チームをマネジメントするための、具体的な方法を探しているリーダー職の方は多いのではないでしょうか。
経営学者のドラッカーが唱えたマネジメントは、企業や組織が発展するために必要不可欠な要素の一つです。
しかし、具体性に欠けるところもあり、明確なアクションにつなげにくいと感じる部分もあるでしょう。
本記事では、すぐに活用できるマネジメントの具体的な方法を解説します。
また、主なマネジメントの種類やスキル向上の方法についても詳しくお伝えします。
仕事の向き合い方を変えるきっかけになるため、最後までご覧ください。
目次
すぐ使えるマネジメントの具体的な方法
マネジメントには以下4つの方法があります。
チームの結束力を高めるためにも、目を通してください。
- 考えていることをチームメンバーと共有する
- 各自のスケジュールを把握する
- 自分ですることとメンバーに任せることを決める
- 積極的に評価を与える(フィードバックする)
考えていることをチームメンバーと共有する
チームメンバーに指示を出す際は、業務内容だけではなく自分の考えも伝えましょう。
指示の意図や問題意識、見解を共有して方向性を決めておくことで、チーム全体が同じ方向を向いて業務に取り組めるようになります。
ミーティングや業務を割り振る際などに、口頭や書面で自分の見解を積極的に伝えましょう。
さらに、指示の意図を明確に伝えると業務をスムーズに進められ、チームメンバーとの連携も取りやすくなります。
単に上からの指示として渡すのではなく、メンバーと同じ目線で伝えられれば、一人ひとりの主体性が向上したり、チームとしての一体感が生まれたりと副次的効果が期待できます。
各自のスケジュールを把握する
チームメンバーの適性や業務内容によって進捗は変動するためにも、スケジュールの把握は必要不可欠です。
決められた期間の中で最大限の成果を出すためには、細かい進捗状況の把握と軌道修正が必須といえます。
そのためには、スケジュールを共有できるツールの活用やチーム内で進捗を把握し合える環境作りが重要です。
たとえば、オンライン上で使うガントチャートアプリや、エクセルで枠だけを作成し、メンバーに書き込み・共有してもらう方法があります。
スケジュールの把握は成果を出すための一手段のため、目的にならないように作り込んだものではなく、気軽に利用できる方法が管理する面でも楽です。
自分ですることとメンバーに任せることを決める
チーム全体で業務を進めていくためには、適切な役割分担が重要です。
自分の比重を重くしたほうが早いタスクがあるかもしれません。
しかし、一人で進めてしまっては、身体的にも精神的にもいずれ限界がきて、仕事を進めること自体が苦しくなってしまいます。
また、一人でこなせる業務量は限りがあるため、仕事を割り振ることもチームマネジメントでは重要なポイントです。
割り振ったあとは、チームメンバーを信頼して進捗管理につとめ、実務は任せるようにしましょう。
なお、日ごろからチームメンバーの得意分野とスケジュールを把握しておくと、スムーズに分担ができるため、意識的な情報収集が大切です。
積極的に評価を与える(フィードバックする)
チームメンバーの仕事ぶりや取り組み方を確認したら、できるだけ早くフィードバックしましょう。
自らの強みや改善点が客観的に分かれば、メンバー個人の課題が明確になり、解決に向けたアクションが期待できます。
また、タイミングの早さは、メンバーに仕事を見ていることを伝える意味でも効果的です。
なお、改善点を伝える際には、意欲をそがないようにチームメンバーの性格や特性に合わせた伝え方の工夫が必要です。
画一的な対応ではなく、一人ひとりに向き合ったフィードバックを心がけ、自分の口から伝えるようにしましょう。
関連記事:パフォーマンスを向上させる人事評価項目とは?設定のコツまで紹介
マネジメントとは?定義を確認
マネジメントとは、ヒト・モノ(資材や製品)・カネ(運用資金)の経営資源を有効活用し、組織の目標達成を目指すことです。
経営者や管理者に求められるスキルの一つで、マネジメントは組織が発展するためには欠かせません。
リーダーシップとよく似ていますが、実際の内容は大きく異なります。
以下の表を参考に、マネジメントとリーダーシップの違いを確認してください。
マネジメント |
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リーダーシップ |
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主なマネジメントの種類
マネジメントは、以下のとおり大きく4つに分けられます。
成果を上げるために、違いと用途を確認してください。
- 目標管理マネジメント
- 進捗管理マネジメント
- チームマネジメント
- メンタルヘルスマネジメント
関連記事:マネジメントの知識とは?管理職なら知っておきたいマネジメントの知識総まとめ
目標管理マネジメント
目標管理マネジメントとは、チーム全体の明確な目標を掲げ、達成に向けて経営資源(ヒト・モノ・カネ)を管理する方法です。
目標をチーム全体で共有し、達成のための課題を洗い出して分析した内容をもとに、解決策を導き出します。
また、チームメンバーそれぞれの目標も把握し、全体の目標とすり合わせることも重要です。
そのためにはメンバー一人ひとりの能力や適性を見極め、各自に見合った目標かどうか、全体目標とズレていないかを判断する必要があります。
関連記事:マネジメントにおける目標設定とは?部下の正しい管理方法を解説!
