「モチベーション管理をすることで、従業員の意欲が高まり、会社の業績も上がる」と多くの企業がモチベーション管理に取り組まれています。
この記事ではモチベーションについての概要と、識学流モチベーション管理について解説をしていきます。
目次
モチベーションとは
モチベーションの意味
「モチベーション(motivation)」とは「やる気」や「動機」といった意味です。
何か行動をするときの原動力となるものであり、ビジネスにおけるモチベーションは、業務の質や効率に密接に関わります。
モチベーションの有無によって、大きく仕事の質が変わるといっても過言ではないでしょう。
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モチベーションとはやる気のこと?
「モチベーションを高める」という言葉もあるように、モチベーションというと「やる気」そのものを指すかのようなイメージがありますが、その解釈では大事な要素が抜け落ちてしまいます。
やる気は「何もしなくても勝手に出てくる」というものではなく、必ず何らかのきっかけが必要です。
心理学的には、モチベーションとは「行動を起こさせ、目標に向かって維持する心理的機能のこと」とされています。まず行動を起こさせる要因があること、さらにその行動を持続させることができるものであることの二つが重要であることが分かります。
モチベーションとはやる気である、という捉え方をしていると、動機づけとしての側面を見落としてしまう可能性があります。
動機づけ理論として、ハーズバーグの二要因理論を紹介します。
二要因理論とは、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱したモチベーションに関する理論のことです。
ハーズバーグは、仕事において満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は異なるということを明らかにし、満足をもたらす要因を「動機づけ要因」と呼び、不満をもたらす要因を「衛生要因」と呼びました。
動機づけ要因には、仕事の達成感、能力向上や自己成長、挑戦的な仕事などがあり、この動機づけ要因が満たされると、満足度が高まり、モチベーションも高まるとされています。
また、衛生要因には、管理方法、労働環境、作業条件などがあり、こちらの要因が整えられれば不満は解消されるものの、モチベーションの向上には寄与しないとされています。
つまり、やる気を出すというのは、あくまで本人のやることであって、外部から他者がコントロールするものではありません。外部から直接コントロールが可能なのは、動機づけとなる要因であって、やる気そのものではないのです。
動機づけといっても、何によって動機づけられるのかは人によって異なり、それぞれの人に応じた動機づけのやり方が必要になってきます。
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外部からの動機づけと内部からの動機付け
動機には、「何か問題を回避したい」というネガティブなものや、「何かを得たい」というポジティブなものがあります。さらに、動機づけの要因は「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」に分けられます。
外発的動機づけとは、「報酬を得るためや罰を避けるため、義務を果たすためなど、外部から与えられる強制力による動機づけのこと」です。やる気の源は自分の外部にあるため、絶えず誰かにやる気を引き出してもらわないと動けません。
また、報酬を得ることや罰を避けることが目的になってしまい、やる気も長続きしません。
一方の内発的動機づけとは、「興味や好奇心、関心からもたらされる動機づけのこと」をいいます。内発的動機づけでは、やる気の源は自分の内側にあるため、誰かにやる気を引き出してもらう必要がありません。
アメリカの心理学者デシによると、外発的動機づけと内発的動機づけを比較した場合、内発的動機づけの方が強いといわれています。外発的動機づけでは、報酬をもらう、罰を回避するという目的が達成されてしまえば、その時点でやる気は失われてしまいます。
しかし、内発的動機づけでは、もっとよくしたいという気持ちによってやる気が引き出されるので、やる気が長期間にわたって持続します。
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モチベーションが上がるとき、下がるとき
