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『HARD THINGS』から学ぶ「答えのない困難への立ち向かい方」

『HARD THINGS』から学ぶ

2015年4月に日本語版が発行された「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」(ベン・ホロウィッツ著 滑川海彦、高橋信夫翻訳)。2017年までに日本で10万部の売り上げを記録し、マーク・ザッカーバーグやラリー・ペイジ、永守重信といった錚々たる著名人たちから絶賛されました。

本書は組織を運営し、常に大きな決断を迫られたベンチャーキャピタリストのベン・ホロウィッツ氏(以下、ベン)が、彼の失敗や後悔を踏まえながら壮絶な人生の中で得た教訓を綴った作品です。

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「こうすればうまくいく」が通じない問題がある?

本書では、ビジネスにはノウハウではまかりとおらないこともあると教えてくれます。例えば、「こうすればうまくいく」と書かれたリーダーシップに関する本やマネジメント本を読めば、有益な情報や知識を得ることができます。しかし、「こうすればうまくいく」というノウハウは「対処法が存在する問題」には通用するものの、複雑な問題には通用せず、その都度解決方法を考えて行く必要があるのです。

なぜなら、ベンに降りかかった問題はどれも一般的なノウハウで解決できるレベルをゆうに超えたものだったからです。ベンは、経営が上向きではないベンチャー企業での勤務、ベンチャーキャピタルのアドバイスを聞いて実行後の失敗、従業員の一時解雇、資金の枯渇を始め、ベンチャー企業の経営においてさまざまな問題に直面します。ベンはこの問題を切り抜けて今にいたりますが、ノウハウだけではどうにもできないことがあると示しています。

CEOが持つべきものはゆるぎない精神力

本書ではCEOとして大切なことが書かれていますが、なかでも私が注目したいのは勇気と知性、そして責任です。会社の命運を決断する立場のCEOはタフな精神力が求められます。CEOが強い精神を持てずに決断を先送りにしてしまえば、会社がたちまちゆらいでしまうかもしれません。ベンはCEOというのは勇気と知性を持って決断し、自らの責任を心得ることが大切だと、自身の経験をもとに説明しています。例えば、下記のようなものがあげられます。

1. 心理的困難は特別なものではない
“私が経験から学んだCEOとしてもっとも困難なスキルは、自分の心理のコントロールだった”

“私は自分が心理的にタフだと思っていたが、実際に経験してみると、とてもタフどころではなかった。私はとんでもなくソフトだった。私は長年の間に何百人ものCEOと話す機会があったが、みな口をそろえて同じ気持ちを味わったという”

数々の成功をおさめたベンでさえこのように自身のことを振り返っていますが、同時に心理的な困難について語るCEOがごくわずかしかいないことも指摘しています。このことは、CEOだけではなく、ビジネスパーソンであっても同じでしょう。人に悩みを打ち明けるのは難しいものですが、なにかしらの問題に対して心理的に困難だと感じるのは特別なことではないのです。

2. 誰にも責任を転嫁できない
“CEOの成績を統計にとれば、その平均値は100点満点で22点くらいだろう”
“特に問題を難しくするのは誰もが平均点が22点だと教えてくれないことだ”

CEOは組織で起こるすべてに関わり、すべての責任が帰結します。それなのに自己採点が低ければ深刻になるのも当然です。心理的な困難に耐えられなくなったCEOは部下にあたるか自分を追い詰めるか、あるいは楽観視して、現実逃避してしまいます。

CEOは会社の存続にかかわる決断を求められる時ですら、他者から優れた助言をもらうことはできません。なぜならCEOになってはじめてCEOとしてのトレーニングができるからです。

3. それでも彼らは投げ出さなかった
“CEOには「もうこんな仕事は投げ出したい」と思う瞬間が繰り返し訪れるものだ。実際、私は多くのCEOがこの圧力に負けて酒びたりになったり、やめていったりするのを見てきた”

CEOに訪れる大きな苦痛を前に怖気づく人や投げ出す人はたくさんいますが、きっとそれが普通の感覚なのかもしれません。

“しかし偉大なCEOたちの答えは驚くほど似通っていた。彼らは異口同音に「私は投げ出さなかった」と答えた”

どのような恐怖の中でも複雑な思考を捨てず、勇気をもって前に勧める人だからこそCEOが務まるのでしょう。時には周りの反対を押し切る覚悟さえ必要だということも示唆しています。

大切なことは最善を尽くすことである

本書は答えのない困難に対面した時に立ち返るためのヒントがたくさんありますが、できることならそのような困難には陥りたくはないものです。そういった理由からか、本書はどのようにしてリスクを回避するのか、会社のフェーズに応じてCEOがどのように対処してきたのかが書かれています。

例えば人材のマッチングを気遣い、組織内のコミュニケーションを大切にすること、組織のビジョンを明確にすることなどがありますが、その殆どが「人」に関するアドバイスです。

絶対的な正解がないからこそ最善を尽くして試行錯誤することが大切だと、本書でベンは伝えています。

HARD THINGS(困難)に向き合う活路を見出す

ベンの話す体験はスケールの大きな話ばかりです。ただし、企業の経営者にとってはいつか立ち向かうことになる問題ばかりだといえるでしょう。また、どんな人でもその人にとってのHARD THINGS(困難)はあるものです。かつて経験したことのない難題に悩んでいる人や、これから大きな挑戦をしたいと考えている人には、本書は活路となる一冊になることでしょう。あなたも本書を読み、ベンからノウハウのない問題が生じた時の心構えや行動を学んでみてはいかがでしょうか。

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