部下をどのように育てたらいいのか悩んでいる人も多いと思います。部下が育たない原因とはなんなのでしょうか。部下をよく育てるためには、しっかりと部下のことを理解し、それから自分自身の心構えも重要になってきます。
今回の記事では部下の上手な育て方について解説します。部下は育たない原因から見ていき、部下が育つ上司の特徴を踏まえた上で、どうやって部下に接していけばいいのかということを考えていきます。
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目次
部下が育たない原因とは
まずは「部下が育たない原因」について見ていきます。一口に「部下が育たない」といっても、そこには様々な原因があります。そもそも部下自身に問題があったり、上司がしっかりと部下に接してあげられていない場合など、考えられるケースは多岐にわたります。
そもそも本人の努力の意思があまりない
これは部下に問題があるケースで、本人の努力の意思があまりないという点です。つまり上司がどれだけ適切に接していようとも、当の部下にやる気がないので、部下が育っていかないという状態です。一般的にはかなり厄介なケースでしょう。
そもそも「本人の努力の意思があまりない」という場合は、上司からできることはほとんどなく、部下に意識改革を促すしかありません。部下のモチベーション管理をしつつ、仕事の意義を一から考え直してもらいましょう。
本人は努力しているつもりだが、あまり身についていない
本人の努力の意思があまりない場合と違って、本人は努力しているものの、それに見合った成長がないというケースもあります。本人にやる気がない場合とは違って、モチベーションがある分まだマシですが、技術的な部分をサポートしてあげる必要があります。
部下の「努力する」というモチベーションは、当たり前のように見えて大きな財産です。あとは部下が日々の研鑽によって得た情報を、しっかりと整理することができれば完璧でしょう。そこをフォローするのが上司の役目と言えます。
目標についての説明がなく、部下が内容を理解していない
業務の遂行で重要なことは、ただ結果を意識して業務に取り組むのではなく、仕事の目的や成長をしっかりと考えることです。上司は、適切なタイミングでサポートをしつつ、ゴールへ誘導していくようにしましょう。
もちろん仕事ですから、上司が手取り足取り教えるのではなく、部下がある程度の主体性を持って業務に取り組む必要があります。1から10まですべて教えるのではなく、あくまでゴールに誘導するということを意識していきましょう。
「仕事は見て覚える」の意識で、細かく仕事を教えていない
職人によくありがちですが、「見て技を盗め」という言葉があります。これは悪い上司の例であり、まずはしっかりと部下に仕事を教えるところから始めましょう。仕事を細かく教えないことの何が悪いかと言うと、「最初に説明しておけば回避できたようなトラブル」に見舞われることが増えるからです。
また部下から見ても、仕事をしっかりと教えてくれない上司に対しては不信感が募り、両者の信頼関係が危うくなってしまいます。日ごろからコミュニケーションは欠かさないようにし、ある程度部下に任せながらも、折を見て適切にフォローするようにしましょう。
部下の代わりに上司が仕事をやってしまう
部下の代わりに上司が仕事をやってしまうと言うのも部下が育たない大きな原因の1つです。部下から見れば、「適度に仕事を任せてくれる上司」の方が、モチベーションを持って働きやすいでしょう。
もちろん上司から見れば、部下に仕事を任せることによるリスクはあります。部下がもし仕事で失敗してしまった場合は、すぐさま上司の責任になってしまうからです。しかし任せることの何が重要かと言うと、部下に主体性を芽生えさせることができ、大きな成長につなげることができる点です。部下の仕事をすべてやってしまうのではなく、適当に任せるようにすることを意識しましょう。
上司が部下を褒めない、認めない
上司に求められる力としてよく挙げられるのが、部下を褒める力です。部下から信頼されない上司は、部下を褒めず、頑なに部下の成果を認めないと言う特徴があります。もちろんただ闇雲に褒めるだけでは意味がありません。
それは部下にも伝わってしまい、かえって両者の信頼関係を悪化させてしまうでしょう。褒めるときは必ず適切なタイミングで褒め、部下のモチベーションをしっかりと管理していきましょう。もちろんそのためには、普段から部下の仕事をきちんと見守っておく必要があります。日ごろから部下への理解を欠かさないように心がけることが重要です。
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部下が育つ上司の特徴