仕事をしていると「最近、モチベーションが上がらないから仕事が捗らない」という声を聞くことがあると思います。この「モチベーション」はどういうときに上がって、どういうときに下がるのでしょうか。
上にも書きましたが、「外発的動機付け」というのは、「○○のために仕事をする」という、目的意識から生まれるモチベーション、「内発的動機付け」とは「自分がやりたいからやる」という、何かに夢中になることによって生まれるモチベーションです。
まずは「外発的動機付け」から考えてみましょう。
「○○のために仕事をする」というモチベーションですので、仕事が上手く行っているときにはモチベーションは維持されます。一方、仕事でトラブルが続いたり、仕事から得られるリターンに魅力を感じなくなったりすると「なんでこんな仕事をしているのだろう?」と、ふと我に返る瞬間があります。
そうなると、モチベーションの維持が難しくなります。
一方「内発的動機付け」の場合には、「自分がやりたいからやる」というモチベーションですので、何かに夢中になっている間は良いのですが、こちらもやりたいことに飽きてしまうと、モチベーションが下がってしまいます。
「それをやりたい」「チャレンジしたい」と思い続けている限りは、モチベーションは下がらないのですが、トラブルが続いたり、飽きたりしてしまうと、モチベーションの維持は難しくなります。
もし従業員のモチベーションを上げたいと思ったら、モチベーション研修の導入も考えてみるとよいでしょう。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
参考記事:会議HACK!【モチベーション研修】社員のやる気を損なわないために大切なこと
業績アップと従業員のモチベーションの関係
業績と従業員の業務に対するモチベーションには密接な関連があるといわれています。従業員のモチベーションは仕事に対する意欲や、積極性に直結します。同じ仕事を依頼してもただ作業をするのと、能動的に創意工夫を重ねながら業務を行うのとでは、その結果は全く違ったものになります。
社員のモチベーションが上がることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
従業員のモチベーションが上がることのメリット
仕事をする上でモチベーションが高いとはどのような状態をいうのでしょうか。
例えば、上司から業務を指示された場合に、「上司に言われたから仕方なく」取り組むのではなく、積極的にその業務に取り組み、業務改善をして組織としての成果に繋げるなど、仕事に対して情熱を注ぐことが当てはまります。
従業員のモチベーションが高い状態だと、従業員自身が積極的に業務に取り組むことが当たり前になります。指示待ちの従業員より、指示を待たなくても積極的に仕事を探し取り組んでいる従業員のほうが、良いパフォーマンスを出します。
また会議で意見を求めても、モチベーションが高い従業員からはアイデアや意見が出てきますが、モチベーションが低くただ時間が過ぎ去るのを待っている従業員からは、建設的な意見は出てこないでしょう。
従業員のモチベーションの高さは、企業の活力の高さに直結していると言っても過言ではありません。
モチベーションを高く持って仕事ができる人とは
どのような会社にも「モチベーションが高い人」と「モチベーションが低い人」がいます。同じような仕事をしていても、モチベーションが高い人は自分の仕事に熱意を持って楽しんでいる傾向があります。
このようなモチベーションの高い人は、マズローの提唱する基本欲求の階層図の内、一番高位の「自己実現欲求」がありながら、自らの仕事の意義や重要性を充分認識し、創造性を発揮している人です。
モチベーションの度合いには、人間が持つ欲求が関係しています。人間の欲求を体系的に表した「マズローの欲求5段階説」では、欲求を以下のように分類しています。
マズローの5段階欲求はピラミッド型になっています。
自己実現欲求 | 自分が理想とする自分のイメージを実現する |
尊厳欲求 | 社会に認められたい、他人から感謝されたいというようなもの |
社会的欲求 | 社会のどこかに所属していたいという願望であり、会社や学校に所属していると安心するというもの |
安全・安心欲求 | 自分が攻撃されたり突然殺されたりしないという安心感を得るもの |
生理的欲求 | 生きていくための最低限の欲求で、食欲や睡眠欲、性欲 |
社会的欲求〜生理的欲求は、日本の社会で企業に属して仕事をしている人であれば、たいていの人が満たされている欲求です。
