コアコンピタンスとは?必須条件や突き止める方法、具体的な成功事例を解説

近年、「コアコンピタンス」は企業がこれから生き残っていくために欠かせない概念として注目を集めています。自社の中核となる能力を示すコアコンピタンスの本質とは、一体何なのでしょうか?

この記事を読むことで、コアコンピタンスについて

  • どのようなものかわかる
  • 自社の強みの見つけ方がわかる
  • 具体的な成功事例がわかる

ようになります。

この記事を、ぜひ自社の強みを探すために役立ててみてください。

<<あわせて読みたい>>

ナレッジマネジメント_アイキャッチ ナレッジマネジメントの方法からメリット・成功事例・問題点を解説!

コアコンピタンスとは?

コアコンピタンスは、英語で「中核」を意味する「Core」と、「能力」や「適正」を意味する「competence」を合わせた言葉で、「競合他社に模倣される可能性が低い企業の強み」という意味があります。わかりやすく言うと、競合他社と比べた時に他社よりも優れている部分のことです。

この概念は1990年に、アメリカのミシガン大学で教授をしているC・K・プラハラード氏とゲイリー・ハメル氏がハーバード・ビジネス・レビューで初めて発表しました。その後、1995年に「コア・コンピタンス経営」が出版されたことで日本でも広められ、現在は世界中で活用される、経営に欠かせない概念として定着しています。

ビジネスにおいて激しい競争のなかで生き残るためには、顧客を獲得し続けなければなりません。そのために、他社にとっては真似することが難しい技術や能力が必要になるため、重要な概念として認識されています。

コアコンピタンスは企業が成功するために必要な能力や技術であり、今後さらに重要になっていきます。変化の激しい現代においては、組織のリーダーは自社がどのようなコアコンピタンスを持っているかを理解していなければ、正しい経営戦略を描けないでしょう。

ものづくりをする企業に最適なコアコンピタンス経営とは

この概念を活用して会社を経営することを「コアコンピタンス経営」といいます。

この経営方法は、差別化が重要な価値をもつ、モノ作りが得意な会社にとって最適です。競合他社に模倣されない特殊な技術やノウハウを持っていれば、優位なポジションをとれるため、それ自体が顧客にとっても利益となります。

コアコンピタンス経営を採用するのであれば、現在や目先のみならず、自社がいる業界の将来がどのように変わっていくかを予想し、そのなかで自社がどのような未来を実現できるのかを深く考えておくことが重要です。

中小企業こそコアコンピタンス経営が求められる

日本には優れた技術やノウハウを持っている中小企業が無数にあります。実際、日本にはグローバルニッチトップ企業が数多くあります。これは、ニッチや隙間産業と言われる比較的狭いジャンルの分野にリソースを集中させることで、グローバルビジネスで優位に立っている企業のことを指しています。

そして、こうした企業のほとんどは中小企業であり、成功の理由はコアコンピタンスの概念を意識した経営を行っていたからだと考えられているのです。

(参考:2020年版グローバルニッチトップ企業100選│経済産業省

<<あわせて読みたい>>

マネジメント

コアコンピタンスと混同される「ケイパビリティ」との違い

コアコンピタンスとよく混同される「ケイパビリティ」という言葉があります。ケイパビリティも、「自社の強み」や「組織の能力」という意味を持ちますが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

ケイパビリティという概念は、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の3名(ローレンス・E・シュルマン、ジョージ・ストーク、フィリップ・エバンス)が、1992年に出した論文で定義されています。

その定義では、ケイパビリティは「組織や企業が持っているバリューチェーン全体の組織能力」であり、一方でコアコンピタンスは「競合他社と比べた時に模倣される可能性が低い中核となる特定の強み」という意味であるとされています。

<<あわせて読みたい>>

ステークホルダーの意味をわかりやすく解説!実際の企業事例も紹介
【AD】

コアコンピタンスを突き止める5つのポイント

どのような企業においても、他社と比較した際になにかしらの強みをもっているはずです。ところが、その強みを自社で認識できずに悩む企業が多いのも事実です。また、自社の強みが他社と被っている場合は、コアコンピタンスを意識した経営は難しくなるでしょう。

そこで、自社にしかない中核となる強みを突き止めるためのポイントを活用します。コアコンピタンスを提唱した2人の共著では、下記の5つのポイントが挙げられています。

  • 模倣可能性
  • 移動可能性
  • 代替可能性
  • 希少性
  • 耐久性

それでは1つずつ解説していきます。

模倣可能性

まず、模倣可能性という視点で考えてみましょう。模倣可能性は、自社が抱えている能力やノウハウが同じ分野の競合他社に容易にコピーされてしまうものかどうか、というものです。