進捗管理マネジメント
進捗管理マネジメントとは、チームメンバーの進捗を常に把握し、必要に応じてサポートする方法です。
進捗が順調であればより成果を出せるよう助言し、遅れが生じていればリスケジュールや遅れの原因を分析したうえでサポートする必要があります。
ツールの活用や日ごろからコミュニケーションを密に取っておくと、スムーズに進捗管理ができるでしょう。
また、遅れの原因を分析してスケジュールは適切であったかを振り返るとPDCAサイクルが周り、次の業務がよりスムーズに取り組めるようになります。
チームマネジメント
チームマネジメントとは、チーム全体が主体性をもって動けるよう調整し、チームメンバーと役割を分担して目標達成を目指すことを指します。
重要なのは、メンバーの能力や経験、得意・不得意分野を把握しておき、それらを踏まえて仕事を割り振る役割分担です。
一人ひとりが最大限力を発揮できるよう調整すれば、全体としての成果も出やすいでしょう。
また、目的や意図を共有しておくと、自ら考えて動けるようになり協働できる雰囲気作りにもつながります。
関連記事:生産性と結果につながる「チームマネジメント」とは?実践方法も解説
メンタルヘルスマネジメント
メンタルヘルスマネジメントとは、チームメンバーの心の健康を保つことです。
仕事へのストレスや不安を抱えている方は多く、社会問題になっています。
厚生労働省の発表では、メンタルヘルスの不調により、休職や退職になった方の割合は約10%です。
メンバーが心身共に健康でストレスなく働ければ、能力を最大限引き出せるため生産性も上がるでしょう。
そのためには、日頃から密にコミュニケーションを取り、相談しやすい雰囲気を作ることが重要です。
気兼ねなく相談できる風通しの良い職場は、メンバーのモチベーションを保てるだけでなく、ストレスが溜まりにくい環境ともいえるため、離職率の低減にもつながります。
参考:令和3年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況|厚生労働省
関連記事:職場におけるメンタルヘルスケアの基本
マネジメント能力が高い人の特徴
マネジメント能力が高い人は、以下2つの特徴を持っている傾向にあります。
自分に当てはまる部分があるか確認してみましょう。
- コミュニケーションスキルが高い
- 現状分析力・問題解決力が高い
コミュニケーションスキルが高い
マネジメントに限らず、ビジネスにおいてコミュニケーションスキルは欠かせません。
コミュニケーションスキルがあれば、スムーズな意思疎通ができるため、自分の考えを正確に伝えられ、メンバーの考えも正確に理解できます。
普段からチームメンバーとこまめにコミュニケーションを取っていれば、信頼関係が生まれて働きやすい雰囲気になるため、メンバーの能力をより引き出しやすくなるでしょう。
また、日頃からメンバーと何気ない会話を重ねたり、イライラしているときでも不機嫌な感情を表に出したりしないことも重要です。
現状分析力・問題解決力が高い
目標達成のためには、現状分析力と問題解決能力が必要です。
なぜなら、問題に直面したときや、目標と現状にギャップがあるときなど、課題を分析して解決策を導き出すことが管理者には求められるためです。
たとえば、業務の進捗状況やメンバーの特性を把握する際など、あらゆる場面で現状分析力・問題解決力は活きてきます。
また、論理的・客観的に現状を分析(ロジカルシンキング)できれば、チームメンバーに具体的かつ的確な指示を与えられ、課題の早期解決にもつながるでしょう。
マネジメントスキル向上のための5つの方法
マネジメントスキルを向上させるためには、以下5つの方法があります。