自分の仕事に熱意を持って楽しんでいる人というのは、最上位の欲求である自己実現欲求が強い人ということになります。
マズローは「自己実現欲求の強い人の特徴として自発的で自然で人間的である」と述べていますが、たくさんのルールや慣習がある会社の中で人間的にふるまえている人はどれだけいるでしょうか。幼少期には誰しも持っている人間らしさや自発性は成長と共に失われることがあり、自発性が低くなってしまった人は「モチベーションが低い」、自発性を維持している人は「モチベーションが高い」ともいえます。
モチベーション低下の原因とモチベーションを高める必要性
モチベーション低下の原因とは
モチベーションの高い従業員は自発的に行動をするので、顧客や仲間にも良い影響を与え、業績の向上にも繋がります。とはいえ、人間ですから常にモチベーションを高く保てるとは限りません。何かがきっかけとなってモチベーションが低下することもあります。
モチベーションが低下する原因について見ていきます。モチベーションが低下してしまう原因はいくつも存在しています。どういった原因が考えられるのか解説しましょう。
・業務にやりがいや魅力を感じない
与えられた業務に魅力を感じなくなると、モチベーションが低下することがあります。苦手な内容の業務についてしまった、やりたい業務がやらせてもらえない、などの理由で会社のために働こうというモチベーションが湧いてこなくなるのかもしれません。与えられた仕事を何となくこなし「規定時間だけ黙って座っていればいい」などと考えるようになる可能性があります。
・社内の雰囲気や人間関係に問題がある
人間関係について問題を抱えるとモチベーションは低下します。たとえば、チームに相性の悪い人がいたり、上司からパワハラなどの嫌がらせを受けていたりするケースなどです。
こういう状況で業務に集中することができなくなり、放置しておくと従業員のモチベーションが低下するだけではなく、会社に来なくなってしまう可能性があります。
・適切に評価されていると感じられない、認めてもらえない
「頑張っても意味がない」「上司にウケる人が評価される」など、上司やチームから評価されない、認められないと感じてしまうとモチベーションは下がってしまいます。自己肯定感を低下させる原因となり、自信を失ってしまうからです。
・心身が健やかではない
健康状態の悪化は精神に大きな影響を与えてしまいます。身体・心が健康でないと、モチベーションは低下します。
また、日頃から長時間労働をしている企業や休日出勤が多いなど過酷な労働環境は、心と身体を弱らせて気力を奪ってしまうのです。
・給与や待遇への不満
人に仕事を振るばかりで自分では何もしない上司や先輩を見て、「何でこんな人の下で働かなければならないのか」と不満を抱いてしまいます。
「結果を出しても待遇が変わらない」「どんなに頑張っても、働かない上司より給料が少ない」などと感じた従業員は真面目に働くのが馬鹿らしくなってしまい、モチベーションの低下につながります。
社員のモチベーションを高める必要性とは
従業員のモチベーションを高めるべき理由について解説します。
①生産性を下げないため
「仕事をやらされている」という心理状態では、ひとつの作業にかける時間も長くなり、企業・チーム全体の生産性が下がってしまいます。従業員一人ひとりがモチベーションを高め、生産性を向上させる必要があります。
②ステークホルダーへ良い印象を与えるため
モチベーションが上がることは、従業員のプロとしての意識も高まります。日々生み出す企画・作る商品・提供するサービスの質が高まり、顧客からの信頼・評価の向上、企業のブランド価値の向上に繋がります。結果ステークホルダーへ良い印象を与えることができるので、モチベーションを高めることは重要です。
③人材の流出を防ぐ
モチベーションが下がっていると、心理的に「もっと良い職場があるのではないか」という迷いが生じてしまい、人材が流出する可能性があります。離職者を減らし、社員が定着するようになると、求職者に対するイメージも良くなります。さらには会社にノウハウが溜まりやすくなるため、どんどん優秀な人材を獲得しやすくなります。
このように従業員のモチベーションは、離職率・職場の士気・企業業績にも関わる重要な事柄です。モチベーション低下を放置すると、職場環境や仕事の質、効率の悪化に繋がる恐れがあります。
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モチベーションを上げる方法
モチベーションアップは「やる気」だけではダメ
なぜモチベーションをアップするのに「やる気」だけではダメなのでしょうか?
