2020/06/19

「リーダーに向いているのは外交的な人」というステレオタイプの思い込みは真実か?

世の中には外交的な人と内向的な人がいます。

では、ビジネスをまとめるリーダーに向いているのはどちらのタイプの人でしょうか?

面白いことに、一般的には外交型人間の方が、リーダーに向いていると思われています。この傾向は特にアメリカ映画で顕著です。

映画に出てくる軍隊の総帥を思い出してみてください。
おそらくナポレオンのように、戦場を闘うために強い肉体と強い意志を持ち、進むべき目標を決め、部下をグイグイ引っ張っていくタイプのリーダー像を思いつくのではないでしょうか。
それこそが、私たちのステレオタイプのリーダーであると言えるでしょう。

しかし実際に職場を見てみると、内向型人間がリーダーにいた方が組織がうまく回ることがあるそうです。

 

「内向的なリーダー」は歴史上存在した?

 

内向的なリーダー像について語るときによく例として上げられるのは、マイクロソフトのビル・ゲイツや、Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグなど、IT業界の巨人たちです。
彼らは元々オタク気質でパソコンが大好きですから、そもそもマッチョなタイプではないのです。
では、IT企業以外ではどうでしょうか。

意外なことに、アメリカの歴代大統領にも内向的なタイプの人がいます。
過去のアメリカ大統領、例えば、エイブラハム・リンカーンも内向的で内省的な人だったとして知られています。
オバマ大統領もそんな一人。
彼は一人になる時間が重要だとニューヨーク・タイムズに語っています[1]。

つまり、内向的な人も外交的な人と同様、リーダーになる資質は備えているわけです。

では、どういう時に内向的なリーダーが適しているのでしょうか。
「残酷すぎる成功法則」という本には、リーダーシップについて研究したアダム・グラントという人の研究結果が出ています。彼は面白い傾向を発見します。

外交的な人と内向的な人のどちらが優れたリーダーになるかは、彼らが統率する人々のタイプによるというのだ。
従業員が受け身の場合には、社交的でエネルギッシュな外向型の人間が本領を発揮する。
しかしながら、目的意識のある人々を率いる場合には、内向型のリーダーのほうが望ましい。
彼らはよく耳を傾け、後ろ盾となりながらも部下の自主性を重んじるからだ。

 

[2]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・バーカー , 橘玲, 竹中てる実 (翻訳) 

つまり、統率するグループによって、望ましいリーダーは変わるというのです。

 

内向的な人がリーダーになると人は成長できる

 

特にクリエイティブな職場には顕著かもしれません。

なぜなら、クリエイティブな仕事では、ときに個性的な人々を率いる必要があるためです。
スタッフに独創的なアイデアを出してもらいたいなら、グイグイ引っ張っていくタイプのリーダーよりも、一歩引いて、サポートしてくれる静かな内向的なリーダーの方が、良い結果を産むことがあります。

私が以前いた雑誌作りの現場はまさにそうでした。
現場は、ライター、カメラマン、イラストレーター、デザイナー、編集者などの個性的なスタッフが集まっています。
この時にあまりにリーダーの外向性が強すぎて、ぐいぐい押してくるタイプだと、個性的な人たちとぶつかってしまうことがあります。
既に個性が確立している人の場合は、リーダーの役割は「邪魔をしない」だったりすることもあるのです。

非常に面白いことに、子育てにおいても同じことが言われています。
子供の個性を伸ばすためには
「親や先生は教えてはいけない」
「黙ってみているべきだ」
という意見が世界中で強くなっているのです。
「有能なマネジャータイプ」
の外交的な親は、子供をいじり過ぎてしまうことがあるのです。

そんなわけで、世界の教育の世界では今「教えない先生」が重要視されています。
教えないで何をするか、というと、先生は子供たちの自主性が損なわれないように「ガイド」する役割を担うのです。

例えば、アメリカで新しく作られた大学「ミネルバ大学」はハーバード大学、スタンフォード大学を超える難易度で話題になってます。
高い人気を誇るこの学校の特徴は、すべての一方的な授業(講義)を廃止ししてしまったことです。
すべての授業はオンラインのディスカッションによって行われますが、その中で先生が「教える」時間すら、厳しく制限しています。
そうしないと、自主性に基づいた議論ができなくなるというのです。[3]


ですから、
「みんなに自主性を発揮してクリエイティブに働いてもらいたい」
と思うのなら、
「グイグイ引っ張っていかないタイプの」
リーダーの方が案外良い結果を産むことになるのかもしれません。

また、外交的な人同士が組むと、競争心が強くなりすぎて、お互いがぶつかってしまうことも出てきます。
チームがうまく動くためには、ベクトルが違う人同士を組み合わせるのも一つの方法です。

 

実際の人間には、「両向型」人間が多い

 

さて、外交的人間と内向的人間について見てきましたが、ここで面白い事実があります。
なんと、ほとんどの人間は
「外交型でも内向型でもない」
可能性が高いんだそうです。
書籍を引用します。

要するに、外交型人間にも内向型人間にも成功者がいて、世界は間違いなく両方を必要としているのだ。だがあなたは、そのどちらでもない公算が高い。

 

[4]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・バーカー , 橘玲, 竹中てる実 (翻訳) 

人々の3分の1は内向型・外向型ですが、残りの3分の2(つまり大部分の人)は、どちらの性質も兼ね備えた「両向型」人間だというのが本書の主張です。

例えば、一流の外交官には両向型人間が多く、彼らはバランスをとることに長けています。

なお、日本社会においては、人が内向型や外向型になるのは、年功序列により、
「どのくらいその組織にいるか」
によっても変わるかもしれません。

例えば、新入生のときはおとなしかったのに、先輩になった途端に大胆に振る舞う人をみたことがないでしょうか。

内向的な人も、環境によってはだんだん外向性を発揮することがあるのです。
逆に、新入生からずっと外交的な人も、ずっと内向的な人もいますが、数は少ないようです。

「偉い人は外交的に振舞って良い」
という組織なら、人の性質は立場によって変わることもあるでしょう。
かつての会社や組織で、「長くいる人」がだんだん外交的になるのを見てきました。
年長者になるに従って、内向型の人でも「外向性」を発揮しやすくなるのかもしれません。

 

まとめ

 

つまり、組織を作る人は、チームに誰がいて、目的は何かを考えることによって、リーダーを選ぶことが必要になります。
組織が目指す方向と、人々のタイプを慎重に組み合わせることで、人の力は大きくもなれば、小さくもなります。

この両者をうまく組み合わせれば、内向的な人をうまく束ねて結果を出したり、逆に外交的な人に力を発揮してもらうことができるというわけです。

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[1]出典 ニューヨークタイムズhttps://www.nytimes.com/2016/07/03/us/politics/obama-after-dark-the-precious-hours-alone.html?_r=0
[2]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・バーカー , 橘玲, 竹中てる実 (翻訳)
[3]出典    「世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ」山本 秀樹
[4]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・バーカー , 橘玲, 竹中てる実 (翻訳)