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【必要?】コンプライアンス・オフィサーとは?意味や仕事内容、CCOの必要性を徹底解説!

コンプライアンス・オフィサーとは?

コンプライアンス・オフィサーという役職・仕事があります。あまり聞き慣れない単語ですが、語感から「なんとなく」想像できるのではないでしょうか。

コンプライアンスは法令遵守という意味です。この言葉は「コンプライアンスがなっていない会社」といったように、ネガティブな評価をするときに多く使われます。

そしてオフィサーは会社役員のことで、CEO(最高経営責任者)のチーフ・エグゼクティブ・オフィサー」のオフィサーと同じです。

つまりコンプライアンス・オフィサーは、「コンプライアンスが守られているかどうか厳しくチェックする社内の役職・仕事」ということになります。

チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)という名称の役員を置いている会社もあるほど、コンプライアンスはいま、経営のメーンテーマのひとつになっています。

コンプライアンス・オフィサーを置いていない企業は、少なくともその必要性について議論をしたほうがいいでしょう。

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【事例紹介】日本はコンプライアンス危機社会?

「日本企業は正直な商売を是とし、日本のビジネスパーソンは勤勉」は過去の話になってしまったのではないかと感じるほど、日本の経済界はコンプライアンスに揺れています。

世界の自動車産業に2018年11月、激震が走りました。日本の大手自動車メーカーN社の会長が、50億円分の報酬を過小記載した容疑で捜査当局に逮捕されました。しかもこの事件では、個人投資の十数億円の損失を会社に押しつけたとも報道されています[1]。

一般に経営トップは、その気になればコンプライアンスを破ることも、コンプライアンスを破って私腹を肥やすことも簡単であることは想像に難くありません。そういった意味では、この事件はコンプライアンス問題の「最上級」と考えることができます。

しかしコンプライアンスを学ぼうとするビジネスパーソンにとっては、この事例は極端すぎるかもしれません。そこで最上級以下の「普通」のコンプライアンス違反事例を紹介します。

続くコンプライアンス違反問題

この大手自動車メーカーN社は、実はかつて、「普通」のコンプライアンス違反問題を指摘されたことがあります。。

日本の自動車メーカーは、資格を有した検査担当者が完成した自動車を検査しなければ出荷してはならないことになっています。しかしN社の工場では、無資格者が検査して出荷していたのです[2]。

この不正は、複数の工場の複数の部署で長期にわたって行われていたのです。ことの重大性は、1つの工場の1つの部署で一定期間のみ行われていた場合とは比べ物になりません。

しかも、問題が発覚してマスコミで大々的に報じられ経営者がテレビカメラの前でお詫びの言葉を述べた後も、しばらく同じ不正が継続していたのです。

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コンプライアンス・オフィサーの実際の仕事

企業のコンプライアンス担当役員であるコンプライアンス・オフィサーは、社員たちが持つコンプライアンス違反の誘惑に、どのように立ち向かうのでしょうか。

エモーショナル・コンプライアンスを実行する

コンプライアンスに詳しい弁護士は、エモーショナル・コンプライアンスを提唱しています[3]。

エモーショナル・コンプライアンスの対極に位置する命令形コンプライアンスは「法律に違反するな」「コンプライアンスを破ったら罰を与える」という手法です。命令形コンプライアンスは上昇志向が強い社員には有効ですが、モチベーションが小さい社員には効果が期待できません。

それに対してエモーショナル・コンプライアンス方式は、社員に正しく仕事をすることの快感を教え諭します。

エモーショナル・コンプライアンスを実行している企業の経営者や管理職には、「減点主義を廃止する」「社員を孤立させない」「完璧を目指さない」ことなどが求められます。

さらに経営者や管理職は、社員やスタッフに「これまでこうしてきたからこれからもこうしろ」と指示するのではなく、「将来こうなりたいからいまこうしよう」と提案することになります。前例主義から脱却し、未来志向を取り入れるのです[4]。

そして経営者や管理職が採用するコミュニケーションは、「上意下達型のコミュニケーション」から「巻き込み型コミュニケーション」に変わらなければなりません[4]。

「巻き込み」はいま、ビジネスシーンでちょっとした流行語になっていて[5]、周囲の共感を得ながらプロジェクトに自発的に参加させるよう促す手法です。巻き込み型コミュニケーションが優れているのは、スタッフは自発的にプロジェクトに参加しているので、「悪いことをしよう」という動機を持ちにくくなります[6]。つまりコンプライアンスのモチベーションを生むのです。

エモーショナル・コンプライアンスを実行するには人事評価や給与体系、社員教育という全社的な改革が必要になるので、コンプライアンス・オフィサーという社長に近い存在の役職が指揮する必要があります。

コンプライアンス・オフィサーの権限と仕事

企業はコンプライアンス・オフィサーに、営業や開発などの業務推進担当役員や経理担当役員と同等の地位と権限を付与する必要があります[7]。

さらにコンプライアンス・オフィサーは、社内で独立的に動くことができなければなりません。例えば社内に、独立性を担保したコンプライアンス部門を設置して、コンプライアンス・オフィサーをその長にするのです。

