リフレーミングは、物事に対する捉え方を合理的に変換することによって、今までの凝り固まった考え方では思いつかなかった選択肢を増やす効果があります。
特に「悩んでいること」や「嫌なこと」など自分にとってマイナスな事柄に対しては、悲観的になってしまいがちです。しかし考え方を変えてみると「問題を解決するチャンス」「自分の可能性を広げられるチャンス」でもあります。
どんな出来事でも自分にとってプラスに変えることができれば、今後の人生をすべて前向きに捉えることができるため、あらゆる可能性が広がっていくでしょう。
そこで本記事では、リフレーミングについて、一覧や具体例を用いながら詳しく紹介していきます。
目次
リフレーミングとは?
リフレーミングとは、コミュニケーション心理学(NLP)の用語です。物事を見る枠組みを変え、違う視点からとらえることでポジティブな解釈ができる手法のことです。別名「脳の取り扱い説明書」とも呼ばれています。
近年では、ビジネスのほか子育てなどの日常生活においても、非常に効果があると注目を集めています。
- 立てた目標を達成したい
- 解決したい悩みがある
- 自分の感情をコントロールしたい
- 人間関係に悩んでいる
という人には、ぜひ試して欲しいフレームワークがリフレーミングです。
リフレーミングの性質上、ポジティブシンキングと同様だと考える人もいますが、ポジティブシンキングは物事を前向きに捉える思考方法です。
一方のリフレーミングは「物事を違う視点から捉える」「相手の考え方を理解する」といった切り口なので、本質は異なります。
リフレーミングの4つの具体例
どのような場面でも使えるリフレーミングですが、特に効果的な場面を想定した具体例を4つ紹介します。
- モチベーションが下がっているとき
- 自信を失くしてしまっているとき
- 人間関係で悩んでいるとき
- 苦手だなと感じる物事に遭遇したとき
それぞれ詳しく解説していきます。
1. モチベーションが下がっているとき
やらなければいけないと分かっていても、「どうしてもやる気が出ない」「気が進まない」といった場面は誰しも経験があります。
たとえば人前で話をすることが苦手な人が大勢の前でプレゼンを任された場合では、「緊張して上手く話せない」「失敗して迷惑をかけてしまう」「誰か変わってくれないかな」と考えるでしょう。
しかしリフレーミングを行い「成長の機会を与えてくれた」と捉えると、やる気が出てきます。
2. 自信を失くしてしまっているとき
失敗して自信を失うと、チャレンジ意欲を損なってしまいます。そこでリフレーミングを行うと、失敗すらも前向きに捉えることが可能です。
発明王と呼ばれたトーマス・エジソンも、数え切れないほど失敗を繰り返してきました。「失敗なんかしていない。うまく行かない方法を700通り見つけただけだ」という名言があります。失敗さえも成功だととらえる見方こそが、リフレーミングといえるでしょう。
3. 人間関係で悩んでいるとき
世の中は自分に対して好意的な人ばかりではありません。批判的なことを言われて落ち込んだり、腹が立ったりした経験は誰もが通ってきた道です。そのような人を避けたり、対立したりしても、関係性が良くなることはありません。
リフレーミングを用いて、批判的な意見を「自分にはない考え方を教えてくれた」と捉えることで、関係性を良好に保つこともできます。
4. 苦手だなと感じる物事に遭遇したとき
過去のトラウマから、「聞いただけで気が重くなる」といった苦手なものがある人も多いです。
そこでリフレーミングを行い、見方を変えると「今までの苦手意識を克服するチャンス」「苦手なことをすることで、他のありがたみが分かる」と考えられるようになります。それにより、苦手なことでも前向きに挑戦ができます。
リフレーミングの5つ手法
では次に、リフレーミングを行う5つの手法について、具体的に紹介していきます。
- 言葉のリフレーミング
- 時間軸のリフレーミング
- As IFのリフレーミング
- Wantのフレーミング
- 解体のリフレーミング
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 言葉の表現によるリフレーミング
言葉の表現によるリフレーミングとは、言葉の意味を自分に都合の良いものへと変換させることで、物事を前向きにとらえられるポジティブ変換です。
