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リスクマネジメントとは?企業に求められる有効な対策を解説

時代の変化に伴いさまざまなリスクが存在している現代。リスクマネジメントが重要視されている背景や具体的な方法を把握していないことが、企業にとって最大のリスクともいえます。

またリスクマネジメントにはさまざまな種類があります。リスクの抽出や評価など、適切な方法で行わないと継続的な企業経営が困難になるでしょう。この記事では、リスクマネジメントが注目される理由と具体的な方法について解説していきます。

 

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リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは

 

リスクマネジメントとは、企業経営などにおいて発生しうるリスクを管理することです。また、リスクを回避する一連のプロセスを総称してリスクマネジメントと呼ぶこともあります。

企業経営においては、企業価値を高めるために、事前に発生し得るリスクを算定することでリスクを最小に抑える必要があります。企業価値に損失を与えるリスクに対して事前に対策を講じることで、企業価値を維持、最大化するのです。

 

リスクマネジメントの必要性

 

社会環境が目まぐるしく変化する現代においてあらゆるリスクが増えており、リスクマネジメントの必要性が高まっています。リスクに直面する機会が増えるなか、生じうるリスクを管理するべく、企業経営においてリスクマネジメントを講じることは必要不可欠となっています。

企業が継続的に事業を行うためにも、リスクマネジメントは経営者にとっては必須のスキルと言っても過言ではありません。

 

リスクマネジメントのプロセス

リスクマネジメントの具体的なステップは下記の5つからなります。

  1. リスクを把握する
  2. リスクを分析する
  3. リスクを評価する
  4. リスクに対応する
  5. モニタリングと改善

リスクマネジメントは一度実施すればいいというものではなく、継続的に行い、また手法自体を見直していく必要があります。リスクマネジメントを行う際は、このようにプロセスを繰り返しながら業務フローを見直してみましょう。ひとつずつ解説していきます。

 

1.リスクを把握する

 

最初にやるべきことは、どのようなリスクが存在するのかを特定し、把握することです。組織全体でリスクマネジメントの重要性について理解を深めましょう。その後、リスクを目に見える形で列挙し、リスト化していきます。

このリストアップは一部のメンバーで実施するのではなく、各部門で最低1名が参加する形で、全社網羅的にリスクを洗い出します。可能な限り、さまざまな部署のメンバーに参加してもらうことが大切です。

具体的に、まず起きないだろうと思われるリスクや、できる限り考えたくないリスクも含め多面的なリスクの洗い出しを行います。想定されるリスクの洗い出しは、「MECE(漏れなくダブりなく)」で行う必要があります。網羅的にリスク抽出をするためにも、個人で行うのではなく関連する部署で協力して行うことが大前提です。

事前にアンケートなどの手法で関連部署からの意見を集めた後、代表者会議で再度リスクの選定を行います。「新設備導入」ならば、導入に関わる技術部門や、設備を使用する製造部門、顧客対応を行う営業部門など、それぞれの視点からリスク案を集めましょう。

「新設備導入」で想定されるリスクとしては、各部門から以下のようなものが提案される可能性があります。

  • 技術部門:設備仕様検討不足による生産能力の未達
  • 営業部門:新設備導入工事中の製品供給量の減少
  • 製造部門:導入工事における労働災害の発生
  • 労務管理部門:設備導入時の労働者の残業時間の増加

異なる部門同士が一つの課題に対して向き合うことで、リスク抽出漏れの回避につながります。

 

2.リスクを分析する

 

リスクの分析については、リストアップしたリスクの重大性や影響力、発生確率を分析し、それぞれのリスクについて可視化します。リスクの影響力や生じる確率を明確にすることで、リストアップしたリスクを可視化でき、その重大さを理解しやすくなります。異なるリスクを比較検討することで重大性や優先順位の評価が可能になるので、重要な作業ととらえましょう。

しかし実際に分析してみると、人命に関わる事故の発生や企業の信頼損失など、数値化できないものも多く存在します。特定したリスクを相対的に比較しつつ、可能な限り定量化してみましょう。

 

リスクは数値として明示できる「定量的リスク」ばかりではありません。中には数値として表す「定量化」が難しいリスクもあります。それらのリスクは「定性的リスク」と呼ばれています。定性的リスクについては、専門家の意見や公的な統計データなどを利用し、そのリスクの影響度を慎重に考慮する必要があります。

 

3.リスクを評価する

リスクの分析が済んだら、次にリスクを評価します。ここでは、分析を通して影響力や発生確率など重大性が明らかになったリスクを比較検討し、対策を講じるための優先順位を評価していきます。

リスク分析で一般的な手法として、「PIマトリックス(Probability / Impact マトリックス)」を使うと優先順位の判別がつきやすくなります。

縦軸を発生確率(Probability)とし、上位に行くほど発生確率が高いように設定します。また横軸を影響度(Impact)とし、右に行くほど影響度が高いように設定します。この図を用いて、特定したリスクを当てはめていきましょう。

