チームビルディングでとても有効なのがワークショップです。ルールがあらかじめ定められているワークショップであれば、ゲーム感覚でチームビルディングを実施できます。
それに目をつけ、現在、様々な企業が、ゲーム感覚で実施できるワークショップを提供しています。
本記事では、チームビルディングにおけるワークショップのメリット・デメリットや、ワークショップの進め方、おすすめのワークショップを紹介していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
チームビルディングとは何?
ビジネスにおけるチームビルディングとは、パフォーマンスを発揮できるチーム作りのことを指します。
少子高齢化に陥っている現代では、労働人口の不足が喫緊の課題であるため、チームメンバーの人数を増やすことなく、生産性を高めていく必要があります。
その際、重要になるのがチームビルディングです。
チームビルディングであれば、チームの規模を大きくすることなく、生産性を高められる可能性があります。
ほかにも、信頼できる人間関係の構築、モチベーション向上、離職率低下など、チームビルディングにはさまざまなメリットがあります。
関連記事:チームビルディングとは?目的・実施方法などを徹底解説!
ワークショップを実施するメリット
ワークショップは、セミナーと異なり体験型のイベントなので、他の手法に比べて参加者の記憶に残りやすいのがメリットです。
また、ワークショップを実施することで、チームメンバー同士の会話も自然と増えていくので、コミュニケーション促進に繋げられる可能性もあります。
ワークショップを実施するデメリット
一方、デメリットとしては、参加型だからこそ、会話が続かない場合に盛り上がりに欠ける点があります。
企画する側が、参加者の会話を促す仕組みを構築するのが重要でしょう。
また、その他の手法に比べて、ワークショップはとにかく手間がかかります。
そのうえ効果測定もしづらいので、どの程度成果が出たのか、どれほどのメリットを享受できたのか、客観的に掴むのが難しいです。
チームビルディングにおけるワークショップの進め方とは?
チームビルディングにおけるワークショップの進め方は以下の通りです。
- ワークショップの目的を明確にする
- ワークショップの内容を決める
- 準備を行う
- 実際にワークショップを開催する
- フィードバックを実施する
それぞれ詳しく解説していきます。
ステップ①:ワークショップの目的を明確にする
チームビルディングを実施する前に、まずはワークショップの目的を明確にしましょう。
あらかじめ目的を明確にしておかないと、ワークショップで得られる効果が曖昧になり、結果に繋がらなくなる可能性があります。
一般的に、チームビルディングにおけるワークショップの目的としては「チームワーク向上」や「コミュニケーションの促進」が挙げられます。
このようにして目的を明確にすれば、実施すべきワークショップが見えてくるので、あとから楽になります。
ステップ②:ワークショップの内容を決める
ワークショップの目的を明確にしたあとは、実際にどのようなワークショップを実施するかの「内容」を決めていきます。
例えば「チームワーク向上」が目的の場合はチーム制のワークショップを選ぶのがいいでしょう。
「コミュニケーション」の促進が目的であれば、積極的に会話する必要のあるワークショップを選ぶのが適切です。
このように、あらかじめ目的を明確にしておけば、自然と、実施すべきワークショップが見えてきます。
あとはコストや必要人数などの実務的な要因で、ワークショップを決定していくのがいいでしょう。
ステップ③:準備を行う
ワークショップの内容を決定したあとは、準備を進めていきます。具体的には以下が挙げられます。
- 会場の確保
- スケジュール調整
- 備品の準備
- 告知
- 担当者の割り振り
実のところ、ワークショップを実施する際に、特段苦労することはありません。それよりも、日程調整や会場の確保などの実務の方が大変です。
余裕のあるスケジュールでワークショップの準備を進めるようにしましょう。
ステップ④:実際にワークショップを開催する
ワークショップをしっかり準備したあとは、実際にワークショップを開催します。
