経営者
専門家
社員の育成にも使われ始めた「ロールモデル」という言葉ですが、意味が曖昧でよくわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、以下3つをわかりやすく解説します。
- ロールモデルとはなんなのか
- ロールモデルを導入する具体的な方法
- ロールモデルをさらに活用するための方法
ロールモデルを今後会社に取り入れていきたいと考えている経営者の方にもおすすめの記事となっていますので、ぜひご一読ください。
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ロールモデルとは?
経営者
まずは、そもそもロールモデルとは何か、についてわかりやすく解説します。
- ロールモデルは「理想の人」を指す
- ロールモデルの語源
- ロールモデルが有名人である必要はない
- ロールモデルは複数いても良い
上記4つの切り口からわかりやすく解説します。
ロールモデルは「理想の人」を指す
ロールモデルとは「理想の人」のことをいいます。
- 真似をしてみたい
- 憧れで自分もいつかそうなりたい
上記のような人がロールモデルになります。
ロールモデルになるのは、一般的に物理的距離が短い人です。したがって、ロールモデルは自らの上司、先輩、友人など多岐に渡ることがあります。
多くの人が無意識にロールモデルからの影響を受けているという意味で、ロールモデルはビジネスにおいても欠かせない存在になっています。
ロールモデルの語源
ロールモデルは、英語の「role model」がそのままカタカナ表記されたものです。roleは、「役・役割・任務」の意味で、modelは「模型・雛形・模範」を表しているため、「role model」は直訳で「模範の人」を意味しています。
したがって、模範・行動指針になる人であれば誰であってもロールモデルになる可能性があり、ロールモデルになる人は、必ずしもハイスペックな人とは限らないと認識しておく必要があります。
ロールモデルが有名人である必要はない
よくロールモデルは有名人などであるべきなのか悩まれる方がいますが、ロールモデルは決して有名人である必要はありません。むしろ、物理的距離が近い人がロールモデルに好まれる傾向にあります。
もちろんロールモデルに著名な人を設定するのは良いのですが「私はロールモデル に近づくことはできない」などモチベーションの低下を引き起こす可能性があります。
このため、有名人をロールモデルとして設定するのであれば、他に身近な人も合わせてロールモデルとして設定することをおすすめです。
ロールモデルは複数いても良い
ロールモデルは1人にしなければならないのかと悩まれる方もいますが、ロールモデルは複数人いて問題ないとされています。
そもそも、人には真似をすべきところ、真似をしなくて良いところがあります。
専門家
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会社でロールモデルを設定するメリットは以下4つです。
- キャリアプランが見えやすくなる
- 女性が活躍できる職場になる
- 会社へのホスピタリティが高まる
- 社員が自己研鑽をするようになる
キャリアプランが見えやすくなる
コロナのなかで仕事を選ぶ基準が「やりがい」から「働き方」に変わってきたとはいえ、まだまだ「働きがい」を求める会社員の方は多いです。
社員が「やりがい」を得るためには「自分自身の成長・キャリアプラン」を欠かすことはできません。
ロールモデルを設定することで、実際にその人のキャリアプランが見えるので、自身のキャリアパス設定もしやすくなります。
自身のキャリアプラン設定ができると、目標を立て、目標を遂行することができます。すると、目標達成をした時に自分自身の成長を感じることができます。
したがって、ロールモデルを設定することで、キャリアプランが見えやすくなり、社員の離職率の低下にも繋がると言えます。
参考:転職先選びの軸変化 「働きがい」から「働き方」に | 日本経済新聞
女性が活躍できる職場になる
経営者
ロールモデルは、女性の活躍できる現場に必要不可欠です。厚生労働省の『メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル』によれば、女性のロールモデル制度を普及させることで、女性の離職率を下げることができると説明されています。
社内でよく上がる例としては、「実際に職場で活躍している女性管理職の姿が少ないため、自らが会社で活躍するビジョンが見えない」という声です。
上記の問題を解決するためには、活躍している管理職の女性をロールモデルとして押し出すことで、仕事や私生活も充実させることができるということを示す必要があります。
参考:メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル | 厚生労働省
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ロールモデルを導入することで、会社へのホスピタリティが高まると言われています。会社へのホスピタリティには以下3つの要因が関わっています。
- 会社に貢献したいと思える意欲
- 憧れの人物がいること
- 成長を実感できる現場があること
