ストレスコーピングとは?ストレスの原因とその対処法をわかりやすく解説

経営者

ストレスの原因って何?
ストレスのメカニズムと対処法を知っておきましょう。

専門家

仕事や人間関係においては、さまざまなストレスがあります。

「ストレスコーピング」とは、そうしたストレスに対処する方法のことで、ストレス過多の現代において、その有効性が注目されています。

本記事では、以下について解説します。

  • ストレスコーピングの定義や成り立ち
  • 具体的なストレスコーピングのやり方
  • ストレスコーピングにより期待できる変化

ぜひ、ご一読ください。

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ストレスコーピングとは

経営者

ストレスのコーピングって何?

ストレスコーピング(英:Stress coping)は、直訳すれば「ストレスへの対処」という意味です。

転じて「対人関係や仕事で生じるストレスに対して、巧みに対処すること」を指します。

ストレス社会ともいわれる昨今、ストレスによる心身の不調などを回避する方法として有力視されているのです。                                                     

コーピング理論とは

ストレスコーピングは、米国の心理学者ラザルスによって提唱されたコーピング理論に基づいた技術です。ラザルスが提唱するコーピング理論は、以下のように解釈できます。

  1. ストレッサー(心理的ストレス)があったとき、それを評価する
  2. ストレッサーが重大であると評価できた場合、行動・努力によってそれを積極的に処理する

つまりコーピング理論とは、「大きなストレスがあったとき、自らの工夫で対処すること」を意味します。                                          

なぜストレスは発生するのか:ストレス理論

ストレスコーピングを身につけるには、まず「ストレス理論」について知っておく必要があります。ストレス理論に基づくと、ストレスは以下のようなメカニズムで発生します。

  1. ストレッサーが発生する
  2. ストレッサーがどの程度の大きさなのか評価する
  3. ストレッサーについて、どのように対処するか検討する
  4. 対処が困難だった場合、ネガティブな情動的・認知的・行動的変化が生じる(ストレスの発生)

つまり、ストレッサーの存在すなわちストレスの発生ではなく、そのストレッサーへの処理がむずかしい場合、ストレスが発生する、ということです。逆に、ストレッサーへの対処方法がわかればストレスは抑えられることを示しています。

ストレスは、時として生理的覚醒や免疫抵抗力の低下など、健全ではない心身の反応として表現されます。             

ストレッサーの種類 

ラザルスはストレッサーについて以下のようにまとめています。

専門家

ラザルスは、ストレッサーの種類とその強度を数値化しています。

たとえば以下のようなものがストレッサーであり、それぞれ異なる強度を持っています。

ストレッサーの種類強度
配偶者の死100
離婚73
配偶者との離別63
家族の死63
自分のけがや病気53
退職45
ビジネスの再調整39
経済状態の変化38
1万ドル以上の借金31
職場での責任の変化29
上役とのトラブル23
労働条件の変化20
食習慣の変化15

このようにストレッサーの種類はさまざまであり、その強度にも差異があります。

参考:ストレスとストレスコーピングの実行性と志向性 | 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要                                  

一次的認知評価と二次的認知評価とは

ラザルスによれば、ストレス発生のプロセスには「一次的認知評価」と「二次的認知評価」が存在します。

ストレッサー(心理的ストレス)が発生したとき、人はそのストレスの「大きさ」を評価します。これをラザルスは、「一次的認知評価」と呼びました。

そして一次的認知評価が著しく大きいものだった場合「その状況をいかにしてクリアするか」を検討します。これが「二次的認知評価」です。

ストレスコーピングは、上記のうち「二次的認知評価」を、改善するテクニックのことです。

専門家

ストレッサーの受け止め方が変わればストレスは変化する   

経営者

ストレッサーは無くならないよね?

ストレスコーピングは、ストレッサー自体をなかったことにはできません。

しかしストレスコーピングを実践することで、ストレッサーの「受け止め方を変える」ことが可能であり、受け止め方が変われば、ストレスの大きさにも変化が現れます。

前述のとおり、ストレスは二次的認知評価があったあとで起こります。

つまり、二次的認知評価を受けたあとの対応を工夫すれば、ストレッサーの受け止め方も変えられるわけです。

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ストレスに対する対処法は3つ

経営者

ストレスはどう解消すればいいのかな?

