2020/10/16

「怒り」でビジネスを台無しにしないために アンガーマネジメントを学習してみよう

あなたの周りには「無駄に怒る上司」がいないでしょうか。

「うちの上司、怒りのポイントがわからない。突然怒り出すし、機嫌のいいときを見計らって企画を出さないとならないから、大変だよ」
などという愚痴、一度や二度は聞いたことがある人、いると思います。

ところが、上司の方に聞いてみると、自分が「無駄に怒っている」と認識している人はあまりいません。
彼らには彼らなりのちゃんとした理由があって、部下を怒っているのです。

むしろ、「自分の頃はもっと頑張った。最近の若い社員は叱らないとわからないから、叱ってあげているんだよ」などと言っています。

なぜこんなズレが起きるのでしょうか。

「怒り」を使って、相手にうまく動いてもらえたらそれで良いのですが、そんなに簡単ではありません。
むしろ、「怒り」では上司が伝えたい本来のメッセージが伝わっておらず、逆効果になることもあるのです。

 

無駄に怒る上司のあなたは、損をしているかもしれない

 

怒りっぽい上司がいる部署で働いている人に聞いてみて、わかること。
それは、機嫌が悪い人が社内に一人いると、ムードが悪くなり、仕事のパフォーマンスが下がる可能性があるということです。

上司の機嫌が悪かったり、細かいところにやたら厳しかったりすると、ときに部下は上司の「機嫌」を伺って仕事をするようになります。
もちろん、無駄なリソースが費やされることになるので、仕事全体のスピードが下がります。

部下たちは、上司の機嫌を見計って書類を提出するタイミングを遅らせたり、重大なミスをすぐに報告しなくなります。
その結果、仕事の能率が下がり、ミスをリカバリーするタイミングが遅れ、大惨事になるのです。

とある会社では、経営者がいつも新人を怒鳴っていました。
その方の元で働く人たちは、会社にいることがストレスになるので、会社にいる時間を短くしたり、イヤホンを買って雑音をシャットアウトしていたりするとこぼしていました。

また、ある事務所には「文書をとじるときのホッチキスの位置」で怒るタイプの方がいて、部下たちは細かいことばかりに気をつかうようになります。
書類提出のタイミングが遅れるのはもちろん、「怒られないようにするために」かえってミスが増える始末でした。
お客さんの方をみるよりも、上司を見ることの方が増えていきます。

上司と部下とはいえ、同じ会社の社員で同じ目的に向かっているハズなのに、全く非生産的です。

そのような中、最近では、「アンガーマネジメント」を学ぶビジネスパーソンも増えてきました。

 

アンガーマネジメントとは、「怒りで後悔しないこと」

 

最近良く耳にする「アンガーマネジメント」とはなんでしょうか?

よく誤解されるのですが、アンガーマネジメントとは「怒らないこと」ではありません。
むしろ「怒りを上手に処理すること」「怒りを使わずに感情を相手に伝えること」に、その要諦はあります。

日本アンガーマネジメント協会では、アンガーマネジメントを「怒りで後悔しないこと」と定義しています。
日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんが執筆した「怒りが消える心のトレーニング」をみてみましょう。

本書では、「アンガーマネジメントは人生をイージーモードにすることにできる手段です」といいます。[1]
逆に、怒りを原動力にしていると、人生がハードモードになり、周りが敵ばかりになってしまうというのです。

逆に、アンガーマネジメントを学び、他人を許容できる範囲が大きくなると、ムダに怒らなくなり、「人としての器が大きくなり」、その結果、仲間が増えて、仕事もスムーズに楽になると筆者は主張します。

ではなぜ怒ってしまうのか。

「怒りの原因」は「〜べき」「〜べきでない」と言う考え方にあるのです。
要するに、怒りっぽい人というのは、この「べき」が多い人、と言い換えられるでしょう。
ようするに他人への期待が高いのです。
本書では、これを「コアビリーフ」と呼んでいます。[2]

まずは自分が怒ったときの出来事を元に「アンガーログ」を作り、自分のこの「〜べき」「〜べきでない」思考を洗い出すのです。

そしてこのコアビリーフを見直し、少しずつ「まあ許せる」を広くしていくトレーニングをします。[3]

さらに、怒りは二次感情であり、その裏には別の「悲しみ」などの感情が隠れていることについても指摘しています。
そして、あとは語彙力を身につけて、自分の怒りを正確に相手に伝える訓練をしていくと、だんだん「人としての器」が大きくなるというわけです。

ここで興味深いことがあります。
それは「コアビリーフ」は、身近な人ほど強くなる関係があること。
要するに、同じ会社の部署の人間や家族には厳しくなり、外国人には寛容になるというのです。[4]

こうして、「カーッとなって部下を怒鳴ってしまったけど、冷静になったら、あんなに怒ることなかったかな」という後悔を減らすのです。

 

ダイバーシティが進むと、「常識」が通用しなくなる

 

ではなぜ今、アンガーマネジメントが日本で注目されるようになったのでしょうか。
これには、社会が便利になり、コミュニケーションの手段が発達したことで、人々の忍耐力が低下し、「怒り」が引き起こす問題が深刻化している、という実態があるようです。

「あおり運転」などの問題も、この一例でしょう。
本書によれば、アンガーマネジメントがアメリカで広がった背景には、運転時のトラブルによる射殺事件の増加があるそうです。[5]

また、職場のグローバル化が進み、多様な習慣や価値観を持つ人と協力して生きていかなければならないという背景もあります。

日本でも最近は外国人労働者が増えてきました。
なかには、すでに部下が外国人になった、という人もいるかもしれません。
そして、海外出身の人が、あなたが持っている「常識」を持つとは限りません。

私は東南アジアに住んでいますが、よく日本から進出した企業の責任者が
「部下を怒鳴りつけていたら、次々にやめられてしまった。根性がなくて本当に困ってしまうよ」
などとこぼしています。

実は逆で、東南アジアには「他人を人前で怒ることは、失礼である」という常識があるのです。
ですので、怒鳴られた人が名誉を傷つけられたと感じ、やめてしまうのは当然なのです。

なかには、従業員を他人の前で叱ったために、殺人事件になった例もあるほどです。
東南アジアでは他人の前で叱り付けることは最も「やってはいけない」が常識なのです。

また、南国では「5分くらいの遅刻は遅刻のうちに入らない」と考える人たちもいます。
こういう「常識」をもつ人に、どう日本ルールで動いてもらうか、それを伝えるとき、実は「怒り」を使わない方が、うまく伝わることが多いのです。

 

怒りっぽい上司や怒りっぽい顧客にどう対応するか

 

アンガーマネジメントを学ぶことのメリットは、自分の周りの「怒りっぽい人」に対処できることもあります。

ビジネスをしていて、避けられないのが人間関係のトラブルです。
自分の怒りを管理できているのに、他人の怒りに振り回されて困っている人もいるでしょう。
細かいことでかっとなる上司や、わけのわからない要求をしてくる顧客、どこに機嫌のポイントがあるかわからない同僚に悩まされている人は多いのではないでしょうか。

こうした他人の怒りに触れたときにも、アンガーマネジメントで「なぜ怒りが生じるか」のメカニズムを明らかにしておくと、対処法がわかります。
要するに相手の「べき」がどこにあるのか?を探し、そこに対応していくわけです。

「怒りとどう付き合うか」はグローバル時代にマネジメントに関わるビジネスパーソンにとって必須の技術となっていくでしょう。

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[1]-[5]  出典)「怒りが消える心のトレーニング」日本アンガーマネジメント協会代表理事・安藤俊介(ディスカヴァー)

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