「憧れの人物」はロールモデルの存在そのものですし、ロールモデルがいることで目標やキャリアプランが明確になれば成長の実感にもつながるなど、上記全てにロールモデルの存在が関わります。
上手にロールモデルを設定することで従業員のモチベーションのアップにつなげることができるので、ロールモデルを設定することは重要だといえます。
社員が自己研鑽をするようになる
社員が目標にむかい、自己研鑽ができるようになるのもメリットです。基本的に人は、「やらされる仕事」に前向きに取り組むことができません。
社員が自己研鑽に励むためには、目標や憧れに対する努力を促すことが不可欠です。
したがってロールモデルの設定は「自ら努力する姿勢」を引き出すことに役立ちます。
専門家
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私生活でロールモデルを設定するメリット
ロールモデルの設定は、ビジネスの現場だけではなく私生活にも良い影響を及ぼすと言われています。ここからは、私生活でロールモデルを設定するメリットをわかりやすく解説します。
- 上昇志向になる
- 影響力が身に付く
- 成長マインドセットが身に付く
上昇志向になる
まずは、上昇志向を身に着けることができるのがメリットです。上昇志向の反対は安定志向で、変化を嫌いその場にとどまろうとする考え方を指します。
あらゆるものが凄まじいスピードで変化をしていく現代社会では、安定志向のままでは時代についていけない可能性があります。
したがって、上昇志向は今後世の中をうまく生きていくために必要とされています。
ロールモデルを設定することで、理想の人に近づくためにリスクをとってでも行動しようとする上昇志向を身に着けることができる点で、ロールモデルの設定は重要です。
影響力が身に付く
ロールモデルはそもそも自分自身に良い影響を与える人でもあります。そのため、ロールモデルの設定は、その人のようになる等する過程の中で自分自身も周囲の人により良い影響を与える人になっていくことにつながるのです。
そういった影響力は人望にもつながり、例えばなにか新しいことを始めるときに協力者となってくれたりと、心強いサポートにもなるでしょう。
成長マインドセットが身に付く
マインドセットとは物事の考え方のことで、成長マインドセットと固定マインドセットの2種類があると言われています。
成長マインドセットは、何か大きな問題に直面した際に、困難をポジティブに捉え挑戦できる考え方のことで、今後社会でますます必要とされる考え方です。
成長マインドセットを身に着けることで、生活の課題をプラスに捉えることができるようになります。したがって、ネガティブな思考ではなくポジティブに生きることができる点で、鬱などの心理状態になりにくいと言われています。
経営者
ロールモデルの導入ポイント
ロールモデルを企業で導入する際は以下のポイントを意識しましょう。
- 新入社員のロールモデルを作る
- 中堅社員のロールモデルを作る
- ベテラン社員のロールモデルを作る
このように、ロールモデルは段階によって変えることが必要です。詳しく解説していきましょう。
新入社員のロールモデルを作る
新入社員のロールモデルに適切なのは以下の要素をもつ人です。
- 入社3~5年目の先輩社員
- 努力をして今の地位にいる
- 明確にキャリアプランを持っている
まずは、入社して3~5年目の年次が近い社員が適切とされています。あまりにも年次が離れてしまうと、目標までのキャリアプランが追えなくなるからです。
また、何か特別な才能があるわけではなく、努力して今の地位にいる人を選ぶのも良いでしょう。特別な才能があって今の地位にいるとなれば、「自分とは違う」という思いを新入社員に持たせてしまいます。
「努力をすれば自分もこの人のようになれる」と思わせることが、新入社員の定着には大切です。
また、明確なキャリアプランを持っているロールモデルを選出することで、その後の会社での活躍を想起させられるため、キャリアプランを明確に持っている人もロールモデルに適しています。
中堅社員のロールモデルを作る
中堅社員のロールモデルとしては、以下の要素が大切です。
- チームを引っ張るポジション
- 自己研鑽に取り組んでいる
- 総合力がある
中堅社員のロールモデル設定では、新入社員のロールモデルよりも1つ上のスキルを持っている人物が良いでしょう。
中堅社員は後に管理職になるポジションとなるので、人格があり優れていて、チームを前向きに引っ張っていける人材をロールモデルとするのが適しています。
また、中堅社員でも自己研鑽が大切だということを示すために、努力をしている人を選出すると、更なるスキルアップを狙うことができます。
ベテラン社員のロールモデルを作る
ベテラン社員のロールモデルは以下の通りです。
- 真摯に話を聞くことができる
- 人を動かす能力に長けている
- 全体の工程・工数を計算しプロジェクトを動かすことができる
ベテラン社員は、将来の経営人材です。
したがって、大きなプロジェクトを引っ張ることができる人材である必要があります。
また、何よりも会社を任せるに値する人を選出することが重要です。
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効果的なPDCAとは?失敗要因やデメリット、対策方法を解説ロールモデルを企業経営に取り入れるためには
経営者
