イシュードリブンとは?めきめきと生産性が上がる思考法

イシューの意味を知ってイシュードリブン思考をしよう

イシューの意味を把握して、イシュードリブンな思考を身につけると生産性が向上します

なぜなら、イシューを自分で見つけられるようになるからです。さらに、イシューツリーを活用すれば、問題や現状の全体像が把握しやすくなります。そこで今回の記事では、イシューの意味やイシュードリブン思考、イシューツリーについてわかりやすく解説するのでぜひご参考になさってください。

イシューの定義と意味とは?

イシューは英語で「issue」と書き、「論点・争点」という意味です。英語の意味は「多くの人々の利益に影響する社会的・政治的問題において、議論されたり論じられたりすることが多い事柄」を指します。つまり、イシューとは「重要な課題や問題」という意味でよく用いられます

もしくは、「白黒をつける必要のある重要な問題」という表現でもよいでしょう。問題を解く前に、まずはどのような問題が重要なのかを理解しなければならないため、イシューを見極めることはとても大切です。

イシューとプロブレムの違いとは

イシューと混同されがちな言葉に、「問題」という意味を持つ「プロブレム」があります。イシューとプロブレムでは言葉のニュアンスが異なり、プロブレムは「間近に迫っている問題」、イシューは「より長期的な課題」というようなニュアンスです

プロブレムは「クライアントと連絡がつかない」など偶発的かつ早急な問題を指し、イシューは人材確保や業務効率化など長期視点の課題を指します。それぞれ異なるニュアンスを持つ言葉なので、間違った使い方をしないように気をつけましょう。

イシューを使った例文や言葉

イシューを使った例文や言葉について解説します。例文や言葉を知ることで、イシューのニュアンスがつかみやすくなるでしょう。

イシューの特定

イシューを用いた言い回しでもっともよく使用されるのが「イシューの特定」というものです。この言い回しは、「今、何を考えるべきなのか」という論点やテーマを見定めることを意味します。仕事では常に状況を把握し、どうすれば改善できるのか考えなければなりません。

課題をクリアするためには、何が課題なのか見極める必要があります。これが「イシューの特定」です。「まずはイシューを特定する」と言われたら、現状の課題や論点を見定めることを意味します。イシューの特定が見当はずれだった場合、どのような緻密な論理も役に立たなくなってしまうでしょう。

クリティカルイシュー

イシューの重要度を示す言葉が「クリティカルイシュー」です。クリティカルは「極めて危ない状態であること」を指し、「重大な」「危機的な」「致命的な」「批判的な」などの意味があります。したがって、クリティカルイシューとして使うときは「重大な」という意味が当てはまります

ビジネスシーンにおいてクリティカルイシューは、プロジェクトを揺るがす重要な問題や重要度の高い案件を指します。個人のミスや作業の改善点など、小さな問題では使わないようにしましょう。

クリティカルシンキングにイシューは不可欠

ビジネスの思考法の1つである「クリティカルシンキング」にイシューは欠かせません。クリティカルシンキングとは日本語で「批判的思考」と訳されます。感情や主観に流されずに物事を判断し、「本当に正しいのか」と常に疑問を持って、客観的な判断を可能とする思考法です

批判的に「疑問を持つべきイシューは何なのか」を常に問いかける思考法とも言えるので、クリティカルシンキングにイシューは必要不可欠です。イシューを最適に設定することで、クリティカルシンキングは適切な結論や判断を導けるようになります。

イシュードリブンとは?

○○ドリブンは「○○をもとにした」「○○を起点とした」という意味になります。たとえば、データドリブンは「データをもとにした意思決定」で、イシュードリブンは「イシューをもとにした意思決定」となります

ドリブンとは英語の「drive」の過去形である「driven」から来ており、「~に突き動かされた」という意味です。

イシュードリブン思考のメリット

イシュードリブンを身につけるメリットが下記の3つです。に

  • 何を考えるべきかわかる
  • 仕事の生産性が上がる
  • チームの考える力が育てられる

それでは1つずつ解説していきます。

何を考えるべきかわかる

1つ目のメリットは、何を考えるべきかがわかることです。

「何かをしなければいけないが、何をすべきかわからない」という状態に陥ったときは、イシューを洗い出すことをおすすめします。重要な課題を洗い出してリストアップし、優先順位をつけることで、今、何を考えるべきか自ずと答えが出ます。

仕事の生産性が上がる

イシュードリブンは仕事の生産性を上げます。

生産性は「生産性=成果÷労働時間」で測られ、同じ労働時間でより質の高い成果を出せるようになれば、「生産性が向上した」と言えます。

労働時間には限りがありますが、イシュードリブンで、より重要度の高い仕事に取り組めば大きな成果を出すことが可能です。したがって、優先順位をつけて、優先順位の高いイシューに取り組むようにしましょう。

チームの考える力が育てられる

チームがイシュードリブンに取り組めば、チームメンバーの考える力が育てられます。

たとえば、売り上げの低迷に直面したときは「原因は何か?」というイシューに取り組みましょう。最初はイシューに対していくつかの仮説をセットにすると考えやすくなります。仮説の例を挙げると「営業力が原因」や「商品の質が原因」などです。

