。
業務効率を改善する際に注意しておくべき6つのポイント
業務効率を改善する具体的なアイデアや方法を見てきましたが、やり方を間違えるとむしろ逆効果になってしまう危険性があります。
したがって、下記のようなポイントに注意しておきましょう。
- コストや手間が増加してしまう
- 時間短縮のみに意識が集中してしまう
- 目的や目標を周知せずに進めてしまう
- 一度に多くの業務効率化を進めようとしてしまう
- 現場や業務を知らない人が業務設計をしてしまう
- 導入したツールが業務にそぐわない
それでは1つずつ解説していきます。
コストや手間が増加してしまう
業務効率を改善するために業務のプロセスを変更することで、かえって従業員の手間やコストが増加してしまうことがあります。
例えば、残業時間を減らすために「ノー残業デー」を導入するケースがありますが、従業員が仕事を家に持ち帰っていては意味がありません。
形だけの制度や施策を導入しても、かえって混乱やコスト増加につながってしまうのです。
特に、制度や業務を変えてからすぐの場合だと、従業員も新たな方法に馴染んでおらず、負担が大きくなることがあります。
このような事態を避けるためにも、あらかじめマニュアルや研修などで従業員の認識を変えていくことが重要です。
関連記事:人件費削減の本質とは?メリットとデメリット、失敗しないための注意点や方法を解説
時間短縮のみに意識が集中してしまう
業務効率を改善するために、これまで以上のスピードで仕事をこなすことは効果的です。
しかし、仕事を早く終わらせることが目的になってしまい、アウトプットのクオリティが低下する危険性があります。
さらに、「ムダな業務を無くそう」と考えて、従業員にとって必要な作業時間や業務を省く企業も少なくありません。
このような施策を行ってしまうと製品やサービスの品質が下がるだけではなく、従業員の負担が増えてしまうため業務効率の改善は困難です。
従業員に負担がかかりすぎると、従業員のモチベーションが下がるだけではなく離職率が上がる原因にもなるでしょう。
業務効率の改善においては、必要な作業時間を確保しつつクオリティを落とさないことが前提となります。
目的や目標を周知せずに進めてしまう
業務効率を改善するための施策や変更を行う場合、その目的や目標を周知せずに進めてしまうと失敗する可能性が高まります。
業務効率化に限らず、すでにある仕組みやシステムなどを変革する際には、必ずその目的や目標が周知されている必要があります。
「生産性の向上」や「業務効率の改善」を目的として掲げて施策を打ったとしても、「なぜ変える必要があるのか?」や「変えた結果、どうなればゴールなのか?」などのビジョンが共有できていなければ、改革を推し進める側と現場で働く従業員との認識にズレが生まれ、足並みが揃わなくなってしまいます。
一度に多くの業務効率化を進めようとしてしまう
いち早く業務効率の改善を進めたいがために、一度に多くの施策を同時進行で進めようとするケースがありますが、この場合はどれも中途半端に終わってしまいます。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあるように、一度に複数のことを成し遂げようとするとどれも失敗してしまうのです。
したがって、一度に複数の施策をするのではなく、一つずつ確実に遂行していくことが良いでしょう。
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現場や業務を知らない人が業務設計をしてしまう
業務効率の改善をする際に重要なことは、現場を的確に理解している人が業務フローの設計を担うことです。
しかし、現場や業務についてあまり知らない人や関わりがない人が業務設計をすると、現場の声が考慮されていないルールやシステムが構築されてしまいます。
その結果、コストや時間をかけて構築した設計でも定着せずに終わり、大きなムダとなってしまうのです。
したがって、企画の段階から現場の声を可能な限り汲み取ることや、改善対象となる業務について知識や見識がある人物が関わる必要があります。
導入したツールが業務にそぐわない
業務効率を改善するためにI、Tツールやシステムを導入することは非常に効果的です。
しかしそれは、業務や自社に適したツールを導入して、それが定着した場合に限ります。
ツールやシステムを導入したとしても、それが業務にそぐわなかったり使いにくければ定着しません。むしろ、使いにくいツールを使い続けなければならなくなり、かえって業務効率が悪くなる危険性もあるでしょう。
したがって、ツールやシステムを導入する際は、「操作感はどのようなものか」や「画面は見やすいか」といった点を実際にチェックすることが重要です。
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業務効率の改善に貢献するツール
それではここからは、業務効率の改善に貢献するツールを紹介していきます。
業務効率化をするには適切にツールを駆使することが欠かせません。有料のものもありますが無料で使えるものもあります。
また、ツールを選ぶ上で考慮する点は2つあります。
一つは、「解決したい課題に最適なツールかどうか」という点です。
自社の状況を分析して課題を導き出した上で、どの業務においてどのようなツールを用いることで課題を解決できるかを検討します。
もう一つは、「導入したあとに定着するツールかどうか」です。
上記でも解説しましたが、扱いづらいツールを導入すると、かえって業務効率が下がる危険性があります。したがって、自社の従業員が使いやすいと感じられるツールを選ぶようにしましょう。
グループウェア
グループウェアとは、企業内のコミュニケーションや情報共有などを円滑にし、業務効率を改善させるソフトウェアです。
企業ではチームでプロジェクトや業務を進めることが少なくありません。
このような場合において重要なことは、メンバーそれぞれがお互いの意思疎通やコミュニケーション、情報共有を円滑に行うことです。
しかし、人数が多いほどこれらの作業は困難になり、プロジェクトや業務に支障がでるようになります。
そうならないために活用するのが、グループウェアです。代表的なグループウェアには、マイクロソフトが提供している「Microsoft Office 365」やGoogleが提供している「Googleワークプレイス」などが挙げられます。
ビジネスチャット・コミュニケーションツール
ビジネスチャットツールで有名なものとして「Slack」や「ChatWork」などが挙げられますが、このようにビジネス利用に特化したコミュニケーションツールが数多く提供されています。
昨今はリモートワークが普及しています。
遠方の従業員とのコミュニケーションの際には、メールよりも気軽にスピード感をもってやりとりできるビジネスチャットのほうが、より使いやすいかもしれません。
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まとめ
ここまで業務効率を改善するためのステップや具体的なアイデアや方法、また業務効率化を目的とするツールなどを見てきました。
繰り返しになりますが、上記で解説した業務効率化の方法を無闇に実践したり、ツール・システムをただ単に導入しただけでは効果はあまり期待できないでしょう。
重要なことは自社の課題や現状を分析して、何をするべきかを慎重に検討することです。その上で具体的な方法や他社の事例などを参考にして、自社で業務効率を改善する施策を実行していきましょう。