ストレスコーピング、つまりストレスに対する対処法は、以下3つに大別されます。

  • 問題焦点型                                              
  • 情動焦点型                                              
  • ストレス解消型    

それぞれについて詳しく解説するので、ご参照ください。          

問題焦点型    

問題焦点型とは、ストレッサーに対して何らかの行動を起こして処理する対処法です。

つまり、ストレッサーそのものを根本から処理します。わかりやすくいえば、「課題に立ち向かって状況を改善する」ことです。誰かに相談して、何らかの形で支援を得ることも、問題焦点型に分類されます。

3つの対処法の中で、問題焦点型はもっともシンプルなストレスコーピングだといえるでしょう。

問題焦点型のストレスコーピングを実行すれば、ストレッサーによる悪影響は抑えられますが、解決が困難であるケースも多々あります。

また、根本的に自力では解決できないほど強大なストレッサーだった場合、長きに渡ってストレスを受け続けることも少なくありません。          

情動焦点型

情動焦点型とは、ストレッサーから生じた感情に対処する方法です。

ストレッサーそのものに対して働きかけるわけではありませんが、感情をうまく取り扱うことで、ストレスを低減させます。   

また、ストレッサーに対する解釈を変えるのも、情動焦点型に分類されます。

つまりストレッサーへの一次的認知評価へ介入するわけです。したがって、ストレッサーに対する過大評価を意識的に正すといったことが可能になります。

ただし、情動焦点型のストレスコーピングはストレッサーを根本的に取り除くわけではありません。あくまでも感情を変化させるだけであり、依然としてストレッサーは存在します。

ストレス解消型

ストレス解消型とは、ストレッサーから生じたストレスを外部へと追いやる対処法です。

「ストレスを解消、発散しよう」というアイデアは、多くの人が実行したことがあるでしょう。それこそが、ストレス解消型のストレスコーピングです。

ストレス解消型では、自分が興味関心を持てるものごとに取り組み、気分転換を図ります。

リラクゼーションやヒーリングといったものもストレス解消型のストレスコーピングのひとつです。「ゆっくりと睡眠を取る」のも、ひとつのストレスコーピングになり得ます。

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ストレスコーピングのやり方

ストレスコーピングの方法を理解しましょう。

専門家

上記では、ストレスコーピングの種別について解説しました。ストレッサーの大きさや性質に応じて、適切な類型のストレスコーピングを実施することが重要です。

下記では3つの類型における、具体的な取り組み方について、例を挙げて解説します。                                                     

問題焦点型:対策を検討し、実行する                  

問題焦点型のストレスコーピングでは、「ストレッサーへの対策を検討し、実行すること」がポイントとなります。適切な対策が実行された場合、ストレッサーによる影響をおさえることが可能です。

たとえば会社でのストレスに対して、以下のような方法が検討できます。

  • 営業成績について叱責されているので、営業技術やトークスキルについて学ぶ
  • 大量のタスクに対して、スケジュールを組み、一つずつ処理していく
  • ストレッサーに関して誰かに相談して支援を得る

ただし、「根本的に自力解決できないストレッサー」も存在します。

その場合は、「仕事をかえる」「担当部署を変更してもらえるよう依頼する」などの対処法を取り、ストレッサーと距離を置くことも検討します。                                   

情動焦点型:前向きに捉える努力をする

情動焦点型のストレスコーピングは、ストレッサーについて前向きに評価するのがポイントです。

わかりやすくいえば、「物事のよい面を意識的に見つける」方向で考えます。

  • 上司から叱責されたとき、「これは自分を成長させるチャンスだ」と考える
  • 「自分には長所がない」と考えたとき、「本当にひとつの長所もないのか」と考察する
  • このストレッサーを乗り越えた場合のリターンについて意識する

