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内部統制とは?コーポレートガバナンスとの違いから実例まで徹底解説

経営者

上場するためには内部統制報告書が必要らしいんだけど、内部統制って何?
本記事で詳しく説明します。

専門家

非上場会社が上場する際には、「内部統制報告書」の提出が求められます。しかし、そもそも内部統制といわれてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。

「政府が公開している説明を見ても掴みどころがない説明でよくわからない」という担当者の方向けに、本記事では以下3点をわかりやすく解説します。

  • そもそも内部統制とは
  • 内部統制の目的
  • 内部統制の実施例

これから社内の内部統制を整えるという方にもおすすめの記事になっておりますので、是非ご覧ください。

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内部統制とは?

経営者

そもそも内部統制って何?

内部統制とは従業員や経営者が守るべきルールのことです。企業が安全に経営をしていく上で、企業は内部統制を実施する必要があります。

まずは内部統制について以下4つの切り口からわかりやすく解説します。

  • 内部統制の定義と役割
  • 内部統制の4つの目的と関係性
  • コーポレートガバナンスとの違いとは
  • コンプライアンスとの違いとは

内部統制の定義と役割

まずは内部統制の定義についてですが、金融庁が公開している資料では、以下のように定義が説明されています。

内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リ スクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対 応の6つの基本的要素から構成される。 

内部統制の基本的枠組み (案)| 金融庁 より

わかりやすくまとめ直すと、企業が健全な経営をしていると判断するためには、以下6つの基本的な業務体制を整える必要があるということです。

  • 統制環境
  • リスクの評価
  • 統制活動
  • 情報と伝達
  • モニタリング
  • IT対応

具体的な内容については後述しますが、上記の管理を「全ての従業員」が徹底して行うことが内部統制です。

内部統制の4つの目的と関係性

内部統制を実施する目的は以下4つです。

専門家

  • 業務の有効性及び効率性の向上
  • 財務報告の信頼性保持
  • 事業活動に関わる法令等の遵守
  • 資産の保全

このうち内部統制報告書と深く関わるのは財務の信頼性に関する部分になりますが、まずはひとつひとつ確認していきます。

業務の有効性及び効率性の向上

事業の目的を達成するために、各業務が適切に機能しているのか、効率は悪くないかを適切に判断するために内部統制は実施されています。

例えば、資金繰り表を作成しているのに毎回月末残高に大きなズレがある場合、この状況を無視していては、どこかで会社の倒産に関わる事態が発生しかねません。

その問題はどこにあるのかを追求し、経理の問題であるなら自動化を考える、新しいシステムの導入を検討するなどの処置が内部統制の中で必要になります。

こうしたシステム導入や業務プロセスを再考することは大変煩雑ですが、結果として業務の改善につながる可能性があります。

したがって、内部統制を実施することで業務の有効性や効率性を高めることができます。

財務報告の信頼性

内部統制の2つ目の目的は、財務報告の信頼性保持にあります。会社の財務内容を表す指標は上場会社であれば四季報などにも掲載される重要項目です。

ステークホルダーはこれらの情報を頼りに、投資をするのかを決定します。

また、各銀行も企業から出されている損益計算書や貸借対照表を頼りに財務内容を最適化するわけです。

したがって、財務報告内容は適切でなければなりません。

このために、内部統制は実施されているのです。

専門家

事業活動に関わる法令等の遵守

経営者

法令遵守をしなければならないんだね。

法令遵守は企業の存続に関わる重大な問題です。仮に法令を遵守せずに不正を働いてしまうと、企業は罰せられ、取引先からも距離を置かれてしまいます。

例えば食を扱う企業であれば、法的に入れてはいけない成分を食品に入れてしまうことは、その食品を食べた方の生命にも関わる重大な問題となります。

他にも、パワハラ・セクハラをしないなど従業員に関わる法律や、独占禁止法など会社が気にすべき法律は多々あります。

したがって、内部統制を実施することで法令を遵守させるのも主な目的となっています。

資産の保全

資産が不適切に使用されることで、企業は社会的に信頼されなくなってしまいます。

例えば、仮に経営者が出資金を個人的な目的で横領してしまえば、出資者は目的と違う用途に使われたことに腹を立て、二度と出資をしてくれなくなるでしょう。

したがって、資産の保全を正確に行い、適切に報告する必要があるため、これも内部統制の目的のひとつとなっています。

資産は適切に管理しましょう。

専門家

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コーポレートガバナンスとの違いとは

経営者

コーポレートガバナンスコードの違いってなんなの?

