ディープラーニングとは?仕組みや概要、学習方法をわかりやすく解説

人工知能(artificial intelligence: AI)は私たちの身の回りにあり、私たちの生活を変えています。

例えば農家は人工知能やディープラーニングを使って、作物や気象条件を分析していますし、マーケティング担当者は、機械学習を利用してお客様の購入の好みや、どの広告がお客様にとってインパクトのあるものかを詳しく調べています。

銀行員は、人工ニューラルネットワークとディープラーニングを使って、経済動向や投資から何を期待すべきかを発見します。

映画業界では、人工知能や学習アルゴリズムを使って新しいシーンや都市、特殊効果を生み出していますし、映画制作の方法もどんどん変化しているのが現状です。

身近なもので言えば、SNSではディープラーニングでユーザーの好みを学習し、ユーザーが好きなコンテンツを提供しています。

このように、私たちの生活を変えつつあるAI技術の、基礎であり今注目されるべきテーマこそが、ディープラーニングです。

この記事では、「ディープラーニング(深層学習)」についてわかりやすく解説していきます。

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ディープラーニングとは

基本的にAIという技術は、人間の知能を必要とする作業を機械ができるようになることを本質としています。そして、人間が関与しなくても機械が経験によって学習し、スキルを身につけることができるのが機械学習です。

そのなかで、ディープラーニング(深層学習)は、人間の脳にヒントを得たアルゴリズムである人工ニューラルネットワークを使って、大量のインプットとアウトプットの間に関係性を見出す技術です。

私たちが経験から学習するのと同様に、ディープラーニングのアルゴリズムは、あるタスクを繰り返し実行し、その都度少しずつ調整して結果を改善していくのです。

ニューラルネットワークには、学習を可能にするさまざまな(深い)層があるため、「深層(深い)」「学習」と呼ばれています。

私たちの日々の生活からは大量のデータが生み出されており、それをリソースに、ディープラーニングが行われています。

近年、ディープラーニングの能力が高まっているのは、このようなデータ作成の増加が一因となっているほか、現在のより強力なコンピューティングパワー普及の恩恵もまた、アルゴリズムに作用しています。

AI・機械学習・ディープラーニング〜何が違うのか?〜

ディープラーニングは、機械学習の中でも特殊なものです。

機械学習では、まず画像から関連する特徴を手作業で抽出し、その特徴をもとに画像内のオブジェクトを分類するモデルを作成します。一方ディープラーニングでは、画像から関連する特徴を自動的に抽出することができるのに加え、「エンド・ツー・エンドの学習」を行います。

つまり、ネットワークに生データと分類などのタスクが与えられると、そのタスクを実行する方法を自動的に学習するのです。

また、ディープラーニング=深層学習のアルゴリズムはデータに応じて拡張していくのに対し、浅層学習は収束していくという点も大きな違いです。

浅い学習とは、ネットワークに例題や学習データを追加しても、一定の性能で完結となってしまう機械学習手法を指します。深層学習ネットワークの主な利点は、データのサイズが大きくなっても、改善し続けることができる点です。

そもそもAIとは何か

ビッグデータや人工知能(AI)は、近年、企業に多くのメリットをもたらしています。しかしそれに伴い、多くの新しい用語を理解しなければならなくなりました。

AI、ディープラーニング、ニューラルネットワークという用語は、それぞれ何を意味しているのでしょうか?

人工知能(artificial intelligence: AI)

人工知能(AI)とは、従来、人間の知能が必要とされていたことを、コンピュータを使って行うことです。

これは、データを分類、分析、予測するためのアルゴリズムの作成を意味します。また、データに基づいて行動し、新しいデータから学習し、時間をかけて改善していくことも必要です。

まるで人間の小さな子供が、より賢い大人へと成長していくようなものです。

AIと通常のプログラムの違いは?

通常のプログラムは、起こりうるすべてのシナリオを定義し、その定義されたシナリオの範囲内でのみ動作します。一方で、AIは、特定のタスクのためにプログラムを「訓練」し、自ら探求して改善することができます。

優れたAIは、初めての場面に遭遇した際にに何をすべきかを「理解」することができます。

たとえば、Microsoft Wordはプログラムなので自力では改善できませんが、AIである顔認識ソフトは、長く使えば使うほど顔を認識できるようになります。

AIを適用するにはたくさんのデータが必要で、AIのアルゴリズムは、大規模なデータセットを用いて訓練されることで、人間が行うのと同様にパターンを識別し、予測を行えるようになります。