  • 「競合他社にコピーされることはない」
  • 「この分野においては自社にしか実現できない技術がある」

という場合であれば、その企業は競争で優位に立つことができます。反対に、容易に真似される場合は模倣可能性が高く、コアコンピタンスとはいい難いでしょう。

顧客にとってどんなに素晴らしいサービスだとしても、それが簡単に模倣されるようであれば、市場を独占できません。市場を独り占めできるくらい、他社には絶対に模倣されないレベルの能力こそ自社の中核となる強みと言えるでしょう。

移動可能性

2つ目のポイントは、移動可能性です。

移動可能性とは、自社が持つ技術やサービスが適用できる範囲の広さを指しており、「汎用性」や「応用性」と言い換えることもできます。

移動可能性が高ければ、一つの技術でいくつもの商品やサービスに展開できるため、事業領域を拡大しやすくなり、新たなビジネスチャンスを生み出すことが可能です。その結果、他社にはないビジネスができ、競争で優位を確保できます。

反対に移動可能性の低い技術や製品であれば、それに集中して投資をしても、その技術や製品が市場から求められなくなった場合、その時点で投資したリソースを回収できなくなります。

汎用性が高ければ別の事業へと応用が利くため、柔軟な対応ができるのです。

代替可能性

代替可能性という視点も必要になります。

代替可能性は、自社の製品やサービス、技術が競合他社のもので置き換えられるかどうか、という視点です。自社の中核となる強みが、他の商品で置き換えることができる場合、それは代替可能性が高く、コアコンピタンスとは言えないでしょう。

自社が持つ技術が唯一無二のものであり、需要があるものであれば、必然的にその価値は高くなり、市場を独占することができます。この結果、その技術は競争を生き残るうえで強い武器となるのです。

希少性

自社の唯一無二の強みを探すには、希少性という視点も欠かせません。

希少性とは文字通り、供給が少なく手に入りにくいことです。自社の製品やサービスが市場にあまり供給されていないものであれば、「希少性が高い」と評価されるため、その価値も高くなります。

しかし、同じようなものが多く出回っているようであれば、自社の技術の粋を集めたものであろうと、市場を独占することはできません。したがって、競争優位性も確保できずに激しい競争に飲み込まれていくでしょう。

ですが、代替可能性と模倣可能性が高ければ、ほとんどの場合は希少性も高いということになります。これら3つの条件を満たしているのであれば、市場を大きくリードできるはずです。

耐久性

そして、最後のポイントが、耐久性です。

ここでいう耐久性とは、そのサービスや製品の物理的な丈夫さや堅牢性を示しているのではなく、いかに「強みを長期的に維持できるか」や「競争優位性を長く保てるか」といった意味を持っています。耐久性が高い強みであれば、顧客からの信用も高まり、自社の中核として確立することが可能です。

しかし、現代は変化が激しく、技術革新のスピードも速まっているため、耐久性の維持は困難だと言えます。例えば、いくら最新の技術を用いた製品であっても、すぐに陳腐化してしまう技術であれば耐久性が低く、コアコンピタンスではありません。

このような時代だからこそ、普遍的で耐久性の高い技術やサービスを追求することは、より良い強みにつながるでしょう。

<<あわせて読みたい>>

すぐわかる!企業が直面する10の経営課題と解決のためのヒント

より良いコアコンピタンスを突き止めるステップ

先程挙げた5つの条件を満たすコアコンピタンスを突き止めるには、下記の3つのステップを踏むのが一般的です。

  1. 強みの抽出、洗い出し
  2. 洗い出した強みの評価・判定
  3. 強みの絞り込み

それでは1つずつ解説していきます。

強みの抽出、洗い出し

まず、自社のコアコンピタンスを突き止めるために、下記のような自社の強みとなりうるものを全て挙げていきます。

  • 人材
  • 技術
  • 企業文化
  • 能力
  • 理念
  • サービス
  • ノウハウ
  • 製品

このように、とにかくあらゆる視点で考えて、強みとなりそうなものを列挙していきます。この時点では、「本当に強みと言えるのだろうか?」といった厳格な判断はする必要はありません。

