日本を代表するアニメ作品『機動戦士ガンダム』は、1979年に放送が始まった、ガンダムシリーズの第一作です。
ガンダムシリーズの登場人物の中でも、本作の主人公「アムロ・レイ」は、最も有名なキャラクターと言っても過言ではありません。
アムロ・レイは、偶然ガンダムの操縦士になり、1年戦争を生き抜いた後は英雄と呼ばれるまでに成長しました。
ただし、アムロははじめから優れた人格の持ち主だったわけではありません。ガンダムを操縦する確かな腕はありましたが、もともと人間的には未熟な点が多かったのです。
本記事では、アムロの成長の軌跡と、アムロのような優秀な部下を育成する際の注意点を解説します。
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機動戦士ガンダムとは
※本記事はネタバレを含みます。
『機動戦士ガンダム』は、1979年4月7日から1980年1月26日にかけて放送されていたアニメで、全43話で構成されています。
『宇宙戦艦ヤマト』や『ルパン三世』などの影響によって、アニメが人気のコンテンツになっていたころ、新たな「リアルロボットアニメ」として注目を集めました。
『機動戦士ガンダム』の放送が始まってから40年以上が経過した今も新作映画やアニメが続々登場していることから、ガンダムシリーズが国内で多くの人気を獲得していることが伺えます。
機動戦士ガンダムがヒットした理由
ガンダムがヒットし、現在の人気を確立した要因として「主人公の人間的描写」が挙げられます。
ガンダムが誕生するまでのロボットアニメでは、熱量を持った主人公が悪に立ち向かうことが大方の作品のストーリーでした。
こうしたアニメの主人公は、視聴者にとって見ていて楽しいのですが、いささかリアリティに欠けるところがありました。
なぜなら、人間は誰しも心にある程度の闇を抱え、悩み、苦しむからです。
その点『機動戦士ガンダム』の主人公であるアムロ・レイは、人間的な葛藤を抱えた若き青年です。
「引きこもりなオタク気質」で、戦いを経るたびに人間として成長すればよいのですが、言い訳と上司に対する反抗を繰り返すちょっと残念な人間なのです。
こうしたネガティブな人間性は子供にはウケませんでしたが、大人には共感されました。
ガンダム放送後のガンプラにも助けられ、最初は子供に人気がなかったガンダムも少しずつ支持を集めていき、今では日本を代表する名作となったのです。
世界を救う英雄に成長した主人公【アムロ・レイ】
アムロ・レイは、当時のロボットアニメの主人公と違い、リアリスティックな感情の動きや葛藤を見せます。
最初は若さゆえに感情が不安定なところもありましたが、物語を通して成長を遂げ、最後には英雄として周囲から尊敬を集めました。
アムロ・レイが英雄になれたのは、個人の能力はもちろんのこと、周囲のサポートがあったからです。ここからは、アムロ・レイがどのような成長を遂げ、なぜ英雄になれたのかを深掘りしていきます。
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誕生日 | 宇宙世紀0063(or0064)年11月4日 |
血液型 | AB型 |
出身地 | 山陰地方(TV版) |
身長 | 168cm(一年戦争&グリプス戦争時) |
体重 | 55kg |
階級 | 曹長(TV版) |
CV | 古谷徹/代永翼 |
アムロ・レイは、テム・レイとカマリア・レイの一人息子です。
元々、機械いじりやコンピューターをひとりですることが趣味の内向的な性格でした。
作中では、ガンダムに乗るようになって以降、精神的に不安定になることがあり、「乗りたくない」とか、「いつも僕ばっかり」といった不満を口に出しています。ここからは、若い普通の人間としての一面が垣間見えます。
しかし、頼りなさそうに見える一方で、圧倒的な操縦センスを発揮し、ジオン軍との戦いにおいて大きな活躍を見せることになります。
ガンダムを操縦するようになった経緯
アムロ・レイがガンダムを操縦するようになったのは、15歳の頃です。
敵戦力である「ザクⅡ」が、アムロ・レイがいるコロニーの中にあった新造艦「ホワイトベース」を追って襲いかかってきました。
