人材育成において、OJTは現場の仕事を通じて多くを学べる方法です。
今回はOJTが重要な理由や、OJTと混同されやすいOff-JTとの違いをわかりやすく解説します。
また、OJTの指導に向いていない人や、OJT成功のポイントも紹介するので、人材育成に関わる人はぜひ最後までお付き合いください。
目次
人材育成のOJTとは?
人材育成におけるOJTとはどのようなものか、以下にて詳しく見ていきます。
- OJTとは
- OJTとOff-JTの違い
OJTとは
OJTは「On the Job Training」を略した言葉で、実際の職場で実施するトレーニングのことです。
OJTにおいて指導者の役割を担うのは現場の上司や先輩で、指導対象者は指導者のサポートのもとで実務を行ったり、指導者の業務に付き添う形で学んだりしながら、経験を重ねていきます。
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OJTとOff-JTの違い
「OFF-JT」は「Off The Job Training」の略で、座学中心で行われる研修のことです。
OJTとOff-JTは「実践で学ぶ」か「座学で学ぶ」かが大きな違いですが、それぞれを組み合わせるのが最も効果的だと考えられます。
Off-JTで学んだことをOJTで実践して定着させたり、OJTの実践を通して足りないと感じるところをOff-JTで学んだりすることを繰り返して、知識・技能を身につけるのです。
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人材育成にOJTが超重要な理由5つ
人材育成には「70:20:10の法則」の法則があり、その内訳は70%が経験、20%が指導・フィードバック、10%が研修とされています。
この法則でいうと、Off-JTは研修の10%にあたり、OJTは経験と指導・フィードバックの両方を合わせた90%の部分に該当します。
このことから、OJTは人材育成に重要な要素がつまっているといえるでしょう。
以下では、人材育成にOJTが重要な理由を5つご紹介します。
- 早期に現場の戦力となる人材育成
- その場に合った指導が可能
- 個人の状況に合ったオーダーメイドの指導が可能
- 費用が抑えられる
- 管理職候補に人材育成の機会を与えられる
1つずつ確認していきましょう。
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早期に現場の戦力となる人材育成
1つめの理由は、現場での仕事の流れを見ながら指導することで理解が早い点です。
実際の職場で業務を進めていくうえで必要な知識やスキルを効率よく身につけられます。
指導担当の行動を目の当たりにしているので、実際の場面を思い返しながら、自律的に行動できるようになるでしょう。
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その場に合った指導が可能
2つめの理由は、Off-JTでは指導しにくい内容も現場では指導できる点です。
職場のルールは言語化されてマニュアル化されるべきものですが、Off-JTで伝えきるのは難しいため、OJTで学ぶことには意義があります。
他にも企業風土・業界ならではの習慣・マナー・身だしなみなども、指導担当から学ぶことができます。
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個人の状況に合ったオーダーメイドの指導が可能
3つめは新人や異動してきた人が現場で働くために足りていないところを個別に指導できる点です。
指導担当は育成対象者と対話をしながら、不安に感じることや不明点をヒアリングでき、伴走型の人材育成が可能になります。
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費用が抑えられる
Off-JTは社内の担当者が行うこともありますが、研修専門の業者に外注することも多々あります。
外部に研修を依頼するとなると経費がかさむため、社内で完結するOJTは費用面で有利です。
指導担当は指導する分の工数がかかる点は見逃せませんが、業務を通した指導なので完全に業務を止めなければならないわけではありません。
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管理職候補に人材育成の機会を与えられる
最後の理由は、管理職候補の人材に指導担当を経験させることで、人材育成への理解を深めてもらい、経験を積んでもらえる点です。
人を育成するのは簡単なことではないため、指導担当にとっても貴重な経験になるうえ、見守る管理職側としても、管理職候補者の能力を見極める良い機会になります。
関連記事:人材育成計画の作成方法とは?理想の人材が育つ計画の立て方やポイントを解説
人材育成を失敗してしまうOJT担当者の特徴
ここではOJT担当者に向いていない人の特徴を紹介します。
以下の特徴のある人はOJTを失敗に導いてしまう可能性が高いです。
- 対象者を認められない、相手を否定する言動が多い
- 自分のやり方に固執して、相手にも押し付ける
- 業務の手順や行動の理由を言語化しない、見て覚えてもらおうとする
- 人の育成の大切さを理解していない
- 業務の目的や意味を考えていない
残念ながら人材育成には向き不向きがあるため、特徴に当てはまる人は行動を改めてみましょう。
また、上司はこういった人材は仮にプレーヤーとして優秀であっても、指導者としては不適切であるということを覚えておくべきです。
関連記事:OJTトレーナーの研修内容に取り入れるべきこととは?教育のポイントや失敗の要因を解説
OJTで人材育成が成功する3つのポイント
OJTで人材育成を成功に導くポイントが3つあります。
以下3つのポイントをそれぞれ解説していきます。
- ①OJTの意図を関係者が理解している
- ②OJTの計画が共有された状態である
- ③継続的に長いスパンで行う
関連記事:人材育成におけるマネジメントとは?【成功のためのポイントも解説】
①OJTの意図を関係者が理解している
1つめのポイントは「意図的」であることです。
経営層・人事担当・管理職・指導担当・現場の人材育成に関わるすべての人が、OJTを行う目的・意図を理解していることが重要です。
人材育成の方向性や育成対象となる人の理想的な姿を、同じく関係者に明示されていることもポイントとなります。
また育成対象者と指導担当の双方が、OJTの目的・目標・習得する知識やスキルを理解している状態で行います。
②OJTの計画が共有された状態である
2つめのポイントは「計画的」です。
経営層・人事・現場が参画してOJT計画を作成し、計画・スケジュールに沿ってOJTを遂行していきます。
OJT育成対象者と指導担当の双方にも、OJT計画が共有された状態で実施します。
現場や関係者の状況で、うまくいかない場合は計画を見直すなど柔軟な対応も必要です。
関連記事:OJT教育の計画の立て方とは?
③継続的に長いスパンで行う
最後の3つめは「継続的」であることがポイントです。
ある一定期間、継続的にOJTを行い、終了後も育成や指導を続けていきます。
習熟に長いスパンが必要な技術やスキルについては、OJTを長期に設定していく必要があります。
OJTが終わった後も指導担当の先輩や上司に指導をお願いできるような文化や制度を整えることも合わせて行うべきでしょう。
まとめ
今回は人材育成におけるOJTの重要性や、OJT指導担当に向いていない人、OJT成功のポイントなどを解説してきました。
OJTは関係する人々の心構えや事前準備などをきちんと行えば、現場にとっても育成対象にとってもメリットの多い育成手法です。
職場でOJTに取り組む際は、成功に導けるよう、ぜひ今回の内容を参考に実践してみてください。