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リーダーにとっての究極のフォロワーシップとは?フォロワーシップの育て方を事例をもとに解説

リーダーにとっての究極のフォロワーシップとは?フォロワーシップの育て方を事例をもとに解説

トップダウン式の強力なリーダーシップを発揮するカリスマ経営者―そんなリーダー像はひと昔まえのステレオタイプかもしれません。


現在はリーダー像もリーダーシップのあり方も多様化しています。


世界に誇る精鋭集団・NASAの宇宙飛行士と「日本一オーラがない監督」―一見、全く違うタイプのリーダーたちが声を揃えて唱えるのが、フォロワーシップの重要性。
それはなぜでしょうか。

 

本記事では、フォロワーシップについて事例をもとに解説していきます。

 

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多様化するリーダー像

 

興味深い調査結果があります。
転職コンサルタントに「求められるリーダー像」について質問した調査です[1]。

この調査によると、回答者の85%が「企業が求めるリーダー像は変化している」と答えています。
転職コンサルタントルはリアルタイムで多くの転職者と企業を仲介しています。そうした転職コンサルタントの大半がリーダー像の変化をキャッチしているのです。

次に「ミドル世代の転職者に企業が求めるリーダー像は、どのようなタイプが多いか」という質問に対しては、以下のような回答が寄せられました。

図1 ミドル世代の転職者に企業が求めるリーダー像

出典:[1] ENジャパン(2019)「転職コンサルタント100人に聞く!『いま求められるリーダー像』」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17524.html

メンバーや組織の主体性を引き出す「支援型リーダー」が最も割合が高く、カリスマ性や変
⾰性によって組織を統率する「統率・支配型リーダー」、権威・権限で統率する「管理型リー
ダー」がそれに続きますが、割合をみると、どれかひとつのリーダー像に偏っているというわけでもありません。
この図からは多様なリーダー像が拮抗しつつ混在していることが窺えます。

ただ、このことに照らして興味深いのは、次の質問に対する回答です。

図2 「これからのリーダーに求められる力」を持つと思う実在の経営者


出典:[1 ]ENジャパン(2019)「転職コンサルタント100人に聞く!『いま求められるリーダー像』」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17524.html

図2は、「“これからのリーダーに求められる力”を持つのは、実在の経営者にたとえると誰か」という質問への回答をランキングしたものです。
名前が挙がっているのは、いずれも強烈な個性をもつカリスマ経営者です。
図1と図2の内容は矛盾しているように見受けられますが、それはなぜでしょうか。

カリスマ型リーダーは知名度が高いから? 支援型リーダーは目につきにくいから? それとも、回答者がひと昔まえのステレオタイプから抜け出せていないから?

さまざまな可能性が思い浮かびますが、もしかしたら、支援型リーダーがどのようなものか具体的なイメージがしにくいのかもしれません。
ここからは、支援型リーダーにも関連する、リーダーにとってのフォロワーシップについてみていきます。

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 NASAが課す「野外リーダーシップ訓練(NOLS)」とフォロワーシップ

 

NASAは宇宙飛行士全員に、チーム力養成を目的として開発された「ナショナル・アウトドア・リーダーシップスクール(NOLS・ノルズ)」という訓練を課しています[2]、[3-1]、[4-1]。

この訓練は、山間部や海、湖など宇宙滞在に似たストレス環境下でチームを組み、人力だけで移動するというもので、毎日リーダーを交替するというルールがあります。
目的は、宇宙飛行で重要な自己管理やリーダシップ、フォロワーシップなどのチームワーク、状況に応じた判断方法などの理解、習得。

油井亀美飛也 飛行士の例をみてみましょう[3]、[4-2]。
彼は2012年、アメリカ・アラスカ州のアンカレッジから南東に約50km離れたプリンスウィリアム湾での8日間の訓練に参加しました。

図3 NOLS参加中の油井飛行士


出典:[3-2]JAXA 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター(2012)「NOLS訓練中のひとこま」
https://iss.jaxa.jp/library/photo/1209_yui_nols.php

訓練開始から悪天候が続き、毎日移動するはずだった行程が滞って、切羽つまった状況にありました。
油井飛行士がリーダーを務めたのは訓練の最終日、つまり移動可能な最後の日でした。
その日の朝も期待に反して雨が降り続いていました。
気温は5度。震えながら見る海には氷が浮かんでいます。

天気予報と海上の様子から、予定通りの行程を進むことは可能です。
でも、長距離の移動になるし、不確定要素も多い。
なにより、
「こんな悪天候でカヤックが漕げるわけがない」
とメンバーのテンションは極めて低い。