分析結果をもとにリスクを評価し、影響力や発生確率が高いものを判別していきます。リスク分析では「影響度の大きさ」を重要視する傾向がありますが、影響力と発生確率が高いリスクばかりに注力するのは賢明ではありません。

なぜなら、重大性が高くも低くもない複数のリスクに対してすぐに対策できる場合は、重大性の高いリスク1つに対策を打つよりも高い効果を得られる可能性があるからです。大切なのはリスクの大小だけに限らず、どのリスクにいつ対応すればどれだけの効果があげられるのかを把握することです。

影響力が小さくても発生率が多いリスクについては軽視せず、しっかり対策を練ることが重要です。

 

4.リスクに対応する

次はリスクに対して実際に対応していきます。このステップに関してはさらに深堀りする必要があるので、次項で詳しく解説していきます。

 

5.モニタリングと改善

リスクマネジメントが適切に実施されているか、目的が達成できているかを継続的に検証することが大切です。リスク対策を実施したら効果測定を行い、対策の反響や効果を確認し、改善点を探りましょう。

具体的には、運用時にトラブルはなかったか、リスクの軽減がどの程度できていたか、対応を実施した流れのなかで改善点をリストアップします。改善点はガイドラインとしてまとめると、次の対応時に役立ちます。

実際にリスクが発生し対応を行ったとき以外にも、定期的に改善点を見出すモニタリングと評価を実施しましょう。社会情勢や企業の状況により、リスクや対応策は変化する可能性があるためです。

 

リスク対応の2つのタイプ

リスクへの対応方法は「リスクコントロール」と「リスクファイナンシング」の大きく2つに分類されます。リスク対応の主な具体的方法はさらにそれぞれ2つずつあります。わかりやすく説明すると、下記の表になります。

リスク対応のタイプ リスク対応の具体的方法
リスクコントロール リスクの回避
リスクの低減
リスクファイナンシング リスクの移転
リスクの容認

リスクコントロールはリスクを軽減することで、リスクファイナンシングはリスクによる損失を補填するためのマネジメント手法です。それでは、2つのタイプについて詳しく解説していきます。

 

リスクコントロール

 

リスクコントロールとは、起こり得るリスクを把握してコントロールすることです。具体的には、事業活動を進めるうえで起こり得るリスクの原因を特定し、発生確率、想定被害額などを定量化することなどが挙げられます。

リスクコントロールの具体的な方法には、リスクを避けるために「回避」することや、起こり得るリスクを最小限に抑える「低減」があります。

 

リスクファイナンシング

 

リスクファイナンシングとは、発生してしまったリスクに対して金銭的な補填をすることです。

ビジネスにまつわるリスクをお金という定量的な指標で示すことにより、リスクに対する金銭的な被害に備えることができます。

リスクファイナンシングの具体的な方法には、リスクを第三者に移転する「移転」とリスクを受け入れる「容認」の2種類があります。

 

リスクコントロールとリスクファイナンシングは一長一短

 

リスクコントロールとリスクファイナンシングはそれぞれ一長一短と考えられます。

 

・リスクコントロールを選択する場合

(長所)損失発生の期待値そのものを抑制できる

(短所)大胆な経営判断や事業展開はしにくくなる

・リスクファイナンシングを選択する場合

(長所)損失の発生をある程度織り込んだ大胆な経営判断や事業展開ができる

(短所)企業が負担するコスト(潜在的なコストを含む)は大きくなってしまう

企業がリスクへの対応方法を選択する際には、事業の状況や外的な要因などを総合的に考慮したうえで、高度な経営判断が求められるでしょう。

 

具体的なリスクへの対応方法4つ

リスク対応のタイプは先程簡単に解説しましたが、ここでさらに詳しく解説していきます。リスク対応の具体的方法は以下の4つがあります。

 

  • リスクの回避
  • リスクの低減
  • リスクの移転
  • リスクの容認

それでは1つずつ確認していきましょう。

リスクの回避

リスクに対して前もって何らかの対策を行うことで、リスク発生の確率を低くすることを「リスクの回避」といいます。起こり得るリスクに備えるため、関連する事業活動を停止させます。事業活動を停止させることでリスク発生を回避できる一方、事業によるリターンを得ることもなくなるため注意が必要です。

パターンとしては、得られるリターンに対して発生し得るリスクが重大である場合、リスクの回避を選択することが考えられます。

 

リスクの低減

リスクの低減とは、リスクが発生した際の影響を少なくし、起こり得るリスクを最小限に抑える対策のことです。

  • リスクに対して未然に防止策を立てること
  • ・リスクの源泉を一か所に集中させずに分散させること

上記のような対策が考えられます。また、実際にリスクが発生した場合を想定し、被害を最小限にとどめる対策もリスクの軽減として必要です。リスクの軽減を行うためには、事業活動を細分化すること、追加資源を投入することでリスクの発生を抑えるなどの対策が挙げられます。

 