例えば、以下のように言い換えることができます。
- 「意志が弱い人」あらゆることに対応可能な器用な人・身軽で接しやすい人
- 「空気を読めない人」自分の意思をしっかり持っている人
- 「子供っぽい人」無邪気な人・憎めない人
どのような言葉でも必ずプラスに変換できます。ポジティブ変換の言葉をメモ帳などに書き留めておく方法もおすすめです。
2. 時間軸を広げたリフレーミング
時間軸のリフレーミングとは、現在に縛られずに過去や未来という見方をプラスすることで、別の発想を得られる手法のことです。
例えば、以下のような考え方ができます。
- 今、失敗しておいて良かった
- 未来の成功へ繋がる
- 今まで失敗してこなかったことが凄い
問題が起きているときは、長い目でみることができません。そこで時間軸のリフレーミングを行うことで、過去や未来に時間を広げてとらえ直すことができます。
3. As IFによる仮定のリフレーミング
仮定のフレーミングとは、As IFを使って「もし、〇〇だったら」と仮定し、多くの可能性を模索して発想の転換を行う手法です。
例えば、以下のように仮定してみます。
- もしこのプロジェクトが成功したら
- たとえばこの仕事を〇〇さんがやるなら
- 仮に私がお客様の立場だったなら
上記のように、違う立場や良い未来を仮定することで、今の状況が違う景色にみえてくるものです。
As IFの仮定の注意点は、ポジティブに捉えるということです。「もし失敗したら」「たとえば〇〇のような不運がおきれば」というようなマイナスの発想にならないよう、注意しましょう。
4. Wantのフレーミング
Wantのフレーミングとは、「ではどうしたい?」と問いかける手法です。問いかけることによって、現状を打開する解決策に結びつけるのです。
例えば、以下のように展開していきます。
- 子供が片付けをしないので腹が立つ
⇒「ではどうしたい?」
⇒片づけられるように教育する
⇒片付けができたら褒めるようにする - 仕事が行き詰まっている
⇒「ではどうしたい?」
⇒他の人に意見を聞く
⇒そのためには現状の問題を整理する
漠然としている問題が、問いかけることによって「具体的に何をすべきか」という解決策にまで繋がるケースもあります。
5. 物事を解体するリフレーミング
現状を細かく解体して、1つ1つの事柄に焦点を当て、頭の中を整理していくリフレーミングです。例えば「仕事が忙しくて休めない」というケースなら、以下のように整理できます。
- いつまでの仕事?⇒期限を確認する
- 期限は延ばせない?⇒延ばせそうなものは確認する
- どんな仕事?⇒内容を確認する
- どれくらいの時間が必要?⇒おおよそで算出してみる
- 手伝って貰えることはない?⇒あれば助けて貰う
このように、分解した事柄に1つ1つ焦点をあてると、意外な解決策が見つかるものです。上記の例であれば、期限を延ばしたり手伝ってもらったりすることで、余裕ができます。
リフレーミングの一覧
ここでは「言葉の表現によるリフレーミング」を一覧で紹介します。自分ではなかなかポジティブ変換できないという人は、この一覧表を見ながらリフレーミングを行ってみてください。
・あ行
- 飽きっぽい人:多くのことに興味を示す人
- 諦めが早い人:気持ちの切り替えが早い人
- 諦めが悪い人:何事も完遂できる人
- 浅はかな人:あっさりしている人
- 意気地のない人:慎重に物事を考えられる人
- 意志の弱い人:臨機応変に物事に対処できる人
- 忙しい人:頼りにされている人
- 疑り深い人:真実を追求できる人
- うるさい人:活気がある人
- 大雑把な人:細かいことを気にしない心が広い人
- 臆病な人:慎重な人
- おしゃべりな人:話が上手な人
- 怒る人:人を正す勇気のある人
・か行
- 頑固な人:信念を持った人
- 嫌われる人:他人の目を気にせず自分を表現できる人
- 空気を読めない人:自分らしく自由に生きられる人
- 暗い人:人を尊重し人を引き立たせることができる人
- 軽率な人:身軽な人
- 傲慢な人:自分に自信を持っている人
- 心が弱い人:自分に厳しく向上心が強い人
- 子供っぽい人:想像力が豊かな人
- 怖がりの人:観察力と想像力がすごい人
・さ行
- 寂しがり屋の人:人を大切にできる人
- 仕事が遅い人:仕事が丁寧な人
- 自己主張が強い人:自分の意見を持っている人
