2020/08/20

愛社精神は結果論|社員のコミット率を上げるには?

会社経営者の中には、「社員には愛社精神を持ってほしい」という方が一定数いらっしゃいます。
経営者にとっては、社員が愛社精神を持ってくれれば、同じ目標に対して向かっていく真の同士が得られたという実感が得られるでしょう。

しかし社員にとっては、会社は本来「他人」に過ぎません。
他人のビジネスを手伝っているという意識で仕事をしていると、なかなか当事者意識を持てないという社員も多いと思われます。

マネジメントが社員に対して、精神論的に愛社精神を求めたとしても、必ずしも社員の仕事に対するコミット率が上がるとは限りません。
どうすれば社員の仕事に対するコミット率が高まり、結果として愛社精神を持ってもらえるのかについて考えてみましょう。

 

仕事<家庭・プライベートという図式からのスタート

 

「仕事が第一、家庭は第二」という時代は、とうの昔に終わりを迎えています。

下記の図表は、仕事と家庭・プライベート(私生活)とのバランスについての、以下の2つの内閣府による調査結果を比較したものです。

①2017年(平成29年)における16歳から29歳までの男女(有効回答数10,000)を対象とする調査
②2011年(平成23年)における15歳から29歳までの男女(有効回答数3,000)を対象とする調査


(出典:「特集 就労等に関する若者の意識」7頁https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/pdf/b1_00.pdf

上記の図表によると、2011年の時点で、仕事よりも家庭・プライベートを優先すると答えた人の割合が52.9%とすでに圧倒的になっています。
この傾向は近年いっそう拡大し、2017年の時点で63.7%と、6年間でさらに10%以上増加していることがわかります。

このように、現代の企業が従業員を採用するに当たっては、「仕事<家庭・プライベート」という図式が出発点であることを、常に念頭に置いておく必要があるでしょう。

 

家族に対する愛情は本能的・会社に対する愛情は後天的

従業員も一人の人間ですから、家族などの近親者に対する愛情を抱くことは本能的な行動といえます。

一方で、従業員にとって会社は、どうしても「生活の糧」という意識が強く、無機質なものとして捉えられがちであることは否めません。
経営者にとっては悲しいデータかもしれませんが、上記の2017年の内閣府調査では、仕事をする目的は何かという質問に対して以下の回答データが存在します。


(出典:「特集 就労等に関する若者の意識」5頁
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/pdf/b1_00.pdf

従業員が会社に対して愛社精神を持つとすれば、それは完全に後天的な作用であるといえます。
いくらマネジメントや上司が「愛社精神を持て」と従業員に促しても、従業員は会社を好きになる理由を見出すことができないでしょう。

したがって、従業員に愛社精神を持ってもらうには、マネジメントや上司が従業員をうまく導いてあげる必要があります。

 

やりたいことができるプライベート・つまらない仕事というイメージ

若者が仕事を選択する際に重視している観点に関する調査結果として、前掲の2017年・2011年における調査における以下のデータがあります。


(出典:「特集 就労等に関する若者の意識」6頁
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/pdf/b1_00.pdf

上記のデータからは、収入面や安定性といった「生活の糧」としての要素に匹敵するほど、「自分のやりたいことができる」「自分の好きなことができる」という点が重視されていることがわかります。

しかし実際には、若手社員は責任を明確に与えられないために、仕事を何のためにやっているのかわからないという意識が働いてしまうケースが多く見られます。
これでは「仕事がつまらない」「自分のやりたいことはこれではない」と感じてしまうのも無理はないでしょう。

逆にプライベートでは自分のやりたいことができるわけですから、「仕事<家庭・プライベート」という図式はますます強固なものとなってしまいます.

 

社員の仕事に対するコミット率を上げるためには?

 

マネジメントとしては、社員の生産性を向上させるために、仕事に対するコミット率を上げてもらいたいところです。

「愛社精神」という言葉も、「会社のために尽くせ」というような文脈で用いられることが多いですが、ことさらに「愛社精神」を強調したとしても、社員のコミット率の改善に繋がるとは限りません。

 

「愛社精神を持て」「コミット率を上げろ」と言うだけでは無意味

マネジメントなり上司なりが「愛社精神を持って頑張れ」「もっと仕事にコミットしろ」と従業員に対して発破をかけても、従業員からすれば押しつけがましい感じを受けてしまうことでしょう。

愛社精神というのは、あくまでも従業員の中で自発的に芽生えるものであって、上から言われて無理やり持たされるものではありません。

この点は、「仕事にコミットしたいかどうか」についても同様です。
従業員の中でのモチベーションとして、実際に仕事に対して精を出すきっかけが得られなければ、いつまでたっても「仕事は二の次、三の次」という意識が変わることはないでしょう。

マネジメントとしては、スローガン的に「愛社精神」「コミット率」というワードを振りかざすのではなく、より直接的に従業員のモチベーションに訴えかける必要があります。

 

責任を与え、報いる|仕事を「やりたいこと」にする

マネジメントが従業員に対して愛社精神を持ってもらいたい、仕事に対するコミット率を上げてもらいたいと考えるならば、従業員にとっての仕事が「やりたいこと」へと昇華されるように導いてあげることが重要です。

そのためには、従業員が経営者・上司・同僚と一丸となって会社を成長させるという肌感覚での体験を与えることによって、仕事を「自分のこと」として捉えてもらわなければなりません。
たとえ若い社員であっても、能力に見合った一定の責任を与え、目標を一つずつ達成させるプロセスを経ることによって、業績拡大に貢献しているという実感が確実に養われていきます。
そうした中で自発的に芽生えるのが、真の「愛社精神」ではないでしょうか。

もちろん、責任ばかり重くなる一方では、仕事を辛いと感じてしまう従業員の方が多いでしょう。
マネジメントとしては、従業員が抱えている目標や課題を適切に管理したうえで、達成度に応じて適切なインセンティブを与える必要があります。

インセンティブの形としては、昇給やボーナス、昇進といった分かりやすい形も当然あり得るでしょう。
また、日常の中で上司や同僚から褒められたりすることによっても、従業員のモチベーションアップに繋がります。

待遇や社風などの面を含めて、従業員が自発的に仕事を「やりたいこと」として認識してもらえるような環境作りこそ、マネジメントの役割といえるでしょう。

 

愛社精神は結果論|やりがいを感じさせるための仕組み作りが重要

 

結局のところ「愛社精神」というものは、社員が会社の掲げる目標に対して真摯にコミットし、会社の成長に対して貢献できたという事実を後から振り返った時に、自ずと社員の中に芽生えるものなのです。

そういう意味で、社員に愛社精神ばかりを強調するのは本末転倒といえます。
マネジメントは、いたずらに精神論に走るのではなく、従業員に仕事に対するやりがいを感じさせるための仕組み作りを考える方が生産的です。

責任と報償のいわば「アメとムチ」をうまく使い分けて、従業員を同じ目標に向かって駆り立てられるかどうかが、マネジメントとしての腕の見せ所になるでしょう。

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