ペロブスカイト太陽電池とは?メリット・デメリットや参入企業

太陽光電池

ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池として近年注目されるようになり、急速に開発が進められています。

ペロブスカイト太陽電池は日本において開発された技術で、多くの企業が参入するようになっています。

本記事では、そんなペロブスカイト太陽電池についてわかりやすく解説します。

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はじめに

ペロブスカイト太陽電池は、その急速な技術進歩により、太陽電池界の新星として学術界でも大きな関心を集めています。

ここ数年の研究では、ペロブスカイトの配合や製造方法を工学的に改良することで、電力変換効率の大幅向上に成功しており、2018年6月現在において、電力変換効率は23%以上に達しています。

本記事では、そんなプロブスカイト太陽電池についてわかりやすく解説していきます。

ペロブスカイト太陽電池とは

太陽の光を電気に変換する太陽電池は、再生可能エネルギーとして注目されてきました。

太陽電池は1枚1枚は非常に小さいものの、モジュール化することによって、バッテリーの充電や照明の点灯に利用することができます。

また、太陽電池を並列に並べれば、建物の主要なエネルギー源にすることもできます。

しかし、一般的に販売されている太陽電池はシリコンを使用しているため、従来の電源に比べて製造コストが高くなってしまうというデメリットがありました。

そこで登場したのが、光を電気に変換する結晶構造を持つ、ペロブスカイトという素材です。

ペロブスカイトを用いた太陽電池は、リジッド基板とリムーバー基板の両方を用いて製造することができるため、安価であることに加えて、より軽量で柔軟性を持たせられる可能性があると言われています。

しかし、プロブスカイトを太陽電池に利用して実用化するには、その試作品の制作を通してサイズ、効率、寿命を向上させる必要があります。 

そもそもペロブスカイトとは?

ペロブスカイトは、170年以上前にロシアのウラル山脈で発見された立方体やダイヤモンドのような結晶構造を持つ鉱物です。

ロシアの鉱物学者レフ・ペロフスキーにちなんで名付けられたペロブスカイトは、主に地球のマントルに多く存在し、時には地表近くの鉱床にも存在しています。 

ペロブスカイトは一般的な化学物質から合成することができ、太陽電池のほか、発光ダイオード、触媒電極、燃料電池、ICチップ、レーザー、センサーなどの用途に使用することが可能です。

ここ数十年の間に、いくつかの新しい太陽電池材料が登場していますが、既存の太陽電池の約95%に使用されている、シリコン主流の市場に大きな影響を与えることはありませんでした。

しかし、ペロブスカイトは、実用化できれば安価で高効率の太陽電池を実現できることから、長い間研究者たちは関心を向けてきました。現在では、いくつかの企業がペロブスカイト太陽電池の商業生産に向けて取組んでいます。

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ペロブスカイト太陽電池の最新動向

太陽電池材料としてのペロブスカイトが発見されたのは、2000年代半ばに行われた有機色素増感太陽電池の実験でのことでした。

この太陽電池は成功しなかったものの、ペロブスカイト化合物はそれ自体でかなりの光反応性を示すことが判明したのです。

それから10年が経過して、学界、国立研究所、企業は、実験室で約30cm×30cmの大きさのペロブスカイト太陽電池の電力変換効率を2%から25%にまで高めることに成功しています。

他の太陽電池技術が実験室規模で同様の効率を達成するのに40年以上かかったことを考えると、これは驚異的な進歩と言えるでしょう。

自動化ロボットで性能安定へ

従来のペロブスカイト太陽電池は手作業で作製されていたため、研究者によって太陽電池の性能にバラつきが生じるのが普通でした。

こうした手間や品質のバラつきをなくすため、ペロブスカイト膜の成膜技術を自動化する技術が、桐蔭横浜大学発ベンチャーのペクセル・テクノロジーズによって開発されています。

カーボンナノドットで性能向上

クイーンズランド工科大学材料科学センターのHongxia Wang教授およびPrashant Sonar准教授は、ヒトの髪の毛から生成したカーボンナノドットを使って、ペロブスカイト太陽電池の性能向上が図れることを示した論文を発表しています。

