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ホスピタリティと利益の矛盾を抱える介護業界理念の伝え方とは

介護業界には、「社会のために」「人のために」というホスピタリティの理念を持った方が集まってきます。

組織としては利益を出さないと運営が成り立たなくなる一方、利益を追求すれば理念の体現が難しくなることも事実です。

そのような環境で理念をどのように伝えていくのか、従業員に何が求められるのかを考えていきます。

介護業界の特徴

介護業界の特徴として、従業員が考えるホスピタリティの内容が、各人によってずれてしまいがちなことが挙げられます。

介護施設の利用者は10人いれば10人とも求めている内容が異なりますし、従業員側も役職や経験によって考え方に大きな差があります。

私が見る限り、職位が上の従業員ほど、自らに求めるホスピタリティのレベルが高くなっていきます。

一人ひとりの正しさをすり合わせるなかでさまざまなずれが生じ、職員の人間関係の悩みが大きくなることが介護業界の特徴の一つです。

また、独立する人の大半は、自分の正しいホスピタリティを実現するために独立しますが、経営に苦労してしまう方が少なくありません。

利益を出すためには規模を拡大する必要があるのに、自分自身の目が届く範囲でのみ事業を行おうとするためです。

それゆえ、小さい介護施設が多いのも業界の特徴です。多くの経営者が独自のホスピタリティを持つ業界だからこそ、マネジメントが必要不可欠なのです。

離職者が多い

介護業界は離職者が多い業界と言えます。要因は様々ありますが、先述の通り、人間関係で悩みを抱え離職を決断する方が数多くいます。

介護の技術だけでなくコミュニケーション能力も必要です。従業員同士がマウントを取り合うなどし、働く環境に影響を及ぼしています。

また、国からお金が入ることで、給与面ではどの施設で働いても大きく変わらず、そもそも人手不足であることから離職しやすい業界なのです。

人員配置が介護業界の課題となるからこそ、採用活動や従業員の離職防止をどの経営者も最重用課題と捉えています。その際によく見るのが、人の内面でしょう。

しかし、面接だけでは内面の善しあしなど、なかなか判断がつかないものです。1年で100名採用し、全員が離職したという介護施設もあるほどです。

独立した方だと、自身のホスピタリティを実現することが目的なので、理念を共有してもらえる人を大事にします。

間違ってはいないのですが、理念を共有するとはどういうことでしょうか。ここに誤解があると、そもそもうまくいきません。

効果的な離職対策

理念を共有できると思って採用した人が離職していってしまう。これを、考え方が異なったから仕方がないで済ませてしまっていませんか。

実際に、離職が多い施設と少ない施設は存在します。その差は何かを考えてみましょう。

離職が少ない施設では、共有できる理念があり、同じ考え方で従業員全員が動いているのでしょうか。決して、そうではありません。

従業員が考えるホスピタリティの姿を全く同じにすることはできません。掲げる理念も抽象的な表現になりやすいですから、解釈の仕方は人それぞれです。

また、利益に通じる話をされることに違和感を覚える人も多く、ホスピタリティを盾に自分の正しさを押し付けてくる従業員もいます。理念はあくまで、会社、施設の方向性を示すものであればよいのです。

必要なのは、理念をもとに会社として、施設として、どのようなサービスを提供するかが明確になっていることです。

サービスレベルも基準をそろえるなど、ルールが必要です。会社として必ず行う決まりごとと、自由に判断してよいこととがはっきりしている必要があります。

決まりごとがなく、理念だけを伝えて任せていくと、自分なりに正しいホスピタリティを実行するため、経営側がコミュニケーションに力を入れることになります。

従業員同士でのコミュニケーションや利用者とのコミュニケーションをする際に、それぞれの考える正しいホスピタリティで会話をしていくのです。

そうすると、人間関係での問題が発生しやすくなります。これらをなくすことが、効果的な離職対策となります。

課題を自ら発見し解決する社員の育成へ

現場リーダーに求められることはずれの解消です。リーダーは、従業員が何をすべきか決める人であるべきです。

現場リーダーが経営者側に立つには、理念に基づいた施設運営をするために、従業員にとって何が必要かを明確にしておかなければなりません。

現場従業員の入れ替わりが発生するなかで、現場リーダーには、経営者と理念を共有し、現場のルールを決められる人が必要です。

その上で、現場リーダーは業績の向上にも貢献してもらわなければならないのです。

後回しにされがちな組織改革こそ優先して取り組んで欲しい

介護業界の会社にとっては、内面がよさそうな人を採用するよりも、組織全体で勝てる仕組みをつくることの方が重要だと強調しておきます。

仕組みがないままでは、せっかくの人材を採用してもうまくいきません。

理念をどのように捉えるかは人それぞれです。従業員だけでなく、介護施設の利用者の方も理念からサービスを想像しますから、その想像と実際が異なれば、当然会社に対する不満につながります。

会社側は、従業員によって異なってしまいやすいサービスの内容と質をそろえる努力をすべきであり、それらを常に改善していかなければならないでしょう。

理念は掲げれば伝わるものではなく、理念をもとに組織づくりをしていかねばなりません。

コミュニケーション能力を重視しがちな業界であるからこそ、上に立つ人にはマネジメント能力が重要であることを認識してほしいと思います。

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