それでは次に「部下が育つ上司の特徴」について見ていきましょう。具体的には
- 「部下の話をよく聞く」
- 「部下にきちんと仕事を任せる」
- 「しっかりとしたフォローをする」
- 「部下を褒める」
- 「部下の成長の過程をしっかりと見ている」
の5点です。
部下の話をよく聞く
部下が育つ上司は、必ず部下の話をよく聞き、良き理解者になろうと努めています。一般的に上司は部下に指示を出す役目ですが、ただ指示を出すだけでは、一方的な関係にしかなりません。上司こそ「聞く力」が求められるのです。
「上司が親身になって話を聞いている」のが部下にも伝われば、部下は困ったときに上司に相談をしやすくなります。それから今まで以上に上司からの指示も聞きやすくなり、良質な関係を築いていくことができるようになります。
部下にきちんと仕事を任せる
先述しましたが、部下が育つ上司は、部下に対してきちんと仕事を任せています。適度に部下に仕事を任せることによって、部下のモチベーションをしっかりと管理することができるのです。
もちろん仕事を任せるといっても、それは放任主義を貫くということではありません。しっかりと「最終的な責任は上司が持つ」旨を伝え、部下に対してチャレンジできる環境を整えてあげましょう。何よりも「やる気」「モチベーション」というものが、部下の成長の第一歩になります。
しっかりとしたフォローをする
もちろん部下にきちんと仕事を任せることは重要ですが、適切なフォローを忘れてはいけません。これを徹底することによって、部下とより強い信頼関係を築いていくことができます。あくまでも長期的な視点で物事を考え、「部下を育てる」という意識を持って取り組みましょう。
部下を褒める
「部下が育たない原因」のところで見てきましたが、悪い上司は部下をまったく褒めず、成長を認めてあげるということをしません。反対に、適切なところで部下を褒めてあげる上司の下では、部下はぐんぐんと育っていきます。
何度か触れている話ではありますが、部下に接するときに一番重要なのが、「部下のモチベーションをしっかりとコントロールする」という点です。成長するのはあくまでも部下であり、上司はその手助けをするという構図を忘れないようにしましょう。
部下の成長の過程をしっかりと見ている
部下が育つ上司は、部下の成長の過程をしっかりと見ています。要するに部下を深いところまで理解するということです。理解が深まっているとどういうメリットがあるかと言うと、部下に適切なアドバイスができるようになります。
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部下を育てるための心構え
それでは次に部下を育てるための心構えについて見ていきましょう。部下を育てるためにはいくつかのポイントを意識しておく必要があります。具体的には
- 「前向きな姿勢でいる」
- 「話しかけやすい雰囲気を持つ」
- 「会社の愚痴を言わない」
- 「マネジメントの基礎知識を学ぶ」
- 「相手の立場になって考える」
- 「自分のやり方を強要しない」
- 「根気よく教育に取り組む」
- 「部下の多様性を受け入れる」
- 「感謝や謝罪の言葉をきちんと伝える」
の9点です。
前向きな姿勢でいる
部下は思ったよりも上司の影響を受けやすいです。上司がいつも前向きな姿勢でいれば、部下にも良い影響がありますし、上司がいつもネガティブなことを言っていれば部下もそうなってしまうでしょう。
もちろん部下がネガティブになってしまえば、それは部下の成長に悪い影響を及ぼします。とにかく上司として振る舞う時は前向きな姿勢を見せ、「この人と一緒に頑張ろう」と思ってもらうようにしましょう。
話しかけやすい雰囲気を持つ
部下は業務を遂行しているうちに、いくつかの壁に当たります。そしてわからない事ができたときに、上司がいつも不機嫌そうにしていると、部下はそのことを上司に尋ねづらくなってしまいます。
とにかく上司として振る舞う時は話しかけやすい雰囲気を持ち、部下に安心感を与えるようにしましょう。部下から見ると、必ず「相談しやすい上司」と「相談しにくい上司」がいます。まずは相談しやすい上司を目指していきましょう。
これは上司と部下との信頼関係だけでなく、仕事のパフォーマンスにも影響してくる重要な項目です。連携ミスや意識のすれ違いなどが起こらないよう、しっかりとオープンな雰囲気を作っておきましょう。
会社の愚痴を言わない
部下の前で絶対に会社の愚痴を言わないようにしましょう。愚痴を言われて気分が良くなることはほとんどありません。愚痴を言われた部下は、表面上では同調していますが、心の底では上司を軽蔑している可能性が高いです。
