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ピアプレッシャーとは?ピアプレッシャーの意味やメリット・デメリット、マネジメントのコツを徹底解説!

ピアプレッシャーとは?

チームや組織で仕事をすると気疲れしてしまう、ストレスを感じてしまう、自分の意見を言いづらくなってしまう、自分の仕事が終わっているのに帰りづらいなどの悩みを働く人は感じてしまいます。

これらは職場内で自然に生まれるピアプレッシャーから生じています。

職場や組織で自然に生じるピアプレッシャーを味方につけることで生産性が向上し働きやすい環境を整えることもマネージャーにとって大切な役割です。

うまくピアプレッシャー味方につけ、適度に緊張感のある働きやすい職場をつくることが、結果的に職場の抱える問題の解決につながリます。

 

本記事では、ピアプレッシャーを解説するとともに、そのメリット・デメリットを解説していきます。

 

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ピアプレッシャーは毒にも薬にもなる

 

ピアプレッシャーは有り体にいえば毒にも薬にもなります。日本語でピアプレッシャーのピアは同僚、プレッシャーは圧力です。日本語で同調圧力と訳されることが一般的です。同調圧力というと日本では、どちらかといえばネガティブな捉え方をされがちです。しかしピアプレッシャーにはネガティブな面だけではなくポジティブな面もあります。ピアプレッシャーのメリット・デメリット

を理解しうまくコントロールすることが大切です。

 

ピアプレッシャーのメリット

・高いモチベーションは相互に生産性を高める
・適度な緊張感から競争意識が生まれ生産性が向上する
・相互配慮から助け合いが生まれる[1]

モチベーションの高い人の隣で仕事をすると作業効率が17%向上したとハーバード大学が行った実験で明らかになっています。経験則でも周囲がテキパキ仕事をしている環境にいると、ひとりで仕事をしているよりも仕事が捗った感じる人も多いのではないでしょうか。

また周囲に同じように働いている人がいれば緊張感から競争意識も生まれます。とある外資系の
小売業ではレジを終わらせる速度を計測しランキングとして可視化することで生産性の向上を狙った取り組みもされています。[2]

そして相互に気を使うことでお互いの仕事をカバーし合えるようになることもチームや会社で働くことの大きなメリットです。

これらのピアプレッシャーのメリットはひとりではなく集団・チームだからこそ得られる恩恵でもあります。

 

ピアプレッシャーのデメリット

・低いモチベーションが相互に生産性に悪い影響をあたえる
・周囲との過当競争で強い緊張状態になる
・気を使い過ぎてしまい無理をしてしまう

ベインアンドカンパニーとプレジデント社の共同調査によるとモチベーションが低い集団の中にいると生産性は向上するどころか悪い影響があります。また周囲との過当競争はときとして強い緊張感になり働く人に過度なストレスを与え働きづらい環境をつくってしまいます。例えば私が
過去に勤めていた外資系の企業ではノルマや周囲との競争の厳しさを理由に離職する人も少なくありませんでした。また過剰適応でストレスを感じてしまう問題点も私が勤めていた教育機関(日本の小学校・タイの国立大学)では研修のテーマになるほどでした。

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日本はピアプレッシャーが悪い方向にいきがち

 

山本七平の『空気の研究』は昭和52年に発表された日本人の行動様式について論じた作品です。[1]

日本人の行動様式を誰にも逆らえない妖怪「空気」が規定していると論じています。「空気」は日本のある種のピアプレッシャーです。

一橋大学で学長を勤めていた歴史学者の阿部謹也も日本には西洋のキリスト教的な価値観に立脚した個人の集合体である社会ではなく、小さな自分と何らかの利害関係のある共同体(世間)内部の同調圧力(ピアプレッシャー )が見られると主張しています。[2]

両者とも日本人論を語るうえでよく引用・参考にされますがピアプレッシャーをそれぞれ空気・世間という目に見えない同調圧力として論じている点で共通しています。山本七平も阿部謹也もピアプレッシャー が時として暴走して強い力をもつことを著書の中で指摘しています。

 

いわゆるブラック企業の問題

同調圧力への過剰適応が極端な長時間労働や過剰なノルマ、ハラスメントが横行するブラック企業を産んだ面もあるのではないでしょうか。特に日本の新卒一括採用からの終身雇用が前提とされた社会では転職もしづらく雇用の流動性も低いためピアプレッシャーの逃げ場がありません。

日本人は同調圧力を受けやすい文化・気質であると山本七平、阿部謹也は著書の中で述べています。それに加え戦後の雇用の流動性の低さから逃げ場のないピアプレッシャーが悪い方向に作用する職場が増えたのが、ブラック企業という言葉をよく聞くようになりました。[3]

 

日本は愛社精神が低い国

日本は愛社精神が低い国です。熱意ある社員が6%のみ139カ国中、132位とエンゲージメントが世界でも最下位に近いという調査結果がアメリカのギャラップ社の調査で明らかになりました。[4]

労働経済学を専攻した日本の経済学者、小池和男は著書『日本産業社会の「神話」』のなかで日本のエンゲージメントが低い理由と考えられるのが過度な社内競争であると指摘しています。[5]

アメリカ型の雇用は地位や専門などで業務の分担が明確に決まっています。一方で上司・部下・同僚からの評価が重視される日本型の企業はピアプレッシャーが強いストレスとなってしまいます。過度な社内競争によるピアプレッシャーは日本の会社員のエンゲージメントを下げる大きな要因のひとつとなってしまっています。