理由は3つあります。
- やる気は揺らぎやすい
- やる気を上げても行動に直結しない
- やる気は定量的に計測できない
それぞれ詳しく解説していきます。
①やる気は揺らぎやすい
やる気というものは、不安定で持続性に欠けます。そのため、安定的して成果を出すためには頼ってはいけません。
したがって、持続的なモチベーションを得るには感情に頼る以外のアプローチが必要となります。
②やる気を上げても行動に直結しない
仕事のやる気を上げるために、自己啓発セミナーに参加する人もいらっしゃるのでは。SNSで同じ境遇の人をフォローして、一緒に頑張るという人もいるかもしれません。
しかし、これらの行動が本来の目的であるモチベーションの喚起と持続につながることは多くないでしょう。
一時的に得られたモチベーションは、本来の目的には活かされません。自己啓発セミナーに感動したなら次回のセミナーに参加申込みをし、SNSで元気をもらうと、他のタイムラインを見てしまいます。
③やる気は数字で測ることができない
安定してモチベーションを保ちたい場合、できるだけ数値や文字などで記録・計測できる指標を追うべきです。
しかし、やる気は実体が主観的なものなので、第三者がやる気を正確に計測することは難しいと思われます。
つまり、直接的にやる気を計測しているのではなく、行動から推測しているに過ぎないのです。
どれだけ行動できたかを計測すべし
行動を喚起して結果・成果に繋げたいので、「やる気を出したい」と感じてしまいます。となると、本当に計測するべきなのは、「どれだけ行動できたか」だといえるでしょう。
モチベーションの維持・管理において重要なのは、感情ではなく行動です。
モチベーションアップの秘訣は、『動機付け』
上述しましたが、行動につながるモチベーションを喚起することは、「動機づけ」に注力することでも叶います。
外発的動機づけと内発的動機づけを意識し、自分にもたらされるメリットを考えることがおすすめです。
<<モチベーションを上げる方法についてはこちらもチェック>>
やる気とモチベーションを引き出す「科学的な方法」
やる気やモチベーションについての議論は精神論になりがちですが、心理学や脳科学などの観点から科学的な研究も行われています。以下ではその成果の一部を紹介します。
「ゴール」を指差し確認する
目標を意識できているか、いないかでは、頭の中で何をする必要があるのかという明確さが異なります。いつまでにどうなるか、具体的なイメージをもって動く人のほうがゴールは明確です。
ゴールが明確であればパフォーマンスやモチベーションがアップすると考えられます。毎朝起きた時や出勤直後に目標を書いた紙を指さして確認するだけでも効果はあるはずです。
通勤中にその日の仕事の「最高のアウトプット」をイメージする
「メンタルリハーサル」を行ってみてください。これはコーチングのときに使われる言葉なのですが、事前にゴールをイメージし、辿り着くまでの道筋をシミュレーションすることを指します。
メンタルリハーサルを行うと、「やる気スイッチ」が入り、行動や思考がポジティブになるとされています。通勤中や始業前などに自分が想像できる「最高のアウトプット(=ゴール)」をイメージすることで、高いモチベーションを維持したまま仕事に臨むことができるでしょう。
気が進まない仕事の前に「上を見る」
ドイツのマンハイム大学のステッペル博士の研究によると、人間の感情は身体の動きに影響を受けることが分かっています。例えば無理にでも笑顔を作ると楽しくなる、元気なポーズをとると元気がわいてくる……などです。
ですので、気が進まない仕事をする前に「上を見る」という習慣を付けるだけで、後ろ向きなことを考えないようになります。
残業に入る前に「社内散歩」をする
体を動かして疲れを軽減する休憩の取り方を「アクティブレスト(積極的休養)」と言います。丸一日働いた後、どうしても残業が必要な時に、アクティブレストは効果があります。