あらかじめしっかり準備しておけば、特段苦労することはないはずです。
なぜなら大半のワークショップでは、あらかじめルールが定められているためです。基本的には、そのルールに則っておけば問題ありません。
ただし、当日になって欠員が出るなど、イレギュラーな事態が発生する可能性はあるので、やはり準備は欠かせません。
また、あとから振り返りしやすくするために、写真撮影などを実施するといいでしょう。
ステップ⑤:フィードバックを実施する
ワークショップを開催したあとは、フィードバックを実施します。
ワークショップを実施する際に、写真を撮影したりアンケートを実施したりすれば、より効果的なフィードバックを実施できるでしょう。
「よかったこと・悪かったこと」や準備の段取りなど、課題を洗い出して、次回のワークショップに繋げるようにします。
また、この段階であらかじめルーティンやマニュアルを決定しておけば、次回からもっと効率的にワークショップを実施できるようになります。長期的な視点でフィードバックを実施しましょう。
チームビルディングにおすすめのワークショップ12選
チームビルディングにおすすめのワークショップは以下の12つです。
- チェックイン
- NASAゲーム
- ワールドカフェ
- ワールドリーダーズ
- おえかきワークショップ
- ブレストカード
- 人狼ゲーム
- ある惑星からのSOS
- WIND&ANCHOR
- ディベート
- 謎解きゲーム
- 陽口ゲーム
それぞれ詳しく解説していきます。
関連記事:ワークショップとは?メリット・デメリットや効果的に行う方法をわかりやすく解説
チェックイン
チェックインは、自分の気持ちや感情を発表するワークショップです。
ファシリテーターが「あなたの今の気持ちを一言で教えてください」と促し、それにメンバーが一人ずつ答えていきます。
この際、ネガティブな内容であっても問題ありません。
重要なのは、参加者の感情を吐露させて、その後の会話のハードルを下げさせることです。
また、チェックインでは発言に対して議論することはありません。
参加者は、メンバーの発言をただ聞くだけです。
このプロセスを一旦挟むことで、発言に対して「しっかり聴く雰囲気」を醸成することができます。
チェックインは、ワークショップを本格的に実践する前のアイスブレイクとして有効です。
NASAゲーム
NASAゲームはコンセンサス(合意形成)ゲームの一種です。
メンバーは、宇宙船の故障で月面に着地している母船から200km離れた場所に不時着してしまった宇宙飛行士という設定で、手元に残った15種類のアイテムに優先順位をつけるゲームとなっています。
このゲームでは、NASAが科学的見解を元にした模範解答を作成しているため、その模範解答との順位の差で、ポイントを競うゲームとなっています。
ただしもちろん、ポイントを競うことが目的ではありません。
NASAゲームは、その性質上、さまざまな考え方ができるため、合意形成のシミュレーションに適したワークショップとなっています。
このNASAゲームは、対面だけでなくオンラインでも容易に実施できるのが魅力です。
ワールドカフェ
ワールドカフェは、ひとつのトークテーマについて意見を交換し合うワークショップです。
具体的な進め方は以下の通りです。
- リラックスできる場所を用意し、4~5人のグループを複数作る。
- そのグループでテーマについて意見を交換する。
- グループの1人がホストとして残り、残りの人は興味のあるグループに移動する。
- 新しいグループで先ほどのグループで話し合った内容を共有する
- また最初のグループに戻り、2ラウンド目のグループで話し合った意見を共有する
- 最後に各グループで意見を発表する
この構成であれば、全ての人が意見を出せる環境を構築できます。
コミュニケーション促進に大いに役立つでしょう。
ワールドリーダーズ
ワールドリーダーズは、株式会社IKUSAが提供するSDGsビジネスゲームです。
各チームは企業として戦略を立てて、労働力や資本を使って利益を競います。
ただし、ワールドリーダーズではただ利益を追求するだけでなく、社会全体のバランスを考慮しながら行動する必要のあるゲームです。
