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コンサルタントの薦める至高の1冊『組織デザイン』

組織コンサルタントの私は、流行の組織コンセプトを取り入れてはうまくいかずに失敗を繰り返す経営者の方に頻繁に遭遇します。組織の原理原則を理解しないまま新しいコンセプトに飛びつくからうまくいかないのです。

今回は1冊の本をご紹介し、組織デザインの原則をお伝えしつつ、組織運営によくある疑問に答えていきます。

沼上幹著『組織デザイン』

今回ご紹介する本は、一橋大学で教鞭を執る経営学者、沼上幹氏が書いた『組織デザイン』です。

様々な経済性を求めて分業が行われる。しかし分業を行うと、各人の活動を調整、各人の努力が最終的なアウトプットにまとまるように統合しなければならない。人々の活動を調整し、最終的なアウトプットへと統合していくために多様な工夫が施される。この分業と調整の工夫が集積されたものが組織デザインである。

『組織デザイン』p.281

ここにあるように、本書は組織の特徴を「分業」と「調整」の二つと捉え、この二つを軸に組織デザインの原理原則をまとめた本となっています。組織に関する書籍として、紛れもない名著です。


分業と調整とは何か

組織とは、一人の人間の努力では達成できない目標を実現するため、社員の役割を分解して、分解したものを調整し、目標達成を実現するものです。

本書は、組織デザインの基本要素である分業と調整を、以下のように定義しています。

【分業】

役割が分けられ、それぞれの役割を分けることで、たとえば専門性を発揮させるなど、何らかのメリットを追求している。

分業のタイプは、垂直分業・水平分業・機能別分業・並行分業の4タイプ。

【調整】

分業の一部ずつを担っている人々の活動が、時間的・空間的に調整され、多数の人々の活動が、あたかも一つの全体であるかのように連動して動くようになっている(あるいは、そうなろうと努力している)。

調整の基本的な手段は、大きく分けると、標準化・ヒエラルキー・環境マネジメント・スラック資源活用・水平関係の設定、の5つ。

調整は、簡単に言えば、標準化する、つまり「事前の取り決めをしっかりしましょう」ということと、「事前の取り決めでは対応できない例外事象が発生したときの問題解決の仕組を作りましょう」ということが主要な手段となります。

組織運営に関する疑問

分業と調整という二つの観点で見ると、組織運営の疑問に的確に答えることができます。

そこで、ここからは、以下のよくある組織の質問に対し、この二つの概念を活用しつつ答えていきます。

  1. 組織文化は必要ですか?
  2. 上司は必要ですか?
  3. フラットな組織ってどうやったらつくれますか?
  4. 組織をつくるってどこから始めればよいのですか?

組織文化は必要ですか?

  • 「採用するにあたってカルチャーフィットって重要ですよね」
  • 「ミッション・ビジョン・バリューで組織文化をつくって従業員の意識を変えたいです」
  • 「組織文化、理念、組織の目的って重要ですよね」

このような考えを、経営者の方はお持ちではありませんか。結論から言うと、組織文化があるだけでは組織はよくなりません。

ミッション・ビジョン・バリューを作り、これが記載されたカードを携帯したり、毎日唱和したりしてそれに基づく行動を評価するということ自体は否定されるべきものではありません。

しかし、働く人の活動を統合し、調整する上では、これだけだと不十分です。

なぜなら、同じような価値観の人が仮に集まったとしても、仕事のやり方は各人でバラバラだったり、個々の目指すべき目標が定まっていなかったりすれば、組織として成果は上がらないからです。

先に述べた標準化とは、事前の取り決めにより認識のズレをなくすことで、以下の三つがそろって成立するものです。

  • A. 手順(処理プロセス=スループット)をルール(マニュアル)でそろえる
  • B. ルールに固執すると組織ゴールから遠ざかる可能性があるため、到達目標を規定する(アウトプット)
  • C. A Bに加えて更にズレをなくすため類似の思考法、行動様式を身に着けさせる(インプット)

スループット、アウトプット、インプット、この三つが、それぞれの役割に沿った形で標準化されることで、組織の成果は最大化します。

組織文化の浸透は、インプットの標準化に該当します。

環境の変化が小さい場合はAが重視され、環境の変化が著しく不確実な部分への対応を促すためには、Cが重視されるなど、調整が必要ではありますが、いずれか一つではなく、ルールや目標設定、人材の質(組織文化)を組み合わせて、組織の標準化を実現することが重要です。

上司は必要ですか?

