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インドの天才少年が予言したイノベーションの本質「AIは人工知能ではない」の意味とは?

新型コロナウイルスの到来を予言したと一躍有名になったインドのアビギャ・アナンド氏(14歳)。

彼はパンデミックの到来を予言したが、ここでもう一人、イノベーションの本質を言い当てたインドの天才少年がいた。

「AIは人工知能ではない」

そう語るのはタンメイ・バクシ氏。日本で注目され始めたのは2019年、この時バクシ氏は齢15歳だ。

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インドの天才少年の予言「AIは人間の拡張機能でしかない」

AIは人間の拡張機能でしかない

世界を飛び回り、ビジネスカンファレンスでの講演などを続けるインド出身の少年、タンメイ・バクシ氏。

現在17歳の彼は幼い頃からプログラミングに興味を持ち、5歳からコードを書くようになり、9歳の時にはiOS向けアプリを開発した。

その後、12歳でIBMのAIプラットフォームのプログラマーとなり、現在名誉クラウドアドバイザーの称号を持つ。

Googleでも開発者としての活動を始めていて、また、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズも登壇した国際会議、TEDのスピーカーとしても活躍している。

医療分野を始めとするプロジェクトも次々と立ち上げている。

その彼が2019年のビジネスカンファレンス「Sansan Innovation Project」で主張したのが、「AIは人工知能ではない」ということだ。

「どんな人間よりも複雑で大量な計算をこなすコンピューターをなんと呼ぶべきか?という議論があります。なぜ私がAIという言葉を使わず、機械学習と呼ぶのか?そもそもAIとは何か?これは根本的な問いです」

もちろん、彼は様々な現場でのAIの導入には積極的だ。しかし、現代の風潮にある過剰な期待を切って捨てた。

AIの研究は、人間の会話を再現するところから始まり、近年ではAIでモーツァルトなどの名曲、あるいはゴッホの名画を再現する試みなどがなされている。

しかし彼の主張は、AIとは人間のクリエイティビティを再現するものではなく、あくまで人間の知能を拡張する「拡張知能」と呼ぶべきだ、というのである。

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インドの天才少年の予言人間機能の拡張とは?

人間機能の「拡張」

「人間の知能を拡張する」とはどういうことだろうか。

その意味を理解するには、以下2人の知の巨人を紹介する必要がある。

  • マーシャル・マクルーハン氏「メディア論」
  • 梅棹忠夫氏「情報の文明学」

マーシャル・マクルーハン氏「メディア論」

カナダの文明評論家、マーシャル・マクルーハン氏(1911~1980年)の「メディア論」という代表作が出版されたのは1964年のことだ。

難解な書物と言われつつも、その基本的な理論は現代のコンピュータ社会を予言したものとして今なお名高い。

その中の一つが、「人間機能の拡張」という概念だ。

マクルーハン氏曰く「文明は人間機能を拡張するために進んでいく」という。

例えば産業革命以来、人間は様々な人工物を製造してきた。

その産物は、

  • 自動車は足の拡張=人間の足では不可能な距離を移動できるようになった
  • ナイフは歯の拡張=人間の歯では噛みきれないような硬いものを切れるようになった
  • ラジオは耳の拡張=人間の耳では聞こえないはずの距離にある音を聞くことができるようになった

というものである。

その先に、電子メディアは地球をひとつの村のようにするという「グローバル・ビレッジ」という言葉を使っている。

まさに現代のインターネット社会そのものを予言したものと言えるだろう。

梅棹忠夫氏「情報の文明学」

マクルーハン氏と同じように「情報産業」についての未来を言い当てたのが日本の文化人類学者、梅棹忠夫氏(1920~2010年)だ。

その著書の中では以下のように説明されている。

人類の歴史を、産業発展の歴史としてみるとき、それは三つの段階をへて展開するものとわたしは考える。第一の段階にあっては、人間はたべることに終われる。産業としていえば、主として農業による食料生産の時代である。(中略)
第二期は、主として工業によるエネルギー生産の時代である。それはいわば、人間の労働力の産業化であり、(中略)
第三期の特徴は、もはやあきらかであろう。有機体としての人類のもうひとつの側面、脳および神経系を中心とする外胚葉性諸器官の機能の産業化が軌道にのる時代である。

