建設業界は、日雇いや独立のイメージが強くある就業です。
そのため、建設会社の経営者は人材の確保に日々工夫しているでしょう。
今回は「識学」というフィルターを通し、建設業界で社員が長く働くために必要なものを考えていきます。
目次
建設業界における特徴的な課題
建設業界は日雇いや独立のイメージが強くあり、ジョブ型雇用を長くから使っている業種です。
そのため、職人たちは会社に所属しているという意識が希薄になりやすく、個人>現場>会社(雇用主)と考えるようになりがちです。
現場のリーダーは、メンバーにミスなく納期通りに仕事してもらうために、高い人心掌握レベルが求められます。
それができないリーダーは脱落するか人的な恐怖(威嚇、暴言、いじめなど)を使おうとしてしまうケースが少なくありません。
もしくはメンバーとの距離を縮めること(プライベートでの付き合いなど)で人心を掌握しようとしますが、逆に言いたいことが言いにくくなるというジレンマも聞こえてきます。
そのため、長く同じ場所で働く人と職場を転々とする人が二極化しているのです。
職場を転々とする人は、居心地のよさ、給与額、技術取得などを求め動いていきます。
長く在籍する人はもちろん貴重な存在ですが、成長に対して意欲が足りないといった課題を抱えるケースがあります。
三つの解決策
総括するとこの業界では、採用面、育成面で課題を抱える会社が多くあります。
今回は、上記の課題に対し、識学流の三つのアプローチをご紹介しましょう。
関連記事:社員と会社が成長する評価制度とKPI設定
成長のロードマップを整備する
どの雇用形態を選択するかは経営者の判断になりますが、正社員雇用を選択するのであれば成長のロードマップを作成することは経営者として行なうべき仕事の一丁目一番です。
なぜなら、労働者側が何をいつから学べるか分かることで、自身は今何ができて何ができないかが明確になります。
自身で何を学ばなければならないか発見できる精度が上がることで、日々の仕事も迷いの部分は少なくなり、仕事に対する集中力が上がるのです。
成長のロードマップ(育成カリキュラム)は、下記のように三段階で作ることをお勧めします。
- 新人
- 半人前
- 一人前
それぞれ取得する項目、期間、合格状態(テストや合格チェック項目の作成など)、学ぶために得られる学習権限(勉強会、チェック依頼など)を明確にしましょう。
上司部下のメリハリを付ける
「部下にちゃんと働いてもらいたい」とか「成長してもらいたい」と思い、趣味に付き合ったり飲み会を開催したりプライベートを共有することで人心を掌握しようとする人がいます。
共有する内容における経験が部下よりある場合、うまくいくこともありますが、識学ではこのマネジメントはお勧めしません。
なぜなら、仕事は趣味や遊びとは違い糧を稼ぐことが目的となっているからです。
趣味や遊びを上司と充実させたとしても、仕事が充実していなければ部下は成長せず、離職していくということになりかねません。
仕事を充実させていくにはメリハリを付けることが重要です。
では、メリハリとは何かというと、やるべきことを定期的に明確にすること。
手取り足取り指導するのでなければ、とりあえず一度やらせてみせるといったことでもありません。
以下の順番で仕事を回してみてください。
- 部下に成長のロードマップを教える
- 部下に成長のロードマップに沿って週次の目標を設定する
- 週次ミーティングを定期で設定
- 週次ミーティングで部下に目標に対して報告させる→目標に対しての結果→結果ができていない場合のみ、いつまでにどうやって完了させるか行動変化の報告→次週の目標
- 報告を全部聞いた後、上司から確認修正承認→行動変化が不十分な場合はルールとしてこうすると指示を出す→教える必要があると判断した場合、この時間に教えるのでなく別時間で設定する
- ミーティングの最後は必ず「今週行う仕事に対して相談したいことはないか」を問うこと
- 上記の問いに部下が「ありません」と答えるまで聞き、ミーティングを終了させる
上記を行うことで、「任せること」「決めること」「教えること」が整理され、部下が自身で成長度合いを管理できますし、上司も部下の成長管理が可能になります。
評価制度の作成
最後に、先述の成長のロードマップに沿った給与表を作成し、社員に評価制度として提示しておきましょう。
会社とは糧を稼ぐコミュニティですから、会社内で行う行動は糧につながっていることが必要です。
それを認識させるのが成長のロードマップに沿った給与表=評価制度となります。
作成のポイントは、「覚えること」「ルールとして行なうこと」を新人/半人前/一人前、それとメンバー/リーダーで分けて決めておくことです。
加えて、覚えること、ルールとして行なうことが新人やメンバーから立場が上がるにしたがって少なくなっていくように見せておくことで一人前のイメージゴールが持てやすくなります。
この評価制度の意味は、社員が自分の得たい給与がいつまでに何をすれば得られるのかが明確になることです。
ここが不明確になっていると、社員は未来に対しての不安が大きくなり、他の職場へ転職してしまいやすくなります。
評価制度は必ず作り、会社の規則として社員に教え、定期ミーティングで管理することで安定的な会社経営につながります。
関連記事:評価制度を徹底解説!【目的・種類・導入手順を人事向けに紹介】
採用へ有効活用
上記の三つを作り運用していければ、優秀な人材を確保する手助けにもなります。
会社側が採用面談時に評価制度や定期面談について説明することで、求職者は入社した後のイメージを抱きやすくなるからです。
また、給与面で折り合いが難しいときにも、「うちではここまで覚えてくれたら希望の給与は払えるよ」といった会話のテクニックにも活用できます。
今回説明した解決をただ行うだけではうまくいかないことも出てくるでしょう。
しかし、ポイントは解決策の二つ目で示した定期ミーティングです。
ここの場で出た結果によって修正改善を繰り返していくことによって会社は整っていきます。
最初は拙い進行や設定のミスなど出るかもしれませんが、まず始めてみて、時間の経過とともに改善をしながらよい職場にしていきましょう。