避難している最中、アムロ・レイはガンダムの操縦ファイルを入手します。
そして、操縦が可能な状態になっていたガンダムを起動させ、初めての操縦であったのにもかかわらず、ザクを2機も破壊しました。
これ以降、民間人ながらホワイトベースの乗組員として、ガンダムを用いた戦いに巻き込まれることになります。
実は歴代でも最強クラスのパイロット
ガンダムには「ニュータイプ」と呼ばれる人類が登場しますが、アムロ・レイもその中のひとりです。
ニュータイプと呼称される人たちは、他の人物よりも優れた洞察力や直感力を有しており、ときにはテレパシーに近い能力まで発揮します。
そんなニュータイプの中でも、アムロ・レイの戦闘能力は圧倒的です。
アムロ・レイは、戦いを通してニュータイプとしての能力を開花させ、敵から放たれた攻撃を事前に察知して避けたり、遥か遠くにいる敵にビームを当てることができるようになります。
それゆえ、ガンダムのファンの中でも、アムロ・レイを最強のパイロットと考える人は多いでしょう。
アムロ・レイの結婚・子供
アムロ・レイはパイロットとしての強さと人間的な繊細さを見せることで、多くの女性と付き合っていくことになります。しかし、結婚はしていないため、子供は存在しません。
ただ、ガンダム関連作品が作られていく中で、アムロ・レイの子供が出現する可能性はゼロではないため、今後の展開に期待しましょう。
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アムロ・レイが作中で放った言葉の中には、ガンダムファンでなくても知っているものが多く存在します。
「アムロいきます!」などの言葉が特に有名ですが、本記事では、モチベーション管理に関わる名言を主に解説していきます。
「ごめんよ、まだぼくには帰れるところがあるんだ。こんな嬉しいことはない。」
このセリフは『機動戦士ガンダム』の最終話で「シャア・アズナブル」と死闘を繰り広げ、敵の基地から脱出する際に発した言葉です。
当時、アムロは同じニュータイプで、心を通わせていた「ララァ」に手をかけたことを深く悔やんでおり、シャアとの戦闘の後に死ぬ覚悟を持っていました。
しかし、シャアとの戦いを終え、敵基地からの脱出を試みるとき、仲間の姿を見つけたことで、自分が帰るべき場所を再認識し「生きる覚悟」を見出すことになります。
このアムロのセリフからは、過去を悔やみつつも前に進もうとするアムロの覚悟が見て取れるでしょう。
私たち社会人も同様です。
会社に勤めているとミスをしてしまうことはあるでしょう。そこから、失敗を糧に再度歩みを進められるか否かで未来は大きく異なります。この名言からは、大きな失敗から前を向いて邁進する気概を学ぶことができます。
「まだだ、たかがメインカメラをやられただけだ。」
この言葉は、アムロ・レイの名言の中でも特に有名なもののひとつです。
敵組織のモビルスーツ(人型ロボット)である「ジオング」との戦闘の際、アムロは操縦するガンダムの頭部を破壊されてしまいます。
頭部を破壊されることは、視界を失うことと同義であるため、絶望的な状況なのですが、アムロは「まだだ、たかがメインカメラをやられただけだ」と自分を鼓舞しました。
「まだだ」という継続を示す言葉と、「たかが」という損失を意に介さない言葉で自分を鼓舞する姿を見ると、絶望的な状況でも諦めない力が湧いてきます。
「やれるとは言えない、けど、やるしかないんだ」
アムロは、ガンダムでの初陣の際、ホワイトベースの護衛をすることになります。
なんとか敵の猛攻を防ぎますが、緊張もあってか思うような動きができず、上司である「ブライト」から叱責を受けました。
「できないなら帰れ」とまで言われたアムロでしたが「やれるとは言えない、けど、やるしかないんだ」と、ガンダムに再び搭乗することを決意しました。
自分の能力以上を求められることは、現代の社会でもよくあることですが、最初から諦めるのではなく、立ち向かうことで大きな成長を遂げることができます。
このように、アムロは言葉を口にすることで、自身を高めセルフモチベーションコントロールをしていたことがわかります。
