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サーバントリーダーシップとは?メリットやデメリット、背景や役割を解説

世間にはさまざまなリーダーシップの形があり、新しくリーダーになった方やチーム運営に悩んでいる方は、どのタイプがご自身やチームに適しているのか分からないということも多いでしょう。

ラグビー日本代表でも取り入れていたことで注目を集めるリーダーシップの一つに「サーバントリーダーシップ」があります。

サーバント(Servant)とは奉仕者や使用人を意味する言葉です。サーバントリーダーシップはその名のとおり、支援や奉仕を意識するリーダーシップ手法を指します。本記事では、サーバントリーダーシップの具体的な考え方について紹介していきます。

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サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップとは、分かりやすくいうと「支援型リーダーシップ」です。

「リーダーはまず相手に奉仕し、そのうえで相手を導くものである」という哲学のもと行われます。

サーバントリーダーシップでは、権力や立場を使って指示や命令をしません。

部下の意見に積極的に耳をかたむけ、部下を支えながら信頼関係を構築し、ひとりひとりの可能性を引き出すのです。

英単語としての「サーバント」は「召し使い」や「使用人」という意味を持つため、部下の言いなりになるというイメージを持たれがちですが、そうではありません。

あくまでも組織やチームの目標を定めるのは、リーダーの役割です。

サーバントリーダーシップではビジョンやミッションをメンバーと共有し、そのうえで部下が組織に主体的に参加してもらえる状況を目指します。

サーバントリーダーシップが生まれた背景

サーバントリーダーシップは1970年に提唱された概念です。提唱したアメリカのロバート・K・グリーンリーフはビジネスパーソンとして、また研究者や大学教授としても活躍した人物です。

サーバントリーダーシップが提唱された当時、アメリカでは社会を導くリーダーに対しての不信を抱える人が増加傾向にありました。

こういった時代の中で必要なのは、権力を振りかざすリーダーではなく愛情を持って理想を共に目指せるリーダーであると、グリーンリーフは提唱したのです。

サーバントリーダーシップにおけるリーダーの役割

サーバントリーダーシップでは、トップダウン型ではなく、ボトムアップ型のリーダーが理想とされます。

そのため、日頃から「傾聴」「共感」「説得」を行い、部下に奉仕して正解へと導くことが、リーダーの役割です。

必ずしも高い統率力を必要とせず、周囲の悩みや不安を解消しながら、安心感や信頼感を生み出すことが求められるのです。

例えば、部下が現場の課題を話す際には、相手の気持ちを考えて、関心を持ちながら積極的に聞く必要があるでしょう。

部下に何か指摘するべき点があった際にも、思いやりや愛情を持って指摘し、組織全体が正しい方向へ行けるような後押しが重要です。

そうした姿勢によって、結果として部下から「このリーダーについていきたい!」と思われるのです。

支配型リーダーシップとの違い

サーバントリーダーシップの考え方が、従来の支配型リーダーシップに取って代わろうとしています。

支配型リーダーシップとは、リーダーが自身の考えや意見を軸にして一方的に行動するスタイルです。

部下はリーダーに対し畏怖を感じ、義務感で従ってしまう場合があります。

支配型リーダーがいるチームにはコミュニケーション不足やモチベーション低下といった問題が起こりやすくなります。

結果として業務に支障が出て、思ったように目的を達成できなくなってしまうこともあるでしょう。

サーバントリーダーシップは支配型リーダーシップとは異なり、部下を恐怖感や義務感で従わせるようなことはありません。

また、コミュニケーションやモチベーションアップを重視した支援行動を行うため、部下は仕事に集中できるようになります。

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なぜサーバントリーダーシップが重視されるのか?

