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「クラッシャー上司」が会社や部下に与える影響はメンタル面でだけではない理由

企業や政界、スポーツ界での不祥事が相次ぐ中、テレビで謝罪会見を見ない日がないような日々が続きます。その原因に潜んでいるのが「クラッシャー上司」の存在です。

パワハラ、モラハラ、セクハラなどの各種ハラスメント(harassment)は自然に湧いてくるわけではなく、加害者が必ずいます。

その多くが「クラッシャー上司」です。営利・非営利を問わずヒエラルキーのある組織では、学校のクラスのようにフラットな組織より実は「いじめ」が起きやすい組織構造を持っています。特に会社の場合、ターゲット(被害者)は生活をかけた「職場」のために我慢し続けなければならない経済的問題を孕んでいます。

「自分だけ我慢すれば・・・会社を辞めれば・・・家族に迷惑をかけたくない」など、複雑な思いで病気になるまで耐えてしまうのは、何ともやる瀬無いことです。

 

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どこにでもいる「クラッシャー上司」

「クラッシャー上司」で検索すると30万件、「クラッシャー」で検索すると640万件近くのヒットがあります。それだけ人々の関心をよんでいるバズワードだと言えます。クラッシャーは英語のCrusher(破砕機)からくるものですから、相当きつい言葉ですね。

なぜこの「クラッシャー上司」 が話題になるのでしょうか。

この言葉は、元・東京慈恵会医科大学精神科教授の牛島定信先生と筑波大学社会医学系教授の松崎一葉先生が命名したものだそうです。明確に定義されたのが10年くらい前なので、それまではまとまった概念で呼ばれることもなく「嫌な上司」「怖い上司」など、いろいろだったと思います。

このようにまとまった概念で括られたのには、時代背景があります。それは、メンタルヘルスの罹患率の上昇です。うつ病などのメンタルを患う病気は、外的要因が大きく、特に人間関係に起因するものが最多です。

厚生労働省の調査「過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者割合」によると、メンタルヘルス不調により休業した労働者(受け入れている派遣労働者を除く)は0.4%、退職した労働者の割合は0.2%となっています。経済的損失に換算すると、欠勤者(Absenteeism)と低生産性出勤者(Presenteeism)による影響まで加えると、社会的コストは8兆円を越えるとの調査報告(「精神疾患の社会的コストの推計」慶應義塾 )もあります。

これらの調査で興味深いのは、休業した労働者の全体平均が0.4%なのに対して、事業所規模で1,000名以上の企業の休業した労働者の割合が0.7%で倍近くあると言うことです。

大企業や官公庁のような巨大な組織は強固なピラミッド組織であり、その中に「クラッシャー上司」が発生するメカニズムがあります。

クラッシャーはあらゆるハラスメントの温床です。そのクラッシャーが上司である場合の部下は大変です。男性の「クラッシャー上司」が男性部下に接する場合「パワハラ」に発展する場合が多く、部下が女性であれば「セクハラ」につながるケースが増えます。

パワハラ、モラハラ、セクハラなどの各種ハラスメントの特徴は、コミュニケーション論の基本である「受け手の決定権」にもとづき、受け手が「そうだ」と感じた時点でアウトです。しかしながら「クラッシャー上司」は親告罪であるハラスメントの性格上、その申告を封殺してしまう恐怖を持っています。

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クラッシャー上司」がなぜ発生するのか?

組織と言う縦社会の中では、上司や上官は絶対です。特に企業はその経営手法(マネジメント)が目的を命がけで達成するための「軍隊」組織から流用・応用されている場合が多く、上意下達のトップダウンも珍しくありません。

特に日本では従来、終身雇用制度に支えられた職業選択の自由が狭い、欧米のような「就職」ではなく「就社」(特定の職業に就くのではなく、会社に所属してその中でいろいろな「職」に就く)が多かった現実があります。

上司に刃向かうことは「クビ」を覚悟することです。

「クラッシャー上司」の特徴は、社内でのポジショニング(位置、地位)です。新入社員では、クラッシャーになれません。潰す部下がいないからです。

多くのサイトや産業医の分析では、「クラッシャー上司」は実績があり仕事ができるので、会社(「クラッシャー上司」の上司やトップ)がクビにしづらいと分析しているようですが、本当に「仕事」ができる人間なのでしょうか?

中には年功序列と社内接待で出世したクラッシャーもいるかもしれませんが、通称「仕事」のできる人間が本当に仕事をしているか考える必要があります。

お医者さまやカウンセラーを批判するつもりはありませんが、「仕事」の本質やマネジメントを誤解しているかもしれません。「クラッシャー上司」のやっていることは「仕事」ではなく「作業」だからです。

過去の実績も未来に通用するかどうかは判りません。大切なのは未来を創る人間です。とりわけ若くて失敗を繰り返してしまうような未熟者です。

部下を持つ上司、マネージャーの仕事の最優先事項は「人を育てる」ことです。企業や組織に新しい価値を生み出すのはロボットやAIではなく人間です。部下の育成をし、組織全体のパフォーマンスを上げ成果を出すことが「仕事」です。