人間の知能と人工の知能

どんなに優れたAIであっても、人間の知能にはかなわない部分があります。

もちろん人間の知能を模倣するように設計されたAIもありますが、現在のAIは比較的狭い範囲のタスクしかこなせません。

AIは、膨大なコンピューティングパワーを狭い範囲のデータや手法に適用することができる一方、人間の知能は、中程度の計算能力を、はるかに広い範囲のデータや方法に適用することができます。言い換えれば、脳はほとんどのことに応用できるが、AIは特定のことに特化したものなのです。

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ディープラーニングの仕組み

ほとんどの深層学習手法はニューラルネットワークアーキテクチャを使用しているため、深層学習モデルは、しばしばディープニューラルネットワークと呼ばれています。

「深層(ディープ)」という言葉は、通常、ニューラルネットワークの層の数を意味します。従来のニューラルネットワークでは2〜3層の隠れ層しかありませんでしたが、ディープニューラルネットワークでは150層にもなります。

深層学習モデルは、大規模なラベル付きデータセットと、手作業による特徴抽出を必要とせずにデータから直接特徴を学習するニューラルネットワークアーキテクチャを用いて学習されます。

ディープニューラルネットワークの代表的なものに、畳み込みニューラルネットワーク(CNNまたはConvNet)があります。CNNは、学習した特徴量と入力データを畳み込むもので、2次元の畳み込み層を使用するため、画像などの2次元データの処理に適しています。

CNNは手動での特徴抽出を必要としないため、画像の分類に使用される特徴を特定する必要がありません。関連する特徴は事前に学習されたものではなく、ネットワークが画像のコレクションから学習していきます。

この特徴抽出の自動化により、深層学習モデルは物体の分類などのコンピュータビジョンタスクにおいて高い精度を実現しています。数十から数百の層を使って、画像のさまざまな特徴を検出することで、層を重ねるごとに学習される画像特徴の複雑さが増していくのです。

ディープラーニングとニューラルネットワーク

ニューラルネットワークは、人間の脳がニューロンで構成されているように、ノード(脳で言うニューロンにあたる)の層で構成されています。個々の層の中のノードは、隣接する層に接続されています。

人間の脳を模したニューラルネットワークでは、各ニューロン、つまりノードが問題の小さな部分を解決する役割を担っています。

ノードは自分が知っていることや学んだことをネットワーク内の他のノードに伝え、相互に接続されたノードが問題を解決して出力します。試行錯誤はニューラルネットワークの大部分を占めており、ノードの学習には欠かせません。

ニューラルネットワークにおいて、情報の入力があり、情報はさらに深い層を通ってネットワーク内の相互接続されたノードの間を流れ、アルゴリズムを使ってそれらが学習され、解決策を出力ニューロン層に入れて最終的な予測や判断を行います。

ネットワークは、その層の数によって深さが決まると言われています。人間の脳では、1つのニューロンが他のニューロンから何千もの信号を受け取ります。

ニューラルネットワークでは、信号はノード間を移動し、対応する重みを割り当てます。重みのついたノードは、次の層のノードにより大きな影響を与えます。最後の層は、重み付けされた入力をまとめて出力します。

ディープラーニングはニューラルネットワーク技術の一つ

ディープラーニングは大量のデータを処理し、複雑な数学的計算を行うため、強力なハードウェアが必要となります。しかし、そのような高度なハードウェアを使用しても、ディープラーニングの学習計算には数週間かかることがあります。

ディープラーニングで正確な結果を得るために大量のデータを必要とするため、情報は巨大なデータセットとして供給されます。人工ニューラルネットワークは、そのデータを処理する際に、非常に複雑な数学的計算を伴う真偽2値の質問から得られる答えで、データを分類することが可能です。

たとえば、顔認識プログラムは、顔の輪郭や線を検出して認識することを学習し、次に顔のより重要な部分を認識し、最後に顔の全体像を認識します。時間が経つにつれ、プログラムは自らを鍛え上げ、正解の確率を高めていきます。この場合、顔認識プログラムは時間の経過とともに顔を正確に認識するようになります。

深層学習は大きなニューラルネットワークを活用した技術

ディープラーニングとは、ディープニューラルネットワークと呼ばれる、非常に大きなニューラルネットワークのことを意味しています。

深層(ディープ)ニューラルネットワークは、通常のニューラルネットワークよりもはるかに大きな多くの層を持ち、より多くの情報を保存し、扱うことができるため、ディープラーニングと呼ばれているのです。 

