リーダーシップの在り方は時代と共に変化しています。例えば、産業革命が起き、大量生産が可能になった1900年~1920年代は、中央集権的なリーダーシップ(リーダーシップ1.0)が主流でした。
現代はビジネス環境がより多様化したことから、リーダーシップ3.0と呼ばれるリーダーシップが求められています。
本記事ではリーダーシップの歴史や、新たなリーダーシップであるリーダーシップ3.0のポイントについて分かりやすく解説します。
目次
リーダーシップ1.0:権力者 中央集権
リーダーシップの歴史は、リーダーシップ1.0、リーダーシップ1.1、リーダーシップ1.5、リーダーシップ2.0、そして、リーダーシップ3.0の5つのフェーズに分けられます。企業で求められるリーダーシップの在り方は、時代と共に変化してきました。
リーダーシップ1.0は、1900年~1920年代に主流となったリーダーシップのタイプです。1900年~1920年代は、アメリカのフォード・モーターに象徴されるとおり、大量生産の仕組みが初めて導入された時代でした。
フォード・モーターの創立者ヘンリー・フォードが導入したフォード生産方式は、生産する車種を絞り、流れ作業によって生産工程を単純化する点に特長があります。
そのため、企業で求められるリーダーシップも、ヘンリー・フォードのような強力なリーダーが集団をコントロールし、労働者を手足のように使う権力者(中央集権)型が一般的でした。
リーダーシップ1.1:権力者 分権思考
リーダーシップ1.0タイプのように、組織全体を一人のリーダーが取り仕切るのは厳しい面があります。
そのため1920年代以降は、一人の権力者が組織を支配するのではなく、各事業部に責任者を置き、複数のリーダーに権限を委譲する企業が増加しました。この分権思考のリーダーシップをリーダーシップ1.1と呼びます。
ところが今度は各事業部の責任者と、現場の労働者の対立が問題になります。また各事業部の責任者を中心とした縦割り組織が生まれることで、組織の活力が失われ、創造性が低下する弊害も発生しました。
リーダーシップ1.5:調整者
次に台頭したのが、高度成長期の日本企業でも活用された、リーダーシップ1.5です。リーダーシップ1.5は調整者型リーダーとも呼ばれ、家族のように一体感のある組織づくりに特長があります。
例えば、当時の日本企業は終身雇用制度や年功序列制度を打ち出し、労働者に安定した待遇を約束しました。それによって、リーダーと現場の労働者の対立を解消し急成長を果たします。
一方で1990年代にバブルが崩壊すると、ビジネス環境は急速に多様化していきます。日本的な家族経営型のリーダーシップでは、時代の変化についていけず、再びカリスマ性のあるリーダーが求められるようになりました。
リーダーシップ2.0:変革者
リーダーシップ2.0は、変革者型のリーダーシップとも呼ばれます。リーダーシップ2.0を象徴するリーダーの例が、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツです。変革者型のリーダーは、カリスマ性に優れ、トップダウンで組織を変革していきます。
リーダーシップ1.0とよく似ていますが、中央集権型のリーダーが権力を背景にしているのに対し、変革者型のリーダーは個人の圧倒的なカリスマ性を背景に組織全体を魅了していくのが特長です。
リーダーシップ3.0:支援者
2000年代に入って、変革者型のリーダーの価値が低下しました。2000年代以降は、新型コロナウイルス感染症などのパンデミックによる影響のように、ビジネス環境の行く先が読めないVUCA時代とも呼ばれます。
ビジネス上の不確実性が高いVUCA時代において、一人のリーダーが強い権限を持つリーダーシップ2.0はリスクを負います。そこで新しく普及しつつあるのが、支援者型リーダーシップと呼ばれるリーダーシップ3.0です。
リーダーシップ3.0の特長は、リーダーがチームのサポート役となり、メンバーの自律的な行動を促す点にあります。
例えばリーダーがメンバーに奉仕し、本来持っている力を発揮できるようにするサーバント・リーダーシップや、メンバーの仕事ぶりを背後から見守り、影からサポートする羊飼い型リーダーシップなどが一例です。
リーダーシップ3.0を実践することで、チームメンバー一人ひとりの個性が活かされ、チームに多様性が生まれます。
ビジネス上の不確実性が増すVUCA時代にあって、多様な価値観を持ったコミュニティを生み出すリーダーシップ3.0の重要性が、ますます高まりつつあるのです。
リーダーシップの歴史を知り、リーダーシップ3.0を実践しよう
リーダーシップの在り方は、1900年~1920年代のリーダーシップ1.0から現代のリーダーシップ3.0まで時代と共に変わってきました。
2000年代以降は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行など、時代の行く先が見えないVUCA時代と呼ばれます。VUCA時代では、チームを引っ張っていくカリスマ性のある強いリーダーよりも、チームの多様性を生み出す支援者型のリーダーシップが必要です。
リーダーシップの歴史を知り、リーダーシップ3.0の考え方を取り入れながら組織づくりを行っていきましょう。
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