コーチングとはなにか 部下の育成に有効な「インタビューの技術」について学ぼう

投稿日:2021/03/22

管理職の悩みのダントツ1位は「部下の育成」なのだそうです。
しかもその悩みの数は近年、増加しているという興味深いデータがあります。

人材育成サービスを手掛けるラーニングエージェンシーが管理職1070人を対象に行った「管理職の意識調査」によると、 管理職の悩み1位は5年前と変わらず「部下の育成」で、5年前より10%増加し半数を超えています。[1]

管理職になったとたんに、どう動いていいのかわからなくなってしまう。
自分一人で売り上げをあげるのは得意なのに、他人の売り上げになるとさっぱり動かし方がわからない・・・。
こんな悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。

 社員と管理職の動きはまったく違います。
一社員のときには自分の目標だけを達成していれば良かったけれども、管理職になればチーム全体のパフォーマンスを上げなくてはならなくなります。

「何でこんな簡単な目標が達成できないんだろう」
「俺ができることが何で彼らにはできないんだ」

と悩んでしまう人もいるかも知れませんね。

この悩みを解決する方法の一つとして、「コーチング」を学ぶ人が増えています。

 

やる気を持ってもらうために必要な信頼感

 

企業にはたいてい達成目標があります。
この目標を達成するために部下に自主的に動いてもらえれば良いのですが、なかなかこれがうまくいきません。

コーチングを長年研究している株式会社コーチ・エィ代表取締役社長/エグゼクティブコーチの鈴木善幸さんは、今や多くの若者は「目標達成して、それで?」と思っているといいます。

彼は、コーチング入門書としてロングセラーの「新コーチングが人を生かす」の著者です。

従来は、「なんでこんなことができないんだ」と叱りつけて恐怖で目標を達成させたり、「とにかく頑張れやってみろ」と激励することで、無理矢理目標達成させるスタイルが主流でした。
しかし日本経済の右肩あがりが終わった今、この方法が難しくなりつつあるというのです。
一方で、企業を取り巻くコンプライアンスもどんどん厳しくなっており、管理職が厳しく締め付けること自体が、パワハラなどとして訴えられてしまう危険性も出てきます。

そんな時代の1つの方法として、管理職にできることが、コーチングの手法を使って対話することです。

まず、コーチングと言うのはある程度、双方に信頼関係があることが前提です。
部下と自分の間に信頼関係を作らなければなりません。
ではどうやって、信頼関係づくりを始めるのでしょうか。

 

まずは信頼関係を作るのが先である

 

相手と対話する前提条件として、鈴木さんは相手の「心のシャッター」を少しでも上げることが必要だと言います。

人と人が向かい合えば、たとえそれが親子であったとしても、ある種の摩擦が生じます。人は基本的に自分以外の人間に対して防衛を働かせているからです。厚いシャッターが降りたままでは、発見に向けた協力者として、向こうがあなたを選ぶことはないでしょう。[2]

そこでまずは相手の心のシャッターを少しでも上げる必要があります。

よくティーンエイジャーの少年が親に心を閉ざしていますが、親がいくらうるさく質問しても、心のシャッターが降りたままでは、対話が成立しません。
具体的には挨拶をしたり、相手に質問をしたりし「自分から相手に関心を持ち」相手に心を開いてもらうのです。

「どうやっていいか見当もつかない」場合は、インタビュアーの質問方法を参考にすると良いでしょう。
テレビなどの対談番組でゲストとホストが話すのを見たことがあるかもしれません。
大体のインタビュアーは、初対面の相手にでもどんどん質問をして「それってどういうことなんですか」などと重ねて質問し、相手の言葉を引き出していきます。
上手いインタビュアーは自分のことは話さずに相手に話してもらいます。

この時重要なのは、「自分の言葉で結論を言ってしまわない」ことです。
それから、相手の言ったことをジャッジしてもいけません。
相手をリスペクトし、相手の価値観を尊重すること。
これと同じことを、部下に実践するのです。

ここで重要なのが、「上下関係」をいったん忘れることです。
もともと、強い上下関係で支配していたりすると、ここに時間がかかることもあるかもしれません。

コーチングとは、相手と一緒に何かを探索することに他なりません。
鈴木さんは、
”上から下に向かって投げつけるもの”
ではなく、
”2人の間において、一緒に共有すべきもの”
といいます[3]。

こうして次第に信頼関係が作られていきます。

 

「かたまりをほぐす」(チャンク・ダウン)

 

だんだん相手との距離が縮まっていったら、今度は、相手が言語化できていないところをようやく質問できるようになります。

「あの案件どうなってる?」という質問に対しても、「うまくいってないんです」と言う答えで終わるのではなく、「何が問題で何がうまくいかない原因なのか」を一緒に探っていくことができるようになります。

すると、上司の立場からは見えてこなかった部下同士の人間関係の問題点や、システム上うまくいかない問題などが、明らかになっていきます。

そこで登場するのがチャンク・ダウン(=かたまりをほぐす)というスキルです。相手の言葉のかたまりを具体的な言葉にほぐしていってあげるわけです。
(中略)
相手の固まった言葉を受けてそれをほぐす。また塊を見つけてほぐす。相手の話を自分の中でどんどん絵に置き換えていくというプロセスの中で、「まだここがはっきり絵にはならないな」という部分を質問にして返していきます。[4]

例えば、編集の現場だとこんな感じです。

「あの案件、締め切りに出せそうかな」
「それがうまくいってなくて」
「どううまくいってないのかな。何か問題があるのかな」
「締め切りに遅れそうです」
「締め切りにどれくらい遅れそうかな」
「1週間くらいは遅れると思います」
「そうか。何が問題なのかな」
「予定していた取材相手Aさんのスケジュールが抑えられないんです。今月海外出張があって」
「そうか。何かいい方法はあるかな」
「取材相手を変えてもいいでしょうか。B社のCさんなら対応できるかもしれません」

こうして対話を繰り返していくと、このように、部下自身が答えを見つけてくれることもあります。

最終的には「なぜ目標に達成できないのか」や、「なぜ納期に間に合わないのか」といった大事な問題に対しても、問題の本質に早めに触れることができるでしょう。
そして最終的に、目標達成をしやすくなるというわけです。
あくまで、上司は部下の「協力者」に徹し、答えを一緒に探す役割に徹してください。

コーチングの手法は今や教育からビジネスまであちこちで使われています。
この手法で人と関わる事は、ビジネス以外のありとあらゆる場面に生きてくるのではないでしょうか。

[1]ラーニングエージェンシー
【管理職1,070人の意識調査】管理職の悩みダントツ1位は「部下の育成」/”部下の成長を感じていない”管理職が5年前の3倍に|新着情報|人材育成・社員研修https://www.learningagency.co.jp/topics/20200727_03
[2]ー[4]「新コーチングが人を生かす」ディスカバー 鈴木義幸

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