  • 「上司って何でいるの?」
  • 「上司なんていなくても、各人で話し合って判断すればいいのでは?」

このような質問、社長はお持ちではありませんか。

結論、上司は必要です。

スループット、アウトプット、インプットの三つがそれぞれの役割に沿った形で標準化されれば、組織が行う作業はスムーズになりますが、予想外の事態が発生した場合、標準化では対応できない事態に陥ります。

そんなときにはどうすべきでしょうか。それは、そういう事態に対処すべき上司をあらかじめつくっておき、その立場の人が決めて動くのです。

事前に調整できることについては標準化で調整し、事前に調整できないイレギュラーなことについては、上司が調整することで、組織内のズレをなくしていきます。

予想外の事態が発生したときは、メンバー同士が話し合って決めればよいと考える方もいるかもしれませんが、組織内の人数が増えるに従って、話し合いによるメンバー間のコミュニケーションルートが増大するため、それは難しくなります。

したがって、予想外の事態に上司が意思決定するというのは非常に理に適った方法であると言えます。

標準化による従業員間の認識のずれをなくし、標準化で対応できないイレギュラーな事態には上司が対応する。これが組織における調整の原則になります。

フラットな組織ってどうやったらつくれますか?

「従業員一人ひとりが自走できるフラットな組織が作りたいんです。フラットで風通しがよい組織の方が、ピラミッド型より良くないですか」

このような思いをお持ちの経営者の方はいらっしゃいませんか。フラットな組織を階層構造が低い組織だと考えた場合、標準化を強化するか、ヒエラルキーを強化するか、いずれかの方法で階層構造を低くすることができます。

具体的な方法は以下の3つです。

  1. 組織メンバーの知識・熟練水準を高める
  2. 標準化を進める
  3. 管理職の能力を開発する

1については、メンバー層の能力や経験値を高め、予想外の事態に対応させることで、上司の負担を減らし、管理範囲を広げる方法、2については、マニュアル化を進めて定型的な作業を強化することでリーダーの管理範囲を広げる方法、3については管理者の能力を高めて、一人で多くの部下を管理できるようになることで管理範囲を広げる方法、です。

一般的にフラットな組織を作る場合、1をイメージされる経営者の方が多いですが、これは、分業を明確にし、標準化をしたその先に発生するものです。分業不明確、標準化未成熟な組織が、1を選択することには無理があります。

大企業からスピンアウトして起業した社長のなかには、以前所属していた階層組織における不自由さから、フラットな組織を目指す方がいます。

階層構造を低くするというフラット化は可能ですが、これは分業と標準化のその先に、段階的に変化していくものであって、当初からフラットを選択できるものではないことは念頭において組織デザインをしてください。

組織をつくるってどこから始めればよいのですか?

  • 「結局、組織を作る上で何が重要なのでしょうか」
  • 「組織作り、具体的に何から始めればいいのでしょうか」

結局、社長が行きつく質問は、これになるのではないでしょうか。本書の内容をあらためて要約すると、以下の通りです。

  • 組織の特徴は、「分業」と「調整」。目標達成のため役割を分割し、統合するのが組織
  • 分業とは役割分担の明確化
  • 調整は「ルール」「目標設定」「人材の質」で標準化し、不測の事態については上司(ヒエラルキー)が解決することで実践される。
  • 分業と調整の多様な手段を都度状況にあわせて組み合わせていく

これは、組織デザインの原理原則です。

1点、本書ではさらっと触れられる程度ですが、組織作りをする際の重要なポイントがあります。

組織が市場よりもスムーズに調整活動を成し遂げることができる理由は、上司の命令がほぼ「自動的」に受容され、遂行されるところにある。部下たちが、命令を受けるたびに、「今回の命令は自分にとって得か損か」と考えていては、組織はスムーズに動くはずがない

『組織デザイン』(p.252

これは、現場での組織運営時に経営者が苦慮するポイントです。分業と調整のうち、分業は、役割を言葉で明確にまとめることができれば形は整います。

しかし、調整においてはそうはいきません。「会社のルールに従わない」、「目標を設定しても目指さない」、「上司の指示に従わない」となれば、そもそも調整することができません。

「調整」が機能するための前提条件を組織内に構築しなければなりません。

本書では記載がありませんが、上司の命令がほぼ「自動的」に受容され、遂行される組織状態をいかに構築していくかが、組織作りの第一歩となります。

また、本書は、組織デザインを静的なものとして描いていますが、実際の組織運営においては、組織が持つ経験値によって、不測の事態の領域が変わりますし、不測の事態を上司が標準化するための動的な仕組みづくりも必要です。

はやり廃りに惑わされないために

本書にある組織デザインの原理原則を経営層の皆さんが知識として持っていることは、世間の組織にまつわる流行り廃りに惑わされずに組織運営を行う上で、極めて有益なことです。ぜひ、本書をご一読下さい。

また、私は、識学社の組織コンサルタントとして、どのように動的に分業と調整を実現していくのか、組織運営をサポートしています。

実際にこの知識をどう組織運営に落とし込んでいくのか、興味がある方は、一度識学までお問合せ下さい。

答えは識学にあります。

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