社会人のレポートの書き方とは 一生懸命書いたのに読んでもらえないのはなぜ?

投稿日:2021/04/30

多くのビジネスパーソンにとって、最も重要な能力の一つがコミュニケーションです。
リモートワーク が増え、直接の面談が制限されている昨今の環境では、メールや資料送付など直接会えない状況で商談を進めるケースも多いでしょう。

ところが、この資料をなかなか読んでもらえない、と悩むビジネスパーソンが少なくありません。
「一生懸命書いた資料なのに、きちんと読んでもらえなかった」
「相手がメールをきちんと見てくれていなかった」
そのようなな経験をした方もいるのではないでしょうか。

この問題には、コミュニケーション方法がグローバル化に合わせて変化していることもありそうです。

 

 

ビジネスパーソンに必須の能力が、資料作成です。

ところが、実は資料の作り方は、文化圏や会社によっても相当異なるのが実情です。メールやパワーポイント、果てはショートメッセージの作り方に至るまで、会社によって作法が違います。

例えば、効率を重視する会社と丁寧さを重視する会社では、資料の作り方がまるで違ったりします。
効率重視で作成した資料が「ふざけている」と思われることもあります。

なかには、海外の同僚や取引先に資料を出したり、またメールで連絡する人もいるかも知れません。そのような場合、さらに価値観の違いに驚くこともあるのではないでしょうか。

例えば、日本人向けに作った資料を、東南アジアなどでそのまま翻訳して出すと、読んでもらえないことがあります。さらにグローバルの世界では、長いメールや長い資料には、時にクレームが来ることすらあるのです。

 

「アウトプットは少ない方が良い」とする考え方がある

 

今の時代のビジネスパーソンとして知っておきたい知識の一つが、グローバル・スタンダードとしての資料の作り方です。

書籍「外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る『99の心得』」には、「Less is More=少ないほど良い」という言葉が出てきます。筆者はコンサルタントとして著書も多い山口周さんです。

日本では、書類は分厚いほうがいい、装飾がたくさんある方が良いという考え方が主流かもしれません。細かい文字をあちこちに入れて、資料を文字でギッシリ埋めてしまう人もいます。

逆にアメリカ人とメールのやりとりをして、あまりに短いそっけない返事が来たことで憤慨している人もいるかもしれません。私自身も、とあるアメリカ人のエグゼクティブから「Yes」だけのメールをもらって驚いたことがあります。

これが失礼だと思う方もいるかもしれませんが、実はこのような場合、全く別の配慮が働いていることがあります。

彼らが短いメールを書くその理由は、長い情報は相手の時間を奪い失礼にあたるからです。

多民族・多言語の文化圏でも同様です。資料はときに「短い方がいい」と感じる方が多数です。一生懸命徹夜して作った力作の資料を出したのに、「長すぎて、ポイントがどこにあるのかわからない」と言うわけです。

書籍「外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る『99の心得』」にはこんなくだりもあります。

これまでに何度も指摘している通り、ビジネスにおける知的生産は最終的に「望ましい行動を起こさせること」を目的にしています。行動を起こさせるためにはメッセージが明快に伝わる必要があり、メッセージを明快にするためには余計な情報を出来る限り削ぎ落とす必要があります。

[1]書籍「外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る『99の心得』」山口周(光文社新書)

つまり、メッセージをできるだけ短くする技術が必要なのです。

 

少ない情報だと伝わらない? という誤解

 

こう書くと、「少ない情報だと伝わらないのでは?」と思われるかもしれません。会社でも「何ページ以上の資料が望ましい」と言われることもあるでしょう。

しかし、グローバルで仕事をしてみると、反対に「資料は必ずA4一枚でおさめてください」などと指示されることがあるのです。

メールにしても、ビジネス英会話教室では
「とにかく短く。そしてタイトルで、相手が何をしたらいいのかがわかるようにしなさい」
などと教わります。

山口さんは、「少ない情報はプロセッシングの負荷を低くし、ダイレクトに行動につながっていくことになります[2]」といいます。

また、メッセージが長くなってしまう根本的な原因は「メッセージの結晶化の甘さ[3]」にあるというのです。
上司の指示の曖昧さもあるかもしれませんが、双方「何がいいたいのか」がわからないまま、情報を詰め込んでしまうため、相手に伝わらないのです。

 

アウトプットはできるだけ具体的な言葉で、「抽象行動用語」に注意する

 

「何がいいたいのか」がわからなくなる原因として、山口周さんは「抽象行動用語」を使わないようにと書いています。

「抽象行動用語」って一体何か? と思われるかもしれません。例えば、このような言葉を言うそうです。

検討する/推進する/強化する/実践する/注力する/連携する

[4]書籍「外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る『99の心得』」山口周(光文社新書)

これらは、ビジネスの世界でよく使われる言葉です。
ただし、実際に何を意味するのかが曖昧なのです。

日本語には曖昧な言葉がたくさんあるため、言われた相手は何をしていいのかがわからなくなり、最終的に行動に結びつきません。

ふわふわとした会議をして、なんとなく「お互いに強化していきましょう」などといったところで、結局、日々の行動は何も変わらない可能性があるわけです。
これだと会議自体が壮大な時間の無駄になってしまいます。

ではどうするか。
山口さんは、「ベクトル」ではなく「到達点」を意識するのがいいといいます。
「売り上げは次の四半期までに120パーセント増やす。そのためには販売員を10名新規に雇用する」
などと、具体的な数字や目標に落とし込むことで、双方の意識のズレをなくすのです。

グローバル・スタンダードでは、違う会社同士でなら、会議が終わったら、合意事項をペーパーに書いて、契約書としてお互いに具体的行動を約束したりするわけです。

 

そうは言っても、文化圏によってアウトプットが異なることもある

 

ただしこのアウトプットの文化、文化圏によっては異なることがあるので注意が必要です。
どこで誰と働くかによって、受け入れられないことがあります。

例えばお役所の中には、資料はまだまだ「長い方がいい」という考え方があるようです。
試しに官公庁のサイトに行って、PDFをいくつか眺めてみれば、大体どんなアウトプットをしているかがわかります。数十ページにわたる長い資料も珍しくありません。

お役所は基本的に生産性を上げたいと思って動いていません。ときには、議会が決めた通りの内容で、住民が期待するアウトプットを目指しているわけです。

地方によっては、あまりに短い文書を提出したりすると「なんだこれはふざけているのか」などと怒られてしまった、ということもあるようです。

もちろん、生産性を上げたいと思うのであれば、おそらくグローバルスタンダードの方が良いのでしょう。しかし、人は論理だけでは動きません。必ず文化や感情を考慮する必要があるのです。

そのためには、ある程度のTPOを理解すること。そして、仕事相手の文化圏をある程度理解した上で、グローバルスタンダードを意識し仕事をすると良さそうです。

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出典[1]ー[4]書籍「外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る『99の心得』」山口周(光文社新書)

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