そこで、リーダーの油井氏はミーティングを開き、
「予定どおり移動するべきか、この場にとどまるべきか」率直な意見を求めました。
メンバーの意見はバラバラでした。
「悪天候で危険だから、テントの中で話をしながらチームビルディングをすればいい」
「テントの中で話をするなら、ここにいる必要はない。カヤックの訓練を通してチームワークを向上させるためにここに来ているんじゃないのか」

「途中で危険な状況になっても代替プランはたくさんある」
油井飛行士は困難にチャレンジすることを決め、その結果、メンバーたちにフォローされながら、計画した場所に予定より早く到着することができました。

彼はこう述べています。

宇宙飛行士はもともと資質が非常に高いので、基本的に自分がやらなければならないことはわかっている。リーダーの仕事はそれぞれの能力を見極めて、仕事がしやすい環境を作ってあげること。

リーダーから指示をだすよりはミーティングで意見を言ってもらい、納得したうえで一体感を持って仕事をすることが大事。

これは、先にみた、メンバーや組織の主体性を引き出す「支援型リーダー」に当てはまります。

NOLSでは、4つのリーダーシップスタイルを提示していますが、そのうちのひとつが「積極的なフォロワーシップ(Active followership)」です[5]。
これは、「リーダーを支援し、フォローし、意思決定に積極的に参加する」というもの。

チームはリーダーだけが動かしていくものではなく、それを支えるフォロワーの力が大きい。

リーダーは、フォロワーシップについて理解することが大切である。

NOLSにはそのような考えが取り入れられています。

この訓練を課しているNASAは、宇宙飛行士が備えるべき資質の1つとしてフォロワーシップを唱え、フォロワーシップ型人材育成へとシフトし始めています[6]:はじめに。
ストレス空間の中で必要な資質はリーダーシップだけではありません。
まわりの状況に目を配り、チームとして達成すべき目標を見失わずにサポートする―そんなフォロワーシップが欠かせないのです。

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「日本一オーラがない監督」が語るフォロワーシップを育てる方法

 

フォロワーシップの最終形

リーダーのためのフォロワーシップという観点からすれば、リーダーの最大の役割はリーダーにしかできないことをゼロにすることだ。

組織の中で、自分にしかできないことをゼロにしたいと思っている。

そう語る人がいます。
彼にとっての理想の組織とは以下のようなものです。

リーダーである私を優秀なフォロワーががっちりと支え、徐々にフォロワーが自律していき、各人がリーダーシップを超越し、最終的に私が必要とされなくなってしまう組織

「日本一オーラがない監督」・中竹竜二氏をご存じでしょうか。
彼の経歴は輝かしいものです。
早稲田大学ラグビー蹴球部の監督時代に同部を2年連続で優勝に導き、その後、日本ラグビーフットボール協会初代コーチングディレクターに就任。U20日本代表ヘッドコーチ、日本代表ヘッドコーチを歴任・・・。

でも、中竹氏は選手やコーチなど周りにいる人々から、ずっと「オーラがない」と言われ続けていました。
その結果、定着したキャッチフレーズが「日本一オーラがない監督」。
自分につけられたこのキャッチフレーズが大好きだと竹中氏はいいます。
なぜなら、それは明確なメリットをもたらすからです。

「日本一オーラがない監督」は雲の上の存在ではない。
したがって、周りの人間は素直に意見が言え、対等に議論ができ、反抗もできる。
間違った点はすぐに指摘してもらえる。
よりフラットな関係が築けるから、不満や意見も耳に入りやすい。
つまり、たくさんの情報を仕入れることができる。

 

フォロワーシップの育て方

企業におけるリーダーのフォロワーシップとは、自分の成果も上げつつ、部下の育成を優先させるスタンスである。

そう語る中竹氏は、経験を通してフォロワーシップのあり方を磨き続けてきたといいます。
その著書『新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』には彼独自のフォロワーシップ論が展開されています[6]:フォロワーをいかに育てるか

その中から、フォロワーを育てる方法論をご紹介しましょう。

 

理想のフォロワー像を描く

まず、自分がこれまで接してきた素晴らしいフォロワーを思い浮かべる。
次にそうしたフォロワー像を言語化する。
その際、リーダーから理想のフォロワー像を聞いたフォロワーがそのイメージどおりにアクションできるほど明瞭で伝わりやすい表現が必要である。

 