また、環境や社会に配慮したチームには追加利益が付与される仕組みになっています。
ワールドリーダーズを実施することで、メンバー全員が自然と経営者の視点に立つことが可能です。
SDGsという要素を取り入れているため、目先の利益だけでなく、長期的な視点に立つ意識も芽生えるでしょう。
遊びながらプレイできるワークショップですが、非常に実践的な内容なのが魅力です。
おえかきワークショップ
おえかきワークショップは、バツグリ株式会社が提供しているワークショップです。
言語化しづらい「自社のミッション、ビジョン、バリュー」をお絵描きで表現し、参加者で共有して語り合う内容となっています。
実際、ミッションやビジョンは非常にイメージしづらい概念なので、あえて「お絵描き」で表現してみるのは理にかなっていると言えるでしょう。
そしてそれを参加者で共有することで、自社のミッションをイメージできるようになるというわけです。
バツグリが提供しているおえかきワークショップでは、大人のためのアートサロンを運営している「おとなの図工クラブ」の講師が参加するので、精度の高いワークショップを実施可能です。
ブレストカード
ブレストカードは面白法人カヤックが提供しているカードゲームです。
複数人で思う存分アイデアを出し合う会議手法である「ブレインストーミング」をカードゲーム形式で体感できるプログラムとなっています。
ブレストカードは、カードにイラストが描かれており、そのイラストを基準にアイデアを膨らませていくゲームです。
Amazonで販売されているので、簡単に導入できます。
人狼ゲーム
人狼ゲームは、市民側と人狼側に分かれて自分の陣営の勝利を目指すゲームです。
人狼ゲームの本質を一言で表すなら「嘘を見抜くゲーム」です。
人狼ゲームで人狼側が生き残るには、必然的に嘘をつく必要があり、それを市民側が見抜けるかどうかで勝負が決まります。
では、嘘を見抜くにはどうすればいいのか。
こちらから質問したり、相手の表情をよく見たり、声色をしっかり聴き分けたりする必要があります。
これが、コミュニケーションの促進に大きく貢献するのです。
人狼ゲームはその性質上、疑心暗鬼になりやすいのがデメリットです。
しかし、東京福祉大学の論文によると、人狼ゲームで社会的スキルや自己主張の促進効果が見られる一方で、他者疑念が増すデメリットは見受けられなかったとのこと。
人狼ゲームはあくまでゲームです。やり過ぎでメンバーを信じられなくなるといったことは、ほとんどないでしょう。
ある惑星からのSOS
ある惑星からのSOSは、株式会社IKUSAが提供するオンラインSDGs謎解きゲームです。
このゲームでは参加者が「ある惑星」を救うために、環境や社会に関するさまざまな課題をクリアしなければなりません。
そして惑星の現状を知るために、ストーリーに沿って謎解きをクリアする必要があります。
ある惑星からのSOSを実施することで、チームワーク向上はもちろんのこと、SDGsの啓蒙活動を実施することができます。
また、このゲームはオンラインで実施できるので、リモート環境下で本格的なワークショップを実施したい場合の選択肢としてもおすすめです。
WIND&ANCHOR
WIND&ANCHORは、自分がポジティブになれる行動・環境と、ネガティブになってしまう行動・環境を一人ずつ発表していくワークショップです。
実際に発表した後は、内容を付箋に書いておき、順番ずつ張り出していきます。
WIND&ANCHORを実施することで、まず、必然的に各メンバーがどのように仕事を進めているかを知ることができます。
それに加え、どのような環境であればパフォーマンスが向上するかを理解できるようになるため、職場環境改善に繋げやすいのも魅力的です。
また、マネージャーやリーダーとしても、各メンバーの適性を知ることができるので、適切な人材配置にも繋がります。
ディベート
続いて紹介するのはディベートです。
ディベートは、ある課題に対して2つの立場に分かれて討論するワークショップとなっています。
ディベートでよく登場する議題としては、以下が挙げられるでしょう。
- 死刑制度は撤廃すべきか?
- 社内公用語を英語にすべきか?
- 小学生にランドセルは必要なのか?