混同されやすい言葉として、「コーポレートガバナンス」が挙げられます。

コーポレートガバナンスは簡単に言ってしまえば「経営陣に問題がないかを確認する制度」のことです。仮に経営者が不正を働き、部下に問題のあることをやらせていた場合、部下はこの経営者に逆らうことができません。そのため、社外監査役や社外取締役が企業の不祥事を抑制します。

内部統制との違いは、コーポレートガバナンスは内部統制に比べて株主、ステークホルダー向きに作られているということです。

コンプライアンスとの違いとは

同様に、「コンプライアンス」も違いが分かりにくい言葉かもしれません。

コンプライアンスは法令遵守と呼ぶこともありますが、現在では幅広い意味を含んでいます。例えば、近年ではセクハラ・パワハラなどもコンプライアンスに含まれるようになりました。他にも機密情報の保護など、例をあげればキリがありません。

こうした広い意味を含むのがコンプライアンスで、コンプライアンスを始めとする各種業務体制を守るひとつの手段として内部統制があります。

したがって、内部統制は手段であり、コンプライアンス遵守が目的だと認識しておくのが良いでしょう。

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内部統制の6つの基本的要素

先述したように、内部統制は4つの目的のために実施をされています。これらの目的達成のためには、以下6つの基本的項目の実践が必要です。

  • 統制環境
  • リスクの評価
  • 統制活動
  • 情報と伝達
  • モニタリング
  • IT対応

それぞれ詳しく確認しましょう。

統制環境

統制環境とは他の項目5つに関連する環境要因です。どれほど他の項目を達成しようとしていても、組織全体の風土が不正を許す風潮であった場合は内部統制は実現できません。

したがって、不正を許さない風土を経営者が作り上げることが大切です。

リスクの評価

リスクの評価とは、内部統制を阻害する要因は何かを正しく抽出し、重要度を判別することをいいます。

内部統制を阻害する要因はさまざまなです。

例えば、「経費を無駄使いする従業員がいる」のもひとつのリスクですし「損益計算書を粉飾する経理担当がいる」のもリスクです。

こうしたリスクを回避するために、重要度ごとに阻害要因を振り分け対処の優先度を考えるのがリスクの評価です。

統制活動

統制活動とは、経営者が決めた命令、指示が適切に実行されるための方針・手続きのことです。統制環境と近い部分もありますが、統制活動の項目では、具体的に各担当者や権限者を決定し、職責の範囲で適切に業務を遂行することが求められています。

したがって、管理職のように権限がある人には相応の職責が求められることになります

情報と伝達

どれだけ内部統制に必要な体制が整えられても、企業内で情報がうまく伝わらなければ意味がありません。

したがって、情報を取得したい従業員が必要なタイミングで情報を取得でき、何か不正を発見した場合には適切に上層部に伝わる仕組みづくりを進める必要があります。

モニタリング

モニタリングとは、社内で定めた内部統制がうまくいっているかを継続して評価することです。

社内で内部統制をどれだけはかっても、継続的に評価をしなければ統制は形骸化します。例えば、月に一度はモニタリングを実施し、改善点を洗い出し、問題点を是正するような仕組みづくりが大切です。

仮に問題があった場合には、イントラ上で通達を出す、社内で内部統制の研修を実施するなどをし、社内全体に内部統制を浸透させる必要があります。

IT対応

内部統制はITとも深く関わりがあります。例えば、経理がExcelで手打ちをしていることで内部統制が取れていないのであれば、新しくITを活用した自動化の仕組みで改善するかもしれません。

また、ITの設定がしっかりとなされていないことが原因で誤発注などの問題が発生している可能性もあります。

IT技術は既に企業経営に欠かせないものとなっているため、現在IT対応は内部統制の独立した項目として存在しています。

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なぜ内部統制の整備が必要なのか

経営者

内部統制ってなぜ必要なの?

