ホラクラシー組織とは?これからの時代に対応した組織体系を徹底解説

経営者

ホラクラシー組織ってなんのこと?
本記事で詳しく解説します。

専門家

組織改革の実施を検討する中で、「ホラクラシー組織」という言葉にたどり着いた経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。

ホラクラシー組織とは、従前のヒエラルキー型の組織とは異なる、社員に裁量権が任された組織のことです。

ただし、上司が存在しないフラットな組織なため、社内体制が無秩序になるリスクを抱える組織ともいえます。

したがって、大規模組織には向いていない組織と言っても過言ではありません。

ただし、以下のお悩みをお抱えの経営者にはひとつの解決策となるかもしれません。

  • 市場の変化についていけない組織となった
  • 社員のモチベーションが上がらない
  • 組織運営のコストを極力下げたい

本記事ではホラクラシー組織のメリット、デメリット、注意点をわかりやすく解説します。

今後新しい組織への改革を必要とする経営者の方、ぜひご覧ください。

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ホラクラシー組織はティール組織の中のひとつ

経営者

結局ホラクラシー組織って何のこと?

ホラクラシー組織は、上下関係のないフラットな組織体系のことでティール組織の1つの形だとされます。

従前のヒエラルキー組織では、一社員からアイデアを発疹する際には、以下の手順を踏む必要がありました。

  1. 社員のアイデアを上司に伝える
  2. 上司が良し悪しを判断、部長に進言する
  3. 部長が良し悪しを判断、役員に進言する
  4. 経営者会議で議題になる
  5. 会社としての意思決定がなされる

役職者がどれほどいるのかによって上記のフローは細かく変化しますが、ヒエラルキー組織では、上司が判断を積み重ねて意思決定を判断します。

したがって、ボトムアップでよい提案がなされても、その後会社が動き出すまでに相当な時間を要するのがデメリットでした。

上記のデメリットを排除したのがホラクラシー組織です。

ホラクラシーはフラットな組織のため、組織の硬直化が発生しにくいです。

こうしたフラットな組織はティール組織と呼ばれることもありますが、ホラクラシー組織はティール組織のひとつの形態だと言われています。

専門家

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ホラクラシーの特徴3つ

ホラクラシーには以下3つの特徴があります。

  • フラットな組織構造
  • プロジェクト単位での機能
  • 主体的な行動

上司や部下というヒエラルキー構造がない組織がもつ特徴について、以下わかりやすく解説します。

フラットな組織構造

ホラクラシー組織はフラットな組織構造をしています。上司や部下といった構造がないため、誰もが声を上げやすく、意見が組織に反映しやすいのがホラクラシー組織の特徴です。

フラットな組織構造ゆえ、業務を効率的に振り分ける役割(ロール)が必要となります。

プロジェクト単位での機能

ホラクラシー組織では、ひとつの部署に対して仕事を振るのではなく、プロジェクトに合わせてメンバーを決定する組織形態です。

したがって、プロジェクトに集まるのは各分野のプロフェッショナルのため、柔軟でスピーディーな組織運用が可能になります。

一方で、誰もが自発的に意思決定をし行動するため、チームメンバーの役割分担が明確になされていないとチームがバラバラになるため注意が必要です。

主体的な行動

ホラクラシー型の組織では社員の行動が主体的になる傾向があります。

ヒエラルキー組織の場合には、上司からの指示に応えることが部下の仕事になるため、モチベーションが発生しづらく、社員が主体的な行動が取れないデメリットがありました。

一方で、ホラクラシー組織の場合には主体的に行動しなければ仕事が進みません。チーム内の意思決定を進めるために各人が役割を全うするのがホラクラシー文化だからです。

したがって、社員ひとりひとりが主体性を持って取り組むことができるのがホラクラシー組織の特徴です。

専門家

ヒエラルキー組織との違い

両者の組織の違いは以下の通りです。

ヒエラルキー組織ホラクラシー組織
上層部意思決定分散型
上下関係立場対等
上司管理ルール

ヒエラルキー組織の場合、意思決定は上席が行いますが、ホラクラシー組織の場合はひとつのプロジェクトに参加したメンバーで決定します。

また、ヒエラルキー組織が上司が部下を管理するのに対し、ホラクラシー組織では事前に決定した「ホラクラシー憲法」と呼ばれる組織の運営ルールに従って行動するのが特徴です。

