「働きアリの法則」に見る仕事の進め方の改善策 できる社員はなぜいつも席にいないのか

投稿日:2021/05/27

組織における「働きアリの法則」や、「2-6-2の法則」を聞いたことがある人も多いかもしれません。
組織においては「できる人」と「できない人」がいて、2割の「できる人」によって組織が支えられているというものです。

しかし、マネジメントをしている人からしたら、全員に「できる社員になってほしい」と思うのが本音でしょう。
ではどうしたら、「できない人」を「できる人」に変えることができるのでしょうか。

 

「働きアリの法則」とは?

 

働きアリの法則とは、「働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる」というものです。
もともとは、働きアリを観察して得た生物学の法則なのですが、これが人間社会にも似ていることから、ビジネス書でもよく取り上げられます。

例えば、こんな具合です。

 一般的に、組織の構成比は、
・「上位20%(会社を引っ張る20%のリーダー)」
・「中位60%(会社を支える60%の人材)」
・「下位20%(上の80%にもたれかかっている20%)」
 に分かれる(2-6-2の法則)というのが通説です。
[1]「2-6-2」の下位20%は宝!下の2割を切らないと、なぜ、10年以上離職率ほぼゼロになるのか?(ダイヤモンドオンライン)https://diamond.jp/articles/-/124994

では、できる社員のトップの人たちは、一体どんな行動をしているのでしょうか。
その行動をできない社員が「真似すること」で全員が生産性をあげることは、可能なのでしょうか。

 

AI分析でわかったトップ5%社員の習慣

 

「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、各社の人事評価上位5%の社員がどのような行動と働き方をしているかを調査したものです。

著者は元マイクロソフト役員で、605社に働き方改革の支援を行ってきたクロスリバーの社長越川慎司さんです。

会社のディスクに定点カメラを設置したり、レコーダーやセンサーを装着してもらったりヒアリングしながら行動や発言を記録し、AIと専門家によってデータを分析して共通点を探ったのが本書です。

できる社員とできない社員を比べると、いろんなことがわかります。

本書では、できる社員の特徴についてさまざまな考察がされています。
興味深いのは、できる社員は「圧倒的に席にいない」という項目です。

「5%社員」と95%の一般社員の行動を比べてみると、「5%社員」は圧倒的に自席にいる時間が短いことがわかりました。
[2]「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」越川慎司(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 

「できる編集者」も席にいない

 

実はこれは私が在籍したいくつかの編集部でも同じでした。

最初にある出版社に就職したら、初日に出社したときに、誰も会社にきていないので驚いたことがあります。

実はサボっているわけではなく(中にはサボっている人もいたのですが)トップ編集者と言われる人の行動を見ていると、大体席にはいません。

では彼らは何をしているかというと、だいたい、日中は、取材や資料集めなどに飛び回っています。社内でダベっていたり、机にかじりついて原稿に悩んでいたりする人は稀です。
朝早くさっときて、昼前には出かけて行き、そのまま帰ってこないこともザラでした。

でも彼らは圧倒的な成果を出しています。

「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」によると、「できる社員が席にいない」は実は一般化できる傾向なのだそうです。
一般社員たちに、行動を同じように真似してもらうだけで成果が上がることがある、つまりある程度の再現性があることがわかっているそうです。

 

会社にいながら、多様性を自ら増やす

 

トップ5%社員のもう一つの特徴に、「異なる部門、異なる世代の人たちと」会話を増やしていること[3]も挙げられています。

これは「社内にいない」ことにも通じます。

要するに、自分とは違うフィールドの人たちと積極的に関わっている傾向があるからこそ、会社にいないのです。
社内にいると、どうしても、自分と似たような価値観の人が固まっていきますが、彼らがしていることはつまり「同じ仲間とばかりダラダラつるまない」ということです。

本書では、複雑な課題をクリアするためには、多様な人との接点を増やすことが重要だとあります。

 

凡人だからこそ、外側の人々とのアイデアを重視する

 

ではなぜ異なる人との会合が重要なのか。

実は5%社員たちは、「自分たちに創造力があるとは思っていない」のだそうです。
だからこそ、「外側」とのコミュニケーションを重視します。

本書には「イノベーションは既存の要素の新結合によって生まれる[4]」とあります。

異なる経験を持つ人のメンバー同士がアイディアを出し合い、それらを組み合わせることでイノベーションは生まれます。

そのためには、様々な価値観を持つ人を巻き込むことが重要で、試行錯誤を繰り返す忍耐も必要です。
[4]「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」越川慎司(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

つまり、違う場所にいる人と話すことが、新しいアイデアに結びつきます。

会社を出て、いつも異なる経験を持つ人とのアイデアの出し合いや話し合いを大事にするのには、そんな理由があったのです。

社内で仲間とワイワイ話すのは居心地の良いものかもしれませんが、会社にはある程度似通ったひとたちが集まってくることを、忘れてはいけません。

すると、どうしても視野が狭くなり、アイデアが出にくくなるのです。

 

ネットばかりで情報を集めない

 

ネットだけでもある程度は違う意見は集められるのでは? という声もありそうです。
ではなぜ、外の人とわざわざ「会う」のか。

どうやら「5%社員」たちが外に出る理由には、情報を「ネットの中だけ」に求めていないから、という理由もあるようです。

「5%社員」の言動を調査する中で、彼らは定期的に情報集める仕組み(キュレーション)を先に構築していました。そして希少性の高い情報を人との会話によって得ようとしていることもわかりました。
[6:原文ママ]「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」越川慎司(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ネットの情報はある程度誰でも触れることができます。要するに「希少性が低い」のです。一方で、「希少性が高い情報」はネットには出ていないことがあります。

また、ネットに出ている多くの情報は誰かが加工した「二次情報」です。加工の段階で必ずなんらかの思惑が入り込みます。もちろん一次情報もありますが、その人が全てを語っているかどうかまでは、わかりません。

つまり、ネット時代だからこそ、情報を直接「人」から得る必要も、時にはあるのです。ネットで検索できる情報に限りがあると知っているので、彼らはネットをダラダラ見ないのです。
筆者は「モノ消費時代ではないので、イノベーションは現場で起きる」と書いています。

 

マネジメント層にとっては「どう評価するか」が問題

 

ただ、一つ問題はマネジメント層にとって、「会社にいない部下」がときに不安のタネになることです。特に、ノルマなど目に見える成果がないと、どう人事評価するのかが難しくなるでしょう。

部下を指導するマネジメントに関わる人が、「できる社員が席にいない法則」を知らないと、「あいつは会社にいない」「サボっているのでは」などと逆に足を引っ張ってしまう可能性があります。

「どういう人間が上位に入るのか」そのための行動原理を知っておくことは、実はマネジメントに関わる人こそ知っておいた方が良いかもしれません。

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参考
[1]「2-6-2」の下位20%は宝!下の2割を切らないと、なぜ、10年以上離職率ほぼゼロになるのか?(ダイヤモンドオンライン)https://diamond.jp/articles/-/124994
[2]ー[6]「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」越川慎司(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

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