リスクの移転

リスクの移転とは、リスクが起きたときに第三者に金銭的な損失を移転させることです。ただし、すべてのリスクが移転できるとは限らず、金銭的なリスクなど一部のみ移転可能です。

リスクの移転として代表的なのが損害保険です。毎月、あるいは毎年一定の保険料を支払うことで、将来の損害に対して保険金を受け取るという形でリスクに備えることができます。リスク対策として損害保険の加入を検討するのは賢い選択といえるでしょう。

 

リスクの容認

リスクの容認とは、リスクの発生を想定しつつも、何もしないで受け入れることです。リスクの影響力が小さいため、特にリスクを低減するための対策を行わず、許容範囲内としてリスクを容認することがあります。

また、現状そのリスクにおいて実施すべきセキュリティ対策が見当たらない場合や、コストに見合うリスク対応効果が得られない場合などでもリスクを容認することがあります。

小さいリスクを容認するためにも、起こり得るリスクの評価・分析をして、経営に大きな影響を与えるリスクとそうでないリスクを選別しておくことが重要です。

リスクへの対策を打つにはコストがかかります。重要性の低いリスクに対して多額のコストをかけることのないようにしていきましょう。

 

企業のリスクマネジメントに有効な対策

上記で解説したリスクマネジメント以外にも、有効とされるリスク対策について解説します。

 

BCP対策でリスクマネジメントを強化する

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、災害や事故など企業におけるリスク発生時に事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。

企業経営におけるリスクは、自然災害・大規模な不祥事・サイバーテロ・感染症の流行・戦争などがあり、企業を取り巻くリスクは増大しています。

リスクに遭遇したときに取引先や地域社会、従業員とその家族に対して何ができるかを考え、その影響を最小限に抑えるために、平時からBCPを導入して備えておくことで取引先や社会から高い評価を受けられます。

BCPの導入にあたって、まずはリスクマネジメント手法で自社にどのようなリスクが潜んでいるのかを徹底的に洗い出しておきましょう。

 

「ISMS」と「Pマーク」

今やITは企業活動において必要不可欠な存在です。リスクマネジメントとして情報セキュリティを強化してサイバー攻撃等のリスクを低減することは、企業にとっての責務といえるでしょう。ISMSとプライバシーマーク(Pマーク)はどちらも情報保護のためのマネジメントシステムです。ひとつずつ解説していきます。

 

・「ISMS」

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは、ISO/IEC27001に基づき、情報セキュリティ確保の仕組みを認証する制度のことです。

  • (保護対象)適用範囲の個人情報を含めた情報資産すべて
  • (対象となる組織)リスク評価に基づき保護が必要と判断された事業部門単位
  • (本社だけ、管理部だけ、など支社単位、部門単位)で取得することが可能

審査基準が国際標準ということもあり、ISMSは世界的に通用する認証です。

 

・「Pマーク」

Pマーク(プライバシーマーク制度)とは、個人情報を安全に管理し、保護していることを認証する制度のことで、主に日本国内を対象としています。Pマークが付与されることで、対外的に個人情報保護法遵守にしっかりと取り組んでいる証明にもなります。

 

  • (保護対象)企業全体の個人情報
  • (対象となる組織)適用範囲は企業全体となるため、情報を保有しない部署も対象範囲

・「ISMS」と「Pマーク」のどちらを選択するか

ISMSやPマークは、自社が適切なリスクマネジメントを実施していることをアピールできる非常に効果的な認証です。ISMS認証は国際的な基準に従って審査されるため、国内だけでなく海外でも、情報に対するリスクマネジメント能力をアピールできます。

「Pマーク」は国内のビジネス取引や企業のWebサイトなどで活用されています。個人情報保護の姿勢を示す指標として国内での一般的な認知度は高くなっています。一般的に、個人との取引が多く膨大な顧客データを取得して事業を行う企業は「Pマーク」を取得し、企業間での取引をメインにしている企業はISMSの取得が望ましいといえます。

 

まとめ リスクマネジメントを企業に根付かせる

ビジネスにおけるリスクマネジメントの対応手法および実施手順について見てきました。リスクマネジメントを行うことで、予測できるビジネスリスクを回避、あるいはその影響を低減することが可能となります。

企業経営にはリスクが付き物です。あらゆるリスクを想定し、リスクマネジメントを的確に行うことが企業価値を最大限に高める重要なポイントといえるでしょう。リスクマネジメント手法のプロセスを理解したうえで、リスクマネジメントを継続的に行い、企業の活動に適用させる必要があります。

事業においては、必ずしも同じリスク対策が通用するわけではなく、外部環境の変化によって新しいリスクが発生することもあり得ます。変化に対応するためには、リスクマネジメントの基礎を理解した上で、企業のノウハウとして蓄積していかなければいけません。

最初から完全なリスク管理を行うことは困難です。さまざまなリスクマネジメント手法を試しながら評価・改善を繰り返し、企業活動に根付かせていきましょう。

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