採用面接において、してはいけないNGな質問があることはご存知でしょうか?
「圧迫面接とか、差別発言とか?」とイメージしつつも、こうは思っていないでしょうか。
- 「常識的な範囲なら問題ない」
- 「自分は大丈夫」
この認識のままだと、意図せぬ形でNG質問を学生にしてしまい、法律違反、ひいてはインターネットの炎上を引き起こし、社会の信頼を失う恐れすらあります。
そこで、本記事では採用面接におけるNG質問について、
- してはいけない質問
- してしまった場合のリスク
- 避けるためにできること
などを解説していきます。
目次
採用面接においてするべきではないNGな質問とは
採用面接において、面接官は求職者に対して緊張をほぐす意味も込めてアイスブレイクを設けることがあります。
このとき、ちょっとした雑談や質問をすることがあるかもしれませんが、下記のような質問をしていないでしょうか?
- 「ご出身はどちらですか?」
- 「ご家族はどのようなお仕事をしていますか?」
- 「どういった思想をもっていますか?」
これらの質問は全て「してはいけないNG質問」です。
面接が始まる前や終わった後でも法律違反となる可能性があるため、注意しなければなりません。
なぜNG質問で法律違反となるのか
なぜ、質問をしただけで法律違反となってしまうのでしょうか?
その理由は、職業安定法で「業務と無関係な個人情報を集めてはならない」ということが定められているためです。
例えば上記の質問では出身や家族の職業、思想などは業務とは関係ない情報であり、適性や能力は無関係なため、職業安定法に反することになります。
また、求職者には自身の適性や能力によって職業を選択できる「就職の機会均等の権利」があり、これを守るためにも企業側が適切に採用面接を行わなければなりません。
したがって、そのつもりがない場合でも偏見や差別によって評価に影響するような質問は禁止されているのです。
採用面接時のNG質問の具体例
ここでは、採用面接においてしてはいけないNG質問を具体的に見ていきましょう。
本籍に関する質問
- 「あなたのご出身はどちらですか?」
- 「国籍はどちらですか?」
- 「ご両親の出身地はどこですか?」
このような本籍や出身地などに関する質問はしてはいけません。
なぜなら、出身地や国籍と本人の能力・適性とは無関係だからです。
また、戸籍謄本の提出を求める行為も違法となります。
家族に関する質問
- 「ご両親は共働きですか?」
- 「家業は何でしょうか?」
- 「家族構成はどのようになっていますか?」
このような家族や家族の職業、地位、収入に関する質問もNGです。
面接官は世間話として聞いているだけの可能性もありますが、家族構成などが選考結果に影響を与えるのは差別と考えられるためしてはいけません。
面接官としては「世間話はしたが選考結果とは無関係だ」とするケースもありますが、家族について聞かれた上で落とされた求職者としては、抗議したくなることもあるでしょう。
思想に関する質問
- 「どのような宗教を信仰していますか?」
- 「どの政党を指示していますか?」
- 「現代の社会をどのように思いますか?」
これらの質問は、思想や信条、宗教、支持政党、人生観などに関する質問であるため、NGとなっています。
なぜなら、思想や信条の自由は憲法で保障されているため、採用選考でこのような質問をすることは基本的人権を侵すことにつながるためです。
その他、注意が必要なNG質問
- 「座右の銘を教えてください」
- 「誰を尊敬していますか?」
- 「結婚や出産後も仕事を続けますか?」
上記2つの質問は「良い質問例」として取り上げられることが多いため、使っている面接官もいるかもしれません。
しかし、これらは「職業差別につながる可能性がある」として、避けるべきだとされています。
また、男女雇用機会均等法に反するため結婚や出産に関する質問もNGです。
採用面接でNG質問をした場合の罰則やリスク
ここでは、採用面接でNG質問をした場合の罰則やリスクを見ていきましょう。
法律違反による罰則
職業安定法では、採用選考の際に事業主に対して「求職者の個人情報の収集や使用は、目的の達成に必要な範囲内で行う必要がある」と定めています。
これに反する場合、労働局による行政指導や改善命令が出されることがあります。
違反を重ねると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるため、注意しなければなりません。
さらに罰金刑や懲役だけではなく社名が公表されることもあるため、そうなると企業の信用やイメージが失われるでしょう。
インターネットでの炎上
採用面接時のNG質問は、インターネットに晒されて炎上につながる可能性があります。
近年は、企業の上役の失言がSNSで晒されて炎上してしまうなど、たった一言で企業が傾くということは珍しくありません。
これにより企業の信頼は失墜し、応募者が減り業績の悪化につながるなど、企業側は細心の注意を払う必要があります。
まとめ:面接官こそNG質問に注意しよう
面接官は、学生と自社とをつなぐ門のような機能をもっています。
それゆえ、誤った質問をしてしまえば、SNS上で拡散されるリスクは非常に高いのです。
とくに学生は、SNSの使い方には長けています。炎上を避けるためには、やってはいけない質問を自社で定めておく、などの対応が必要になるでしょう。
上記を徹底するためには「NG質問はしない」というルールを定めるのではなく、個別具体例で何がダメなのかを明記する必要があります。
自社の炎上を避けるためにも、面接官を正しく育成しましょう。