まもなく迎える新卒社員の入社にあたり、どのように新卒社員を育成していくかは企業にとって大きな悩みとなっているのではないだろうか。
これまで配属先に育成を任せてきたが、現場では育成に手が回らないため、職場全体で育てよう、と考える企業が増えてきている。
だが、このような取り組みによって新卒社員は成長するどころか、迷いが生じてつぶれてしまう可能性があるのだ。
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目次
誰の指導内容を聞けばよいのだろうか?
職場全体で育てるため、配属先の直属の上司だけでなく、別の部署の先輩、上司が指導、評価することになるが、そうなると新卒社員に対する指導する内容も指導者によって異なったものになってしまう。例えば、新卒社員に対し直属の上司は「60点の出来で良いので、必ず期限までに提出せよ」と指導し、別の先輩は「まずは時間よりも自分が納得する出来のものをつくることが大事だ」などと指導するのである。
こうなると、新入社員は「どちらの指導を聞けばよいのか」という迷いが生まれ、混乱してしまうのです。
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自分の上司は正しいのだろうか?
直属の上司以外が新卒社員の相談を受ける場合はどうなるのだろうか。
直属の上司の指示内容に「自分の上司から60点でも良いから提出しろと指示されたが、私は100点にしてから提出したいのですが、どちらが正しいのでしょうか?」と相談をされた場合、ついつい新卒社員の言い分に同調してしまうことがある。「君の言う通りだね」や「それは確かに上司が良くないな」など同調すると「自分の上司は正しくなかったのだ」などと上司を評価してよいという錯覚が生じる。その結果「上司の指示に従って結果を出すという役割を果たさなくていいんだ」という誤った考えを持つことにつながってしまう。
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何をすれば評価されるのだろうか?
また、直属の上司以外は普段の仕事ぶりを見ることが難しい中での指導になるので、あいまいで感覚的な評価をしてしまうことが多くなる。たとえば「夜遅くまで残って頑張っているね」「君の対応は丁寧だね」などと仕事の結果ではなく、頑張りや仕事のやり方を労い、評価することになるのだ。そうなると新卒社員は「売上成績などの結果ではなく、残業など頑張りを評価されるのか」と考え、結果ではなく例えば遅くまで残って頑張っていることをアピールするようになる。しかしながら、実際に賞与や上司からの評価は売上などの結果に基づくものになることが多く、結局「何をすれば評価されるのか?」と迷い、不満を持つことにつながるのだ。
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やるべきことは部下が迷わないようにすること
このように職場全体で新卒社員を育てようとすると、部下に多くの迷いが生じてしまい、ストレスがかかり最終的には離職につながってしまう。
では、新卒社員育成のために何をやるべきなのか、それは明白である。「部下が迷わないようにすること」だ。
そのために、最初にすべきことは部下の指導、育成を直属の上司一人と決めることである。そして、直属の上司以外の人間は新卒社員から相談を受けても「それは直属の上司に確認しなさい」と返答することも忘れてはならない。そうすることで新卒社員は直属の上司との位置関係を理解し、上司の指示に従って結果を出すという役割であることを正しく認識できるようになるのだ。
そして上司は新卒社員に明確な目標設定することで部下を迷わせないことが重要である。ここで気をつけなければならないのが、「頑張っている姿」を評価してはいけないということである。上述の通り頑張る姿を褒めると頑張りをアピールするようになってしまうからだ。求める結果を明確に設定し、その結果を正しく評価することでしか、成長しない。
部下は迷うことさえなければ、いずれ成長する。その責任を負うのは職場全体ではなく、直属の上司一人にすべきである。
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