東証一部上場の石原産業株式会社(本社・大阪市)は、コンプライアンス統括役員を任命し、コンプライアンス委員会を統括させています。同委員会には、コンプライアンス統括役員のほか、社外弁護士や監査役、各部門責任者などで構成されます[8]。

このようにコンプライアンス・オフィサーが、経営者や事業役員を介さず、直接、社外弁護士や監査役や各部門責任者と接触する機会を設けることでも独立性を保つことができます。

コンプライアンス・オフィサーの仕事には次のようなものがあります。

  • コンプライアンスに関する規定やマニュアルの制定
  • コンプライアンス規定・マニュアルの普及と実施
  • コンプライアンス調査
  • コンプライアンス教育
  • 社員からの相談・苦情受付
  • コンプライアンス監視
  • コンプライアンス違反が発生したときの対処(処分の決定、マスコミ対応など)

コンプライアンス・オフィサーによる調査や監視は、自身の上司である社長や会長、専務なども対象にならなければなりません。

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コンプライアンスの今日的な問題

コンプライアンス・オフィサーの仕事は、正しさを極限まで追い求めることであり、古くて新しいテーマといえます。

例えば三菱商事株式会社は、公明正大で品格のある行動、活動の公開性、透明性の堅持を「処事光明」と称し、現在のコンプライアンス政策の精神的支柱に据えています[9]。

そしてこの処事光明は、三菱財閥の4代目総帥である岩崎小彌太が1920年に訓示した内容の一部ものです。つまり100年前のコンプライアンスのコンセプトが、いまだに「現役」なのです。

しかしビジネス環境は100年前とは様変わりしています。ということは、コンプライアンス・オフィサーは100年前のコンセプトを現代ビジネスに応用することが求められるわけです。

コンプライアンス・オフィサーの敵はロボット?

RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)とは、管理部門の仕事を、AI(人工知能)を搭載したロボットに代行させるコンピュータシステムです。

RPAを会計や財務報告書の作成、経費処理などに活用しているある企業で、営業担当の社員が取引先企業とその銀行口座の一覧を不正に社外に持ち出した事件が起きています[10]

RPAは極めて高度な技術を用いるので、社内でコントロールできる人は少数になってしまいます。しかもその少数に、コンプライアンス・オフィサーや社長などが含まれないことのほうが珍しくないのです。

極端な例ですが、コンプライアンス・オフィサーの目の前にコンピュータを置き、そこで悪意ある技術者がRPAを操作して不正を働いていても、コンプライアンス・オフィサーは気がつかないかもしれないのです。

そこでコンプライアンス・オフィサーは、ITやネットやAIを使ったコンプライアンス違反に対抗するためにガバナンス(企業統治)を強化しなければなりません。

企業投資を進めるには、罰則や監視などのハードな手法から、エモーショナル・コンプライアンスのようなソフトな手法まで、あらゆる手を尽くさなければなりません。

そうすることでコンプライアンス違反を起こしにくい企業風土や、コンプライアンス違反が起きたときにすぐに「消火」できる体制を築いていけるのです。

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まとめ コンプライアンス・オフィサーについて

コンプライアンスが叫ばれて久しいですが、それでも社長がマスコミの前で謝罪するシーンはなくならないのは、コンプライアンス体制が形骸化しているからと推測できます。

形骸化させないためにはしっかりした「形」をつくる必要があります。

先ほど紹介した三菱商事では、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、社長が任命しています。チーフ・コンプライアンス・オフィサーはコンプライアンス委員会を統括し、同委員会は内部通報の受け皿になっています。

さらに同社の監査役が、コンプライアンス体制を監査するようになっています。コンプライアンス体制を形骸化させないためには、このように従来からある社内監視制度とコンプライアンス体制をリンクさせることが必要になるでしょう。

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参照

[1]私的な損失十数億円、日産に付け替えか ゴーン元会長https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3821851027112018MM0000/
[2]日産CCOが現場指揮 ものづくりトップ、出荷再開へ対策急ぐhttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO22559930S7A021C1TJC000/
[3]「正しいことをする」を人事評価に 増田英次氏https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37641430S8A111C1SHE000/
[4]エモーショナル・コンプライアンスの理論と実践http://sangyoukeiri.or.jp/D/2017D055.html
[5]「巻き込み」に関する書籍が多数発刊されているhttps://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E3%82%92%E3%80%8C%E5%B7%BB%E3%81%8D%E8%BE%BC%E3%82%80%E3%80%8D%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E6%8A%80%E8%A1%93-%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AE%E3%81%95%E3%81%B0%E3%81%8D%E6%96%B9-%E6%AB%BB%E4%BA%95-%E5%BC%98/dp/4532321913
[6]人を「巻き込む」コミュニケーション技術 その気にさせる仕事のさばき方https://eb.store.nikkei.com/asp/ShowItemDetailStart.do?itemId=D3-00032191C0
[7]CCO:Chief Compliance Officerhttps://home.kpmg.com/jp/ja/home/insights/2013/10/cco.html
[8]コンプライアンス統括役員の任命とコンプライアンス委員会の設置https://www.iskweb.co.jp/compliance/
[9]三菱商事のコンプライアンスhttps://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/governance/pdf/compliance_01_j.pdf
[10]RPA導入でコンプライアンス違反になる恐れ、必要な対策https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01267/

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