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企業のコンプライアンス体制構築はコストではなく戦略的投資である

企業のコンプライアンス体制構築はコストではなく戦略的投資である

企業のコンプライアンス体制構築はコストでしょうか?戦略的投資でしょうか?

過重労働やハラスメント、粉飾決算などが日々話題となり企業に対する目が厳しくなるに伴い、コンプライアンス意識の醸成と実践は組織運営において必須の課題となっています。ここで重要なのは、コンプライアンス活動をコストとして見なすことではなく業績の改善をもたらす経営戦略の一環として捉えることです。

 

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コンプライアンスの本当の意味とは

コンプライアンスを直訳すると、「要求や規則に従うこと」という意味となり、日本では一般的に「法令順守」という意味に置き換えられています。この四字熟語のとおりに解釈するならば、コンプライアンスとは企業が事業を行う上で法令に違反しないことになるでしょう。確かに、労働基準法を超えた過重労働問題や、景品表示法を無視した詐欺まがいの販売商法は社会的にも大きな問題です。

 

法令遵守だけがコンプライアンスではない

法令順守はもちろんのこと、現在ではさらに解釈を広げたコンプライアンスが重要視されています。つまり、単に法令にしたがうだけでなく、企業が社会から求められている要請に応えることが重要な課題となりつつあるのです。ここで言う社会とは、企業を取り巻く以下の利害関係者です。[1]

 

1.消費者
2.従業員
3.取引先
4.株主
5地域

 

SNSやメディアの多様化によって、企業は監視とも呼べるほどの注目をあらゆる角度から集める時代となっています。些細な振る舞いが悪影響を及ぼすこともあれば好ましい結果につながる可能性もあります。法令を守るのはもちろんのこと、ステークホルダーの期待に応えていくことこそ、今後、企業が存続・反映していくためのキーポイントとなるでしょう。

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コンプライアンス体制の構築は恩恵をもたらす投資となる

企業がコンプライアンス体制を構築するべき理由は、それが企業にとって有益な取り組みとなるからです。ただ法令を守るという意識ではコストとしか感じられませんが、社会の要請に応えるという解釈ならば、社会貢献によって利益を得る企業にとっては重要な投資となります。具体的には以下のようなメリットを獲得することが期待できるでしょう。

 

・社内の生産性向上
・信用力の向上
・採用力の強化

 

社内の生産性向上

労働基準法や安全衛生法など従業員の労働環境にかかわる法律を遵守し、さらに働きやすい職場を作ることで仕事の健康改善や意欲向上を促し、ひいては生産性の向上を見込むことが可能です。たとえば、株式会社ベネフィット・ワンではトップが主導して従業員のヘルスケア活動を実施したことにより、労働生産性が170%増加したという結果が出ています。[2]

 

信用力の向上

隠蔽していた情報が明らかになることで社会的信用を失墜させる企業が後を絶たない昨今、反対に透明性を高くすることで大きな信用を獲得することが可能です。東京商工リサーチの調査によると、情報開示に取り組むことで信用力の向上を実現したという企業が、全ての企業規模で60%を超えました。特に、従業員規模が大きくなるほど企業イメージに、小さくなるほど金融機関からの資金調達において恩恵を感じているようです。[3]

 

採用力の強化

コンプライアンス意識を高く持ち常に改善に努めていることを証明できる企業は、採用活動において大きな優位性を得ることが可能です。その証明手段の1つとして、従業員の健康改善、メンタルヘルス対策、過労防止、安全管理などの取り組みを行う企業を厚生労働省が認定する「安全衛生優良企業公表制度(ホワイトマーク)」という制度があります。これに認定された企業の中には、求人の応募者が5倍に増加したケースもあるほどです。[4]

 

なぜ企業のコンプライアンス違反はなくならないのか

コンプライアンスやCSRの重要性が指摘される一方、神戸製鋼の品質管理データの改ざんや電通の過重労働問題、日産の金融商品取引法違反問題など、企業の不祥事は後を絶ちません。やってはいけないとわかっていることがなぜ続いてしまうのでしょうか。

 

コンプライアンス違反の元凶は習慣にあり

企業が法令違反、つまりコンプライアンス違反をするのには誰かが意図的に行うものと、慣習的に行うものがあります[5]。特に後者については、企業文化として根付いてしまっているため改善が難しくなります。特定の首謀者が存在せず、その行いが組織内の論理で正当なものとして機能してしまっているためです。現場レベルでたとえれば

 

・上司や先輩が退社しないと部下も帰れない

・就業時間より早く出社して無給でオフィスの清掃を行う

・上司の飲み会の誘いを断ると昇進に影響する

 