またこうした愚痴のようなものは、部下にも伝染していき、部下のモチベーションにも大きく関わってきます。必ずネガティブな発言は避けるようにしましょう。
マネジメントの基礎知識を学ぶ
上司は人格的なことだけでなく、技術的なところでも部下のお手本になる必要があります。時間を見つけて書籍を読み、マネジメントの基礎知識をしっかりと学んでおきましょう。書籍の優れたところは、先人たちの知恵を体系的に学べるという点です。偉い立場になっても自己研鑽を忘れないようにしましょう。
相手の立場になって考える
相手が今どのようなことを考えているのか、相手の立場になって物事を考える癖をつけましょう。上司と部下との関係において重要になってくるのは、コミュニケーションの量と質です。特にコミュニケーションの質は日ごろからしっかりと意識をして取り組む必要があります。
「相手は何を望んでいるのか」「相手は何が不満なのか」「相手はなぜそのようなことを考えるのか」など、自分の思いを口にする前に一旦立ち止まって、部下の立場になって物事を考えてみましょう。
自分のやり方を強要しない
仕事のスタイルは人それぞれです。どんなに効率がいいと思っても、自分のやり方を強要するような事はやめましょう。「ある程度部下に任せる」というところでも確認しましたが、部下に仕事を任せるということは、「その進め方も含めてしっかりと尊重する」ということです。
そもそも自分のやり方が部下に適しているかどうかもわかりません。自分のやり方を強要すると、逆に部下のパフォーマンスが下がってしまう恐れがあり、そうなれば信頼関係に亀裂が生じてしまうことになります。
根気よく教育に取り組む
部下は上司の思い通りに動くとは限りません。そもそも「他人の常識はこちらの非常識であり、こちらの常識は他人の非常識である」ということが往々にしてあります。匙を投げたくなる時もあるかもしれませんが、根気よく教育に取り組むことが重要です。
これは部下の教育だけではなく、仕事にも言えることでしょう。仕事はあなたの想定通りに進むとは限りません。そこですぐに諦めてしまうのではなく、諦めずにコツコツとやり続けることによって、だんだんと道が開けていくのです。
部下の多様性を受け入れる
現代社会に住む人々の価値観は、ものすごいスピードで多様化しています。そもそもこの世界自体が目まぐるしい速度で変わっており、昨日までの非常識が今日の常識になっているなんてことは珍しくありません。
時には受け入れ難い性質を持った部下がいるかもしれません。あるいは価値観・考え方が合わないと感じる部下がいるかもしれません。そこで自分の考えだけを押し付けるのではなく、部下の考え方に見合ったやり方を模索していきましょう。
感謝や謝罪の言葉をきちんと伝える
新人の頃にはできていたものの、会社内である程度の立場を築いてくると途端にできなくなることがあります。それは「感謝や謝罪の言葉をきちんと相手に伝える」ということです。
こちらが想定しているよりも、部下は上司の言動を気にしています。上司から感謝の一言があるだけで、部下は「次も頑張ろう」という気持ちになり、これからの仕事に励んでいくのです。
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部下を育てるためのポイント
それでは次に部下を育てる際に重要となるポイントとその方法について見ていきます。
具体的には
- 「部下の本質的な性格をよく知る」
- 「部下とコミュニケーションをよくとる」
- 「部下の成長につながる具体的な目標を設定する」
- 「手本を見せるのではなく、明確な結果と期日のみ伝える」
- 「成長につながる仕事を振り分けて任せる」
- 「褒める・注意するを適切に行う」
- 「相手と自分が違うということを認識する」
の7点です。
部下の本質的な性格をよく知る
それでは早速、部下を育てるためのポイントについて見ていきます。まずは部下の本質的な性格をよく知るところから始めていきましょう。部下を理解することによって、部下の強みと弱みが分かり、教育の方針がしっかりと定まっていきます。
例えば部下に何かを聞かれたとき、そしてそれに対して適切なアドバイスをしようという時に、部下のことをちゃんと理解していなければ上手くいかないでしょう。そうした意味でも、まずは部下をしっかりと観察することが重要です。
一度じっくりと観察してみると、人によって様々な特徴があると言うことが見えてきます。その中で「この部下はこういう性格をしているから、ああいうやり方が良いのではないか」という「指導の方向性」がはっきりとしてくるのです。