ロールモデルを企業経営に取り入れる際は、以下の流れで進めます。
- ロールモデルを選定する
- ロールモデルにアンケートを取る
- ロールモデルの真似をさせる
手順を誤ると意味のないロールモデル導入となるため、注意が必要です。
ロールモデルを選定する
まずは、ロールモデルを選定することが大切です。先に紹介したように、ロールモデルは新入社員・中堅社員・ベテラン社員で分けることが大切です。
ロールモデルにアンケートを取る
ロールモデルにはアンケートを取り、ロールモデルが大切にしている価値観や考え方をテキストにして落とし込みます。テキストに落とし込むことで、会社のノウハウとして蓄積することができます。
また、ロールモデルをさらに育成するために、集合研修や個別研修などを実施する場合は、この段階で行うのが良いでしょう。
ロールモデルの真似をさせる
ロールモデルの育成が終わったら、ロールモデルとして社内周知させる必要があります。
この際、業務のスキルアップのみならず、プライベートも開示をすることで、より社員に親しみを持ってもらうことができます。
ロールモデルをさらに活用するための2つのポイント
ロールモデルをさらに活用するために以下2つのポイントを意識しましょう。
- 1on1を実施する
- 社内広報をうまく活用する
それぞれわかりやすく解説します。
1on1ミーティングを実施する
まずは、1on1ミーティングを実施することが大切です。せっかくロールモデルを導入しても、ただ周知して終わらすだけでは効果が薄いとされています。
したがって、適切に1on1を実施し、ロールモデルのキャリアプランを提示することで社員のモチベーションをより高めることが大切です。
社内広報をうまく活用する
ロールモデルの周知の方法も工夫しましょう。どれだけ時間をかけてロールモデルを育成しても、最終的に周知されなければ意味がありません。
このため、イントラネットを利用した社員への呼びかけや、社内広報を活用した社員への周知を徹底し、確実に社員にロールモデルの存在を届けることを重視しましょう。
また、企業紹介パンフレットにキャリアの事例としてロールモデルを組み入れ、採用活動に利用するといった使い方も増えてきています。
専門家
ロールモデルがいないと思ったら
ここまでロールモデルの紹介をしてきましたが、自社にロールモデルがいない、ロールモデルに値する人を見つけられないといった事例は多く見受けられます。
また、そもそも誰が適切なのかがわからないという声もよく挙がります。
このような場合、以下2点の解決方法があります。
- 社外のセミナーも取り入れる
- 有名人を参考にする
それぞれわかりやすく解説します。
社外のセミナーも取り入れる
まず、社外のセミナーを取り入れるのが解決策の1つです。社外セミナーではロールモデルの選定や、その後の導入までのアドバイスまでを一貫して行っているため、ロールモデル導入に適切なアドバイスをしてくれることでしょう。
したがって、社内へのロールモデル選定や導入がうまくいかない際には、上手に社外セミナーを取り入れるのがおすすめです。
有名人を参考にする
次に、有名人を参考にするのも有用です。例えば、大手企業ではスポンサー契約をしている有名人もいます。
ただし、ロールモデルで参考にする有名人は必ずしもスポンサー契約をしている必要はありません。
一方で、講演会などで招待できると、ロールモデルとしての存在感を増大させることができるので、可能であればセミナーを依頼するなどの処置も取るようにしましょう。
ロールモデルになる有名人
ロールモデルは身近にいる人が最も有用ですが、必ずしも周りにいる人がロールモデルにならない可能性もあります。
こうした際は、有名人をロールモデルにしても問題ありません。
ここでは、ロールモデルになり得る有名人を2人紹介します。
高橋由伸
ロールモデルの例として、元野球選手・監督の高橋氏が挙げられます。
高橋氏は、プレッシャーと前向きに向き合うことの大切さや、失敗を受け入れるための方法を取材で語っています。
大きなプレッシャーやストレスの中で第一線で戦ってきた方の言葉は、私生活のみならずビジネスの場でも活きることが多いでしょう。
考え方や倫理観を1つの参考にして取り入れてみるのもおすすめです。
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大谷選手といえば、ロールモデルの例で必ずといって挙げられる有名人です。
現在も野球選手として活躍していますが、小学生の頃からの夢を叶えてきたという事実はロールモデルに値します。
特に、マンダラチャートを用いて目標を明確にし、目標を1つずつ遂行する姿勢は社会人に有用である部分も多く、ロールモデルとしてとてもおすすめです。
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本記事ではロールモデルをわかりやすく解説しました。
ロールモデルを活用することで、企業にも従業員にも良い結果を生み出すことにつながります。
ロールモデルを活用した人材育成はスタンダードになりつつありますので、まだ導入されていない場合は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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