段階を踏んで検討を重ねることで、チームの考える力を育てられます

イシューの選択基準

イシューはどのように優先順位をつけて選択すればいいのでしょうか? イシューを選択する基準は下記の3つです。

  • 本質的かどうか
  • インパクトの大小
  • 問題が解けるか否か

イシューの優先順位によって仕事の生産性は大きく変わるため、選択基準を明確化して良質なイシューに取り組めるようにしましょう。

 

それでは1つずつ解説していきます。

本質的かどうか

イシューの選択基準の1つ目は「本質的かどうか」です。本質的なイシューは与えるインパクトや影響が大きくなります。

例えば、「売り上げ低迷の原因」を考えたときに「営業力の低下」と「市場規模の縮小」という2つのイシューを見つけたとします。この2つのイシューのうち、どちらがより本質的なイシューかと言えば「市場規模の縮小」です。

「営業力の低下」というイシューでは、何らかの営業活動への施策が求められます。しかし、市場規模の縮小では戦略レベルの根本的な見直しをしなければなりません。したがって、「市場規模の縮小」の方が本質的なイシューとなります。

インパクトの大小

イシューを選択するにあたって、インパクトや影響の大小は無視できません

多くの企業は無数の問題を抱えており、その問題に対してかけられる労力や時間は限られます。したがって、すべての問題を解決することは不可能です。そこで、インパクトや影響が大きいイシューから取り組む必要があります。

また、影響の大きさに対して、かける労力は比例しないため、影響が小さいイシューに取り組むより、大きなイシューに取り組む方が効率的です。インパクトの大小でイシューを選択することで生産性を向上させられるでしょう。

問題が解けるか否か

イシューを選択するときに考えてほしいのは「そのイシューが解決可能かどうか」です。どんなに本質的でインパクトが大きいイシューだったとしても、解決できないのであれば意味はありません。今、持っているリソースでそのイシューが解決できるか常に問いかけるようにしましょう。

現時点で解決できないイシューはひとまず放置して、解決可能な範囲内でインパクトの大きなイシューから取り組むことが効率化のコツです。

イシュードリブン思考の鍛え方

イシュードリブン思考は意識的に鍛える必要があり、そのポイントは下記の5つです。

  • 問題意識を常に持つ
  • 文脈や背景に照らし合わせて問題を考える
  • 視座を上げて問題を捉える
  • 問題の前提を疑う
  • 問題を多角的に解釈する

それでは1つずつ解説していきます。

問題意識を常に持つ

イシューを特定する力とは、問題意識のことです。イシューを見つけられる人は仕事への当事者意識が強く、問題意識を常に持っています。問題には「すでに発生している問題」と「これから発生するかもしれない問題」の2つがあり、問題が与えられるのを待っている人は、「すでに発生している問題」しか解けません。

一方、当事者意識や問題意識が高ければ「これから発生するかもしれない問題」というイシューを突き止められます。常に問題意識を持つことこそ、イシュードリブン思考でもっとも大切なことです。

文脈や背景に照らし合わせて問題を考える

文脈(コンテクスト)に照らし合わせることは、イシューを考えるうえで非常に重要です。たとえば「売り上げを上げる」というミッションの背景に「売り上げが低下し続けている」という事実があるとします。であれば、、イシューは「なぜ売り上げが低下し続けているのか」になります。

もしくは、「売り上げが拡大し続けている」という事実があるのなら「売り上げ加速に必要なことは何か?」がイシューです。同じミッションであっても、文脈や背景が異なればイシューも異なるため、コンテクストに照らし合わせてイシューを考えましょう。

視座を変えて問題を捉える

イシュードリブン思考を鍛えるときに役立つことが、視座を変えて問題を捉えることです。視座とは物事を見る立場のことで、視点や視野、価値観とも呼ばれます。

たとえば「経営者視点で物事を考える」というのも視座を変える方法の1つです。

視座を変えてイシューを捉えなおすことで、さまざまな要素が見えてくるため、

問題解決の方法があっさりと見つかることがあります。

問題の前提を疑う

問題の前提を疑ってみることも大切です

たとえば、「待ち時間が長い」というイシューを、あなたならどのように解決するでしょうか。飲食店であれば回転率をよくするため、料理を提供する時間を短縮する方法が考えられます。宅配であれば、出荷作業の効率化やトラックの大型化で待ち時間を短縮できるかもしれません

一方、「待ち時間を短くする」以外にも解決する方法はあります。歯医者や美容室では雑誌を置いておくことで、待ち時間を長く感じさせない工夫をしています。前提条件を疑うことで、他のイシューや解決策が見つけられることもあるでしょう。

問題を多角的に解釈する

イシューを考えるときは多角的に捉えることが必要です。商品に対する捉え方1つ取っても「ユーザーの視点」「開発者の視点」「営業の視点」「経営者の視点」など多くの視点が考えられます。仕事上のイシューにしても「上司の視点」「同僚の視点」「部下の視点」から検討してみると違った面が見えてくるはずです。