部下とコミュニケーションをよくとる
部下を育てるためには、部下とコミュニケーションをよくとることも重要です。コミュニケーションには質と量が存在しますが、もちろんたくさんのコミュニケーションをとりつつ、その質も良いものを追求していきましょう。
何度か触れている話ではありますが、上司と部下の信頼関係はとても大事です。関係がしっかりと構築されていなければ、部下は上司にリスペクトを払うこともないでしょうし、上司の思うように動くこともないでしょう。
これは上司と部下という関係に限った話ではありませんが、コミュニケーションというのは、人間関係にとても重要な影響を及ぼします。必ずつねにコミュニケーションの質と量を考えながら、日々部下と接していくようにしましょう。
部下の成長につながる具体的な目標を設定する
上司として部下に接するときは、必ず部下の成長につながる具体的な目標を設定するようにしましょう。上司として接している以上、部下が育っていかなければ意味がありません。そしてそのためには、より有効な目標が設定されていなければなりません。
具体的な目標がしっかりと設定されていれば、それまでのプロセスも明確になり、目的意識を持って仕事に取り組むことができます。このように「部下が成長できるような環境を整えてあげる」ことも上司の役目です。
手本を見せるのではなく、明確な結果と期日のみ伝える
上司として部下に教育をする際、「手本を見せるのではなく、明確な結果と期日のみ伝える」ことが重要になってきます。あくまでも業務の主体は部下であり、上司はただ見守って、適切なアドバイスを与えるだけの存在です。
ですので、手本を見せたり伴走をしたりするのではなく、基本的には部下に任せるという方針が良いでしょう。そして部下には、明確な結果と期日のみ伝えます。すべてを部下に教えるのではなく、部下に「主体的に考える力」を養わせます。
成長につながる仕事を振り分けて任せる
上司として部下を育てる以上、「部下が成長できる機会」をいくつか用意してあげる必要があります。仕事を適度に任せるのはもちろんそうなのですが、その中でも「より部下の成長につながる仕事を振り分けて任せる」ようにしましょう。
部下の視点から見ても、上司に重要な仕事を任せてもらえれば「自分は信頼されている」と感じ、より仕事に励むようになります。「成長できる環境」で成長し、自信をつけていくことによって、さらに仕事のパフォーマンスが上がっていくのです。
「褒める」「注意する」を適切に行う
「褒める」「注意する」を適切に行うのも上司の重要な仕事です。きちんと褒めるべきところは褒め、注意するべきところは注意することによって、部下の仕事・業務の流れにしっかりとメリハリをつけるようにしましょう。
また部下にとっては褒められることによって、それが小さな成功体験となり、自信を持って仕事に取り組めるようになります。当然パフォーマンスも向上することでしょう。このように、褒める技術は、部下のモチベーションを左右する重要な要素です。
相手と自分は違うということを認識する
「相手と自分は違う」ということをしっかりと認識し、根気よくコミュニケーションを行っていきましょう。当然部下は部下ですから、上司の想定しないようなことをしでかすこともあるでしょう。また価値観が合わないと感じるようなことも多いと思います。
そうしたときに「どうして部下は自分の思い通りにならないんだ」と苛立つのではなく、「相手と自分は違う」ということをあらかじめしっかりと認識しておき、その上で対処を考えていけるように心がけましょう。
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部下に指導をする時のポイント
それでは次に部下に指示をするときのポイントについて見ていきましょう。これまで部下を育てるためのポイントや心構えについて見ていきましたが、ここからは「実際に指導するときにどのようなことを考えれば良いのか」ということについて確認していきます。
具体的には
- 「わかりやすく具体的に教える」
- 「叱る場合はその理由を明確にする」
- 「指摘を後回しにしない」
- 「自分の感情をコントロールする」
- 「指摘や自分の言動に一貫性を持ち気分で変えたりしない」
- 「多少の失敗には寛大になる」
の6点です。
わかりやすく具体的に教える
まずはわかりやすく具体的に教えることを意識してみましょう。もちろん仕事ですから部下はある程度主体性を持って臨む必要があります。ただどうしても経験が足りず、上司の助けを仰ぐという場面は必ず出てきます。