現代は「VUCA(ブーカ)の時代」と呼ばれ、世界情勢の変化や技術革新の進展によってビジネス環境が大きく変化しており、予測が困難になっています。

サーバントリーダーシップが重視されているのは、変化の速い時代でも企業を継続、発展させていく手段になるからです。

従来の企業経営のように、従業員が経営層の指示を待っていては、時間がかかり、対応できないケースが出てくるでしょう。

現代では、指示を待たずとも動けるよう、従業員がこれまで以上に主体性を持ち、自ら考え、課題を見つけて解決していく姿勢が必要とされているのです。

一人ひとりの能力を発揮することをうながすサーバントリーダーシップの考えは、まさに時代の流れに適しているのです。

サーバントリーダーシップにおける10の属性

サーバントリーダーシップの10の属性を、一つずつ詳しく解説していきます。

1.傾聴

サーバントリーダーを目指す人には高い傾聴力が求められます。リーダーには、自身の意見を主張して人を引っ張る能力が求められると感じるかもしれません。

しかし重要なのは、周囲の人の言葉に耳を傾ける意識です。人の話をじっくりと聞き、その内容を元にリーダーとしてどのようなことができるのかを考えられるのがサーバントリーダーシップには不可欠です。

単に話を聞くだけでなく、相手のしぐさや表情にも着目して真意を汲み取れるのが、優秀なサーバントリーダーの条件でしょう。

2.共感

サーバントリーダーには、相手に寄り添ったり共感したりする態度も必要です。リーダーとして周囲のメンバーの話を聞くときには、相手の立場に立って考えることが重要です。

共感を意識しながら人と接すれば、相手が何を求めているのか、どう行動したいのかを理解できるようになっていきます。相手に寄り添って思いを受け入れてくれるリーダーに対し、周囲の人は安心感や信頼感を抱きます。

3.癒し

集団を癒す力や足りない点を補う力は組織に成長をもたらします。チームのメンバーは時に意見のぶつかりからストレスを抱えたり、失敗をきっかけにモチベーションを低下させたりすることがあります。

こういったケースでは心身のダメージをケアし、サポートを行う姿勢が求められるでしょう。優しい言葉をかけたり相談に乗ったりといった具体的なアクションを通して周囲を癒し、団結力アップやモチベーションアップにつなげていくことが重要です。

4.気付き

サーバントリーダーは周囲を注意深く観察し、部下の変化や環境の変化に敏感に気付く能力を有しています。常に周りをよく見ておけば些細な変化にも迅速に気付けるため、素早いケアを行えます。

目の前のものを丁寧に観察してその本質を見極めることも気付きの重要な要素です。観察力を高めておけば、たくさんの気付きを得ることができて周囲の人にも気付きを共有することが可能となります。

5.説得

サーバントリーダーの役割は、指示を出して屈服させることではありません。権限を振りかざして強要するのではなく、相手が心から納得して仕事に取りかかれるよう十分な説得を行うことが重要です。

効果的な説得のためには状況を論理的に説明したり、目標への道筋を共有したりといった工夫が必要です。メンバーとのコンセンサスが取れていればチームのモチベーションは高まりやすくなり、効率よく仕事を進められるようになります。

6.概念化

概念化とは、物事を概念として抽象的に捉え、体系的に整理することをいいます。

仕事をするときには目の前の具体的な業務にのみ注目してしまいがちですが、全体を概念的に見なければ目標へと向かうことはできません。まずは、チームが持つビジョンや目標を体系化してメンバーに伝えることを意識しましょう。

そうすることで組織の方向性が定まり、それぞれのメンバーが役割や目的を理解しながら目標に向けて歩みを進められるようになっていきます。

7.先見力

先を見通す力もサーバントリーダーに求められる大切な能力の一つです。先見力とは勘の良さではなく、過去の教訓や豊富な事例を元に先のことを予測する力です。

これまでのチームの状態や社会の変化などを把握し分析すれば、今後起こりうる出来事をある程度予測できるようになっていきます。先見力があればトラブルを事前に回避したり、より良い道を選んだりといった判断も可能となるでしょう。

8.執事役

サーバントリーダーは他人より一歩引いて構え、献身的な支援を行う執事のような役割をになうこともあります。メンバーの利益を優先して気持ちよく働いてもらうためには、リーダーとなる人に自己犠牲の精神が必要です。

周囲の人のニーズを満たすためにあえて自身が責任を引き受けるような行動をすることで、信頼性はどんどん高まっていくでしょう。

9.人々の成長に関わる

サーバントリーダーは、人々の成長を促すための行動を常に意識しています。チーム員の一人ひとりがもっと成長するには、それぞれが持ち合わせている潜在能力を見極めなければなりません。

メンバーに積極的な声掛けを行ったり重要な仕事を任せたりして、個々の内在的価値を引き出すことが大切です。個の成長にコミットすることでチーム全体の成長を促すことができれば、困難な目標にも立ち向かえる強いチームをつくれます。