部下に主体性を持たせる

リーダーが決断を下すまで待っているようなフォロワーではならない。
リーダーの指示を待つのではなく、主体性をもって考える。
リーダーが考えるように考え、準備をしておく。
そして、リーダーが決断を下したとき、それを確認して即座に実行する。
そのような主体性をもつフォロワーを育てるという目標を明確にもつ。

 

最悪なフォロワー像

万が一、部下が成長しない場合にも、最低限これだけは避けてもらいたいという言動を想
定し、限界を明確にしておく。
フォロワーが自己中心的、自己本位的だと思える言動を目にしたときにも、その原因・理由を考えてみる。
それがわかれば対策が立てられる。
リーダーはその原因・理由を多面的な視線で見出していかなければならない。

 

マニュアル化による自主性逓減

マニュアルには組織叡智が盛り込まれている。
ただし、マニュアルはノウハウ(KNOW-HOW)を追求したものであって、ノウホワイ(KNOW-WHY)が省略されている。
したがって、「なぜ」という原点が省かれ、原点に立ち戻って考えることができない。
マニュアルの限界を知り、マニュアル化によってフォロワーの自主性が逓減することを認識する。

 

安心安全による自主性逓減

組織ばかりでなく、家庭教育も学校教育もリスクを排除しようとする。
だが、リスク回避のプロセスの中に主体性を低下させてしまう要因があるかもしれない。
たとえば、都会での「お受験」がそれに当たる。
企業にしろ家庭にしろ、し方なく自主性を奪われてきたフォロワーたちがいることを認識する。

 

部下の成長チャンスとリーダーの手助け

フォロワーの自主性を掲げた組織スローガンは、売上や利益という目の前の目標によって、瞬時に反故にされがちである。
リーダーは長期的な視野に立ち、フォロワ―の成長機会を奪うケースに気づき、部下の大きな失敗をむしろ歓迎するくらいの覚悟が必要である。
フォロアーシップとは、企業倫理やリスク回避というリーダーの視点ではなく、フォロワーを育てるにはどうすればいいのかを前提に考えるべきことである。

 

フォロワーの資質と目標に合った環境

リーダーが考えるフォロワーシップで最も大切なのはフォロワーが自走できる環境の整備である。
そのためにはフォロワーの目標設定が欠かせない。
その上で、リーダーはフォロワーの自主性、成長を促すために、フォロワーが目標を達成できるような環境を整えるべきである。
ただし、盲目的にフォロワーの自主性に任せるのは危険である。
大切なのは、個々のフォロワーの意識レベルと能力レベルを正確に把握すること。
それを基にして、自主性尊重か管理体制かを選ぶ。

 

フォロワーのスタイル構築支援

フォロワー1人ひとりにスタイルを構築させることが、リーダーがやるべきフォロワーシップの最も大きな命題である。
各フォロアーの理想のスタイルを、フォロワーと一緒に時間をかけて作り上げていく。
そのためには、リーダー自身がスタイルを強くもっていることが大前提。
フォロワーのスタイル構築のためには、リーダーのメリットを無視しなければならないこともある。

中竹氏は最後にこう述べています。

結局のところ、やや青臭く言えば、リーダーがフォロワーシップを発揮する際に、最も大切なのは、部下やメンバーに対する見返りを求めない愛である。

「リーダーにとってのフォロワーシップ」という視点をもつことは、フォロワーの能力と自主性を最大限、引き出して育て、強力な組織を作ることにつながります。

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参照
[1]ENジャパン(2019)「転職コンサルタント100人に聞く!『いま求められるリーダー像』」(5月29日)
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17524.html
[2]NOLS“About NOLS”
https://nols.edu/en/about/history/
[3-1]JAXA 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター(2012)「油井宇宙飛行士、野外リーダシップ訓練に参加」(最終更新日:2012年10月22日)
https://iss.jaxa.jp/astro/report/2012/1209/yu_nols.html
[3-2]JAXA 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター(2012)「NOLS訓練中のひとこま」
https://iss.jaxa.jp/library/photo/1209_yui_nols.php
[4-1]東洋経済オンライン(2013)「NASAリーダーシップ訓練に学ぶ、決断力 日本の宇宙飛行士、世界トップを狙え」(2013年1月15日) p.2
https://toyokeizai.net/articles/-/12390?page=2
[4-2]同 p.3
https://toyokeizai.net/articles/-/12390?page=3
[5]NOLS BLOG(2018)MOLLY HERBER“How Valuing Different Leadership Roles Makes Better Teams”(Oct 23, 2018)
https://blog.nols.edu/2018/10/23/valuing-leadership-roles-makes-better-teams
[6]中竹竜二(2018)『新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』株式会社CCCメディアハウス(Kindle版)

 

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