そうしたときに上司がわかりやすく教えられるかどうかで、その後の部下のパフォーマンスが変わってくると言っても過言ではありません。またそして具体的に教えることによって、部下は「この上司はしっかりと教えてくれる」という印象を持ち、良好な関係を築いていくことができるようになります。
叱る場合はその理由を明確にする
次に「叱る」ということについてです。部下と仕事をしていると、どうしても叱らねばならないと場面が出てくると思います。その時に感情任せで怒るのではなく、必ず理性的に叱り、そして「なぜ叱っているのか」を明確にしましょう。
部下も同じ人間です。上司に感情をそのままぶつけられれば、部下も同じく感情的になってしまい、両者の関係に亀裂が走ってしまうことになります。叱られている理由が明確になっていれば、部下は「自分のどこを直せば良いのか」に気づき、しっかりと自身のパフォーマンスを改善していくことができます。
指摘を後回しにしない
部下に指導するときは、指摘を後回しにせず、しっかりと「だめなところはだめ」と教えましょう。特に仕事を始めたばかりの部下は、自分のやり方が合っているのかどうか確信が持てず、常に不安を抱えている場合が多いです。
上司が指摘を後回しにしてしまうと、部下は間違ったやり方で仕事を続けてしまい、結果的にパフォーマンスに悪影響を及ぼすことになります。部下との関係悪化を恐れて、最近では「強く言えない」という上司も増えていますが、部下にもし悪いところがあれば必ずその場で指摘をするようにしましょう。
自分の感情をコントロールする
これは叱ると言う所でも触れましたが、自分の感情をコントロールすることを忘れないようにしましょう。部下は上司が思っている以上に上司のことを見ています。一度でも上司が感情任せに部下に怒鳴ったり、あるいは他の人に八つ当たりする場面を見られるだけで、「部下からの信頼は地に落ちる」と言っても良いでしょう。
一度失墜してしまった信頼は、元に戻せないとは言いませんが、非常に修復しづらい状態になります。仕事上でも人間としても、上司は部下の手本となるべき存在です。最近ではアンガーマネジメントなど、感情をコントロールするメソッドが広く知れ渡っています。そうしたものをしっかりと活用し、部下の前で感情的にならないように注意しましょう。
指摘や自分の言動に一貫性を持ち、気分で変えたりしない
言動がコロコロ変わる人を信用できるでしょうか?基本的に人間は「他者にある程度の一貫性を期待」し、それが裏切られると、その人のことを信用しなくなります。上司と部下の関係も同様で、いわゆる「気分屋」のような振る舞いはなるべくしないようにしましょう。
特に部下という立場の人間は、上司にかなりの一貫性を求めています。「昨日叱られたところを改善しつつ業務に当たったら、今度はその改善したところを叱られた」という体験を部下がするようなことがあれば、上司への信用はほとんどなくなってしまうでしょう。必ず「部下への指摘」や「自分の言動」に一貫性を持つよう心がけましょう。
多少の失敗には寛大になる
人間は失敗をする生き物です。特に新人という立場の人間は、ただでさえ仕事と言うものに慣れておらず、緊張のあまり「普段しないような失敗」をしてしまうこともあります。部下を指導するときは、多少の失敗には寛大になるよう心がけましょう。
そうした部下の小さな失敗にいちいち目くじらを立ててしまうと、部下はすぐさま萎縮してしまい、なおさら本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。特に新人などを教育する場合は、寛大な心を持ち、「多少の失敗は仕方がない」というスタンスで臨みましょう。
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部下の育成計画の立て方
それでは次に部下の育成計画の立て方について見ていきましょう。部下を育成するためには、前もってしっかりとした計画を立てておく必要があります。具体的には
- 「部下育成に必要なスキルを自分が身につける」
- 「部下の育成計画を立てる」
- 「人材戦略を考える」
- 「部下の現状把握を行う」
の4点です。
部下育成に必要なスキルを自分が身につける
部下を育成すると言っても、そもそも部下育成に必要なスキルを自分が身に付けていなければ意味がありません。まずは上司の立場である人自身が、育成のための技術を習得していきましょう。
部下の育成計画を立てる
それから部下の育成計画を立てます。人材育成に必要な要素は色々とありますが、育成プログラムに、組織の理念やビジョンがしっかりと盛り込まれている必要があります。それから計画の時点で、将来の理想の人物像がしっかりと明確化されているべきでしょう。