柔軟な発想をもとに、迷ったとしてもとりあえずリストアップしておきましょう。思わぬ強みが発見できるかもしれません。

洗い出した強みの評価・判定

強みとなりうるものを列挙したら、下記にある3つの条件をクリアしているかの評価・判定をします。

  • 顧客に利益をもたらすか
  • 他社に模倣されないか
  • 応用しやすいか

これら3つの条件は後ほど詳しく解説します。

強みの絞り込み

そして最後に評価・判定した強みのなかから、さらにコアコンピタンスとして最適なものを絞り込んでいきます。

  • 長期間にわたり自社の強みとして耐えられるか
  • 顧客にどれほどの価値を与えられるか
  • 簡単に真似されるものではないか
  • 他の事業領域でも使えるくらい汎用性が高いか

といったように、先程解説した代替可能性や移動可能性、模倣可能性といった5つの基準に照らし合わせていきます。ポイントは、その強みが競合他社と比較した際に、どれほどコアコンピタンスとして強いのかを考えることです。

<<あわせて読みたい>>

中小企業再生支援協議会って何?中小企業を経営するなら知っておきたい活用のメリット、手続きまでを徹底解説

コアコンピタンス経営に求められる3つの条件

コアコンピタンスを突き止めるための「洗い出した強みの評価・判定」というステップでは、必要な3つの条件を満たさなければなりません。

ここではその3つの条件について解説します。

顧客に利益をもたらしていること

コアコンピタンスとして成立するためには、まずその強みとなる能力が「顧客に本当の意味で利益をもたらしていること」が求められます。

企業の目的は利潤の追求ですが、それだけでは企業は生き残ることができません。利潤の追求ができたとしても、それが顧客にとってネガティブな影響をもたらすものであれば、強みとは言えないのです。

したがって、自社のコアコンピタンスを突き止める際には、

  • 顧客が本当に喜ぶものか
  • 社会に付加価値を与えられるものか

といった視点で、この条件を満たしているかどうかを考えましょう。

競合他社に容易にコピーされにくいものであること

競合他社に簡単にコピーされるような強みや能力では、コアコンピタンスとして認められません。なぜなら、すぐに模倣されるような技術やサービスであれば、競争優位性を確保できないからです。

競合他社は常に他の会社の強みを潰すために、また自社の強みとして応用するために、他社の技術やサービスの良いところを応用できないかを考えています。

したがって、コアコンピタンスとして成立する能力には、市場を独占できるほどの強烈な、独自性の高い強みである必要があるのです。

いくつかの事業領域に応用・転用できること

最後の条件となるのが、いくつかの事業領域に応用・転用できることです。これは、コアコンピタンスを突き止める5つのポイントでも解説した移動可能性の高さを示しています。

ある一定のサービスや製品にしか用いることができない技術であれば、そのサービスが廃れたら、その技術は無用の長物となってしまいます。さらに現代は環境の変化が激しいため、このような変化に対応できない技術はコアコンピタンスとしては成り立ちません。

<<あわせて読みたい>>

事業報告書における開示事項の増大 〜 高まる企業の情報開示への期待 〜

コアコンピタンスの具体的な成功事例:本田技研工業株式会社

ホンダは世界的な自動車メーカーとして有名ですが、日本で成功したコアコンピタンス事例としても知られています。

ホンダのコアコンピタンスは、他に類を見ない驚異的な能力を持つエンジンです。当然、このコアコンピタンスは移動可能性が高く、「他の製品に応用できる」という条件も満たしているため、そのエンジン技術は自動車だけでなく、バイクや芝刈り機でも利用されています。

この類まれな汎用性の高さのおかげで、「世界のホンダ」として今なおグローバルに闘い続けることができているのです。

<<あわせて読みたい>>

企業経営者が注意すべきインサイダー取引規制|禁止事項とペナルティ

まとめ

コアコンピタンスは企業の成長や、生き残りにとって欠かせない要素の1つです。

この自社のコアである強みが曖昧なままでは、まともな経営戦略を描くことはできません。ましてや、新型コロナの流行により全てが変わっているなかで、自社の競争優位性を確保するにはコアコンピタンスの認識がますます欠かせないものとなるでしょう。

また、コアコンピタンス経営は中小企業こそ活用するべき手法でもあります。自社の明確な強みがなければ、今後、中小企業が生き残ることは難しくなるため、ぜひコアコンピタンスの追求をしてみてください。

<<あわせて読みたい>>

企業における法務のあり方とは?コンプライアンス徹底のため、法務における危機管理体制のあり方を徹底解説!