部下を上手く動かせたらもっと良い業績が出せるのに……。
こんな悩みを抱えている管理職の方々はかなり多いはず。
そこで本記事では、部下を上手く動かすための手法であるヒューマンマネジメントについて解説していきます。
目次
【大前提】感情不要!識学で「考えられない部下」は「考えられる部下」になる
考えられない部下でお悩みの上司の方、経営者の方は多いです。
その場合、問題点はどちらにあるのでしょうか?
正しく部下をマネジメントできていれば、部下は自身で考え、成長するようになります。
そのためには、感情を抜きにファクトベースで報告させるというマネジメントの仕組みが必要になります。
「たまたま今回は成果が出なかっただけ」
「環境が悪化しているのでできません」
「他にやらなければならないことがありました」
そんな、言い訳を許してしまうマネジメントでは、部下を成長させることはできません。
部下を成長させる上司、させない上司の特徴を下記の資料でまとめています。
ご自身にもあてはまっていないか、ぜひチェックしてみてくださいね。
ヒューマンマネジメントの意味
ヒューマンマネジメントは、部下やメンバーを動かしていくための手法のことです。
マネジメント職の役割は、部下の適切な行動を促し、チームに貢献させることだといえます。
そのため、管理職の方々にとって、ヒューマンマネジメントはまさにマネジメントの要と言ってもいい、注目に値する手法なのです。
ヒューマンマネジメントの3つのコントロール領域
ヒューマンマネジメントには3つのコントロール領域があります。
以下の通りです。
- ミッション
- モチベーション
- インセンティブ
それぞれ解説していきます。
ミッション
マネジメントにおいて、ミッションを活用することで部下をコントロールすることが可能です。
ここでのミッションとは、仕事に対する使命感のことで、ミッションに対する意識が強ければ強いほど、責任を持って仕事に取り組むようになります。
また、自分のミッションを理解している部下は、自分の立ち位置に合わせて適切な行動を取ることが可能です。
そのためマネージャーは、部下に対して適切なミッションを与えることが求められます。
モチベーション
モチベーションも、部下をコントロールする上で重要な要素です。
モチベーションが高い従業員は、自発的な行動で会社に貢献します。
そのためマネージャーは、部下のモチベーションを向上させるために様々な施策を実行する必要があるでしょう。
関連記事:モチベーションの意味をわかりやすく解説!従業員のやる気を上げるには
インセンティブ
部下のモチベーションを引き出すには、インセンティブが必要不可欠です。
インセンティブは報酬のことで、適切な頻度と量でインセンティブを与えることができれば、部下はインセンティブを求めて熱心に仕事するようになります。
ここで取り上げるインセンティブとは、金銭だけではありません。
充実感、やりがい、達成感、成果に対する適切な人事評価などもインセンティブに含まれます。
ヒューマンマネジメントに必要なスキル
ヒューマンマネジメントを成功させるためには、ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルの2つが必要です。
ヒューマンスキルとは他人と円滑にコミュニケーションを進めるためのスキルを指します。
一方でコンセプチュアルスキルは、本質を見抜いて物事を論理的に理解するためのスキルのことです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルは以下の要素で構成されています。
- リーダーシップ
- 働きかけ力
- コミュニケーション力
- プレゼンテーション力
- ヒアリング力
- 交渉力
リーダーシップ
まず、マネージャーにはリーダーシップが求められます。
マネージャーは部下の上に立つ職種であるため、部下を統率できるだけのリーダーシップが必要なのです。
リーダーシップを発揮するためには、常に自分の仕事や言動に責任を持ち、部下からの信頼を得ることが大切でしょう。
働きかけ力
マネージャーは、部下のポテンシャルを最大限引き出すことが要求されます。
そして部下の実力を引き出すためには、働きかけ力が必要です。
部下に対して全てを説明するのではなく、目標だけを与えるようにして、部下の自発的な行動を促すようにしましょう。
仕事を丸々押し付けるのではなく、部下の自発的な行動を促すようにするのがポイントです。
コミュニケーション力
部下と円滑なやり取りをするためには、ハイレベルなコミュニケーション力が必要です。
そもそもコミュニケーションとは会話であり、会話は双方向性によって成り立ちます。
