ハラスメントにはさまざまな種類があり、中には妊娠や出産、育児に対してのハラスメントもあります。
本記事では、マタニティハラスメント(マタハラ)の定義や種類について紹介し、状況別にマタハラの対象となる行為を詳しく解説します。
企業でマタハラが起こると生じる問題・悪影響も紹介した上で、マタハラを防止するための企業におけるマタハラ対策も紹介するため、企業の管理や体制整備を検討している方はぜひご覧ください。
目次
マタニティハラスメント(マタハラ)とは?
マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠、出産、育児に関する制度の利用を理由に解雇や雇止め、嫌がらせ(ハラスメント)を行うことを指します。
マタハラはセクハラやパワハラと同様に、職場の女性を悩ませる3大ハラスメントの一つです。厚生労働省ではマタハラに加えて、ケアハラスメント、パタニティハラスメントを妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントとして扱っています。
厚生労働省の「令和元年度都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での法施行状況」を参照すると婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いと、妊娠・出産等に関するハラスメントについての相談件数は次のとおりです。(※)
年度 | 婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い | 妊娠・出産等に関するハラスメント |
2017年度 | 4,434件 | 2,506件 |
2018年度 | 4,507件 | 2,108件 |
2019年度 | 4,769件 | 2,131件 |
このようにそれぞれの相談件数は、平成29年度からほぼ横ばいの状態でマタハラへの対策に企業は頭を悩ませています。
※参考:厚生労働省. 「令和元年度 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での法施行状況」
パタニティハラスメント(パタハラ)との違いは?
マタハラと同じく妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントとして扱われるパタニティハラスメント(パタハラ)とは、育児に参加している男性に対する嫌がらせを指します。
パパ・ママ育休プラスのように、男性の育児休業取得を推進する仕組みができたことで男性も育児休業を取得しやすくなりました。一方で男性が育児や育児に関わる制度を利用することへの嫌がらせ(パタハラ)が目立つようになりました。
パタハラについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
『パタニティハラスメント(パタハラ)とは? 具体例や企業が行うべき防止策などについて解説』
マタハラの定義
マタハラの定義は一般的に次のとおりです。
- 女性従業員が妊娠・出産したことで嫌がらせや不利益な扱いを受ける
- 女性従業員が産前産後休業や育児休業といった制度を利用もしくは希望したことで、嫌がらせや不利益な扱いを受ける
厚生労働省では、より具体的な事由の例と不利益な取扱いの例を挙げています。
女性従業員の状況 | 事由 | 不利益取扱いの例 |
妊娠中・産後 | ・妊娠や出産 ・母性健康管理措置 ・産前・産後休業 ・簡単な業務への転換つわり、切迫流産などで仕事ができない、もしくは労働能率が低下した ・育児時間 ・時間外労働、休日労働、深夜業ができない |
・解雇 ・雇止め ・契約更新回数の引き下げ ・退職や正社員を非正規社員とするような契約内容の変更を強要 ・降格 ・減給 ・賞与などの不利益な算定 ・不利益な配置変更 ・不利益な自宅待機命令 ・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う ・仕事をさせない、雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする |
子育て中 | ・育児休業 ・短時間勤務 ・子の看護休暇 ・時間外労働、深夜業ができない |
厚生労働省が例示しているとおり、これらに当たる行為はマタハラと定義されると考えられます。