「情報の文明学」p69

記憶や計算、反応、といった人間が持つ脳や神経系の機能が「拡張」「機械に外注」されるというのである。

話をタンメイ氏に戻そう。

彼が「拡張知能」と呼ぶものは、まさに人間の「知能」を「拡張」したものである。

裏を返せば、人間の頭には入りきれない記憶力や、人間の頭では追いつかない速さの計算力を製品にしただけのもの、ということだ。

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インドの天才少年の予言:AIから地動説は生まれない

「AIから地動説は生まれない」

実際、AI将棋というイベントがあり、AIが大幅に勝ち越している。どうやら人間を超えてしまったらしい。

覚えられる手数の量、分析力、確率の弾き出し方は人間の比ではない、それが実証された形で、目を見張るものがある。

一方で先日筆者は、マンションを売却するために不動産業者に査定を頼んだ。

ある会社から提示された査定額は、過去の近隣物件の取引状態をインプットして「AIによる分析」で弾き出したものだという。しかしこれが、とんでもない高値だった。

こんな価格は他の会社ではまず出てこないし、住んでいた本人もありえないと思ってしまった。

データの蓄積、変化時の対応力はすごいのだろう。

しかし、営業するのは人間であり、そして人脈を通じた「この人なら買ってくれるかも」という「カン」や「思いつき」である。

それなしに、正確な査定はできないのではないだろうか。

その意味で、タンメイ氏の考え方の象徴的な発言がこれだ。

「機械学習で地動説は生まれない」

繰り返すがタンメイ氏は、AIを否定しているわけではない。

「コンピューターで天動説は間違いだ、と指摘することは可能でしょう。しかし、人間のクリエイティビティの結晶である地動説というアイディアを出すことは、コンピューターを使っていくら機械学習したところで不可能です」

これに尽きる。

現在「AI」と呼ばれている技術そのものでは、イノベーションは生まれないのだ。

近年なんとなく、「ITやAIの導入量=イノベーションの度合い」のように捉えられる向きがある。

AIで人間の仕事が奪われる、という都市伝説までささやかれている。

しかし、どこまで行ってもそれは「機械学習」である。

機械は「ミスコピー」はしないだろう。人間より、正確性の上でも優れているかもしれない。

しかし、何を教えるか判断するのは人間である。

ガリレオの時代に今のようなAIが存在したらどうだろう。

ガリレオは、地動説を証明するためのデータをAIに吹き込むだろう。

そして宗教者は聖書を全文、その解釈まで含めてAIに吹き込むだろう。

どちらも「教えられたことには従順」である。

しかしこれでは、どちらが正しいのか解決はできない。コンピュータは、学習したものを疑わないからだ。

インドの天才少年の予言バグとミスコピーこそ、イノベーションの種

バグとミスコピーこそ、イノベーションの種

AIがいくら優れた「拡張知能」であっても、機械である以上バグが発生する。そしてそれを修正するのも人間である。

むしろこの作業を繰り返して、AIはより正確性を上げていく。

こちらの作業こそ、イノベーションには必要なものだ。

有名な話だが、毎日オフィスで見かける「ポスト・イット」は、そもそも粘着力の強い糊を作ろうとしていたのに、「よくつくけれど簡単に剥がれてしまう」ものができてしまった、その失敗が始まりである。

これを「失敗」に終わらせず、「それならよくついて簡単に剥がれるこの性質を何かに活かせばいいじゃないか」。その時、オフィスの光景が浮かぶかどうかは、記憶力や計算量だけの問題ではない。

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ポテトチップスに至っては「嫌味」から生まれている。

フレンチフライを厚く切りすぎだ、と客から苦情を受けた料理長が、紙のように薄く切ったポテトを揚げて提供したところ、気に入られたというのだ。

こんな嫌味をコンピュータが思いつくだろうか。

また、大きな話になるが、動物の進化は「DNAのミスコピー」から生まれたという。そこにはラッキーなミスコピー、アンラッキーなミスコピーもあっただろう。

しかしそこから、生き物は形態を変えていったのだという。「あ、こっちの方が便利じゃん」ということの積み重ねでもある。

環境の分析によって強制的に形の変化を導き出したものではない。

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インドの天才少年の予言「共に成長する相棒」であれ

「共に成長する相棒」であれ

AIと人間の関係、というものを一度考えてみてはどうだろう。

主従関係を間違ってはいけない、ということである。

AIが導き出した答えが人間の推測と違っていた時、「AIの方が正しい」と思い込む人がいる。しかし本当にそうだろうか。

必要なのは、その「ズレ」が何なのか考えることではないだろうか。

AIはその膨大なデータの取り込みと圧倒的な計算速度から、進歩するにつれてより具体的なアウトプット=提案をする存在になっている。

これは、本来なら時間がかかっていたトライ&エラーを繰り返せる回数がAIによって増えた、と捉えててはどうだろうか。

どんな風に係数を変えても、瞬時にそれに応じた結果(の一例)を見せてくれるのである。

AIに学ばせ、AIから学ぶ。それが、AIと人間の関係ではないだろうか。

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