問題を多角的に解釈することで実像が明確になり、よりベストな解決策に近づけます。

イシューツリーとイシューアナリシス

課題や問題はツリー形式にすることでスッキリとわかりやすくなります。ロジックツリーの中でもイシューツリーはよく使用されており、ツリーにすることで全体像を把握しやすくなるのです。

イシューツリーのようにイシューを解析、分解する方法をイシューアナリシスと言います

ここでは、イシューツリーとイシューアナリシスについて解説していきます。

イシューツリーとは

問題の解決や仮説の検証の際に用いられるのがイシューツリーです。イシューツリーでは、まず仮説を設定し、その仮説へのサブイシューを細かく記載していきます。サブイシューでは対策や現状の課題が設定され、最初の仮説に対してサブイシューを何層にも渡って追記するので、シルエットが木のようになります。

イシューツリーと呼ばれるのはこれが理由です。ツリー上にイシューを展開することで、現状や具体的な問題の把握ができます

イシューアナリシスとは

イシューアナリシスとは、イシューを構造的に分析する手法のことです。イシューツリーもイシューアナリシスの一種で、最初に立てた仮説に対してサブイシューを追記していき、成否が判断できるボトムイシューにまで分解します。

ボトムイシューの成否を判断することにより、メインイシューの成否が判断できます。イシューを細かく突き詰めて分解し、それぞれのイシューを分析していくことがイシューアナリシスのポイントです。イシューアナリシスはロジカルシンキングでも重視されています。

イシューツリーの作成方法

イシューツリーをどのように作成するのか、具体的な手順について解説します。ロジックツリーにはイシューツリーの他に、ホワットツリー、ホワイツリー、KPIツリーなどがあります。どれも同じような手順で作成することができるので、覚えておいて損はありません。。

また、イシューツリーを作成するにはマインドマップが非常に有効です

イシューの候補をリストアップ

イシューツリーにはメインイシューとサブイシュー、ボトムイシューがあります。

まず、メインイシューを設定して、そこからサブイシューをリストアップしていきます。たとえば「利益を増やす」がメインイシューだとすると、サブイシューは「売り上げを増やす」「コストを下げる」といったものになるでしょう。

さらに、この下に「数量を増やす」「単価を上げる」「原価を下げる」などが続きます。ボトムイシューは、これ以上イシューを細かく分解できないサブイシューです。リストアップするときは、ひとまず重要度や優先順位を考慮する必要はありません。このようにリストアップしていくと、全体像が見えてきます。

各イシューの重要度・優先順位の決定

次に、書きだしたイシューの関係性や重要度、優先順位を考えましょう。抽象度が高いイシューや、曖昧でわかりづらいイシューはさらに掘り下げて分解します。優先順位や重要度の高いイシューは上位に、低いイシューは下位に配置しましょう。

イシューツリーとして整理

イシューの重要度や優先順位が整理できたら、イシューツリーにして整理していきます。枝葉となる細かいイシューは取り除いてもよいでしょう。ツリー状に整理して可視化し、共有可能な状態にすると、考えるべき問題が何か具体的に見えてきます。

イシューを知るのにおすすめの書籍2選

イシューについて知るための書籍を2冊紹介します。どちらも名著なので、より深くイシューについてを知りたい方におすすめします。

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

安宅和人の著作、「イシューからはじめよ」はで2010年に発行されました。イシューを扱った書籍の中で名著と言われている一冊です。本書が主張しているのは「間違った前提は間違った結論を生む」ということ。つまり、何が問題かを見極めることの重要性を本書は説いています。

本書ではイシューを「本当に答えを出す価値のある、解決すべき課題」としています。そして、本当に解くべき課題かどうか見極めることも求められます。問題設定を正しく行わないと、アウトプットも無駄になってしまうため、問題設定をイシューからはじめることが大事です。

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」は内田和成が2006年に発売した書籍です。

「情報が多ければ多いほど、よい意思決定ができる」と信じている人は多いのではないでしょうか。だからこそ、できるだけ情報を多く集め、分析し、解決策を導き出そうとします。

しかし、情報は無数にあるため、多くの場合は情報収集をしている間に時間切れになってしまいます。そこで、本書で勧められていることが、仮説思考を身につけることです。「仕事が速くて優れた成果を出すコンサルタントはみんな、仮説を持って仕事をしている」と本書は説きます。

まとめ

イシューとは日本語で「重要な課題」という意味です。

間近に迫った偶発的な問題であるプロブレムとは異なり、長期的な課題というニュアンスがイシューにはあります。イシューからはじめる思考法をイシュードリブン思考と呼び、その効果は「課題を見つけ出せる」「仕事の生産性が上がる」「考える力が育てられる」などです。

また、イシューの選択基準やイシュードリブン思考の鍛え方では「問題意識を常に持つ」「コンテクストに照らし合わせる」などが重要です。イシューとは何かをしっかりと把握し、イシュードリブンな思考法を身につけて仕事の生産性を上げましょう