気分転換がてら社内を少しだけ散歩したり、廊下に出て1分間ほどスクワットをしたりなど、体を動かすことで頭を切り替え、仕事に打ち込むことができるようになるでしょう。
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モチベーションを維持する方法
モチベーション維持の悩みは絶えません。ここではモチベーションの維持とコントロールについて解説します。
宇宙開発現場でのモチベーション
2018年6月30日5時30分。北海道の大樹町から打ち上げられたインターステラテクノロジズ(IST)は観測ロケットMOMO2号機を打ち上げ、わずか4秒後に大破炎上しました。
これに関する記者会見で創業者のホリエモンこと堀江貴文氏は
「次の3号機のためにどう改善するかが課題になってくる。そこに全力投球できるよう、バックアップ態勢を強化しようと思う」という前向きなコメントが出るなど、失敗に落ち込んで、やめてしまおうなどと考えている様子は全く見られませんでした。
なぜ宇宙開発の現場では前向きで、失敗によるモチベーション低下が起こらないのでしょうか?
宇宙開発・ロケット開発の現場では失敗が続いても原因を確かめ、それを改善しようと皆が頑張っているようです。モチベーションが下がっているようには見えません。ロ世の中にあるものを真似して作るのではなく、誰も答えを知らないものを一から開発しているため、失敗を次に活かすという風土があるのです。
アメリカのロケット開発の現場では、今回のインターステラテクノロジーズの失敗が気にならないほどの大きな失敗が続いていました。
それでもモチベーションを維持できたのは「宇宙へ行きたい」という強い内発的動機付けがあったからです。もちろん、当時のアメリカは旧ソ連と冷戦中であり宇宙開発競争が行われていましたので、大量の予算が投入されていました。
ライバルに負けられないという強い外発的動機付けもあったでしょう。それが失敗にめげず、先に進む原動力となっていたと思われます。
モチベーション・コントロールのポイント
モチベーションをコントロールするため、いくつかのポイントをチェックしてみましょう。
まずは内発的動機づけのチェックです。
- 自分の好きなことをやっているか?
- 仕事を通して、自分の考えや発想を表現できているか?
- 主導権を持って仕事に取り組めているか?
もう一つの外発的動機づけはどうでしょうか。
- 周囲の環境は(人間関係も含めて)良い?
- 給料に満足している?
- 他人に自慢できる仕事をしている?
「選択の自由」や「自己決定」などの内発的動機づけはモチベーションには重要ですが、やりたいことをできていて、努力した結果手に入る成果(発想の表現・結果や給料)が自分にとって魅力的なもの(他人に自慢できるなど)であれば(外発的動機づけ)、モチベーションを維持することができます。
今日からできるモチベーション・コントロール
先のチェックをした結果、内発的動機づけが弱いのであれば、まずは「何をやりたいのか」を明確にしましょう。人生をかけるに値する大目標が見つかればそれに越したことはありませんが、いきなりそういうものは見つからないでしょう。
一方、外発的動機付けが弱いと感じたなら、どういう状態であれば満足できるのかを考えましょう。給料が上がれば良いのか、ワークライフバランスが取れる職場になれば良いのか、それとも人間関係が改善されれば良いのか。
今自分にできる精一杯を貫くことが、モチベーションを維持・コントロールする秘訣だと考えると良いでしょう。
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【識学的考察】「従業員のモチベーション管理」をしない理由とは?経営者・管理職がすべきことを徹底解説!