マタハラの種類
マタハラの種類は下記のように分けられます。詳しく解説するので見ていきましょう。
- 制度を利用したことへの嫌がらせ
- 業務の状態への嫌がらせ
制度などを利用したことへの嫌がらせ型マタハラ
出産や育児に関する制度や措置は次のようにいくつもあります。
- 産前産後休業
- 育児休業
- 出生時育児休業
- 所定外労働の制限
- 時間外労働の制限
就業中の女性が上記のような制度や措置を利用することに対して、嫌がらせをされる、不快に思う言動を浴びせられることはマタハラの代表例です。具体的には次のようなケースが挙げられます。
- 制度を利用しようと上司に相談したら、役職が降格するかのようにほのめかされた
- 制度を申請したら取り下げるように伝えられた
- 制度を利用したら嫌がらせを受けた
厚生労働省の発表によれば、妊娠などを理由に不当な扱いを受けた人のうち、約半数が権利を主張しづらくなるような発言を受けたと報告されているのが現状です。(※)
なお業務分担や安全配慮の面から、客観的に業務上に必要と思われる発言はハラスメントには当たらないと考えられています。例えば業務の体制を整えるために、いつまで育児休業制度を取得するのかを尋ねるといったことは、ハラスメントには当たりません。
※参考:厚生労働省. 「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関する調査の概要」
業務の状態への嫌がらせ型マタハラ
マタハラは制度を利用することへの嫌がらせだけではありません。業務の状態への嫌がらせ型マタハラもあります。
例えば、妊娠や出産、つわりなどの体調不良によって労働能率が低下したこと、業務が制限されたことへの嫌がらせも起こります。具体的には次のようなケースです。
- 妊娠によって残業を制限しているため嫌がらせを受けた
- つわりや産後の体調不良を訴えたら退職をほのめかされた
- 妊娠・出産についてからかわれた
厚生労働省によれば、妊娠などを理由とする不当な取扱いの原因として、妊娠・出産自体に関してやつわりや切迫流産などで仕事ができないといった労働能率の低下が上げられています。
制度利用への嫌がらせと同じく、客観的に考えて業務上必要であると判断される発言は、ハラスメントには該当しません。例えば、つわりで明らかに体調が悪そうな従業員に対して、通院を促すような発言はハラスメントには当てはまりません。
【状況別】マタハラの対象になる行為
マタハラの対象になる行為を見ていきましょう。マタハラに限らず、ハラスメントは嫌がらせを行った本人に自覚がなかった場合でも、相手が不快に思えば成立する可能性があります。
そのため、何気なく発した言葉であってもハラスメントになってしまうかもしれません。このような事態を避けるために、マタハラの対象になる行為を状況別に詳しく理解しておきましょう。
- 妊娠の報告タイミング
- 育休・産休中
- 復職後
妊娠の報告タイミング
妊娠の報告を受けたタイミングでの一言が、マタハラに該当する可能性があります。例えば妊娠の報告を受けた際に、自分たちに仕事のしわ寄せが来るといったような、ネガティブな反応をするとマタハラを疑われてしまうかもしれません。
また、妊娠の報告を受けて急に仕事を依頼しなくなる、妊娠に配慮せずにいることもマタハラに当てはまります。
妊娠の報告を受けた場合は「おめでとう」と伝えた上で、出産予定日と産休予定時期、つわりの状態、出産前後にどのように働きたいかを確認しましょう。
育休・産休中
育休や産休の取得を申請しようとすると、拒否されたり暗に退職を促さしたりするのもマタハラに該当します。それだけでなく、育休・産休中におけるマタハラの事例も存在します。
例えば育休・産休中に、組織改正を理由に退職を促される、復職の相談をしたら「席や仕事がない」などと遠回しに退職を促されるといったケースもマタハラの一つです。
育休や産休中は、書類の手続きが必要になるケースもあるため休業中の従業員と連絡を取れるようにしておくことが重要です。また、休業中の従業員が復職時にすぐ馴染めるよう、社内報の送付やe-ラーニングの活用などを検討してみましょう。
復職後
産休や育休を経て復職しても、保育園への送り迎えなどの理由から従業員が時短勤務を希望するケースがあります。
育児・介護休業法では3歳未満の子どもを養育している従業員に対しては、短時間勤務制度を認めています。(※)それにもかかわらず短時間勤務を認めないのはマタハラです。