この研究では、ペロブスカイトを作るプロセスにカーボンナノドットの溶液を加えることで、保護層が形成されるのを発見しています。

この保護層が、“一種の鎧”となり、損傷を与える可能性がある湿気や、他の環境要因からペロブスカイト材料を保護してくれます。

カーボンドットで覆われたペロブスカイト太陽電池は、カーボンドットのないものと比較して高い電力変換効率と安定性を備えていることが研究により示されています。

京大がペロブスカイト太陽電池の熟成機構解明

ペロブスカイト太陽電池は、ワインやチーズが常温保存で熟成するように、空気中でしばらく保管することにより効率が向上することが経験的に知られていました。

しかし、なぜそのように効率が向上するのかは解明されていませんでした。

京都大学,豪シドニー大学,豪ニューサウスウェールズ大学らの研究グループは、ペロブスカイト太陽電池を空気中で保管することにより効率が向上する機構を解明しています。

研究では、ペロブスカイト太陽電池の保管条件を変えて効率の経時変化を追跡しており、その結果、常温にて相対湿度20%程度の空気中で2日間保管することによって効率が一番大きく向上することを明らかにしました。

本研究では、最高20.4%のエネルギー変換効率を得ることに成功しています。

ペロブスカイト太陽電池の動作原理は?

すべての太陽電池は、光のエネルギーを電気に変えるために、ガラスのような電気絶縁体と銅のような金属導体の中間的な材料である、半導体を使用しています。

太陽の光を受けると、半導体材料の中の電子が励起されて、その電子が導電性の電極に流れ込み、電流が発生し、これが太陽エネルギーとして利用されています。

シリコンは、太陽の光のスペクトルに適した半導体特性を持ち、比較的豊富で安定しているなどの理由から、1950年代から太陽電池の主要な半導体材料として使用されてきました。

しかし、従来の太陽電池に使用されている大きなシリコン結晶は、高価で多段階の製造工程を必要とし、多くのエネルギーを消費してしまうという欠点がありました。

そこで科学者たちは、ペロブスカイトの調整能力を利用して、シリコンと同様の特性を持つ半導体を作り出しました。

ペロブスカイト太陽電池は、印刷のような単純な付加的成膜技術を用いて、わずかなコストとエネルギーで製造することが可能です。また、ペロブスカイトは組成に柔軟性があるため、太陽のスペクトルと理想的に一致するように調整することができるという特徴もあります。

2012年、研究者たちは、光吸収層にハロゲン化鉛ペロブスカイトを用いて、光の光子から電子への変換効率が10%を超える安定した薄膜ペロブスカイト太陽電池を作る方法を発見しました。

それ以来、ペロブスカイト太陽電池の太陽光から電気への変換効率は飛躍的に向上し、実験室での記録は25.2%に達しています。

また、ペロブスカイト太陽電池と従来のシリコン太陽電池を組み合わせた「ペロブスカイト・オン・シリコン」タンデムセルの効率は、現在、29.1%(従来のシリコン太陽電池の27%を上回る)で、急速に上昇しています。

このように、ペロブスカイト太陽電池は、研究によって効率が急速に向上しており、従来のシリコン太陽電池に代わる安価で高効率な太陽電池となる可能性が期待されています。

この可能性を実現するためには、安定性や環境適合性に関する障壁を克服する必要があります。これらの問題が解決されれば、ペロブスカイト型の技術はテラワット級の太陽電池の導入にも繋がる可能性を秘めています。

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ペロブスカイト太陽電池のメリット・デメリット

ここからはペロブスカイト太陽光電池のメリット・デメリットを解説します。

メリット

プロブスカイト太陽電池の現在の実験室での電力変換効率は、シリコン結晶やその他の薄膜製品のそれを上回っており、タンデムPSCでは33%以上を達成するための実行可能なロードマップが存在しています。