実は多くの一流経営者が「経営者や管理職はモチベーションを引き上げる努力をするべきではない」と明言しています。
その理由をご紹介します。
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「わかりやすいメッセージ」で部下が行動しやすいようにする
モチベーションは上げない
やる気のない人はプロ失格
LINEの元代表取締役社長の森川亮さんはご著書『シンプルに考える』でこの旨を述べられています。
経営者や管理職の役割は、従業員迷いを取り除き、わかりやすいメッセージを発信し、社員や部下が迷いなく行動できるようにすることなのです。
「モチベーションを引き上げてやりたい」は傲慢
マネージャーはどうやって部下にやる気を起こさせるか。一般的に、このことばには、何かを他人にさせるというような含みがある。だが、私にはそういうことができるとは思えない。モチベーションなるものは人間の内部から発するものだからである
ロバート・ノイスとゴードン・ムーアが設立したIntel(インテル)に、三番目の社員として入社したアンドルー・スティーヴン・グローヴ氏。ご著書『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の中で、モチベーションを外部からコントロールしようとするのは本質的に無理なことであり、「社員のモチベーションを引き上げてやりたい」「部下のモチベーションを引き上げられる」と思うこと自体が間違っていると述べています。
モチベーションがない人のをどうにかすることはできなくても、モチベーションのある人がやる気をなくすことなく、仕事ができる環境を作る。それだけが社員や部下に対して経営者や管理職ができる唯一の働きかけなのです。この点において、森川氏とグローヴ氏はほぼ同じ見解を持っているといえるでしょう。
「モチベーション管理」は無駄であり、自己満足
喉が渇いたら馬は自ら水を探します。その時は馬は真剣に水の匂いを嗅ぎ分け道を覚えるのです。水が要らない馬を川に引っ張ることは無駄なことであり、自己満足です
ソフトブレーン株式会社を創業した宋文洲氏は、社員や部下を馬に例えて「喉が渇いたら(=モチベーションがあれば)馬は自然と水を探す。喉が渇いていない(=モチベーションがない)馬を川に引っ張っても意味がないし、それは馬主が水を飲ませたいという自己満足に過ぎない」と断言しています。
モチベーションは自分の中から湧き上がってくるものであって、誰かにどうにかして引き上げてもらうものでも、誰かがどうにかして引き上げてやれるものでもありません。
社員や部下を動かすのは「明確な目標と評価」
「モチベーションが上がる=やる気が上がる=気持ちよく働くことができる=ストレスなく働くことができる」
モチベーションはこうした文脈で語られることが多いですが、ストレスのない仕事に成長はありません。経営者や管理職が従業員や部下のモチベーションを管理するということは、彼らの成長を阻んでいることにもなりかねません。
確かに組織には無駄なストレスも存在します。この無駄なストレスの排除こそが経営者や管理職の役割です。ご紹介した3つの例にもあるように、経営者や管理職は従業員や部下が迷いなく行動するために、「こうやって行動するのが正しいという基準=明確な目標と評価」を提示する役割を担っています。
モチベーションを上げるのではなく、仕組み化する
経営陣ができることは、モチベーションを上げようするのではなく、社員が評価される基準を伝えて、それを達成できるように手助けをすることです。
そして、評価の高い人に会社が与えることができるものは、給料や地位、ときに成長といった、仕事の成果とは切り離せないものばかりとなります。
しかしなぜ、「意欲が高くなれば、仕事で成果が出る」と逆の構図にこだわる経営者が多いのでしょうか?「気合と根性」で成果を上げさせようとするから、モチベーションが下がり、成果が出せない、というスパイラルに入ることになります。
ビジネスモデル・ツール・教育は、整っていますか?