様々なところで言われていることではありますが、計画は具体的であればあるほど、実現可能性が増していきます。とにかく計画は、なるべく抽象的な表現を避け、「企業の理想の人材像」を打ち出していきましょう。
人材育成計画を立てる流れとしては、まず人材育成計画自体の理解を深め、それから実際に活用するための人材育成計画書を作成しましょう。特に社内に人材育成の明確な基準がない場合は、この機会にしっかりと人材育成のためのプログラムを考えておきましょう。
人材戦略を考える
次に考えていくのは人材戦略です。人材戦略とは、社員の確保や育成そして配置に関する戦略を指します。企業はそれぞれ固有の事業戦略を持っており、それをしっかりと達成するために人材戦略と言うものがあります。
どれだけ事業戦略がしっかりしていようとも、人を適切に配置できなかったり、人材をうまく育成できなかったりすれば意味がありません。要するに、経営戦略を立てた場合、それを実行するのは他でもない「人材」なのです。
部下の育成方針を立てた後は、その部下をどこに配置し、どのような役割を持たせるべきかをしっかり考えておきましょう。何よりも経営戦略と人材戦略の整合性が取れていることが重要です。
部下の現状把握を行う
部下の現状把握を行うことも忘れないようにしましょう。上司は様々な意味で部下をしっかりと管理しておく必要があります。例えば「部下は業務についての知識をどこまで習得しているのか」「部下はどのような強みを持っていて、そしてどこを改善すべきなのか」などを観察しましょう。
部下の業務についての習熟度が分かっていれば、いざと言う時に適切なアドバイスをすることができます。また部下の強みや弱みをしっかりと把握していれば、「どのようなやり方で仕事に臨むべきか」をしっかりと指導することができます。
部下単独では、なかなか自分のパフォーマンスを改善できなかったり、モチベーションを維持できなかったりします。そこをしっかりと観察し、しかるべき方向に修正してあげるのが上司の役目でもあります。
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部下の目標設定の立て方
最後に部下の目標設定の立て方について見ていきましょう。具体的には
- 「部下の要望を聞きながら目標設定をする」
- 「部下の成長に合わせた目標設定をする」
の2つを中心に確認していきます。
部下の要望も聞きながら目標設定をする
まず重要になってくるのは上司が一方的に目標設定をするのではなく、ある程度部下の要望も聞き入れると言うことです。まず上司が単独で目標勝手に設定してしまっては、部下の主体性を奪うことになり、モチベーションやパフォーマンスに影響を及ぼします。
そこで部下の意見もしっかりと聞きつつ、コミュニケーションの密度を高く保ちながら目標設定をすることが大事です。ここでしっかりと対話を繰り返しておくことによって、「上司と部下」という信頼関係を築くこともできます。コミュニケーションの量と質は、後に両者の関係に大きな影響を及ぼす重要な要素です。
少し復習にもなりますが、部下が育つ上司の特徴として、「部下の話をよく聞く」という要素を挙げました。話し上手に聞き上手と上司に求められる役割は多いですが、この「聞く」という部分を上手くできるかできないかで、部下との信頼関係はまったく変わってきます。
部下の成長に合わせた目標設定をする
部下の要望を聞きながら目標設定をしていくわけですが、そこで重要になってくるのが、部下の成長に合わせた目標設定をすると言うことです。まったく部下のスキルが伴っていないのに、大それた目標を設定してしまうのはNGでしょう。
あくまでも部下の成長をしっかりと見守り、それに合わせた目標設定をすることが重要です。そのためには普段から部下をよく観察し、成長過程を理解しておく必要があります。部下の成長に合わせた目標設定をすることによって、部下は「上司はしっかりと自分の成長を見てくれている」と感じ、モチベーションを高めてくれます。
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まとめ 部下を育てるには適切な指導と見守る姿勢
ここまで部下を育てる方法について見ていきました。何度か触れた話ではありますが、部下をしっかりと育てるためには、部下とのコミュニケーションが基本になります。
普段から部下を観察しておくことによって、部下の現状を把握し、強みや弱みを理解しておく必要があります。そして何よりも、部下が成長につながるような指導を徹底し、手伝いすぎずに見守る姿勢を意識しましょう。
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