10.コミュニティづくり

メンバーが切磋琢磨し合えるコミュニティをつくることも、サーバントリーダーの重要な役割です。ビジネスにおいては、単にメンバーが交流する場をつくるだけでは意味がありません。

会話や行動をきっかけに協力し合えるよう、相乗効果が生まれやすい環境をつくることが肝心です。コミュニティにはメンバーを癒し、自己肯定感やポジティブなイメージを育てるという大切な側面もあります。

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サーバントリーダーシップのメリット

サーバントリーダーシップの考え方を取り入れることには、多くのメリットがあります。

社員が能動的に動くようになる

サーバントリーダーシップを導入すれば、部下の行動や意識にはポジティブな変化が生まれます。支配型リーダーシップとは異なり、サーバントリーダーの下では部下が抑圧や義務を感じることはありません。

話を聞いてもらえる、サポートしてもらえるという満足感は、部下の積極的な発案や行動を促すことにつながっていきます。

部下が指示待ちの状態にならず、能動的に動ける環境を構築できるため、モチベーションやパフォーマンスが向上するのも、サーバントリーダーシップならではのメリットです。

顧客満足度が上がる

サーバントリーダーシップの導入によって企業の生産性や効率、顧客満足度は大きくアップしやすくなります。サーバントリーダーには、人の話をじっくりと聞く力が求められます。

リーダーの元には従業員を通して顧客の声もたくさん入ってくるため、現状の問題への対策をスピーディーに行うことが可能です。顧客の声を汲み上げて改善につなげれば、顧客満足度は上がりやすくなるでしょう。

社内のコミュニケーションが円滑になる

サーバントリーダーシップでは、社内やチーム内のコミュニケーションを重視します。上司と部下の面談の機会だけでなく、ミーティングやイベントなどを積極的に行い、従業員同士が会話をできる機会をつくっていきましょう。

コミュニケーションが活性化すれば情報交換の機会が増えますし、社内の役割分担も最適化されます。

サーバントリーダーシップのデメリット

サーバントリーダーシップには多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットも考えられます。

意思決定に時間がかかることがある

サーバントリーダーは、部下の意見を聞いたりコミュニケーションを促したりすることで一人ひとりが納得できるような有益な判断ができます。

ただし、意思決定には多少時間がかかってしまうことがあります。結果として方針決定が遅くなり、業務の進捗に影響を及ぼす可能性も考えられます。

社員の特性によっては合わないこともある

従業員の中には、コミュニケーションが苦手な人や意見を述べるのが苦手な人もいるでしょう。こういった従業員にとって、能動的な働きを促すサーバントリーダーシップはミスマッチかもしれません。