そのため、こちらから一方的に話を展開するのではなく、相手との対話が重要です。
この部分を履き違えると、上司としての信頼に大きな傷がつくことになります。
プレゼンテーション力
人を動かすためには、自分の意志や理念を人に伝えることが効果的です。
そこで必要不可欠なのがプレゼンテーション力です。
ここで取り上げるプレゼンテーションとは、スライドでの解説だけでなく、ちょっとした雑談や会話時間の確保も含まれます。
自然な形で自分の考えを伝えられると良いでしょう。
ヒアリング力
部下からの意見は組織運営において非常に貴重な情報ソースです。
そのため、部下の意見を抽出するためのヒアリング力は、マネージャーにとって必須要素だといえます。
その際は、ただ相手の話を聞くだけでなく、こちらから適切な問いを投げかけることで、部下の意見を引っ張り出すことを意識すべきです。
ただし、強引に聞き出すのは悪手なので気をつけましょう。
交渉力
業務を進める上で、営業活動やクライアントとの会談は必ず発生するはずです。その際に重要になるのが交渉力です。
交渉は、双方が納得できる形で結論を導き出す必要があります。
そのためには、相手が何を求めているのか、会話から察知することも必要です。
これらを可能とするには、高いコミュニケーション力とヒアリング力が求められます。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは以下の要素で構成されています。
- ロジカルシンキング
- クリエイティブシンキング
- クリティカルシンキング
- 柔軟性
- 受容性
- 探究心
- 知的好奇心
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは論理的思考とも呼ばれます。その名の通り論理的に思考するための要素です。
物事の結果とプロセスをしっかり理解し、その繋がりを導き出します。
ここで得た結論は、次の業務における改善に役立てられたり、本当に大切なことを見つけ出したり、優先順位をつけたりする際に活用可能です。
ビジネスは基本的に結果とプロセスが繋がっているので、ビジネスマンであればロジカルシンキングは必須要素だといえます。
クリエイティブシンキング
クリエイティブシンキングは直訳すると「創造的思考」、すなわち自由な発想ができる思考法のことを指します。
予算や固定観念を一旦捨て去って自由に思考することで、クリエイティブなアイデアを導き出します。
新規事業立案はもちろんのこと、課題解決の新たなアプローチでも使える能力です。
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは批判的思考のことで、物事に対して批判的に捉えることで本質を導き出す思考法です。
ただ、ここで求められるのは物事を批判するのではなく、あくまでも「批判的に捉える」ことです。
例えば「このままで本当にいいのか」「そもそもこれは合理的な選択なのか」というように、改善に繋がるような視点で見ることが大切です。
関連記事:クリティカルシンキングとは?凡人が天才に勝るための唯一の思考法
柔軟性
柔軟性は、社会の流れや想定外のアクシデントに対して柔軟に対応できる力のことです。
柔軟性が優れていればどんなシーンでも適応できるので、変化が激しい中でも適切な判断が取れるようになり、結果として物事の本質を見抜く力に繋がります。
コンセプチュアルスキルを安定して発揮するためには、どんなアクシデントでも冷静でいられる柔軟性が必要です。
受容性
受容性は、自分とは異なる考え方や価値観に対して素直に受け入れられる力のことを指します。
受容性が高い人は、新世代の考え方や最新技術をスムーズに取り入れることができ、長期的に安定したパフォーマンスを発揮します。
近年は脱・成長主義や同性婚などの新しい価値観が生まれ、そしてそれが普及しつつあるので、受容性が高い人材が求められているといえます。
探究心
探究心は必要な事柄に対して深い知識を得たり、原因を解明しようという心意気のことを指します。
ビジネスを回すために表面的なことだけを読み取るのではなく、歴史や性質まで理解することで、アイデアの発想や差別化に繋げることが可能です。
物事の本質を見抜くために、探究心は必要不可欠な要素だといえます。
知的好奇心
知的好奇心は、自分の知らないことに対して興味を持ち、実際に知識を得ようとする姿勢のことを指します。
知的好奇心の強い人はどんどん水平展開していき、思いもよらないところで相乗効果を生み出すことが可能です。
また、必然的に知識量が増えるため、適切な判断ができるようになります。
【管理職志望向け】ヒューマンスキルの高め方は?