- 自信がない人:物事を丁寧にやり遂げられる人
- すぐ怒る人:責任感が強い人
- すぐに落ち込む人:素直に自分の非を受け入れられる人
- 存在感が薄い人:協調性がある人
・た行
- 態度がでかい人:存在感がある人
- 楽しくない人:冷静な人
- 疲れている人:よく頑張っている人
- 付き合いが悪い人:ダメだと言える正直な人
- 冷たい人:冷静な判断ができる人
- 取り柄がない人:何でも器用にこなせる人
- どんくさい人:物事をゆっくりしっかり体感できる人
・な行
- 泣き虫な人:責任感が強い人
- 悩みが多い人:向上心がある人
- 鈍い人:どっしりとした人
- のろまな人:自分のペースで着実に成果を上げられる人
・は行
- 八方美人の人:愛嬌がある人
- 不愛想な人:人によって態度を変えない人
- 不器用な人:真っ直ぐで嘘をつけない信頼できる人
- 本番に弱い人:責任感が強い人
・ま行
- マイナス思考な人:冷静にリスクに対して目を向けられる人
- マイペースな人:周りに流されない人
- 間抜けな人:大らかで細かいことを気にしない人
- 見栄張りな人:自分の理想を持っている人
- 魅力がない人:癖のない人
- 文句が多い人:細かいところに気が付く人
・や行
- 約束を守らない人:縛られない人
- やんちゃな人:元気で行動力がある人
- 融通が利かない人:状況に左右されない信頼できる人
- 優柔不断の人:物事をよく考えられる柔軟性のある人
- 余裕がない人:いつも頑張っている人
・ら行
- 乱暴な人:活発で行動力のある人
- 理屈の多い人:物事を論理的に捉えられる人
- 理不尽な人:普通の発想とは違う価値観を持っている人
- ルーズな人:細かいことは気にしない器が大きな人
・わ行
- わがままな人:自分にウソは付かないで生きている人
- 忘れっぽい人:常に前向きな姿勢を示してくれる人
リフレーミングの3つの練習方法
ここまではリフレーミングの内容を紹介してきましたが、この章では実際にリフレーミングを行うためのトレーニング方法を3つ紹介します。
- リフレーミングノート
- 一言リフレーミング
- リフレーミングカード
それぞれ詳しく解説していきます。
1. リフレーミングノート
リフレーミングノートとは、気がついたことをどんどんノートに書き出していく方法です。トレーニングとしては一番おすすめです。
頭の中で考えていることをノートに書きだすと、理解や状況の整理ができ、変換の思考がしやすくなる手法です。ノートに文字で書くことによって、視点を変えやすく、頭の中だけで考えているときには思いつかなかった発想も得られます。
書き方に決まりはなく、自身が見やすいように書いて構いません。よくある方法としては、ネガティブな言葉をノートの左に書き、リフレーミングしたものを右横に書いていきます。
繰り返し行うことで段々と慣れていき、ノートを使わなくても頭の中でリフレーミングができるようになります。
2. 一言リフレーミング
一言リフレーミングは、ノートを使わずに頭の中で、ネガティブな言葉をポジティブに変換してみる方法です。
ポジティブな言葉がすぐに思いつく人に向いている手法です。頭の中で変換する習慣ができると、普段からポジティブな言葉を思い付きやすくなります。
ポイントはどんな言葉にも、捉え方によっては別の側面があることを理解しておくことです。
3. リフレーミングカード
リフレーミングカードは、本格的に取り組みたい人に向いている練習方法です。カードの表にネガティブなイメージを書き、裏にはリフレーミングしたポジティブなイメージを書きます。カードを利用することで、繰り返しリフレーミングを行える手法です。
何度も見ると頭に定着させることができるので、「一言リフレーミング」や「リフレーミングノート」で効果が実感できなかった人にもおすすめの方法です。
また、カードをゼロから作る過程で、リフレーミングを学ぶことができるという側面もあります。
まとめ
リフレーミングとは、物事を見る枠組みを変え、違う視点からとらえることでポジティブな解釈を行える手法で、ビジネスやプライベートで幅広く活用されています。
物事をポジティブにとらえると可能性や選択肢が広がり、違った世界が見えてきます。練習によって身に付けることができるので、部下や顧客とのコミュニケーションにも、ぜひ役立ててください。