また、妊娠、出産、育児を理由に復職後に正社員から契約社員へと労働契約の変更を強要することもマタハラに当たります。
マミートラックになる可能性もある
マミートラックとは女性が産休・育休から復帰した際、自分の意思とは無関係に職務内容や勤務時間が変わり、思い描いていたキャリアから離れていってしまう事象を指します。
もともとマミートラックは育児と仕事を両立することを目指した施策です。しかし、働く女性の増加やワークライフバランス、働き方についての価値観が多様化した現代では、マミートラックはネガティブな意味に捉えられています。
例えば、子育てと仕事との両立を希望する従業員向けに時短勤務制度を用意している企業があるとします。時短勤務制度を活用することで短時間の勤務が可能になりますが、事実上、時短勤務以外での復職が難しい状況ともいえるでしょう。
このようなマミートラックは、復職後に一線で働こうとする従業員のモチベーションを下げてしまいかねません。また、女性幹部がなかなか成長しないというデメリットもあります。
マミートラックがもたらす問題に対処するため、従業員と休業前や復職前にしっかりと話し合い、どのような働き方を希望するかを確認しましょう。また、テレワークやフレックスタイムといった時短勤務以外にも働きやすい環境を用意しておくことも大切です。
マタハラが生じる要因
マタハラが生じてしまう要因として、主に以下が考えられます。
- 長時間労働を良しとする価値観が根付いている
- 妊娠・出産・育児への理解が足りない
- 企業の制度に不備がある
長時間労働を良しとする価値観が根付いている
長時間労働の是正などを目的とした働き方改革関連法が、2019年4月1日より順次施行されました。その甲斐もあってか、パートタイム労働者を含む年間総実労働時間の推移は2019年から減少傾向にあります。(※1)
しかし、厚生労働省の労働局が実施した定期監督等実施状況によれば、労働時間違反、時間外労働の上限規制、時間外労働に対する割増賃金の違反は一定数存在しています。(※2)
年度 | 定期監督等実施事業場数 | 違反 事業場数 | 法違反状況 | 法違反状況 | 法違反状況 |
労働時間 | 上限規制 | 割増賃金 | 労働時間 | 上限規制 | 割増賃金 |
2019年 | 134,981件 | 95,764件 | 30,285件 | 92件 | 23,238件 |
2020年 | 116,317件 | 80,335件 | 19,493件 | 592件 | 16,701件 |
2021年 | 122,054件 | 83,212件 | 18,007件 | 1,664件 | 16,521件 |
このような状況から、いまだに慣習として長時間労働が根付いた企業が一定数あるといえるでしょう。
妊娠、出産、育児をしている女性は、いくつもの理由から長時間労働は難しく、働く時間を制限する必要があります。そのため、長時間労働を良しとする価値観が根付いている企業では、風当たりが強くなりマタハラに発展してしまいます。
(※)参考1:厚生労働省. 「労働時間制度の現状等について」 P16
(※2)参考:厚生労働省. 「労働時間制度の現状等について」 P20
妊娠・出産・育児への理解が足りない
従業員が妊娠、出産、育児への理解が足りないこともマタハラの原因です。妊娠、出産、育児で女性の心身にかかる負担は、大きなものです。
男性従業員をはじめ、妊娠、出産、育児への理解が浅いことで、悪気なくマタハラと捉えるような一言を発してしまう可能性があります。
また、女性従業員であっても妊娠、出産、育児への理解が足りない場合は、マタハラと思われるような発言をしてしまうかもしれません。
企業の制度に不備がある
企業の制度の不備が原因でマタハラが起こってしまっている可能性もあります。これまでの日本だと、男性は仕事をして女性は家庭を守るという価値観が根付いていました。
そのため、企業の人事制度は女性の妊娠や出産、復職をしっかり想定できていないものまだまだあるでしょう。
結果として女性が妊娠した際に場当たり的な対応になってしまい、任せる仕事量を極端に減らしたり不足した人員の補充が遅れてしまったりしかねません。
また、産休や育休制度を設けているにもかかわらず、過去に利用した人がいないという理由で形骸化してしまっているケースもあります。
