組織を牽引するリーダーを次々と育成していくことを、リーダーシップ・パイプラインと呼びます。企業全体の成長のためにも、長期的な視点に立って次世代のリーダーを育てる仕組みを確立することが大切です。
本記事では、リーダーシップ・パイプラインの考え方や注意点について詳しく紹介します。
目次
リーダーシップ・パイプラインとは?
リーダーシップ・パイプラインとは、組織によるリーダー育成をパイプラインのような形で途切れることなく行う仕組みをいいます。
パイプラインとは補給線を意味する言葉です。高齢化に伴う経営陣のリタイアや離職を機にリーダーは世代交代していくため、企業はあらかじめ次世代のリーダーを生み出し育成していく必要があります。
かつてはリーダーというと先天的な才能や資質というイメージがありました。しかし近年では、適切な教育やサポートを行えば誰もがリーダーになれるという考え方が主流となっています。
組織を引っ張っていくリーダーを育成するためには、企業が一丸となってリーダーの育成に取り組むことが重要です。組織のボトムからトップまで途切れることなくパイプラインのようにリーダーの育成を続けることが、企業の飛躍的な成長へとつながっていくでしょう。
7.2.1の法則
7.2.1の法則とは、米国のリーダーシップ研究の調査機関であるロミンガー社が提唱する法則性です。同社は世の経営リーダーたちに対してどのような経験が有益だったかを尋ね、統計にまとめています。
7.2.1の法則によると、リーダーたちにとって役立った出来事は、7割が仕事上の経験、2割が周りからの助言や行動からの影響、1割が研修です。
リーダーは単に仕事の経験のみで育つわけではありません。上司や先輩からのフィードバックや質の高い研修など、多方面からの支援を行うことが肝心です。
リーダーシップ・パイプラインの6つの転換点
リーダーシップ・パイプライン・モルには6つの転換点があるといわれます。多くの企業では一般社員として経験を積んだのち係長へと昇進しますが、これが第一転換点です。その後、課長や部長、事業部長、事業統括役員、経営責任者へと段階的に成長していきます。
昇進の転換点ごとに、リーダーは多くの問題や課題に直面します。それぞれの転換点に存在しているハードルを超えるための研修や支援をしっかりと設計しておけば、リーダーの育成プログラムはうまく機能するようになるでしょう。
リーダーシップ・パイプラインでは、転換点ごとのアシスト方法を企業全体で構築することが重要視されています。
リーダーシップ・パイプラインは企業の成長に欠かせない
企業がリーダーを育てるための施策を講じることは、企業全体の成長につながっていきます。リーダーシップ・パイプラインにはどのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。
中長期的に活躍できる人材を増やせる
リーダーシップ・パイプラインのメリットとして、自社で中長期的に活躍できる人材を育成できるという点が挙げられます。自社の方針や方向性に応じた指導を続けていけば、社内のチームを牽引できる十分な力や経験を持つリーダーを継続的に育成できます。
自社のシステムを十分に理解し共感しながら仕事ができるリーダーを育成すれば、従業員の離職を防ぐことも可能でしょう。
キャリア形成の道筋になる
リーダーシップ・パイプラインは、社員にとってキャリアアップの機会となります。高い目標を持つ従業員にとって、リーダーシップ・パイプラインはモチベーションアップにも貢献するでしょう。
成長意欲の高い従業員に対して具体的なキャリアを示し、先を見据えながら効率よく育成を進めることが可能です。
近年では不況などの問題から、先行きの不安を抱える従業員が増加しています。こういった時代の中で確かなキャリアを示すリーダーシップ・パイプラインを導入すれば、従業員の不安を払拭することも期待できます。
リーダーシップ・パイプラインを失敗しないための注意点
リーダーシップ・パイプラインを活用するためには時間やコスト、人材に対する意識が必須となります。リーダー育成を効率よく進めていくためにも、失敗を防ぐためのポイントをチェックしましょう。
時間やコストがかかる
リーダーシップ・パイプラインの仕組み化には、まとまった時間やコストがかかります。人材不足や資金不足の問題に直面している企業には、社員の成長をアシストする仕組みの構築に時間やコストをかける余裕がありません。
しかし、リーダーを育成する環境が整っていない状態が続くと従業員が十分に育たず、結果的に従業員が会社から離れ組織力が弱まってしまうことになります。
リーダーシップ・パイプラインを軌道に乗せるためには、ある程度の時間やコストがかかるという点を理解しておくことが大切です。
人手が足りないと仕組みを構築しにくい
リーダーシップ・パイプラインの仕組み構築のためには、多くの人の手が必要となります。しかし、そもそも人手が足りていないという企業では、リーダーシップ・パイプラインに伴う支援や研修を行うことも難しくなります。
優秀な人材の離職が起きやすい企業や新規採用がうまくいかない企業では、リーダーの育成は思うようにいかないことでしょう。
リーダーシップ・パイプラインを適切に構築するためにも、人材が定着するように従業員満足度の向上などから着手するのが望ましいでしょう。
従業員満足度の向上については、こちらの記事も併せてご覧ください。
「ES(従業員満足度)とは? 向上させるメリットや向上方法を解説」
リーダーシップ・パイプラインを構築して次世代のリーダーを育てよう
リーダーシップ・パイプラインとは、次世代のリーダーを安定的に生み続ける仕組みをいいます。人材育成に悩んだときや組織の成長を考えている場合には、社内にリーダーシップ・パイプラインの仕組みを導入してみましょう。
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