管理職になること、そして実際に管理職として適切に業務を遂行するには、さまざまな能力が求められます。
しかし、業務が思ったように進まず、自分は管理職として能力不足なのではないか?と悩んでいる人も多いようです。
管理職に求められる役割について確認し、能力不足とはどのような状態なのかを解説するとともに、求められるスキルと能力不足の解消法について紹介します。
目次
管理職に求められる役割
管理職の役割は、与えられた目標達成のために業務管理やマネジメント、部下の指導・育成を行うことです。
企業が成果を上げるためには、管理職が中心となって部署やチームをまとめ、戦略を立てたり、業務改善を行ったり、進捗管理をしたりなどチームマネジメントを実践する必要があります。
加えて、管理職は部下のモチベーションの維持や向上、業務効率化に向けて、適切な評価やコミュニケーション、フィードバックを行い、信頼関係を構築することも重要です。
これらの役割を果たしながら、管理職は企業に求められる成果を上げる責務を担っています。
関連記事:マネージャーの仕事はどんなもの?種類と求められる役割について解説
管理職として能力不足が疑われる状態とは
大きな責任を担っている管理職ですが、思うように業務が遂行できず自分は能力不足なのではないかと考える人もいるようです。
管理職が自分の能力不足を疑うのはどのような時なのかについて見ていきましょう。
- 目標が達成できない
- トラブルが多発している
目標が達成できない
管理職には多くの場合、売上や利益などチームに対する目標数値が与えられます。
その数字を達成できないことが続いた時に、自分の管理職としての能力不足を感じるようです。
トラブルが多発している
業務を遂行する上で、クライアントとのトラブルが起きたり、クレームが発生したりすることが多いと感じる場合にも、管理職の能力不足が疑われます。
場合によっては、チームメンバーの離職や休職の増加、モチベーションの低下といった、組織の生産性に関わる社内トラブルが多発することもあります。
管理職の能力不足が企業に与える影響
企業のなかで大きな責務を負う管理職が能力不足である場合、企業に与える影響は少なくありません。
管理職の能力不足がどのような弊害をもたらすのか、確認してください。
- パフォーマンス低下による業績不振
- トラブルの頻発
- 育成失敗による人材不足
パフォーマンス低下による業績不振
能力不足の管理職を持つと、チームメンバーはモチベーションを維持できなくなり、パフォーマンスが低下します。
やがてそれは、目標未達成の原因となるでしょう。
その状態が続くと、チームだけでなく企業全体のパフォーマンスも下がり業績低下につながることも考えられます。
一人の管理職の能力不足が、全社的に影響を及ぼすこともあり得るのです。
関連記事:パフォーマンスマネジメントとは?MBOの違いや導入手順を解説
トラブルの頻発
管理職が能力不足であると、リスク管理ができません。
そのため、起こり得るトラブルを事前に予測できず、トラブルが頻発します。
トラブルが起きてから解決するのでは遅く、もし問題解決能力が不足している場合には、起こったトラブルが解決されないまま蓄積されてしまいます。
トラブルは顧客や取引先間にだけ起こるものではありません。
社内においても、パワハラの問題が発生する、人間関係のトラブルが起きる、ミスが多い、離職や求職が増えるなどがあります。
育成失敗による人材不足
人材の育成は管理職の責務のひとつですが、能力不足の場合には部下がうまく育たないリスクがあります。
また、仮にいくら優秀な部下がチーム内にいても、その能力が適切に発揮されないでしょう。
部下のモチベーションが下がり、パフォーマンスは低下。
社内の雰囲気も悪くなって、最悪の場合は離職にもつながります。
能力不足の管理職は、結果として人材不足を招いてしまうのです。
関連記事:人材育成とは?【具体例あり】目的や階層別の考え方、効果を上げるポイントを解説!