 

ピアプレッシャーから解放されるフリーランスのブーム

 

過度なピアプレッシャーから自由になれる働き方としてフリーランスが注目を集めています。2015年にはフリーランス人口は日本で913万人でしたが2018年には1119万人に増加しました。[6]

日本は労働人口が少子高齢化で減り続けており様々な雇用形態・働き方を認めなければ立ち行かない状況にあります。日本で働き方改革が本格的に議論されているのも外国からの技能実習生や留学生アルバイトの手を借りなければ現場が回らないほど人出不足だからです。

自由で柔軟な生活を送れるという理由でフリーランスを選ぶ人も少なくありません。確かにフリーランスならばクライアントとの取引はあるもののチーム・職場内のピアプレッシャーからは自由になれます。私はフリーランスを志望する若い人達と接する機会もコワーキングスペースなどでありますが会社組織の息苦しさから、フリーランスを志す人が多いようです。

 

チーム・組織で働くことが見直される今

 

フリーランスがブームになる一方でチーム・組織で働くことが見直されています。フリーランスはピアプレッシャーのない働き方ではありますが、ピアプレッシャーがないことから自分で仕事のモチベーションやスケジュール、生産性の管理をマネジメントしなければうまくいかない働き方でもあります。いざ独立してみると孤独でモチベーションが保てないという悩みを抱えている人も多いのです。

また一人ではできることに限りもあります。そのため一度、フリーランスで完全に独立した人も
チームを組んだり会社に戻って柔軟に働ける雇用形態にしたりする人も少なくありません。

個々に意思決定権のあるティール組織など新しい形の組織形態も注目されています。[7]

 

マネージャーはピアプレッシャーを味方につけるべき

 

チーム・組織で仕事を進める以上、ピアプレッシャーから逃れることはできません。そのため、
マネージャーはピアプレッシャーは必ず発生するものとして考えうまくマネジメントの味方につけるべきです。ピアプレッシャーは有り体にいえば毒にも薬にもなるため良い側面を最大限に生かすマネジメントをしましょう。

 

ひとりひとりに役割を与える

アメリカでは職域や役割が明確に決まっているジョブ型雇用が中心です。一方で日本はメンバーシップ型の職務範囲が明確に定められない雇用形態が中心です。[8]そのため日本では専門性よりも職場の中で上司・部下・同僚とうまくやっていけるかどうかという協調性やコミュニケーション能力などが重視される傾向にあります。それがピアプレッシャーで過度な競争や過剰適応を生み出してしまう原因のひとつとなっています。

ひとりひとりに明確な役割を与えることがエンゲージメントを高めます。

エンゲージメントの調査をしたアメリカのギャラップ社のアンケート調査は12の質問で構成されています。

Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

これらの質問のうちの多くが明確な役割を与えフィードバックをマネージャーがこころがければ、「Yes」と回答してもらえるものです。

ひとりひとりに役割と明確な責任をあたえ、それに向かって業務をそれぞれが遂行していく中で
相互に良い影響を与える環境をつくることでピアプレッシャーの良い面を味方につけることができます。

 

ピアプレッシャーを手綱にしてマネジメントしましょう

各々が目標と明確なビジョンをもつ個人がチームとして一緒に働けばピアプレッシャーが周囲に
対するネガティブな評価を恐れから動くのではなく良い方向に切磋琢磨して動きやすくなります。ピアプレッシャーがチームや組織にポジティブに働いているかネガティブに働いているかを見極めるのもマネージャーの大切な役割です。

もしもピアプレッシャーがネガティブな影響を相互に与えているようならば立場の異なるマネージャーがリーダーシップをとって目に見えづらいピアプレッシャー、言い換えれば「空気」をしっかりと言語化し問題点を目に見える形で示しコミュニケーションをとりながら解決していきましょう。

ピアプレッシャーがポジティブなはたらきをしているときは味方につけネガティブなはたらきを
しているときは手綱を締め制御することが大切です。

 

まとめ ピアプレッシャーをポジティブに

 

ピアプレッシャーは適度な緊張感を生むことで生産性を高めるポジティブな側面も強いストレスの原因になるネガティブな側面もあります。

しかしチーム・組織として働く以上ピアプレッシャー から逃れることはできません。マネージャーは個々に明確な役割と責任を与えピアプレッシャー のポジティブな面をうまく生かしながらもネガティブな働きをしている場合はリーダーシップをもってピアプレッシャーをおさえることも大切です。

 

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参考

[1]https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787232496/
[2]『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』
[3] https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/416791199X/diamondinc-22『「空気」の研究』[4]https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E4%B8%96%E9%96%93%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%98%BF%E9%83%A8-%E8%AC%B9%E4%B9%9F/dp/4061492624『「世間」とは何か』[5]https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000166797.pdf(労働政策審議会)
[6] https://www.nikkei.com/article/DGXLZO16873820W7A520C1TJ1000/日本経済新聞[7]https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%94%A3%E6%A5%AD%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%80%8C%E7%A5%9E%E8%A9%B1%E3%80%8D%E2%80%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E8%87%AA%E8%99%90%E5%8F%B2%E8%A6%B3%E3%82%92%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%99-%E5%B0%8F%E6%B1%A0-%E5%92%8C%E7%94%B7/dp/4532314356『日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす』
[8]https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2018/04/pdf/002-010.pdf

 

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