マタハラによって生まれる問題・悪影響
マタハラが職場で起きていると、さまざまな問題や悪影響が生まれてしまいます。中でも次のような問題、悪影響は生産性の低下や組織力の低下につながりかねません。
- 被害者が退職してしまう
- 職場の雰囲気が悪化する
- 裁判に発展する
被害者が退職してしまう
妊娠、出産、育児をしている従業員に対してマタハラを行うことで、被害者を退職に追い込んでしまうかもしれません。従業員が退職してしまったら、改めて従業員を補充する必要があります。
厚生労働省の発表によれば、1件当たりの平均採用コストは約51万円です。(※)従業員が退職してしまうと新たな採用のために、約51万円ものコストが発生するかもしれません。また新たに採用した従業員の教育コスト、人員も考慮する必要があるでしょう。
このようにマタハラで従業員が離職してしまうと、採用活動にコストや時間、人員が必要となります。
※参考:厚生労働省. 「職業紹介事業に関するアンケート調査結果の概要」
職場の雰囲気が悪化する
マタハラが発生している職場は雰囲気が悪化してしまいます。マタハラに限らず、ハラスメントが横行している職場では、従業員のモチベーションが低下することによる作業効率の悪化、ミスの増加による生産性の低下などにつながりかねません。
また、マタハラが当たり前となってしまっている職場では、従業員のモラルは低下してしまう恐れがあります。マタハラによって職場全体のモラルが低下してしまうと、別のハラスメントが発生してしまうかもしれません。
裁判に発展する
職場でマタハラが発生した場合、裁判に発展する可能性があります。
例えば、マタハラによって一方的に従業員を解雇した場合は地位確認請求、被害者を退職に追いやった場合は未払いの給与請求、精神的苦痛を与えたことによる損害賠償を請求されるかもしれません。
また、妊娠や出産などを理由とした雇い止めや降格といった不利益な扱いは、裁判に発展することもあります。
マタハラで訴えられるのは、加害者だけではありません。加害者を雇用している会社も責任を問われるのが現状です。例えば、加害者のマタハラによって被害者が精神的な苦痛を受けた場合、会社は加害者の使用者として使用者責任を問われます。
もし、加害者によるマタハラが会社の意向であることが分かった場合、不法行為責任が問われてしまいます。
また、会社は被害者に安全な職場環境を提供しなかったとして、債務不履行責任を問われる可能性もあります。会社は従業員に対して安全で働きやすい環境を提供する職場環境配慮義務を負っています。
マタハラは会社が配慮義務を果たさなかったとみなされる可能性があるのです。
企業におけるマタハラ防止策
企業でマタハラを発生させないためには、次のような防止策を講じましょう。
- マタハラに関する企業の方針の明確化
- マタハラに関する企業の方針の周知
- マタハラに関する相談に対応するための体制の整備
- マタハラに関する相談に対して適切な対応をとる
- マタハラが生じる要因を解消するための措置をとる
マタハラに関する企業の方針の明確化
マタハラについて、企業としてどのように対応するかの方針を明確化します。
出産、妊娠、育児をしている女性従業員に対してどのようなケアをするかの方針を検討し、それにもかかわらずマタハラが起きてしまった場合、どのような処分を下すかなどを明確にしましょう。
マタハラに関する企業の方針の周知
マタハラについて企業としての方針が決まったら、従業員に周知していきます。マタハラが発生した際にどのような処分が下るか、就業規則はもちろん社内報やホームページに記載して従業員全員が確認できるような状態にしておきましょう。
中には、どのような発言がマタハラに該当するかを把握していない従業員がいるかもしれません。そのためどのような発言、行動がマタハラに該当するかを管理者を含む全従業員を対象とした研修やミーティングなどで伝えることも大切です。
マタハラに関する相談に対応するための体制の整備
マタハラが発生した際、適切に対応するための体制を整備しておきます。まずはマタハラに関する相談窓口を設置しましょう。また、相談を受けた従業員が正しく対応できるための研修実施、実態を把握するためのアンケートの実施も大切です。
相談窓口の設置
マタハラの被害者が相談できる相談窓口を設置します。マタハラの相談窓口は社内に設置するだけではありません。ハラスメント対策に特化した弁護士、社会保険労務士と契約して、外部にも相談できる窓口を設置する方法もあります。
