コンピテンシーは、仕事で優れた成果を上げられる行動特性を指します。優れたリーダーシップにはスキルや才能といった可視化しやすい能力だけでなく、その能力を存分に発揮するためのコンピテンシーが必要です。
リーダーには、チーム間の信頼関係を築くためのコミュニケーション能力の他、さまざまなコンピテンシーが求められます。
本記事では、リーダーシップに重要な6つのコンピテンシーやコンピテンシーの活用方法などについて詳しく解説します。
目次
コンピテンシーとは?
コンピテンシーとは、ビジネスの場において職務や役割で優れた成果を上げられる能力や行動特性を指します。
コンピテンシーでは高いパフォーマンスを発揮する個人の思考や性格、価値観を重要視するため、行動や知識、スキルのように可視化しにくい点が特徴です。
スキルや能力との違い
スキルは教養や訓練によって獲得した専門的な技能を指します。例えば、英語が堪能であれば語学スキル、パソコンやプログラミング、インターネットについての知識や操作が得意であればITスキルが高い人材ということになります。
能力(アビリティ)は技能、力量、才能を指す言葉です。スキルは専門的な技能について表現する際に使われることが多いですが、能力(アビリティ)は事務処理能力の他、仕事に対する姿勢や理念など、総合的な能力に対して使用される傾向があります。
スキルや能力(アビリティ)が技能や力量、才能そのものを指す表現であるのに対し、コンピテンシーはスキルや能力(アビリティ)を発揮するための行動特性を指します。
どれほどスキルが高く才能豊かな人材であっても、成果につなげるためにはコンピテンシーが必要です。
コンピテンシーが注目されるようになった背景
コンピテンシーはハーバード大学のマクレランド教授が1970年代に発表した論文 “Testing Competence Rather Than ‘Intelligence’”(この論文の中では、コンピタンスという用語を使用)をきっかけにビジネス用語として使用されるようになりました。
マクレランド教授は米国の国務省からの依頼により、外交情報職員の採用試験の成績から職務上の業績を予見できるものなのか、その相対関係を調査しました。
その結果、学歴や教養、知識の高さと業績は関係なく、いくつかの共通する行動特性があることが分かりました。(※)
日本でコンピテンシーが注目されるようになったのは1990年代頃です。バブル経済崩壊により、多くの日本企業が人事評価をこれまでの年功序列から成果主義へと移行していく中で、評価基準の1つとして導入されたのがコンピテンシーです。
当時のコンピテンシーは目に見える顕在的な能力を評価することに重点が置かれており、本来目に見えない潜在的な能力を指すコンピテンシーの定義とは異なる使われ方をしていました。
しかし少子化による人材不足が大きな課題となっている近年において、少ない人員で企業の生産性を向上させるためには、従業員一人ひとりのパフォーマンスを高めることが必要です。そのためコンピテンシーが本来の意味で再び注目されることとなりました。
※出典:日本大学経済学部産業経営研究所所報 (68)2011.03 加藤恭子. 「日本大学経済学部産業経営研究所所報 日米におけるコンピテンシー概念の生成と混乱」
コンピテンシーの活用方法
コンピテンシーが活用される主なシーンには、次の3つがあります。
人事評価
一般的にコンピテンシーは、人事評価項目の1つとして活用します。
人事評価制度の主な項目には、コンピテンシーを基準としたコンピテンシー評価の他、個人またはチーム目標達成度によって評価するMBO(目標管理制度)、上司や部下、同僚などさまざまな立場から従業員を評価する360度評価などが挙げられます。
人事評価項目にコンピテンシー評価を導入する際は、部署や部門、職種ごとに高いパフォーマンスを発揮する従業員へのヒアリングを行い、行動・思考の傾向を分析した結果を評価項目として設定します。
コンピテンシー評価を導入することで、目に見える成果だけでなく、評価されにくかった業務プロセスを客観的に評価できるようになります。
人材育成や能力開発
コンピテンシーは、人材育成や能力開発にも活用できます。高い成果につながる行動や思考をテーマにした研修では、まず高いパフォーマンスを発揮する従業員の行動特性を示すことで、求められる能力を可視化でき従業員の理解を深められるでしょう。
職責や部署ごとに必要なコンピテンシーを設定すれば、身に付けるべき思考や取るべき行動が明確になるため、従業員が自分で目標を立てやすくなります。
採用
コンピテンシーは採用面接の際、採用基準の1つとしても活用されます。自社で高いパフォーマンスを発揮している従業員の行動特性からコンピテンシーを採用基準に設定すれば、自社に合った生産性の高い人材かどうかの判断がしやすくなるでしょう。
例えば、面接時の具体的な質問としては、前職での成果についてや成果を出すための工夫を聞くことです。回答の内容から応募者の思考や行動を把握し、自社が求めるコンピテンシーを満たしているかを判断します。
リーダーシップコンピテンシーとは?