15歳の若さで人の命を任されたアムロにとって、セルフモチベーションは迫りくる責任感と向き合うために欠かせないものであったことは想像に難くありません。
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アムロ・レイが平凡な青年から英雄になれたのは、大きな才能を持っていたことに加え、周囲のサポートがあったからでした。
ただし、アムロを取り巻く人間たちの姿を見ていると、果たしてそのマネジメント方法が適切だったのか疑問が残る面もあります。
そこで、ここからは上司であるブライトが、成果を出す優秀な部下「アムロ」に対し、適切なマネジメントができていたのかを確認していきましょう。
コーチングを適切に行う
アムロは優秀なパイロットですが、まだ15歳の少年です。
このため、精神的に未熟な面は多々見受けられました。たまたまガンダムに乗って戦果を挙げた少年が、その後ホワイトベースに乗せられ厳しい指導を受けるのですから、気が滅入ってしまうのも頷けます。
そんなアムロに対して厳しい指導が課されるのが、第9話「飛べ!ガンダム」での上司ブライトとアムロとのやり取りです。
なかなかガンダムに乗ろうとしないアムロに対し、ブライトは出動するように命令を出しますが、アムロはブライトに「あなたが行けばいいじゃないですか」と歯向かいました。
「できるならやっている」と答えるブライト。アムロは「僕だってできるからやってるんじゃないんですよ」と答え、ます。
この後ブライトがアムロを殴り、アムロの「殴ったね!オヤジにも打たれたことないのに」というセリフと繋がるのですが、この時はアムロが出動しなければ組織自体が壊滅していた可能性がありました。
緊急時において部下を動かすために手を上げる行為の是非は置いておくとして、もしも以前からアムロに対してのコーチングが行き届いていれば、アムロは出動要請を断らなかった可能性があります。
部下の話を正しく聴き、質問し、認める。相手とのコミュニケーションを増やすことで、問題発生を未然に防ぐものです。
組織は時に突然のピンチに見舞われることがあります。こうした際に、部下を適切に動かせるかどうかは上司の腕の見せ所です。日頃から部下とコミュニケーションを取り、優秀な部下に主体性を持たせる。
組織をマネジメントする上で、管理職にはコーチングスキルが必要です。
過ちを正す姿勢は怠らない
人間は誰しも失敗をしますが、優秀な人材は「できる人間」である驕りから、ひとりで突き進んでしまうことがあります。
『機動戦士ガンダム』の第19話「ランバ・ラル特攻!」では「アムロ」が上官の指示を無視して無茶な出撃をしました。
結果的に大惨事は免れましたが、大きな損害を被る可能性は十分にあったため、上司である「ブライト」はアムロからガンダムを取り上げました。
そして、そのまま独房に入れられてしまったアムロの言葉が「ぼくが一番ガンダムをうまく使えるんだ…」でした。
優秀な部下は時に上司の指示を無視して自らの考えのまま飛び出してしまうことがあります。
職場で優秀な部下がしてしまいがちな「自分が会社を回している」という誤解。
しかし、組織はその人がいなければ潰れてしまうわけではありません。
上司の指示を無視する部下の存在は、組織に迷惑がかかるばかりか、優秀な部下自身が潰れてしまう恐れがあります。
部下を一度冷静にさせるために仕事から外すといった対処も上司には必要です。
こうした背景を踏まえると、一度アムロをガンダムから外すというブライトの態度は正しかったといえるでしょう。
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圧倒的な才能を持って生まれたアムロ・レイ。
しかし、アムロ・レイは15歳という若さと圧倒的な才能ゆえに、プライドを捨てられず、失敗をすることがありました。
現代社会においても、「優秀ゆえに扱いが難しい人材」は多く存在します。
会社を成長させるマネージャーに求められるのは、癖がある優秀な人材を活かす技術です。
『機動戦士ガンダム』からは優秀な部下をマネジメントする方法が学べるかもしれません。
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