せっかくビジネスの場でディベートを実施するのであれば、やはりビジネスにまつわる議題を用意するのがいいでしょう。
ディベートで参加者を賛成派と反対派で分ける場合は、参加者の思想に関係なく、あらかじめくじなどでランダムに分けるのがポイントです。
ディベートの目的は、ある議題に対して結論を出すことではなく、討論で引き出される論理的思考やコミュニケーション術にあるためです。
ディベートはかなり実践的なワークショップで、会議、アイデアだし、プレゼン、営業などの業務で活用できます。
関連記事:ロジカルシンキングの鍛え方とは?ビジネスマンのための5つの訓練法を紹介
謎解きゲーム
謎解きゲームもチームビルディングに有効なワークショップです。
近年は企業向けの謎解きゲームを提供する企業が増えています。社内研修での実施を想定して、机があれば実施できるゲームに仕上がっているため、手軽に導入できるのが特徴です。
また、謎解きゲームであれば、参加者の主体性・チームワーク向上にも繋がります。
チームワーク向上が目的なのであれば、謎解きゲームを導入するのがいいでしょう。
謎解きゲームそのものを社員が考えてみるのもおもしろそうです。
陽口ゲーム
陽口ゲームは、相手がいないところで褒め言葉を教え合うゲームです。
つまるところ、相手のいないところで悪口を言う「陰口」の対になります。
そして陽口ゲームの最後に、褒め言葉を相手に共有することで、自己肯定感向上に繋げます。
陽口ゲームは、コストがほとんどかからないことに加えて、リモート環境でも実施できるのが特徴です。
チームビルディングを実施する際のミニゲームや、会議前のアイスブレイクとして実施するのがいいでしょう。
ワークショップを実施する際の3つのポイント
チームビルディングでワークショップを実施する際のポイントは以下の3つです。
- ワークショップの目的を設定しておく
- ワークショップの特徴を把握する
- 参加しやすい雰囲気を作る
それぞれ詳しく解説していきます。
関連記事:目標を達成する組織に必要なチームビルディングやマネジメントとは?
ポイント①:ワークショップの目的を設定しておく
ワークショップを実施する際は、まずワークショップの目的を設定しておきましょう。
例えば「チームの生産性を上げる」と「チームの親睦を深める」という2つの目的では、趣旨がかなり異なります。
「チームの生産性を上げる」に特化したいのであれば、ビジネスライクなワークショップを選んだ方がよいでしょう。
逆に「チームの親睦を深める」であれば、ビジネスの関係から距離を置いて、遊びに近いワークショップが適しています。
ワークショップはただでさえ効果測定が難しい領域なので、目的が曖昧になってしまうと、効果が薄れてしまう可能性があります。
あらかじめ目的を設定しておきましょう。
ポイント②:ワークショップの特徴を把握する
ワークショップを実施する際は、そのワークショップの特徴を把握しておく必要があります。
ワークショップによって得られる効果が異なるためです。
また、ワークショップによっては、ファシリテーターを設ける必要があり、企画側が介入した方がいいケースもあります。
ワークショップを導入する際は、まず自分たちでやってみて、特徴を把握するとともに、企画側から必要なアクションがないか確認・準備しておく必要があるでしょう。
ポイント③:参加しやすい雰囲気を作る
ワークショップを実施する際は、参加しやすい雰囲気を作っておくことが大切です。
話しやすい雰囲気が醸成されていないと、話し合いが促進されなかったり、積極的に参加できなくなったりしてしまいます。
ワークショップを実施する前にアイスブレイクを実施して、緊張を取り除いておくのがいいでしょう。
まとめ
本記事ではチームビルディングで活用できるワークショップを紹介しました。
チームビルディングの効果を高めるためにも、まずはワークショップを実施する目的を明確にしておくのがいいでしょう。
そうすれば、自然と「実施すべきワークショップ」が見えてきます。
また、ワークショップを選ぶ際は、事前に自分たちでリハーサルやデモを実施して、要領を掴んでおくのがいいでしょう。
ぜひ本記事を参考にして、適切なワークショップを選んでみてください。