リーダーシップコンピテンシーとは、優れたリーダーが発揮するスキルや行動特性です。チームの生産性を高めるためには、優秀なリーダーの存在が必要不可欠です。
リーダーシップコンピテンシーを有する人材であれば、チームリーダーとしてメンバーのモチベーションや向上心を引き出せます。
リーダーに重要な6つのコンピテンシー
チームの信頼やモチベーションを高め、生産性向上につなげられる優秀なリーダーとは、次の6つのコンピテンシーを示すことができる人材です。それぞれのコンピテンシーについて詳しく見ていきましょう。
1. コミュニケーション能力
1つ目はコミュニケーション能力です。相手の立場に立って考え、スムーズな意思疎通ができるコミュニケーション能力は、優れたリーダーシップを発揮するために必要不可欠な要素です。
チームには違った個性やバックグラウンド、能力を持ったメンバーがいます。また、チーム内のポジションもさまざまです。
チームリーダーはどのような立場の相手ともコミュニケーションを取って信頼関係を築き、仕事に対する価値観や方向性をすり合わせなければなりません。
2. 傾聴力
2つ目は傾聴力です。プロジェクトを円滑に進めるためにはチームワークを高めることが必要不可欠です。
自分とは正反対の意見を持つ相手であっても、相手の立場に立って会話を進めお互いを理解していくことで、チームの生産性の改善や向上につながります。そのため、リーダーシップには傾聴力が必要なのです。
上司や同僚、部下、取引先などさまざまな立場の相手の話に耳を傾け、相手の意見を正しく理解することが大切です。
3. 交渉力
3つ目は交渉力です。優れたリーダーシップには、あらゆる利害関係者とお互いが納得する結果が出せるような話し合いができる交渉力が必要です。
交渉力は取引先との商談だけでなく、社内の対立解消にも大いに役立ちます。
チーム間や個人間で意見が食い違い、対立構造ができてしまった場合、職場の雰囲気が悪くなるだけでなく、業務を円滑に進めることが難しくなり、生産性の低下につながる可能性があります。
リーダーは仲介役として双方の意見を聞き、それぞれが求める対応を把握して、お互いが納得できるゴールまで導くことが大切です。
4. 問題解決能力
4つ目は問題解決能力です。リーダーシップに求められるコンピテンシーには、実務経験に基づいた問題解決能力も含まれます。
リーダーには、職務上で起きた問題を解決する責任も伴います。取り組んできた仕事で得た知識や思考力、実務経験、判断力を大いに活用し、困難な状況においても解決策を示すことができる能力が求められるでしょう。
問題解決能力が備わったリーダーを目指すためには、会社の仕組みを深く理解し失敗や反省を重ねる経験が大切です。
5. 主体性
5つ目は主体性です。リーダーシップに求められる主体性とは、自ら重要な決断を下し、設定した目標を達成する能力です。優れたリーダーは職務におけるニーズを察知し、自発的に取り組むことができます。
例えば新しいプロジェクトに着手する際、必要な下調べやチームの編成、プランの策定など、リーダーが自発的に取り組み決断することが求められます。自分で策定したプランに問題が発生した場合も、周りに期待せず自分で解決していく姿勢が大切です。
6. 誠実さ・信頼感
6つ目は誠実さ・信頼感です。ビジネスを円滑に成立させるためには、上司や同僚、部下、顧客との信頼関係が重要です。仕事上の付き合いや決断において常に誠実さを示すリーダーは、上司やチームメンバー、顧客との深い信頼関係を構築できるでしょう。
優れたリーダーシップを発揮しチームの生産性を向上させるには、誠実で信頼性の高いリーダーであることを示さなければなりません。
チームの一人ひとりと向き合い理解を示す他、期限を厳守したスケジュール管理やタスク管理、質の高い成果物への取り組みなどで信頼感を高めていきましょう。また失敗をしたときに、謙虚な姿勢で自らの責任を認めることも大切です。
優れたリーダーシップには技術や技能だけでなく発揮できるコンピテンシーが必要
優れたリーダーシップには、スキルなどの目に見える顕在的な能力だけでなく、能力を発揮できるコンピテンシーが必要不可欠です。
リーダーシップに重要なコンピテンシーはコミュニケーション能力や傾聴力、交渉能力、問題解決能力、誠実さと信頼性、主体性などが挙げられます。
優れたリーダーシップを発揮できれば、チームにおける生産性の改善や向上につながるでしょう。またそれらを高めるためには、日常的なトレーニングや心がけが必要です。
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