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古代ギリシャの哲学者は「リーダーシップ」をどう考えたのか

「思ったように部下が動いてくれない」
「上司がアイデアを理解してくれない」
ビジネスをやっている人であれば、ありがちな悩みです。
ほとんどのビジネスでは人を動かす必要があるので、必ずつきまとう課題といっても良いでしょう。

他人に投資をお願いするとき、商品を買ってもらうとき、私たちは他人を動かそうとします。
特に大きな会社のマネージャーともなると、大勢の部下に仕事をしてもらい、成果を出さなければなりません。

ではどのようにすれば、
「いつまでになにを、なぜやって欲しいのか」
「この商品は御社のためになるので、ぜひ契約して欲しい」
とスムーズに理解し、あるいは動いてもらえるのでしょうか。

 

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議論上手は相手を動かせるのか?

 

「論理的に他人を説得できたら、うまく他人を動かせるのでは」と思うかもしれません。

しかしロジカルな人たちであれば、他人を動かすのも上手かというと、必ずしもそうではないようです。

議論で相手をコテンパンに「論破」し、結果として動いてもらったとしても、それは良い結果とならないでしょう。
負けた相手の多くは心にわだかまりを持ち、中には「いつか仕返ししてやる」とすら考えてしまうこともあるからです。

ビジネス書として有名なカーネギーの「人を動かす」には、「議論を避ける」という章があるほどです。

このように、人を動かすことの難しさは古来から悩みのタネであったようですが、古代ギリシャ時代の哲学者たちはどのように、解決を図っていたでしょうか。

山口周さんの「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」(角川書店)では、ビジネスパーソンこそ哲学を学ぶべき、という思想に基づき、プラトンからニーチェ、アラン・ケイに至るまでのさまざまな思想を、シンプルな言葉で解説しています。

山口さん自身は哲学者ではなく、イノベーション、組織開発を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループのシニア・クライアント・パートナーで、一橋大学経営管理研究科の非常勤講師でもある方です。

 

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まずは論理が重要

 

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは「ロゴス・エトス・パトス」が必要だと言いました。
つまり、人が動くには「論理」「倫理」「情熱」が必要だということです。

論理だけで人は動かない、とはいえ、「主張が論理的であるのは基本的には重要だ」と説いたのです。

人が納得して動くためには論理が無茶苦茶では難しい。論理が通っていないと、人は理不尽と感じたり、フラストレーションを感じたりするのです。

しかし人は感情の動物なので、論理だけでは動きません。

論理思考に優れたコンサルタントが往々にして事業会社に移ってから苦戦するのは、論理によって人が動くと誤解しているからです。[1]

ではその他にアリストテレスが一体何を重要視したかを見てみましょう。

 

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倫理がないと仕事は辛いものになる

 

次の「エトス」とは倫理のことです。

ということでアリストテレスが次に挙げているのか「エトス」です。「エトス」とは、エシックス =倫理のことです。いくら理にかなっていても道徳的に正しいと思える営みでなければ人のエネルギーを引き出すことはできません。[2]

ちょっと例を挙げてみます。
筆者自身も以前、お金のために、「これは世の中の役には全く立たないな」と思われるような仕事を引き受けたことがあります。

ところが、まったく仕事が進まないのです。

「こんなことやってて、一体なんの意味があるんだろうか」と思うと、どうにもやる気にならないのです。
気が進まないので、なかなか手につかず、結局膨大な時間を無駄にしてしまったことがあります。
結局、自己肯定感が下がると感じ途中で投げ出してしまい、相手にも迷惑を掛ける結果となりました。

このように、仕事とは
「実は社会のためになってないんじゃないか」
と疑問が出てきてしまうと、モチベーションが上がりにくくなります。
倫理観だけではなく、
「このことによって誰かに不利益が出るのでは」
という人によってはやりづらいでしょう。

とはいえ、倫理観は人によって異なります。
「私はまったく気にしませんよ」って割り切って仕事できる方もいるわけで、そういう人たちに仕事をしてもらえればいいわけです。適材適所だと思います。

 

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最後は情熱が人を動かす

 

そしてさらに大事なことは、人は感情の動物なので最終的には情熱がないと動かないということです。

これをアリストテレスは「パトス」と読んでいます。

本人が思い入れを持って熱っぽく語ることで初めて人は共感します。

手に胸を当てて想像してみて欲しいのですが、もしシラけきった表情の坂本龍馬が、つまらなそうに維新の重要性を訴えていたとしたら、あれだけの運動起こすことができたでしょうか?[3]

筆者も、本心で思っていないことを書いた文章は、いくら上手にまとめてみたところで結局読者にばれるという経験を何度もしています。

 

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アリストテレスの説の危険性

 

面白いことに、アリストテレスのこの意見には、反対意見もあります。

そもそも「言葉で人を動かす」と言う考え方に反対していたのが、アリストテレスの師匠筋である、ソクラテスです。

ソクラテスは、リーダーにはレトリック(表面上の言葉)が必要だというアリストテレスの主張に対し、真実に至る道はダイアログ=対話しかない、といいます。

なぜ、ソクラテスがそういうことをいうのかというと、レトリックというのは「まやかし」だと言うんですね。言葉巧みに弁舌を振るって、人を動かしてしまうような技術というのは、人心を誤らせる、ということです。[4]

おそらくアリストテレスか、俺について来い! と言うような演説巧みなリーダーだとしたら、ソクラテスは部下一人ひとりと対話をし、それぞれの意見を取り入れるような対話型のリーダーに近いのかもしれませんね。

 

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何が人を動かすのか、は古代から続く議論である

 

リーダーシップにおいて「言葉だけで人を動かせるか」はさらにプラトンが考察していますが、この議論にも答えはありません。

リーダーとなる人は、結局のところ、自分のリーダーシップのスタイルを、自分で失敗しながら作り上げていくしかないということなのでしょう。
そしてその時に、古代哲学者たちの議論から学ぶことが、大きな助けになるはずです。

哲学書そのものは難解かもしれませんが、本書のような読みやすい書物の助けを借りることで入り口を作り、興味を持った思想を、本格的に深めていく。
本書には文末に哲学ブックガイドがあるので、興味を持った分野に進んでみるのが良いでしょう。

 

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参照
[1]ー[5] 出典 )「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」山口周(角川書店)より


のもときょうこ プロフィル
早稲田大学法学部卒業。損保会社を経て95年アスキー入社。その後フリー。著書に「日本人には「やめる練習」が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。編集に松井博氏「僕がアップルで学んだこと」ほか。

 

 

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