こういった要素が組織内の閉鎖的な環境で当たり前とされ、誰も疑問に感じなければ改善することは難しいでしょう。こういった空気を読む行動「忖度」がエスカレートすると、食品偽装や粉飾決算といった大きな問題にまで発展することとなります。もちろん、従業員の中には、法令違反の罪悪感を持つ人もいるかもしれません。しかし、それよりも目の前の問題を穏便に処理することや周囲と協調していくことに優先順位を高くつけてしまうことは、社会人として生きる私たちにとって想像に難くないことでしょう。

 

したがって、組織がコンプライアンス体制を構築するためには、個々の意識ではなく企業全体がシステムとして変革に取り組んでいかなければならないのです。

 

企業のコンプライアンス体制を構築するには

企業がコンプライアンス体制を構築するには以下のステップを着実にこなしていくことが大切です。

 

①トップの管理者が方針を明確にする

コンプライアンス体制の第一歩はトップの主導によって始まります。組織の慣習としてコンプライアンスに課題があるのであれば、最も影響力のある存在が方針を打ち出さなければ組織は根本的に変わることはありません[6]。反対に、トップが明確な方針を打ち出せば、組織全体の動きとして強く波及していくことになります。

 

②コンプライアンス担当組織を設置する

方針を打ち出した後は、コンプライアンス意識の普及と取り組みを管理する担当組織を設置します。担当組織は特定部署に影響されてはいけませんので、トップ直下の独立組織として設置し、コンプライアンス推進の権限を与えるようにします[7]。

 

従業員への周知・意識づけを徹底する

担当組織を設置したらトップ主導の方針を従業員へ周知させ意識づけを行います。一度や数度、社内でメールを流したり掲示したりするだけでは定着は難しいでしょう。定例会議や社内報、パソコンのスクリーンセーバーの設定など、あらゆる機会、手段、媒体を活用して根付かせていく必要があります。

 

PDCAを循環させる仕組みを作る

担当組織の設置と社内周知を進めたら、方針の達成の障害となる組織の課題を洗い出し改善施策を策定・実行していきます。実行の後は効果測定と分析を行い、その情報を基にさらなる改善策を打ち出していきます。コンプライアンスが社会の要請に応えることである以上、状況の変化に合わせて常に最適解も変わっていきます。それに合わせて常にPDCAを繰り返す文化を形成することがコンプライアンス体制の構築をもたらしていくことになります。

 

 

コンプライアンスの取り組み事例

最後に、実際にコンプライアンスへ取り組んでいる事例をご紹介します。具体的な施策の検討に役立ててみてください。

 

メルマガの活用で社内啓蒙の促進

社内への周知や情報提供の取り組みとして、キヤノンマーケティングジャパンの事例が参考になります。当社では、「信頼性を高め、お客様に選ばれる企業になる」になるために2004年に専門部署を設置しました。行動規範やコンプライアンス・カードの配布など多岐にわたる活動の中でも、メールマガジン「今週のコンプライアンス」は特に効果が見られました。毎週月曜日に配信することで朝礼の話題としても使えるようにしたところ、予想通りの啓発効果が得られ、毎週の配信は11年半続いたそうです。

 

詳しい取り組みの内容はこちら
https://cweb.canon.jp/solution/biz/case/comprocustom/index.html

 

 

マニュアル化で法令違反を防ぐ

東京都の情報サイト「東京暮らしWEB」には、さまざまなコンプライアンスの取り組みが紹介されています。ある保険会社の事例では、商品広告に使う文章や画像の例などを「文例集」として社内で共有したところ、不適切な文章が外部に出ることを防ぐともに表示作成部門の業務の効率化にもつながりました。確認すれば誰でも間違いのない対応ができるようマニュアル化を進めるなど、個々のスキルに頼るのではなく会社のシステムに落とし込むことは、高いレベルでの法令順守と業務の質の向上をもたらします。そのほかの取り組みについても参考にしたい方は「東京暮らしWEB」をチェックしてみると良いでしょう。

 

コンプライアンスの取組|東京暮らしWEB
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/compliance/compliance_top1.html

 

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参照

[1] https://jinjibu.jp/article/detl/tieup/314/
[2] https://bowgl.com/2018/05/01/healthy-management/
[3]http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h20/h20/html/k3230000.html
[4]https://sangyoui-navi.jp/blog/158
[5] https://globis.jp/article/5815
[6]https://www.ti.tohmatsu.co.jp/column_report/column/hrd_column_35_170710.html
[7]https://jinjibu.jp/f_compliance/article/detl/outline/912

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