ディープラーニングは現在様々な形で利用されており、代表例としては、リソースから質問に答えるチャットボットなどが挙げられます。

他にも、言語認識、自動運転車、テキスト生成など、様々な例があります。より複雑なアルゴリズムを使用する場合、ディープラーニングはそのアルゴリズムを迅速かつ効果的に解決する手段となります。

ディープラーニングは、コンピュータが複雑な質問に答え、より大きな問題を解決するために必要なリソースとスペースを確保するための鍵となるものです。

通常のニューラルネットワークは数枚の層しか持ちませんが、ディープラーニングは数百枚の層を持ち、問題を解決して出力を生成することが可能です。ディープニューラルネットワークの規模が大きくなればなるほど、問題を解決するために必要なデータ量も多くなります。

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ニューラルネットワークによる学習

ニューラルネットワークが自力で機能し、学習するためには、「教える」必要があります。

ニューラルネットワークは自身の出力や入ってきた情報から学習していきますが、そういった学習を始めるためには、プロセスを追う必要があります。

ここでは3つのプロセスについて解説します。

  • 訓練(training)
  • 転移学習(Transfer learning)
  • 特徴抽出(Feature extraction)

それぞれ詳しく解説します。

訓練(training)

訓練されたニューラルネットワークは、乱数や重みを与えられてスタートします。このトレーニングには教師ありと教師なしがあり、教師ありのトレーニングでは、ネットワークに評定や修正を与える仕組みがあります。

教師なしトレーニングでは、外部の助けを借りずに、ネットワークが入力を把握するように働きかけます。ほとんどのニューラルネットワークは、より早く学習するために教師あり学習を使用しています。

転移学習(Transfer learning)

転移学習とは、ニューラルネットワークに類似した問題を与え、その問題の全部または一部を再利用することで学習を高速化し、対象となる問題のパフォーマンスを向上させる技術です。

特徴抽出(Feature extraction)

特徴抽出とは、入力されるすべてのデータから冗長なデータを取り除き、より管理しやすいセグメントにまとめることです。

これにより、必要な情報だけをニューラルネットワークに与えることができ、問題解決に必要なメモリや計算量を削減することができます。

ニューラルネットワークでできること

ニューラルネットワークについて理解したところで、実際にどのようなことができるのかを知っておきましょう。

ニューラルネットワークが広く普及している適用例は主に3つあります。

  • 分類(Classification)
  • クラスタリング(Clustering)
  • 予測分析(Predictive analytics)

それぞれわかりやすく解説します。

分類(Classification)

ニューラルネットワークにおける分類とは、ニューラルネットワークが与えられた特定のルールに基づいてデータをセグメント化し、分離することです。

分類は、ニューラルネットワークの教師付き学習で使われます。人間に代わってデータを分類し、仕様に基づいて分離してくれるので、異なるクラスに基づいた結果を提供することができます。

たとえばマーケティング担当者が顧客のデモグラフィックを分離するのに役立ち、その分類に基づいて固有の広告を提供することができます。

クラスタリング(Clustering)

クラスタリングは、類似した要素を分離するという点で分類と似ていますが、教師なしのトレーニングで使用されるため、グループは要件に基づいて分離されるわけではありません。

クラスタリングは、研究者がデータのセット間の違いを見つけ、それらについてより多くを学ぼうとしているときによく使用されます

研究者が、特定のグループの違いを発見しようとする場合、クラスタリングを通してコンピュータに微妙な違いを発見・指摘させるのです。

予測分析(Predictive analytics)

予測分析は、ニューラルネットワークを使って、将来についての判断を助けるために使われます。

ニューラルネットワークが取得したデータに基づいて、未来に何が起こるかを推測するのです。

例えばAmazonは、予測分析の素晴らしい例です。あなたの過去の買い物経験に基づいた予測分析から、Amazonはあなたが好きそうな、似たようなアイテムを表示します。

あなたの検索行動から学習して、あなたが興味を持っているようなものを教えてくれるのです。

ディープラーニングの活用事例

人間が介在しなくても、機械が複雑な問題を解決するように学習できる時代になった今、ディープラーニングは具体的にどのような課題に取り組んでいるのでしょうか。

具体的に以下8つの事例を紹介します。

  • 仮想アシスタント
  • 翻訳
  • ドライバーレス配送トラック、ドローン、自律走行車のビジョン
  • チャットボットやサービスボット
  • 画像のカラー化
  • 顔の認識
  • 医学・薬学
  • パーソナライズされたショッピングやエンターテイメント

