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ES(従業員満足度)とは?向上させるメリットや向上方法を解説

社員の仕事や職場環境に対する満足度を表すのが、ES(従業員満足度)と呼ばれる指標です。ESを計測することで、社員の意欲ややる気、やりがい、モチベーションなどの目に見えづらい要素を可視化し、数字やデータで分析できます。

企業はESの変化を注視し、職場環境や評価制度に反映させることが大切です。本記事では、ESの重要性や主な構成要素、向上させるメリットや計測方法を分かりやすく解説します。

ES(従業員満足度)とは?

ES(従業員満足度)とはEmployee Satisfactionの略称で、社員が企業に対して満足している度合いを表す指標です。社員が企業への信頼や愛着を持っているほど、ESも高くなります。

逆にESが低いと、社員のやる気やモチベーションが低下したり、離職率が上昇したりする傾向にあります。ESは、社員の状態を把握するためのバロメーターともいえるのです。ESの数値を参考に、職場環境や評価制度を見直しましょう。

ES(従業員満足度)が重視される理由

ESが重視される理由を紹介します。ESという概念は、19世紀末から20世紀にかけてアメリカで生まれました。

19世紀の末期は、産業革命に伴う労働者の搾取や、組織的なボイコット、従業員の離職率の急激な増加が問題となった時代です。当時のアメリカでは、工場の生産体制の効率化のため、従業員の心理面に着目する研究が盛んに行われていました。

その後ハーバード大学の研究によって、職場の人間関係や社員の士気が生産性に大きな影響を及ぼすことが分かり、従業員の満足度をどのように高めるかが企業にとっての重要なテーマとなりました。

今世紀になっても、ESの重要性は大きく変わっていません。少子高齢化が進む日本では、労働者の確保が年々難しくなっていることから、優秀な人材の流出を防ぐ手段として、ESの向上に取り組む企業が増えています。

また終身雇用制度の崩壊により、社員は自身の能力やキャリア意向に合わせて、働く企業を自由に選択するようになりました。競合他社ではなく、自社で長く働いてもらうために、ESを高めることはますます重要なポイントとなっていくでしょう。

ES(従業員満足度)に関わる主な要因

アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグ氏によると、ESには衛生要因(労働条件、給与、人間関係、会社の政策や経営、雇用の安定など)と動機づけ要因(仕事そのもの、承認、達成、昇任など)の2つの要因が関わっています。

ここでは、衛生要因と動機づけ要因の要点や、具体例を紹介します。

1. 衛生要因

衛生要因はESを左右する要因の一つで、不足すればするほど社員の不満が高まる要因を指します。例えば、衛生要因の例は以下のとおりです。

  • 給与
  • 福利厚生
  • 労働環境や働きやすさ
  • 周囲との人間関係

例えば、給与の金額が現在の仕事量に見合わない場合、社員が不満を感じてESが低下する可能性があります。ESが低い原因が衛生要因にある場合は、職場での問題を解決することで、満足度の改善が可能です。

2. 動機づけ要因

一方動機づけ要因とは、充足するほど社員の満足度が高まる要因を指します。動機づけ要因の具体例は以下のとおりです。

  • 同僚や上司からの承認(承認欲求)
  • 仕事の達成感ややりがい
  • 適度な責任
  • 成長やスキルアップの機会
  • 昇進や賞与

例えば、仕事の達成感ややりがいが十分に感じられる場合、ESは上昇します。社員の裁量を増やしたり新しい仕事へチャレンジする機会を提供したりすることが鍵となるでしょう。

ESは衛生要因を取り除いただけでは、自発的に向上することがありません。ESを向上させるには、満足度を低下させる衛生要因を悪化させず、満足度を高める動機づけ要因を積極的に増やすことが大切です。

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ES(従業員満足度)を向上させるメリット

ESを向上させるメリットは以下の4点です。

  • 生産性が向上する
  • CS(顧客満足度)が向上する
  • 社員のモチベーションが向上する
  • 社員の定着率が向上する

ESの改善に取り組むことで、生産性やモチベーションの向上、社員の離職防止などが期待できます。また、ESはCS(顧客満足度)と関わりがあるため、どちらか一方ではなく両方を重視することが大切です。4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