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ティール組織との違い

ティール組織の一形態がホラクラシー組織です。

ホラクラシー組織が「ホラクラシー憲法」のある明確なビジネスモデルのにあるのに対し、ティール組織には明確なビジネスモデルはありません。

なぜなら、そもそもティール組織とは、VUCAの時代に対応するためのひとつの組織のあり様を示したものだからです。

『ティール組織』の著者フレデリック・ラルーによると、組織は上記5つの段階に分けられると説明されています。

ティール組織とは、環境に対応するために、中央集権的な要素を削ぎ落とした組織形態です。ティール組織が「生命体」と形容されることもあるのは「組織は環境に応じて変わっていくもの」という根本的な考え方があるからです。

環境が変化し続ける限り「組織の目的達成」のために変化し続ける組織がティール組織です。したがって、既にビジネスモデルが確立され、管理体制も整っているホラクラシー組織はティール組織と同義ではありません。

ただし、ホラクラシー文化は非中央集権的で、ヒエラルキー構造のもつデメリット「意思決定の速さ」を解消するひとつのビジネスモデルであるため、ティール組織の示すひとつの形態だと形容されることがあります。

ホラクラシー組織の構成要素

ホラクラシー組織には以下2つの構成要素があります。

  • ロール
  • サークル

ホラクラシー組織を運営するためには、上記2つの概念の理解が必須なため、必ず押さえておきましょう。

ロール

一般的な組織が、役職に基づいた仕事があるのに対し、ホラクラシー組織ではロールに基づいて人材がアサインされます。

例えば、一般的に会社のCEOは会社の全社戦略に関わりますので、戦略の策定、自社ポジショニングの決定、資金調達などに幅広に関わるのが一般的です。

一方で、「ロール」を基準としたホラクラシー組織では一般の組織とは逆の考え方をします。

会社の戦略策定に長けた人材がいるのであれば、その人材を戦略策定のロールに紐付けますし、自社ポジショニングの策定に長けた人物は「ポジショニング」の決定というロールを持つことになります。

ホラクラシー組織では「これは誰の仕事なのか?」といった問いが発生しません。

今までなんとなく役職から決まってきた仕事の役割を最も適切な人材に割り振ることが大切です。こうした「役割」のことを「ロール」とホラクラシー組織では定義します。

例えば、つい「部署の仕事」で一括りにされそうな以下の内容は、細かいロールとして分類され、各人に紐づくことになります。

専門家

  • インサイドセールス
  • 評価制度
  • 予算取り
  • 人材育成
  • コンプライアンス

サークル

複数のロールを有するロールをサークルと呼びます。

もう少しわかりやすい例として「会社全体の売上を向上させる」例で考えてみましょう。

例えば、「LPの改善」というロールの達成のために、以下のロールが集まったと考えてみます。

  • CVポイントの見直し:Aさん、Bさん
  • キャッチコピーの改善:Bさん、Eさん
  • CVの導線設計の見直し:Cさん、Fさん
  • チャットツールの導入:Dさん、Bさん

すると、「LP改善」は1つのロールでもあり、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさんをメンバーとしたひとつのサークルだと言えます。

このように、ひとつのロールから新しい複数のロールが生じた際、その元となったロールを「スーパーサークル」と呼び、新しく生じたサークルをサブサークルと呼びます。

先ほどの例で言えば、LP改善がスーパーサークルであり、具体的な施策がサブサークルとなります。

サークルとロールの関係

ホラクラシー組織では、サークルには必ず以下のロールが含まれるとされています。

リードリンクサークルの戦略を決定する
ファシリテーターホラクラシー憲法に則り会議を進行する
セクレタリーサークルに要すると判断された会議を設定する
レップリンクサブサークルとスーパーサークルの間に立ち、互いの過度な干渉を阻止する

ホラクラシー組織では、ロールの下に新たなロールができた場合には、それらをスーパーサークルとサブサークルに分類します。

こうした上位観念が出来上がり、ヒエラルキー組織構造が発生してしまえば意味がありません。

したがって、ホラクラシー組織では過度な接触や上限関係が生まれないように、ホラクラシー憲法を遵守することと、スーパーサークルからの過度な干渉が発生しないよう、各ロールによる調整がなされています。

もちろん上記の4つもひとつのロールですので、兼任をする人がいても構いません。

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ホラクラシー組織のメリット

ホラクラシー組織のメリットは以下3つです。

  • PDCAを回すのが早くなる
  • 組織風土が改善する
  • 若手のモチベーションが上がる

PDCAを回すのが早くなる

ホラクラシーは社員の意見を吸収し進化する組織のため、PDCAを回すのが早くなる傾向があります。社員が挙げた改善点をいち早く共有し、改善を繰り返す仕組みが整っていることが主因です。

