2020/11/24

BCP対策とは?防災対策との違いは?策定と運用のステップを解説

日本は世界的に見ても自然災害が多い国とされています。「海外旅行客が日本で地震に遭い恐怖するも、当の日本人は呑気にしていて驚く」なんてことは日常茶飯事です。

しかし大きな地震や台風ともなれば、流石の日本人もたまったものではありません。それによって大きな被害を受け、企業活動が継続できなくなるような場合もあります。そうなれば事業の継続に悪影響をもたらすことになります。

今回は災害時の事業継続の要であるBCP対策について解説いたします。

 

BCP対策は緊急時の施策

 

BCP対策は緊急時の施策を意味します。Business Continuity Planの頭文字を取ったもので、日本語にすれば「事業継続計画」になります。要するに、重要な業務への被害を最小限に抑え、事業継続を目指していくための指針です。

特に中小企業は中核事業がやられてしまうと、一気に倒産まで追い込まれてしまうケースも多いです。

なぜBCP対策が注目されているかというと、導入でもお話ししたように、日本は自然災害が多い国だからです。1995年は関西、2011年には東北で大震災が起こりましたが、このように日本は大地震のサイクルの中に息づいている国です。

それから現在はコロナウィルスの問題も、企業活動に大きな影響をもたらしています。このように不確実性に縁どられた時代だからこそ、BCP対策というものが注目されているのです。

 

BCP対策と防災の違い

 

BCP対策とよく混同されがちなのが防災です。しかし両者には明確な違いがあります。

防災は「自然災害による被害を可能な限り防ぎ、万が一被害が生じてしまっても、いちはやく復旧できるようにする」ための計画です。

対してBCP対策は「実際に被害が生じたとしても事業を継続させる」ための施策です。

要するに防災計画は人員や会社を守るためのものですが、BCP対策はあくまで「事業を継続させること」に重きを置いた施策なのです。

 

BCP対策の目的とメリット

 

BCP対策の意味がわかったところで、次にBCP対策の目的とメリットについて考えていきます。

 

企業存続につながる

当然の話ではありますが、BCP対策をしっかりとすることによって、事業が継続できなくなるリスクを削減することができます。

企業は企業である以上、事業を継続しなければなりませんし、仮に災害が起こったとしても、事業をそう簡単に停止するわけにはいきません。社員を雇用している以上、人件費は絶えず発生します。社員が労働力を提供する見返りに、しっかりと給料を払うというのが会社です。そのため、企業存続・事業存続は極めて重要になってくるのです。

詳しくは後述いたしますが、BCP対策は中核事業を洗い出しつつその被害を想定し、損失を試算したり、代替案を考えたりします。BCP対策自体、「事業を継続させるため」のものなので、対策を施していない場合よりも、企業存続にしっかりとつながります。

 

経営戦略が決まる

BCP対策をしっかりとすることによって、「するべきこと・方向性」が明確になるため、経営戦略の舵取りがやりやすくなるというメリットもあります。

経営戦略において重要になってくる項目の一つが「会社の自己分析」ですが、BCP対策の施策の過程では、まさに災害の観点で「会社の自己分析」をします。

会社の強みや弱みをしっかりと洗い出し、なおかつ非常時にも強くする方向性で、経営戦略をしっかりと練ることができるようになるのです。

 

企業価値が高まる

企業価値が高まるということも、BCP対策の大きなメリットです。想像していただきたいのですが、BCP対策をしっかりしている会社とそうでない会社、あなたはどちらの会社とビジネスがしたいでしょうか。

非常時にてんやわんやの状態になり、なおかつ事業がストップしてしまうような会社は、すぐに周囲からの信用を失ってしまいます。

人間関係においても信用は重要ですが、企業と企業の関係においても信用の重要性は絶大です。信頼できない企業とビジネスをするということは、かえってこちらの首を絞めることになるからです。

そういう意味でも、BCP対策によって企業価値を高めておくことは極めて重要な意味を持つのです。

 

BCP策定と運用のための6つのステップ

 

次にBCP策定と運用について、6つのステップに分けて確認していきたいと思います。様々な視点から解説していくので、ぜひ通してご覧ください。

 

中核事業の洗い出しと特定を行う

まずは自社の中核事業を洗い出しと特定をするところから始めます。なぜなら非常時に重要になってくるのは「中核事業がしっかりと継続できているかどうか・復旧できているかどうか」だからです。

ある事業が仮に継続できなくなったとしても、中核事業が続いてさえいれば、どうにか立て直しを図ることができます。

そのため、まずは企業の強み・中核事業をはっきりさせるところから始めましょう。同時に中核事業継続に必要な人員リソース、設備やシステム、復旧時間の目安などを設定しておきます。

 

中核事業の被害を想定する

次に考えるのは「中核事業に生じ得る被害」です。ここで重要になってくるのは、「できる限り具体的に」かつ「より様々な可能性を考慮する」ことです。

当然ですがBCP対策は有効なものでなければなりません。非常時に有効なものであるためには、できる限り多くのシミュレーションがなされたBCP対策である必要があります。

 

損失を試算する

例えば大地震や台風などで建物に損害が生じたり、情報システムに障害が発生した場合を考えて、「復旧するためにはどれほどの費用が必要か」の試算を行います。

災害に対して万全であるという自信があったとしても、非常時にはどのようなトラブルが起こるか分かりません。一旦システムなどに障害が起こったと仮定して、どれくらいの損失が生じ、どれくらいで復旧できるかの試算は怠らないようにしましょう。

 

代替案を検討する

もしも建物が使えなくなってしまったとすれば、従業員はテレワークで業務を行うしかありません。これは一つの例ですが、中核事業を存続させるために、臨時雇用やシステムのバックアップなど、「中核事業を継続するための資源の代替案」を想定しておきます。

 

BCPを策定する

分析を終えたら実際にBCPを策定します。策定はソフトウェア面とハード面の二つがあり、前者は従業員への周知などによって行い、後者は耐震工事などによって行います。

 

従業員への教育と訓練を行う

学校で避難訓練をするように、会社においても従業員への教育・訓練を欠かすことはできません。もちろん非常時に慌てることになるのは間違いないですが、教育・訓練をやっているかどうかで、対応の柔軟さがまったく変わってきます。

従業員に策定の周知をするだけにとどまらず、しっかりとその内容を熟知してもらい、能動的に行動を起こしてもらえるような状態を整えましょう。

 

BCP対策は企業存続の要となる

 

今まで見てきたように、BCP対策は企業の中核事業継続、ひいては会社の存続に貢献する重要な施策です。そして会社存続にとどまらず、信用による企業価値の向上や、経営戦略の明確化など、一見しただけはわからないようなメリットが多数あります。

また、BCP対策は策定しただけで終わってはいけません。従業員への周知・教育を徹底し、いざという時にしっかりと運用できるようにしておきましょう。

災害は忘れた頃にやってきます。まだしばらく大丈夫だろうとタカをくくっているうちに、勤勉な人々はBCP対策を進め、もしもの時にしっかりと備えています。油断大敵という言葉を忘れずに、ここは一つBCP対策を考えてみてはいかがでしょうか。

 

参照
カオナビ「BCP(事業継続計画)とは? 背景や現況、目的や防災計画との違い、メリットや問題点、作成方法について」https://www.kaonavi.jp/dictionary/bcp/

JBサービス株式会社「BCP対策とは?事業継続計画の基礎知識」
https://www.jbsvc.co.jp/useful/management/what-is-bcp.html

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