1. 生産性が向上する

ESが向上すると生産性も向上します。理由は以下のとおりです。

  • 仕事に対する姿勢(ワークエンゲージメント)が改善し、熱心に取り組むようになる
  • 心の余裕が生まれ、周囲の社員と協力して仕事に取り組むようになる
  • やる気やモチベーションが高まり、主体的に取り組むようになる

ESが高い組織は、社員一人ひとりの主体性が高く、意欲的に仕事をするという共通点があります。組織の生産性に課題を感じている場合は、ESを改善することで変化がみられる可能性があります。

2. CS(顧客満足度)が向上する

ESを改善すると、はCS(顧客満足度)が向上します。ESは、CS(顧客満足度)と深い関わりがある指標です。CSとは、売上に大きな影響を及ぼす自社の商品やサービスに対する顧客の満足感を表す指標のことです。

厚生労働省によると、CSの向上のみに取り組む企業よりも、ESを重視する企業やES・CSの両方を重視する企業の方が、売上高や営業利益率が増加することが分かっています。

項目 ES(従業員満足度)重視 CS(顧客満足度)重視 ES(従業員満足度)・CS(顧客満足度)重視
売上高営業利益率が増加(10年前~5年前) 30.3% 21.3% 26.9%
売上高営業利益率が増加(5年前~現在) 42.6% 25.0% 31.1%
売上高が増加(10年前~5年前) 41.2% 39.3% 46.5%
売上高が増加(10年前~現在) 57.2% 48.2% 57.1%

 

※参考:厚生労働省. 「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」

3. 社員のモチベーションが向上する

3つ目は社員のやる気やモチベーションが向上します。特にESのデータをもとに職場環境を改善し、社員の働きがい(働くことで得られるやりがい)と働きやすさ(働く上での支援や快適さ)を高めれば、社員の意欲向上が可能です。

厚生労働省の調べによると、職場の働きがいや働きやすさが高い企業ほど、従業員の意欲が顕著に高まることが分かっています。

職場 仕事に対する意欲が高い、どちらかといえば高いと回答した割合
働きがい 働きがいがある群 84.2%
働きがいがない群 27.5%
働きやすさ 働きやすい群 72.2%
働きやすくない群 31.3%

※参考:厚生労働省. 「目指しませんか?「働きやすい・働きがいのある職場づくり」」.

4. 社員の定着率が向上する

4つ目は社員の定着率が向上することです。職場の働きがいや働きやすさは社員の定着率と関わりがあることも分かっています。

厚生労働省の調べによると、社員の定着率は職場の働きがいや働きやすさが高いほど改善し、働きがいがない職場や働きやすくない職場と比べて大きな差があります。

職場 今の会社でずっと働き続けたいと回答した割合
働きがい 働きがいがある群 50.7%
働きがいがない群 11.4%
働きやすさ 働きやすい群 44.4%
働きやすくない群 10.4%

従業員の意欲や定着率が低い場合は、職場の働きがいや働きやすさにも目を向けてみましょう。

※参考:厚生労働省. 「目指しませんか?「働きやすい・働きがいのある職場づくり」」

ES(従業員満足度)の調べ方

ES(従業員満足度)を計測する方法は、インタビューとアンケートの2種類があります。インタビューやアンケートを紙で作成すると手間がかかるため、タレントマネジメントシステムなどのツールを活用し、オンラインで調査を実施するのが一般的です。

インタビュー、アンケートそれぞれの特徴や実施方法を簡単に説明します。

1. インタビュー

ESの調べ方の一つが、いくつかの質問を通じて社員の意見を集めるインタビューです。インタビューは、社員一人ひとりに質問する個人インタビューと、グループ単位で実施するグループインタビューの2種類があります。