経営者は「従業員のモチベーションをあげよう」と考える前に、「従業員の成果をあげよう」と感じなければならず、ビジネスモデルやツール構築、そして評価基準をつくることに、注力する必要があります。
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上司がモチベーションを与えると、部下が成長しない理由
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モチベーションは与えるものではない
上述のとおり、モチベーションは与えられるものではありません。そもそも、他者の動機づけによって自分の成果が上がった経験がある人は、少ないのではないでしょうか。
しかし、上司は部下のモチベーションに何も関与できないのか、といえばそうではありません。上司にできることは部下を厳しく管理し、成長させることです。厳しく管理すると、モチベーションが下がるのでないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。
管理されていないと、成長を感じるために必要な「できない事」が曖昧になります。ここが曖昧になると「できない事ができた=成長」という認識も曖昧になるため、成長感をいつまでも感じる事ができず、正しいモチベーションが発生しません。
モチベーションのためにストレスをかける
上述のとおり、「ストレスがない」ということは成長しないということでもあります。
部下が自ら成長しようとして新たな課題にチャレンジすれば、そこには失敗や挫折は付きものであり、うまくいかないストレスを感じながらも努力し、乗り越えていくことで部下は成長します。
ただ、組織内には無駄なストレスがあります。人間関係のストレスです。意見や考え方の相違、誤解、錯覚によるストレスは、物事が進行せず、組織に無駄を発生させてしまいます。
このような事態を避けるために、経営陣や管理者は業務上のルールをしっかり定め、その業務にかかわる全員が明確に認識することが重要です。
そのため、部下を管理し、部下の成長に責任を持ち、モチベーションを気にせず、必要なストレスをかけ続けることが大変重要です。
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部下の「仕事のやりがい」にどう向き合うべきか?
個人のやりがいに会社が合わせてしまうと、その後不必要なコストやトラブルを呼び込むみます。組織における個人の本来の位置付けは「決められたルールの下、与えられた役割を全うするための存在」です。
しかし個人のやりがいに企業が合わせていくと、個人は「会社は自分に合わせてくれるもの」という錯覚を起こし、本来の位置付けを忘れてしまいます 。さらに組織の皆が自分のやりがいを主張するようになります。
経営陣や管理者はこの衝突を回避すべく、各従業員の調整を行わなければなりません。結果、他の従業員のモチベーション低下をもたらす可能性があります。
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従業員のメンタルを守りたいなら、「成果」にこそ、アプローチを
書店のビジネス書には「メンタル・ヘルス」とともに、「モチベーション・マネジメント」や「やる気を引き出す」というタイトルが並んでおり、こうした理由から、「社員のモチベーション」に気を配る会社が増えていると思われます。
どうやって部下のメンタルを保つか
どのような手段で部下のメンタルを保っていけばよいのでしょうか。
著書において、うつ病のカウンセラーとして様々なケースを取り上げている、見波利幸氏は、「自分の能力が不足しているために仕事ができていないと自覚するのは、メンタル面では非常に大きなリスクとなる」と述べています。
つまり経営者や管理者がメンタルについて「マネジメント」をすべき領域は、部下のモチベーションそのものではなく「成果」です。むしろ、その領域に注力すれば、メンタル面のリスクもある程度回避が可能だとも言えます。
では部下が成果を上げるために必要なポイントを紹介します。
1.評価基準
何をもって「成果」とするか。成果が出ているかどうかを判断する指標はなにか。
2.方法論
成果を出すために具体的にやらなければならないことはなにか。
3.志向・適性
仕事をこなすための志向・適性があるか
これらのうち、どれか一つでも欠けた場合には成果が出ず、部下のメンタルが下がってしまう…というのが、よくあるパターンです。
つまり現実的には、
「何が成果かを明確にする」
「何をすれば成果が出るのか、道筋をつける」
「本人の能力に合わせて異動(配置転換)をする」
これらがメンタルを保つポイントになります。
<<部下のメンタルを保つ方法についてはこちらもチェック>>
まとめ ”モチベーション”は管理できない
モチベーションの概要と識学流のモチベーション管理について解説をしました。従業員のモチベーションを向上させるために会社がいろんな施策をするのではなく、
会社側が従業員が成果を出しやすいように働きかけることがモチベーション向上につながる、という考えは無理・無駄がなく、シンプルながらも会社の業績アップに近い方法だと言えるでしょう。