管理職が能力不足に陥らないために必要なスキル
「能力不足」によるトラブルを回避し、管理職の役割をまっとうするには、さまざまなスキルが必要です。
どのようなスキルが管理職に求められるのか紹介します。
- コミュニケーション能力
- ロジカルシンキング能力
- 経営者の視点で業務を見る力
- 人材育成スキル
コミュニケーション能力
管理職の業務において、基本となるのは他者とのコミュニケーションです。
管理職は社内外問わず、多くの人達とコミュニケーションが必要な立場であり、コミュニケーション能力が欠けていると、円滑な業務の遂行に支障をきたす場合があります。
特に社内において、管理職は経営陣と一般社員との橋渡し役を担う場面が多いため、双方の意見を正しく理解し、相手に伝え、公平な立場で調整するスキルが必須です。
ロジカルシンキング能力
ロジカルシンキング能力とは、物事を筋道立てて論理的に考えられる能力のことを指します。
管理職は上司や部下、クライアントなどさまざまな相手に情報を伝えること・交渉することが多い立場です。
そのため誰に対しても伝わる話術が必要とされます。
ロジカルシンキングができないと、伝えたいポイントが適切に伝えられず、業務を遂行する上で支障が出てしまう場合も。
また、目標を達成するために現状の課題を分析して、最適な解決策を導き出すためにも、ロジカルシンキングは大切なスキルです。
ロジカルシンキング能力は、業務をスムーズに遂行するために必要なスキルと言えるでしょう。
経営者の視点で業務を見る力
管理職は売上や利益などの数字から、業務を見る経営者の視点が必要です。
管理職は与えられた環境やリソースの範囲内で、目標を達成する能力が求められます。
そのためには、数字と業務を結び付けて考える能力は欠かせません。
また、目先の業務や自分のチームだけでなく、会社全体を俯瞰的かつ長期的に捉え、マネジメントすることが求められます。
人材育成スキル
部下を戦力として育成するのは、管理職の大切な仕事のひとつです。
チーム全体の成果を上げるためには、部下の育成が欠かせない要素です。
また、人材育成は部下にスキルや知識を伝えるだけではなく、長期にわたってモチベーションの維持をサポートしたり、向上させたり、キャリアについて相談窓口になったりすることも重要です。
管理職には企業の業績に貢献しつつ、部下のキャリアアップをサポートできる能力が求められます。
管理職の能力不足を補う方法
自分が管理職として能力不足であると自覚しているなら、早急に解消する必要があるでしょう。
そのまま能力不足を放っておくと、場合によっては降格の可能性もあります。
管理職として不足している能力を補う方法を紹介します。
- 仕事に対するモチベーションを上げて部下に示す
- 不足する能力を貪欲に学ぶ
- チームメンバーを信頼して仕事を任せる
仕事に対するモチベーションを上げて部下に示す
管理職として仕事に対する高いモチベーションを維持することは、必要不可欠です。
チームとして成功を収めるには、部下の協力は欠かせません。
部下との信頼関係を構築するために最も必要なものは、能力そのものの高さではなく人望です。
仕事への熱意やモチベーション、責任感が感じられない上司に、部下は魅力を感じられず、当然、人望は得られないでしょう。
反対に、多少能力が欠けている上司であっても、仕事に対する熱意や責任感があれば、部下もついてきてくれることがほとんどです。
管理職として仕事に真摯に向き合っている姿を部下に示すことが、管理職としての第一歩です。
不足する能力を貪欲に学ぶ
管理職に求められるスキルは、学ぶことで身につけられるものがほとんどです。
自分に足りていないと感じるスキルがあれば、積極的に学んで習得しましょう。
書籍などで独学で学ぶほか、管理職研修を受講するのもおすすめです。
また、理想的な管理職の人から学ぶといったことも有効でしょう。
学ぶことに貪欲になって能力不足を解消しようとしている上司の姿を見れば、部下も自発的に新しい知識や技術を習得しようとするかもしれません。
チームメンバーを信頼して仕事を任せる
管理職のなかには、すべての仕事を一人でこなそうとする人もいます。
しかし本来管理職は、チーム内の仕事をメンバーに割り振りうまく人材を活用するのも仕事です。
それぞれチームメンバーの持つ個性や能力を活かして、適切なポジションに適切な人材を配置することで、チームのパフォーマンスを向上させることが求められます。
ただしチームメンバーに任せた仕事であっても、責任はすべて管理職にあることを忘れないでください。
万が一トラブルが起こってしまっても、責任転嫁したり丸投げしたりすることは管理職としてあってはならないことです。
チームメンバーを信頼して仕事を任せ、人材を活用してパフォーマンスを高めましょう。
まとめ:管理職の能力不足を解消して業績アップを目指そう
管理職の能力不足は、企業に対してマイナスの影響を与えてしまうものです。
もし自分が管理職として能力不足であると感じているなら、必要なスキルを習得したり、足りない能力を補填できる他のスキルを身につけたりする必要があるでしょう。
管理職として能力不足を早急に解消して、業績アップを目指しましょう。