インタビューを実施すれば、社員一人ひとりの声を可視化できますが、質問の準備やヒアリングに手間がかかる欠点があります。また、忖度のない意見を引き出すには個室を用意したりインタビュアーの人選に気をつけたりする必要もあるでしょう。

2. アンケート

アンケートは、あらかじめ設問を用意し、社員に回答してもらう調査方法です。ESを調査する場合、以下のような設問が考えられます。

  • 会社に対する満足度
  • 経営層への満足度
  • 上司への満足度
  • 仕事への満足度
  • 給与や待遇への満足度
  • 職場環境への満足度
  • 福利厚生に対する満足度
  • 人間関係に対する満足度
  • 人事評価に対する満足度

アンケートツールを活用すれば、Web上でアンケートを実施し、結果を自動で集計できます。社員の人数が多い場合も調査できるので、精度や整合性を高められます。

ただし、基本的に用意した質問にしか回答されないため、意見を深掘りするには、自由回答方式の設問を用意したり後日インタビューの場を設けたりする必要があります。

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ES(従業員満足度)を向上させるためにできること

ESを向上させるために企業ができることは5つあります。

  • 職場環境を改善する
  • 福利厚生を充実させる
  • 評価制度を改善する
  • 適材適所で人員を配置する
  • 企業の理念・ビジョンを浸透させる

職場環境の改善や福利厚生の充実、評価制度の見直しなど、できるところから制度改革を進めましょう。独りよがりな施策ではなく、社員の目線に立ってESの改善に取り組むことが大切です。

1. 職場環境を改善する

ESを向上させる第一歩は、職場環境の改善です。前述のとおり、職場の働きがい、働きやすさは、社員の意欲と大きな関わりがあることが分かっています。

例えば、清潔で整理整頓された職場環境づくりや、社員がスムーズに仕事を進められるようなシステムの導入、時間外労働や休日出勤の見直し、多様な働き方の実現など、さまざまな施策が考えられます。

社員へのインタビューやアンケートを通じて、職場環境のどの部分を改善すべきかを分析しましょう。

2. 福利厚生を充実させる

福利厚生を充実させることも大切です。福利厚生を充実させると、企業に対する社員の愛着が高まり、ESが向上します。

簡単に導入できる福利厚生の例として、昼食代などの一部を企業が負担する食事補助(ランチ補助)や、女性にうれしい出産・育児に関する支援制度などが挙げられます。

3. 評価制度を見直す

ESを高めるには、公平で納得できる人事評価制度づくりも欠かせません。人事評価制度への不満の例としてよく見られるのが、評価基準があいまいで分かりづらい、評価者によって結果が異なるなどの声です。

人事評価システムの導入や、複数の従業員が評価者となる多面評価の採用など、評価制度の見直しに取り組みましょう。

4. 適材適所で人員を配置する

定期的に人事異動を行い適材適所に人員を配置することで、従業員の不満を解消できる場合があります。特に従業員が別の部署への異動を希望している場合や、能力やスキルに合わない部署に所属している場合は、配置転換によりESを高められます。

ただし従業員の意図に沿わない人事異動は、かえって離職の引き金になってしまう可能性があるため、十分注意しましょう。

5. 企業の理念・ビジョンを浸透させる

企業の理念・ビジョンを浸透させることで、社員の一体感が高まり、組織への愛着や帰属意識が生まれます。社員が企業理念を自分ごとにして理解できるよう、組織目標から個人目標に逆算し、日々の業務に落とし込むことが大切です。

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ES(従業員満足度)を向上させるメリットを知り、従業員目線での改革を

ES(従業員満足度)とは、社員の企業に対する満足度を表す指標です。ESが高いほど、社員の生産性やモチベーションが向上します。また、ESを高めることでCS(顧客満足度)の向上にもつながります。

ESを高める方法は、職場環境の改善や福利厚生の充実、評価制度の見直しなどです。どのような施策が自社にとって適しているのか分からない場合は、定期的にインタビューやアンケートを実施して社員の要望を知る機会を設けてみてください。

これらの方法で自社のESの変化をモニタリングしましょう。

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