また、ペロブスカイトの製造は、溶液処理によって非常に簡素化されており、半導体処理に必要な高コストの機械や設備を必要としないことも大きなメリットです。シリコン結晶とは異なり、ペロブスカイトは薄膜で製造されるため、材料が20分の1で済むことも特徴です。

さらに、レアアースや供給制限のある材料を必要としません。

しかも、従来の長方形のソーラーパネルのような形状だけでなくフレキシブルな形状にすることができ、新しいアプリケーションや市場を開拓することができます。

デメリット

ペロブスカイトは、酸素や水分の影響を受けやすく、結晶内の結合に支障をきたし、電子が材料内を効率的に移動できなくなりやすいです。

したがって、この課題を解決することができない限り、プロブスカイト太陽電池が既存の太陽電池に置き換わることはないと考えられます。

ペロブスカイト太陽電池で注目されている企業

ペロブスカイト太陽電池で注目されている企業は以下の4つの企業です。

  • 東芝
  • ホシデン
  • リコー
  • 三菱マテリアル

それぞれの研究をわかりやすく解説します。

東芝

2018年、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東芝は、東芝が保有するメニスカス塗布技術に加えて新たなプロセス開発などにより、従来両立の困難であったセルの大面積化と高効率化を実現しています。

モジュール面積703 c㎡(世界最大)、エネルギー変換効率11.7%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを開発しており、面積の広さに加え、しなやかさと軽量性を併せ持つことで、将来の太陽電池の設置場所拡大につながることが期待されます。

ホシデン

2021年、ホシデンは、次世代の太陽電池と目される、ペロブスカイト型太陽電池事業に参入しました。

ペロブスカイト型太陽電池は、低温プロセスにより製造されるため、製造過程の電力消費量も小さく、主に有機材料を用いるため生産コストの抑制が期待できます。2021年度にサンプル展開、2022年に量産機の導入、2023年からの量産を目指しています。

リコー

リコーは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や桐蔭横浜大学と共同開発したペロブスカイト太陽電池の開発を行っています。

三菱マテリアル

三菱マテリアルは、エネコートテクノロジーズへ出資するとともに、ペロブスカイト太陽電池の耐久性の向上に貢献する技術や鉛フリー化に必要な周辺材料などの開発を進めています。

環境負荷低減を考慮したモノづくりに取組んでいます。

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ペロブスカイト太陽電池の今後の課題

現在、ペロブスカイト太陽電池における最大の課題は、プロブスカイトの不安定性であると言われています。

これは、水、光、酸素などの外的要因による劣化経路によるものと、材料の特性による加熱劣化などの内在的な不安定性によるものがあるとわかっています。

また、ペロブスカイト化合物への鉛の使用についても、まだ十分な検討がなされていないことも課題として挙げられます。

鉛は、現在の鉛電池やカドミウム電池に比べてかなり少量しか使用されていないものの、太陽電池のように、商業的に使用される製品に鉛が含まれていることは問題があります。

ペロブスカイト化合物の環境への溶出による有毒な鉛化合物への曝露に対する懸念はいまだに残っており、ペロブスカイトの大規模な導入には劣化生成物の完全な封じ込めが必要であるとする研究もあります。

その一方で、他の研究におけるライフサイクル評価では、電池内の他の材料(正極など)と比較して鉛の毒性の影響は無視できるとされています。

ペロブスカイト太陽電池に鉛の代替材料を使用する可能性もありますが、このようなデバイスの電力変換効率は鉛系デバイスに比べてまだ大幅に劣っており、スズ系ペロブスカイトの記録は現在9.0%となっているなど、電力変換効率が著しく劣っているのが現状です。

おわりに

次世代の太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池は、現在も変換効率を高めるべく実験が進められています。

ペロブスカイト太陽電池は、旧来のシリコン型の太陽電池よりも、軽く、塗布するだけで光エネルギーを電気エネルギーに変換できることが最大の特徴です。

ペロブスカイト太陽電池はそれまでの太陽電池技術から見ると非常に画期的であり、開発が進んでいけば、全ての太陽電池がペロブスカイトを利用したものとなるかもしれません。

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