意識的に取り組むことでスムーズに身につけられるため、ぜひ参考にしてください。
- 経営者視点を持つ
- 人の話を聞く
- 意思決定を早くする習慣をつける
- さまざまな立場に立って考える習慣をつける
- 自分なりのストレス解消法を持っておく
関連記事:マネジメントスキルとは?能力を高めるためのポイントを徹底解説
経営者視点を持つ
多角的な視野を持つために、上の立場である経営者視点でものごとを捉えてみましょう。
自分のポジションより上の視点を持つことで全体像を見渡せるため、それぞれの立場の人が求めていることや目的が分かり、客観的にものごとを捉えられるようになります。
取り組んでいる業務の理解が深まれば、より広い視野と柔軟な発想で目標にフォーカスできるため、業務の優先順位もつけやすくなり、生産性の向上も期待できるでしょう。
経営者視点を持つには、会社の仕組みや経営を学ぶ、本・動画での勉強が効果的です。
人の話を聞く
人間関係や業務を円滑に進めるためにはコミュニケーション能力、とりわけ人の話を聞く力が必要です。
相手の話すスピードや声の大きさ、トーンを合わせることをペーシングといい、相手に一体感や安心感を持たせる効果があるため、積極的に取り入れましょう。
メンバーの話をきちんと聞くことで信頼関係が生まれ、報告・連絡・相談がしやすい雰囲気になります。
「相手の話を最後まで聞く」「話している相手に体を向ける」ことを実践してみましょう。
意思決定を早くする習慣をつける
管理者や上の立場の人間が優柔不断では、業務が滞りメンバーも不安を抱きます。
業務の方向性の検討や、クレームへの対応など大きな決断の際には、つい時間をかけて考えたくなってしまうかもしれません。
しかし、マネジメントを担当するリーダー職が素早い判断をできれば、メンバーからの信頼度は高まり、建設的な意見を集められるようになるため、結果として業務がスムーズに進むでしょう。
意思決定を早くするには、日ごろから素早く判断する習慣をつけてみてください。
たとえば、昼食のメニューや今日着る服を選ぶ際など、仕事以外のちょっとした場面でもトレーニングは可能です。
さまざまな立場に立って考える習慣をつける
自分の立場だけでなく、ほかのポジションや立場に立って考える習慣をつけましょう。
具体的には「ディズニーストラテジー」の3つの視点から考えるワークを行なうのも一つの手です。
ドリーマー(夢想家) | 広い視野を持ち、新しいものを生み出す |
リアリスト(現実家) | 目標達成のため現実的に戦略を考える |
クリティック(批判家) | 問題点や課題に目を向ける |
上記3つの視点を意識すると、ものごとを多角的に考えられる癖が身につきます。
自分なりのストレス解消法を持っておく
ビジネスにおいて自分自身の体調管理は必要不可欠です。
身体の健康はもちろん、心の健康にも気を配る必要があります。
とりわけ管理職は、経営者と部下との板挟みになりやすく、ストレスがたまりやすい立場ともいえるでしょう。
しかし、業務を遂行するために体調を崩したりイライラしたりしてはマネジメント力を発揮できず、元も子もなくなってしまいます。
仕事を忘れてストレス解消になる趣味を持って、日ごろからストレスをため込まないようにしましょう。
まとめ
ヒト・モノ・カネの経営資源を有効活用して成果を上げるマネジメントは、現代のビジネスにおいて企業や組織が発展するために必要不可欠な要素の一つです。
管理職には目標や進捗の管理、チームを統率するマネジメント力が求められます。
すぐ実践できるマネジメント方法としては「思考・意図の共有」「積極的なフィードバック」などが挙げられます。
さらなるマネジメント力の向上のために、まずは「経営者視点を持つ」「人の話を聞く」ところから始めてみてはいかがでしょうか。