ここでは管理職志望向けに、ヒューマンスキルを高める方法を紹介します。高め方は以下の通りです。
- 他者への関心を持つ
- 相手の話をしっかり聞く
- 社員の多様性を認める
- メンタルタフネスを高める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
他者への関心を持つ
まずは他者への関心を持つようにしましょう。
自分のことだけでなく相手のことをしっかり理解しようとする心構えが大切だからです。
実際にコミュニケーションをとってみるのはもちろんのこと、普段の業務を観察してみるだけでも効果があります。
なお、他者への関心を持つために、自分の仕事はしっかり片付けて余裕を持っておくことが大切です。
相手の話をしっかり聞く
部下とコミュニケーションを取る際は、相手の話をしっかり聞くようにしましょう。
聞く姿勢を整えるだけで、部下は心の奥深くにある意見を話してくれるようになります。
また、部下に対する思わぬ新発見をすることもあるので、やはり聞く力は大切です。
会話力を向上させたいのであれば、まずは聞き方から改めましょう。
社員の多様性を認める
社員の多様性はちゃんと認めましょう。
ジェンダー差別はもちろんのこと、「みんながやっているから」という理由で残業を強要するのも厳禁です。
社員一人ひとりに様々な働き方、価値観、キャリア観があります。
最初は社員の多様性を認めることから始めましょう。そうすることで、部下からの信頼が少しずつ強まっていきます。
メンタルタフネスを高める
部下を動かせるようにするためには長期的なプロセスが必要です。
そのため、管理職にはメンタルタフネスが求められるでしょう。
精神的な強さは、部下の価値観を許容すること、長期的に面倒を見て育成していくことにも必要不可欠です。
また、メンタルタフネスを高めることは、自身の余裕を生み出すことにも繋がります。
余裕が感じられる上司に、部下は付いていきたくなるものです。
関連記事:メンタルマネジメントとは?メンタルの鍛え方やプレ・パフォーマンス・ルーティンについて解説
よくある質問
ここからはヒューマンマネジメントにおけるよくある質問に解答していきます。
カッツモデルは古い手法なの?
はい、古い手法です。ただし、現代でも十分通用する普遍的な手法でもあります。
そもそもカッツモデルは、1950年代にアメリカの経済学者のロバート・L・カッツによって提唱されました。
カッツモデルは、管理職に必要な能力を以下の3つのスキルに分けました。
- コンセプチュアルスキル
- ヒューマンスキル
- テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、業務遂行のために必要な技術的な能力のことです。
そして上位の管理職になればなるほどコンセプチュアルスキルの必要性が高まり、逆に現場に近づけば近づくほどコンセプチュアルスキルではなくテクニカルスキルが求められます。
しかし、ヒューマンスキルに関しては全ての管理職に求められます。この点だけは、組織という概念が存在する限り、普遍的であり続けるでしょう。
関連記事:【分かりやすく】カッツ・モデルとは? 経営者やリーダーに必要な「3つの能力」を解説!【マネジメントスキル、ヒューマンスキル】
カッツ理論の論文が汎用的なのはなぜ?
カッツモデルの論文が汎用的である理由として、能力を3つのスキルに分けたことと、マネジメント能力は後天的に成長可能だと説かれていることが挙げられます。
まず、カッツモデルで示された3つのスキルは、ほとんどの企業で活用できます。
IT系のスタートアップに関しては経営者でも非常に高いテクニカルスキルを有していることがありますが、それを踏まえても企業の経営者は非常に高いコンセプチュアルスキルを保有しています。
また、カッツモデルが誕生した背景には、それまでの「マネジメントは先天的な能力」という概念がありました。
しかしカッツはそれを否定し「マネジメントは後天的に成長可能」であることを説いたのです。
実際、ある程度まではマネジメント能力は育成可能であり、そのための学習プログラムも数多く誕生しています。
これらの点を考慮すると、カッツモデルは現代でも汎用性の高い論文だといえます。
ただし近年は欠陥も見つかっているので、必要なノウハウだけを抽出し、全てを鵜呑みにしない方がいいでしょう。
コンセプチュアルスキルの高め方は?
コンセプチュアルスキルを高め方として、「なぜ?」という問いを繰り返しながら物事を見つめる方法が挙げられます。
例えば一つのニュースについて「なぜこの企業はこのような判断をしたのか?」という問いを立てることができれば、その企業の文化やニュースの背景を深掘りでき、本質の抽出に繋げることが可能になります。
これに関しては日々の情報収集で実践可能なので、ぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- ヒューマンマネジメントを成功させるにはヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルが必要
- ヒューマンスキルは全ての管理職の方々に求められる能力
- ヒューマンスキルを高めるには、まず相手を理解しようとすることから始めるべき
マネジメントを成功させるには、他人の考えを理解し、それに基づいて適切な行動を促す必要があります。
そのためにヒューマンスキルは必要不可欠な能力で、まずは相手を理解しようと思う気持ちが大切です。
部下を自由に動かしたいのであれば、まずは部下を理解することから始めるべきでしょう。