日本労働組合総連合会が行った調査では、マタハラの相談窓口が設置されているのは13.2%に留まっています。一方、今後も窓口を設置する予定がないという回答は45.8%もありました。こうした会社の姿勢は従業員へ安心感を与えることにもつながるでしょう。
また窓口に相談が寄せられた際、迅速に対応できるようにマニュアルの作成や関係者が連携できる体制を整えます。
マタハラの相談窓口を設置する際は、他のハラスメントとの相談窓口に集約することがポイントです。マタハラは他のハラスメントと複合的に発生する可能性があります。
そのため、ハラスメントの相談窓口を一カ所にまとめることで、被害者も相談しやすくなります。実際、日本労働組合総連合会の調査によればハラスメント対策として最多回答だったのが、各種ハラスメントの一元的な相談体制の整備でした。(※)
※参考:日本労働組合総連合会. 「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」
全社的な研修を実施する
窓口で相談を受ける従業員はもちろん、全従業員を対象にしたマタハラの研修を実施しましょう。
日本労働組合総連合会の調査によれば、職場でハラスメントを受けたときに相談した相手として多いのが、職場の上司・先輩や同僚です。
そのため、従業員にもマタハラの相談を受けた際の正しい行動について研修を行う必要があります。
この研修を通して、マタハラがいかに該当社員を苦しめるのかを理解できるので、マタハラ自体の防止にもつながるでしょう。
マタハラに関する社内アンケートを実施する
マタハラの相談窓口や全社を挙げた研修の実施と同時に、マタハラに関する社内アンケートを実施しましょう。
アンケートの実施によってマタハラの実態を把握することが可能です。社内アンケートではマタハラの有無だけでなく、従業員がどのような意識を持っているかの把握ができます。
またアンケートの実施によって、マタハラについて職場で話題にできる環境も整えられます。社内アンケートは書面で行うだけでなく、無料のアプリケーションを活用することも可能です。
社内アンケートは一度実施するだけではなく、定期的に何度も実施しましょう。マタハラ防止策を講じた後にアンケートを実施することで、防止策がどれだけ効果があったかを確認できます。
マタハラに関する相談に対して適切な対応をとる
マタハラの相談を受けた際は、就業規則やマニュアルにのっとって適切な対応をとりましょう。まずはスピーディに事実確認を行う必要があります。
関係者や目撃者のプライバシーに配慮した場所で事実のヒアリングを行ってください例えば、不当な処分や報復が気になって事実を語れないような環境では、正しい譲歩を引き出せず、マタハラの防止や適切な対応にはつながりません。
マタハラの事実関係が把握できたら、被害者のケアを施した上で、加害者に処分を下します。もし社内で対応できない場合は第三者機関に委ねることも可能です。
なおマタハラの事実が確認出来たら、社内報やホームページなどで発表します。
マタハラが生じる要因を解消するための措置をとる
マタハラが再び起きないためには、発生の原因や背景を解消することが必要です。例えば妊娠している従業員は、つわりなどの体調不良によって通常通り業務をこなすのが難しいこともあります。
この際、他の従業員に業務が集中して不満が発生しないように業務分担を見直しましょう。
また、妊娠中の従業員に対しても体調に応じて業務をこなす、必要があればさまざまな制度を利用するといったことを知らせます。
さらに、従業員が妊娠、出産、育児で休業することになっても欠員をカバーできるようにするため、従業員一人ひとりがさまざまな業務のスキルを磨いておくことも大切です。
マタハラは相談窓口と従業員への研修が大切
マタハラは妊娠、出産、育児によって通常の業務ができなくなった、もしくは妊娠、出産、育児に関する制度を利用することを理由に解雇や雇止め、嫌がらせを行うことを指します。
マタハラが生じてしまう理由は、長時間労働を良しとする企業文化が根付いている、妊娠、出産、育児への理解が足りないなどさまざまです。
マタハラは被害者を離職に追いやってしまうだけでなく、職場の雰囲気が悪くなり生産性の低下につながりかねません。そのため、マタハラに関する相談窓口を設置して、従業員に対して適切な研修を講じるようにしましょう。