また、同じ最終目的を共有しているため、意見が業務改善に役立つものであれば目標達成のために社員同士が協力し合う文化が根付きます。

相互に協力し合うことで、個々人のPDCAだけでなく、即座に組織のPDCAへと昇華するのはホラクラシー組織のメリットです。

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組織風土が改善する

凝り固まった組織風土が改善するメリットもあります。組織風土は会社の「性格」を示しますが、なかなかすぐに変わるものではありません。

例えば、組織風土が社員同士の協力を必要としないものであれば、なかなか社員同士が知識を共有し、共通の目的達成の相互努力することはありません。

そうした際には、ホラクラシー組織へと組織改革を行うことで組織の風土が変化し、会社の組織風土がよくなる可能性があります。

若手のモチベーションが上がる

ホラクラシー組織では年功序列の制度はありません。したがって、若くとも合理的で業務改善に繋がる提案ができれば、組織に採用される可能性はヒエラルキー組織よりも高いです。

従前のヒエラルキー文化に嫌気を感じている優秀な若手が、ホラクラシー組織に興味を感じ、モチベーションが高まる可能性があるため、離職率の低下も期待できます。

ホラクラシー組織のデメリット

ホラクラシー組織へ移行を検討の際は以下のデメリットを勘案する必要があります。

  • ホラクラシー組織への移行コスト
  • 給与がオープンになる
  • セルフマネジメント力を要する

ホラクラシー組織への移行コスト

ヒエラルキー組織からホラクラシー組織への転換のためには、多くのコストと時間がかかります。

特に大きな組織の場合には、社員にホラクラシーの導入への理解、新しい人事考課の設定が大きなコストとなります。

特に、既に役職に着いている社員からは反対されるリスクが高いため、綿密な説明が必要になることもデメリットです。

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給与がオープンになる

ホラクラシー組織の下では、給与がオープンになるというデメリットもあります。

例えば、既に勤務年数は長いのに、入社したばかりの新入社員や若手に給与の金額が劣っている場合は形見の狭さを感じることがあるかもしれません。

基本的にホラクラシー組織の給与は、役割によって異なります。

役割によって給与が異なるため、若手の方が給料が高くなる可能性は十分にありますが、そうした事実をネガティブに受け止めてしまう社員は、ホラクラシー組織への以降で会社へ不信感を覚えるリスクがあります。

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セルフマネジメント力を要する

ホラクラシー組織はロールに応じた役割を自身でこなします。

上司に指示を受けて仕事をするわけではないため、セルフマネジメント能力がなければホラクラシー組織で働くのは困難です。

ホラクラシー組織で働く場合には、スケジュールに間に合うように計画を立てたり、自身でスキルアップを図るなどのセルフマネジメントが必要です。

ホラクラシー組織の注意点

ホラクラシー組織への移行を検討する際は、以下に注意が必要です。

責任の所在を明らかにする

ホラクラシー組織を導入する際は「責任の所在は誰にあるのか」を明確にする必要があります。

ヒエラルキー組織の場合には、部下の責任は上司の責任と言われることもあり、誰にリスクがあるのかが明確になっています。

一方で、ホラクラシー組織では、先に責任の所在を決定しておかないと後ほど誰の責任にすればいいのか不透明になることがあります。

上記のリスクを避けるために、ロールを依頼する際にはその責任範囲までを明確にコーディネイトすることが求められます。

少しずつ導入する

ホラクラシー組織への移行は、いきなり全社的にスタートをするのではなく、まずは小さな部署単位で始めるのが良いです。

仮に全体で導入してしまった場合、失敗したときに再度の組織編成を行わなくてはなりません。

こうしたリスクを排除するためにも、まずはスモールスタートで自社に導入することをおすすめします。

セルフマネジメントがある社員を選ぶ

ホラクラシー組織は成果主義ではありませんが、上司などが案件の管理をしてくれなくなるため、セルフマネジメントが必須です。

まずスモールスタートで導入を検討しているのであればセルフマネジメントができる社員を選定し、自社で始めるようにしてください。

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まとめ

本記事ではホラクラシー組織の概念とメリット、デメリットをわかりやすく説明しました。

国内でのホラクラシー組織の導入事例は多くはありませんが、社員であっても3ヶ月間毎の業務委託契約を結び、給与や経費などをオープンにする不動産会社など、ホラクラシー組織は国内にあります。

まだ成功事例は多くない組織形態ですが、自社との親和性が高いのであれば導入を検討してもよいかもしれません。

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