また、知識や経験をほとんど持たない新入社員は、サーバントリーダーの意図にうまく沿うことができない可能性があります。

部下を主体的に行動させるサーバントリーダーシップがマッチしなかった場合、チーム全体の停滞や人員の脱落を招くこともあるため注意しましょう。

リーダーの仕事が増える可能性がある

リーダーが部下ひとりひとりに寄り添って意見を聞くことは、時間がかかる行為です。

そのため、特にサーバントリーダーシップ導入初期は、リーダーの負担が増えてしまう点に留意しましょう。

あらかじめ仕事量を調整したり、まわりの従業員にサポートを依頼しておいたりすると、手元にある仕事がこなせなくなる事態を防げます。

サーバントリーダーシップの事例を紹介

サーバントリーダーシップを導入する際には、実際の成功事例を参考にすることが有効です。

ここからは、サーバントリーダーシップを導入している企業を5社紹介します。

株式会社資生堂

化粧品の国内シェア第1位である、株式会社資生堂。

90年代後半に経営危機が訪れた際、会社を再建するという目的のもと、池田守男氏が代表取締役に就任しました。

この時、顧客を一番上に置き、店頭、ビューティー・コンサルタントと続く、逆ピラミッド型の組織を作りました。

サーバントリーダーシップの考え方を組織に浸透させ、資生堂を再生させたのです。

池田氏が自ら、営業担当やビューティー・コンサルタントの話しに耳を傾け「店舗中心」の経営改革を進めます。

店頭では消費者ニーズをリアルタイムにつかみ、即座に無駄のない生産を行い、利益率を高めました。

これらの取り組みにより資生堂の組織が活性化し、経営の危機を脱したのです。

株式会社良品計画

株式会社良品計画は、無印良品ブランドの企画から調達、流通、販売を行う製造小売業です。

業績が急落したタイミングで、当時、社長に就任した松井忠三氏は、全国のほぼすべての店舗を回り、現場の声に耳を傾けました。

そこで出た意見をもとに、どこで、誰が、どのくらい時間をかけて行うのかが書かれた「MUJIGRAM」という店舗向けの業務基準書を作成し、運用を開始。

また、同時にイントラネットを使い、スタッフからの基準書改善を受け付ける仕組みを作っています。

目的を優先させて何をすればよいのかを、日々スタッフが主体的に考え、それが組織全体に浸透している良品計画。

まさに、サーバントリーダーシップが機能している例だといえるでしょう。

株式会社星野リゾート

総合リゾート運営会社である、株式会社星野リゾート。

代表取締役社長である星野佳路氏は、かつて「働き手がいない」という問題に直面した際、施設の魅力を引き出すことと同じくらい、従業員の声を引き出すことに力を入れました。

星野氏は「現場のことは社長以上に従業員が知っている」という考えのもと、従業員に対して徹底的に話を聞きました。

北海道にある「星野リゾート トマム」では早朝に現れる雲海を眺められるのが魅力ですが、実はこれは地元スタッフが考えて採用された案。

こうしてスキーが可能な冬場だけでなく、夏場も顧客を呼ぶことに成功したのです。

星野氏は他にも地元スタッフの声を丁寧に聞くことで、リゾート再生に成功しています。

サーバントリーダーシップの「傾聴」を経営に活かした例だといえるでしょう。

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、メディア事業やゲーム事業、投資育成事業などを主とする日本の企業です。

代表である藤田晋氏は、社員に対して「自分で考え、自分で決めて、自分でやる」というセルフ・リーダーシップを求め、それを実現する環境作りを続けています。

具体的には、「決断する経験を積むと、自分で自らの能力を引き出せるようになる」というと、藤田氏の考えに基づき、人事だけでなく、現場の社員が総出で行う採用活動などが例です。

その他にも月に1回「GEPPO」と呼ばれるHRテクノロジーを活用し、コンディションやキャリア志向、課題を吸い上げ、ミスマッチの解消や業務量の改善を行います。

あらゆる取り組みから、従業員の声を拾い上げている例だといえるでしょう。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社

日本国内でスターバックスの店舗経営および関連商品を販売する、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社。

スターバックス元CEOの岩田松雄氏は、現場で得た情報を、問題を解決する材料として活用し、解決することがリーダーの仕事であると語っています。

実際に、時間の許す限り店舗を訪問し、現場とのコミュニケーションを重ねていました。

同時に、従業員に対してミッション(企業の存在理由)を伝える点も大切にしていました。

企業にはあらゆる価値観を持つ人が集まるため、ミッションが明確であれば、全員が同じ方向を向いて仕事ができると、岩田氏は考えたからです。

サーバントリーダーシップにおける「傾聴」や「共感」「説得」が取り入れられている例だといえます。

サーバントリーダーシップが再び注目されている理由

現代は、企業や顧客の行動や価値の変化が激しく変わるため、将来の予測が難しいと言われています。

また、2020年以降にはビジネス環境や生活様式にも大きな変化が生じており、企業は多様化する価値観に対応することが求められています。

そんな時代に求められるのは、傾聴力や共感力を持つサーバントリーダーの存在です。

先行きが不安視される世の中だからこそ、従業員の主体性を促して安心してついていける支援型リーダーのニーズが高まっているのです。

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サーバントリーダーシップを正しく理解して組織の生産性をあげよう

サーバントリーダーシップとは部下を命令や義務感で動かすのではなく、支援を通じて従業員を能動的に動かす考え方です。

サーバントリーダーには、部下の話を聞いたりコミュニケーションの機会を作ったりといった行動を通して部下の主体性を高めていく能力が求められます。

従業員のモチベーション向上やパフォーマンス向上を目指すためにも、サーバントリーダーシップの考え方を現場に取り入れてみましょう。

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