それぞれ簡単に解説します。

仮想アシスタント

Alexa、Siri、Cortanaなど、オンラインサービスプロバイダーのバーチャルアシスタントは、ディープラーニングを利用して、ユーザーの会話や人間が対話する際に使用する言語の理解を助けます。

翻訳

仮想アシスタントと同様に、深層学習アルゴリズムは、言語間の翻訳を自動的に行うことができます。

これは、旅行者、ビジネスマン、政府関係者にとって非常に有効なツールとなります。

ドライバーレス配送トラック、ドローン、自律走行車のビジョン

自律走行車が、実際の道路において、一時停止の標識であっても、路上のボールであっても、他の車両であっても、どのように対応すべきかを理解できるようになったのはディープラーニングアルゴリズムによるものです。

アルゴリズムが受け取るデータが多ければ多いほど、例えば「雪で覆われた一時停止標識が一時停止標識であることを認識する」のように、人間のような情報処理を行うことができるようになります。

チャットボットやサービスボット

多くの企業で、カスタマーサービスを提供しているチャットボットやサービスボットは、増え続ける音声やテキストによる質問に適格に答えることができます

画像のカラー化

白黒の画像をカラーに変換することは、かつては人間の手で綿密に行われていた作業でした。

現在では、深層学習アルゴリズムが、画像内の文脈やオブジェクトを利用して色付けを行い、基本的に白黒画像をカラーで再現することができます。

顔の認識

ディープラーニングによる顔認識は、セキュリティ目的だけでなく、Facebookの投稿にタグ付けする際にも利用されており、近い将来、顔認証でお店の商品の支払いができるようになるかもしれません。

ディープラーニングの顔認識アルゴリズムの課題は、髪型を変えたり、ヒゲを生やしたり剃ったりした場合や、照明や障害物の影響で撮影した画像が悪い場合でも、同一人物であると判別できるかどうか、という部分です。

医学・薬学

病気や腫瘍の診断から、個人のゲノムに合わせて特別に作られたパーソナライズド医薬品まで、医療分野におけるディープラーニングは多くの大手製薬会社や医療企業から注目されています。

パーソナライズされたショッピングやエンターテイメント

Netflixが次に見るべき映画をどうやって提案するか考えたことがありますか?

あるいはAmazonが次に買うべき商品を提案してくれて、その提案がまさにあなたが必要としているもので、しかも今まで知らなかったものだとしたら?そう、それは深層学習アルゴリズムの働きなのです。

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ディープラーニングの勉強方法

IT業界を目指すのであれば、ディープラーニングについて知っておく必要があります。

ニューラルネットワークや機械学習はなくならないため、ディープラーニングの仕組みや、ディープラーニングが業界にどのような影響を与えているかをしっかりと理解しておく必要があります。

ディープラーニングの勉強方法は以下2つです。

  • 書籍で学ぶ
  • G検定の勉強をする

それぞれわかりやすく解説します。

書籍で学ぶ

まずは書籍で学ぶのが1つの方法です。

特におすすめの書籍は日本ディープラーニング協会が推薦している雑誌です。

一般社団法人日本ディープラーニング協会推薦の図書である『深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト 第2版』(翔泳社)は、「ディープラーニングに関する基礎知識を有し、事業活用する人材(ジェネラリスト)」に必要な知識を広くカバーした入門レベルの解説書です。

また、日本ディープラーニング協会と日経クロストレンドが責任編集した書籍である『ディープラーニング活用の教科書』(日経BP社)は、国内35社のディープラーニングを活用したビジネス事例集です。

各事例において、課題点、解決策、苦労したポイントを解説しています。

ビジネス活用のポイントを学ぶのにおすすめです。

G検定を受ける

G検定は、ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定するための検定試験です。

G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(英称:Japan Deep Learninng Association、以下JDLA)が実施している民間資格試験ですので、ディープラーニングに関する自身の知識を確認することができます。

まとめ

私たちは今、「ビッグデータ」の時代に生きています。それは、人間が処理するには煩雑すぎる膨大な量の情報を処理しなければならない時代ということを意味しています。

そんな中、AIやそれに関する技術の応用は、テクノロジー、銀行、マーケティング、エンターテインメントなど、さまざまな業界ですでにかなりの成果を上げています。 

ディープラーニングのアルゴリズムは、経験を積めば積むほど改善されます。

ここ数年だけであってもでディープラーニング技術は驚異的なものになると予想され、技術の成熟とともにさまざまな応用方法が生まれていくでしょう。

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