一次的認知評価では、ストレッサーを過大かつ不正確に評価してしまっていることもあります。

しかし前向きに捉える努力によって、適切なサイズ感でストレッサーを受け取り、発生するストレスを軽減できる可能性があります。                            

ストレス解消型:自分の好きなことをする

ストレス解消型のストレスコーピングは、難しいものではありません。

「自分の好きなことをする」こと自体が、ストレスコーピングです。

ストレス解消型の一例として、以下が挙げられます。

  • カラオケに行って、大声で歌を歌う
  • ショッピングに行って、欲しかったものを買う
  • リラクゼーションを受ける

また、運動が伴う取り組みはよりよいストレス解消効果をもたらすとされており、より効果的なストレスコーピングが実施できます。

参考:運動・身体活動とストレス・メンタルヘルス | 日本講習衛生学会 

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ストレスコーピングで変わること

ストレスコーピングを実践すれば、心理的・生理的な「反応」が変化します。わかりやすくいえば、ストレッサーによる悪影響が低減され、心身の状態が改善するということです。                                                   

心理的反応 

ストレスコーピングにより、心理的反応は以下のように変化します。

  1. 問題解決・計画立案・情報収集などの行動により、不安や抑うつが緩和される
  2. 肯定的に物事を捉える努力により、不安感情が低減する

つまりストレッサー自体が完全に除去されなくても、ストレスコーピングを図ること自体で心理的反応は改善します。さらに、行動がなくとも、物事の捉え方を肯定的にするだけでも不安感情の緩和が可能です。

生理的反応 

ストレスコーピングにより、生理的反応は以下のように反応します。

  • 積極的に問題解決を図ることで、自律神経や福腎髄質系の内分泌活動が活発になる
  • 心臓血管の反応が亢進する             

上記の生理的反応は、具体的には以下のような形で現れます。  

  • ホルモンバランスが調整され、適切な健康状態が維持される
  • リラックスした精神状態が保たれる
  • ネガティブな思考や、くよくよと悩む思考が低減される   

ストレスコーピングによる生理的反応は、最終的には心身の状態を改善します。

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ストレスコーピングで大切なこと

ストレスコーピングを漠然としていては、失敗するリスクもあります。

専門家

ストレスコーピングを実践するうえでは、大切なポイントが2つあります。

  • ストレスのサインを知る
  • 具体的に問題を解決したいと強く望む

それぞれについて詳しく解説するので、ご一読ください。                                             

ストレスのサインを知る

ストレスコーピングを実践するには、まずストレスの発生を認める必要があります。

ストレスがあったとき、以下のようなサインが現れます。

<精神面におけるサイン一例>

  • 不安感
  • 気分のおちこみ
  • イライラ
  • 集中力の低下

<身体面におけるサイン一例>

  • 入眠の困難
  • 食欲の低下
  • 腰痛
  • 目の疲れ
  • めまい
  • 動機

<行動面におけるサイン一例>

  • 飲酒量の増加
  • 暴飲暴食
  • 遅刻
  • 無断欠勤

サインが明らかに複数認められる場合、ストレスを強く感じていると考えられます。つまり「今はストレスコーピングが必要な場面」ということです。

具体的に問題を解決したいと強く望む

ストレスコーピングでは、具体的に問題をクリアしたいと強く望むことが重要です。

漫然と「ストレッサーが解決されればいいな」と考えるだけでは、具体的な変化はありません。あくまでも「自分で問題をクリアする」というストレッサーに立ち向かう姿勢でなければなりません。

ストレッサーを取り除くためには、具体的な計画と行動が求められます。そのため、特に問題焦点型のストレスコーピングにおいては、こうした意識づけが重要になります。

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まとめ:コーピングを組みわせてストレスに対処しよう

ストレスコーピングは、生活を続ける上で避けられないストレスに対し、適切な対応を取る対処法論です。

ストレスコーピングをきちんと実践すれば、日々のストレスはある程度緩和されるでしょう。

ストレスコーピングには3つの類型があり、これらは自由に組み合わせることが可能です。

したがって、「問題解決に取り組みつつも、その問題をポジティブに捉える」といった方法が考えられ、そのうえで「気晴らし」の時間を設けるように調整すれば、3つのストレスコーピングが同時に機能するわけです。

ストレスコーピングを上手に組み合わせて、より適切にストレスに対処しましょう。

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