ですから先人の経営者は「企業は人なり」と言う教えを残しているのです。

目先の「作業」ができるクラッシャーを重宝がって使っている、その企業のマネジメントスタイルにこそ、「クラッシャー上司」を生み出す悪しき習慣があります。

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国民のだれもが知る「クラッシャー上司」

日本の大きなある大学の監督とコーチの話です。「クラッシャー上司」の発生メカニズムを、この「事件」で考えてみると現実として実感できると思います。

テレビ番組や新聞報道、インータネットのニュースを読むと次のような特徴がでてきます。

(1)「クラッシャー上司」の上司は「スーパークラッシャー」

(2)成果第一主義

(3)自覚がない

(4)鈍感

(5)罪悪感がない

(6)共感力がない

(7)責任転嫁

(8)権力と恐怖

企業や官公庁の「クラッシャー上司」も共通項があります。つい先日クビになった、どっかの事務次官にも共通しています。彼らの共通した手法は「追い込み」です。状況を作り込んでターゲットが逃げられないように、自ら行動をさせる知能犯だと言うことです。

問題なのは、それが巧妙で全ての仕掛けを同時多発的に行っていることです。とても頭も良く隠蔽工作も得意です。パワハラとモラハラを絡めて攻めてきます。そして、相手が女性であればそればセクハラに発展します。夜中に女性を酒席に呼び出す時点でセクハラなのに「来たヤツが悪い」とのたまう開き直りも「クラッシャー上司」の特徴です。

言動にも共通項があり壮言大語なことを、一人称(私、僕)ではかたらず、二人称や三人称で話すことです。

「〇〇部は・・・」「〇〇社は・・・」「〇〇国は・・・」

 

70年以上前の狂人も同じようなことを言っていました。

「我々はついに将来の領土獲得政策へ移行する。我が民族の子孫のため、領土獲得はもはや権利ではなく義務である。」(アドルフ・ヒトラー「我が闘争」より)

この狂人のNO.2ハインリヒ・ヒムラー(1900年10月7日 – 1945年5月23日)は、親衛隊を作り徒党を組んで自分の地位保全もし、ユダヤ人等の大量虐殺(ホロコースト)を組織的に実行したのは衆知の史実です。

 

「クラッシャー上司」は企業や組織にとってのクライシス

「クラッシャー上司」の存在は、今や企業や組織にとってクライシスです。リスクではありません。存在自体が企業を「ブラック企業」化し、さまざまなハラスメントを生み出す、映画「エイリアン」の卵のようなものです。

「クラッシャー上司」が「クリエイティブ上司」に変身する以外は、躊躇せず「焼き払う」ことです。なまじ「実験材料のために活かしておこう」などと考えると「エイリアン」の結末のように全てを失う羽目になります。

どこかのチームの監督ではないですが、「クラッシャー上司」は無自覚に有能な人材をクラッシュして行きます。なまじ自覚がないので始末が悪いのです。パワハラ、モラハラ、セクハラなどの各種ハラスメントも、当の本人には「悪気」がないのです。「悪」自体の認識能力が欠如しているものクラッシャーの特徴です。

コンプライアンスの徹底は、企業価値を高めるようなものではなく、遵守しなければ社会的存在を失うマスト事項です。

コンプライアンス推進が求められるのには背景があります。それは、企業の社会的な責任(CSR)がかつてなく求められる時代になったからです。コンプライアンスは単に法令遵守と言う違法行為をしなければ良いというような消極的なものではなく、企業理念や社会的倫理、社会規範を守り積極的に組織や社会を良くしていこうと言うものです。

「クラッシャー上司」はあらゆるハラスメントの培養土なので、そこから芽吹いた毒草は企業を滅ぼします。中間管理職の場合はその上司が適切な対応をとれば危機は回避できますが、「クラッシャー経営者」の場合には最悪です。

株主からすれば、コーポレート・ガバナンスを徹底させ、そのような「クラッシャー経営者」を発見し排除しなければなりません。もし、筆頭株主だった場合は公的機関や行政が対応するしかないでしょう。

その公的機関や行政のトップや側近がクラッシャーだった場合は、国民が牽制する必要があります。

 

まとめ

「クラッシャー上司」の存在は企業や組織にとっては、致命的な要因を引き起こす「時限爆弾」のようなものです。その対応方法を誤ると多大な経営損失を生むだけではなく、最悪、倒産や組織の解体までに繋がります。「クラッシャー上司」のまわりには、パワハラ、モラハラ、セクハラが蠢いています。クラッシャーには友達が少ないので、パワハラ、モラハラ、セクハラを友達にしているのです。

企業は学校ではないので、「いじめっ子」を排除する権利を持っています。一時的な損失に臆することなく、トップマネジメントとしての決断が必要です。

治るガンであれば治療の努力をし、そうでなければ「切除」する。優秀な外科医のような決断が求められます。ガンと同じで早期治療が患者(会社)を救います。

メンタルヘルス不調による損失の全てが「クラッシャー上司」のおかげだとは言いませんが、数兆円の損失を日本社会に及ぼしていることは間違いありません。

これからは、オブラートに包んで「クラッシャー上司」と呼ばす、ずばり日本語で「破壊上司」「破砕上司」と呼んだ方が良いかもしれません。文字通り、企業や組織の「破壊者」なのですから。

 

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