内部統制の整備は安全な企業経営のためには必要不可欠ですが、主な理由は以下3つです。

  • 不祥事の後の経営者への制裁が厳しい
  • コンプライアンス・ガバナンスへの投資家の興味
  • リスク管理不足によるブランドの低下

それぞれわかりやすく解説します。

不祥事の後の経営者への制裁が厳しい

内部統制不足による不祥事への制裁は、時代が進むにつれ、厳しくなっています。経営者は社内の内部統制を「知らなかった」で済ませることはできません。

内部統制不足による経営者の辞任は、その後の企業経営に大きな影響を及ぼし、結果としてステークホルダーにもその影響は及びます。

内部統制の実施をすることはステークホルダーの利益の存続につながるのです。

専門家

コンプライアンス・ガバナンスへの投資家の興味

上記の理由に付随して、コンプライアンスやガバナンスに対して投資家が興味を示しているのも理由として挙げられます。

安全な企業経営のためには、コンプライアンスやコーポレートガバナンスへの対応が不可欠です。

したがって投資家も、リスクヘッジの目線で内部統制には興味を示しているという背景があります。

リスク管理不足によるブランドの低下

リスク管理不足はブランド力の低下を意味します。例えば、特定のブランドとして商品販売をしていた商品が偽物だと判明すれば商品を購入する人は減ります。

結果的に企業の競争力は低下することになり、市場に対してもネガティブな影響を与えることになりかねません。

内部統制が注目されているのには、上記のように、企業が影響を受けるとその影響は日本経済全体にも及ぶという理由があるのです。

内部統制の最終決定をするのは経営者

内部統制に関係する人は以下の図の通りです。

経営者 最終責任
内部監査人 内部統制の運用・評価
監査役・監査委員会 独立して内部統制の監視・検証
取締役 監督責任

基本的に、内部統制に関わるのは会社の経営陣です。

一方で、内部統制の責任者は経営陣であっても、実際に内部統制に参加するのは従業員です。

社内全体で内部統制に取り組む必要があります。

専門家

内部統制には2つの課題がある

どれだけ計画をたて、目を光らせていても内部統制をすり抜ける不正は存在します。企業内での対策を進めるためにも、解決すべき課題を2つ紹介します。

  • 複数人による不正
  • M&Aの積極化

複数人による不正

どれだけ内部統制を進めていようとも、そもそもの経営者・内部監査人・取締役などが共同で不正を働いた場合は内部統制の目は働きません。

したがって、同族経営で会社を営んでおり、万が一の場合に不正を取り締まる人がいない企業体制の場合は、外部から監査役を入れるなどの対処が必要になります。

M&Aの積極化

特に大手の会社は、海外とのクロスM&Aを実施している企業の場合、子会社の内部統制までは目が向けられていないケースもあります。

特に国が違う場合、時差の問題もありリアルタイムでのモニタリングは難しいのも問題です。したがって、時には子会社まで足を運び、運営体制に問題がないかを確認する必要もありそうです。

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全くの未経験からM&Aへの挑戦。|リビン・テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 川合 大無 氏

内部統制の手順

経営者

内部統制はどう進めればいいの?

実際に内部統制を整えるためのフローは以下の通りです。

  1. 経営者の意識を変える
  2. 担当部署を設置する
  3. 組織・業務の見直しを実施する
  4. 内部監査を実施する

1.経営者の意識を変える

まず何よりも大切なのは、経営者の意識を変えることです。内部統制は単なる面倒ごとではなく、自社の健全性や業務改善効果が期待されることを認識し、自ら旗を振って内部統制を進めることが期待されます。

2.ルールを明文化する

各種マニュアル・規定などを作成し統制内容を明文化する必要があります。具体的であればあるほどその後の検証がしやすいため、責任の所在を明確にし、ルールを明文化します。

一般的には、管理職が担当部署に責任を持ってルールを周知します。

3.組織・業務の見直しを実施する

ルールを決めておいてうまくいかないようであれば、積極的にその理由を上層部に挙げてルールを最適化します。

基本的にはルールを守るスタンスが大切ですが、現場レベルで問題がある場合にはそもそもの策定時点で何か間違いがあったのかもしれません。

したがって、柔軟に対応することが大切です。

4.内部監査を実施する

内部統制が実施してから期間が経ったら、必ず内部監査を実施しましょう。内部監査では、ルールが守れているか、不正はないかを入念に精査します。

この一連の流れを繰り返すことで、内部統制はより強固になります。

まとめ 内部統制について

本記事では内部統制についてわかりやすく解説しました。

内部統制を整えることは、ただ企業のコンプライアンス遵守につながるだけでなく、企業の業務効率化にも繋がります。

今後上場を検討の際には、まずは経営者の意識改革から始めることをおすすめします。

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